第5章 低閾値電流化の検討
5.1 序
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第 5 章 低閾値電流化の検討
5.1 序
我々は、横モード間双安定動作原理の活用により、58mAの閾値電流と32mA の広いヒステリシス幅を実証した。将来の光ルータへの実用化には、更なる低 閾値電流の実現が求められる。現在の最新の電気ルータであるシスコ社のCRS-1 ルータは,1.2 Tbpsの処理能力で15.5kW の電力を消費している。将来の低消費 電力の観点から光ルータの消費電力は 1kW 以下まで低減されるのが望ましい。
光メモリの総消費電力はルータの消費電力のおよそ 30%を占めると予測してい るため、光 RAMメモリの総消費電力は300W 以下まで低減させる必要がある。
光ルータの信号処理の仕組みが電気ルータと異なり、バッファ処理に必要なメ モリの量は単純に計算することができないが、例えば 1 パケット(1500Byte 長)12000 個のメモリ素子を集積した場合、個々の素子の電力消費は30mW以下 まで抑える必要がある。アクティブMMI横モード間双安定レーザーの電圧は1V 位で、この目標を達成するには閾値電流は 30mA 以下低減させる必要がある。
しかし、現状ではこの目標を実現するのが難しいので、まず閾値電流を 40mA 以下まで低減するのを目指して検討した。
通常双安定レーザーの低閾値電流を実現するには、素子の小型化に伴う活性 層面積低減あるいは、短可飽和吸収領域化による内部損失の低減が効果的な手 段である。我々は、素子を小型化することで、閾値電流を約 39%低減するのに
成功した[3-6](ここで議論される閾値電流は、双安定レーザーの二つの閾電流値
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のうち、低い閾電流値で、即ち低閾電流値である。説明上便利のため、特別な 説明がない限り、閾値電流はすべて低閾電流値を指す)。更なる閾値電流の低減 を実現するため、我々は可飽和吸収領域の減少による閾値電流の低減について 検討した。しかしながら、単純な短可飽和領域設計だけでは双安定動作にとっ て重要なヒステリシス幅も狭くなり、動作電流の同一設定ができず、高集積化 の際の妨げとなることが懸念される。そこで、我々は短可飽和吸収領域ととも に広いヒステリシス幅が得られる手法について検討した。5章では、アクティブ MMI 双安定レーザーの低閾値電流と共に広いヒステリシス幅が実現できる設計 手法による低閾値電流化について述べる[7-9]。
5.2では低閾値電流を実現するための素子の設計原理について述べる。実験で 得られた試作素子の電気ー光出力の特性評価結果を用いて、横モード間相互利 得抑制領域とヒステリシス幅との関係、可飽和吸収領域と閾値電流との関係を 分析する。その分析結果に基づいて、可飽和吸収領域を短尺化しても、充分な モード間相互利得抑制領域割合を確保することで、低閾値電流と共に広いヒス テリシス幅が実現できる設計手法について説明する。
5.3では、低閾値電流と共に広いヒステリシス幅が実現できる設計手法を用い て試作した素子の実験実証結果について述べる。可飽和吸収領域を 25μm に短 尺化して、充分な相互利得抑制領域割合を確保する設計により、広ヒステリシ ス幅特性を維持したまま、低閾値電流化(39mA)を実現した。
5.4では、低閾値実証結果を分析して、更なる低閾値電流の実現について議論 する。充分なモード間相互利得抑制領域の確保によって、可飽和吸収領域を設
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けなくても比較的に広いヒステリシス幅が実現できる可能性を示して、アク ティブMMI横モード双安定レーザーの更なる低閾値電流の実現について議論す る。