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小型化と広ヒステリシス幅の設計手法

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 83-87)

第4章 横モード間光双安定原理の活用による光メモリ素子の動作実証

4.2 小型化と広ヒステリシス幅の実証

4.2.1 小型化と広ヒステリシス幅の設計手法

アクティブMMI横モード双安定レーザーのサイズを決めるのは素子のMMI領

域で、MMI領域を小型化するには、1次モード光が許容できる入力ポート及び出

力ポートの幅、即ちカットオフ幅を狭くする必要がある。導波路のカットオフ 幅は導波路の光の閉じ込め及びコア層とクラッド層の等価屈折率の差により決 められ、等価屈折率の差が大きいほど光の閉じ込めが強くなり、カットオフ幅 が狭くなる。尚、光の閉じ込めを強くすれば素子の発光効率の上昇、閾値電流 の低減も期待できる。そこで、より大きなコア層とクラッド層の等価屈折率の 差を得るため、素子のウェハの各層の構造について改めに設計を行った。その 結果、素子のコア層の等価屈折率neffは 3.22、クラッド層の等価屈折率ncは 3.17 で、コア層とクラッド層の屈折率差が 0.05となった。このコア層とクラッド層 の等価屈折率を用いて、式(3.1-3.4)より入力ポート及び出力ポートの幅、MMI 領域の幅と長さについて設計を行った[4-5]。結果、入力ポート及び出力ポート の幅を 2.7μm、MMI領域の幅を 7.4µm、MMI領域の長さを 133µmにすることに した。アクティブMMI横モード間双安定レーザーは前回試作より、MMI領域の 長さはおよそ半分のサイズまでに縮短され、面積は 1765µm2縮小された。この 活性層面積の減少により素子の閾値電流の低減を期待する。

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SA total L L

overlap ovelap

L L

dz Г z

Г

SA total

=

0 − ( )

(4.1) 続いで、素子を小型化しても広いヒステリシス幅が確保できる方法について 検討した。2章で光モード間相互利得抑制領域とヒステリシス幅との関係を理論 的に分析した結果、光モード間の相互利得抑制領域が大きいほど素子のヒステ リシス幅が広くなることが分かった[6-8]。しかし、通常の光モード間の双安定 レーザーにおいては、光モード間の相互利得抑制領域の調整は不可能で、今ま ではモード間の相互利得抑制領域の増大による広いヒステリシス幅の実現例は 報告されていなかった。我々が提案しているアクティブMMI横モード間双安定 レーザーは、入力ポート領域において二つの光モード間に100%の相互利得抑制 領域があるため、この入力ポートの長さを長くすれば、素子の利得領域におけ る相互利得抑制領域が大きくなる。素子の利得領域におけるモード間の相互利 得抑制領域が大きいほど、二つのモードの間は強い相互利得抑制効果が生じる こととなり、結果として広いヒステリシス幅が実現できると考えられる。

素子の利得領域における、入力ポートの長さの調整により与えるモード間の 相互利得抑制効果の変化をより簡単で明確に説明するため、ここで 3 章でのシ ミュレーション計算結果に基づいて、相互利得抑制領域割合という概念を式(4.1) のように定義した[9]。

ここで、Гovelap(z)は光の伝搬方向においてのモード間の相互利得抑制領域で、

Ltotalは素子の全長で、LSAは可飽和吸収領域の長さである。素子の可飽和吸収領

域は非利得領域で、横モード間の相互利得抑制効果に寄与しないため、相互利

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得抑制領域割合の計算から除外する。この相互利得抑制領域割合は、利得領域 における二つの光の横モードの相互利得抑制領域の割合で、モード間の相互利 得抑制効果を表している。相互利得抑制領域割合が高いほど、利得領域におけ る光横モード間の相互利得抑制効果も強くなり、結果として広いヒステリシス

幅が得られると考えられる。

アクティブMMI横モード間双安定レーザーの二つの横モード間の相互利得抑 制領域は、入力ポート領域では100%、出力ポート領域では0%、MMI領域では

76%(3章でのシミュレーションの計算結果)であることから、式(4.1)は

となる。(4.2)式を用いて、前回の試作した素子の相互利得抑制領域割合を計算し

た結果、約 60%であった。そこで、今回はより広いヒステリシス幅を確保する ため、モード間の相互利得抑制領域の割合を前回の試作より 15%以上大きくな るよう、素子の設計を行った。比較のため他に相互利得抑制領域割合が 65%の デザインも設計した。図4.1に設計した二つのデザインの構造図を示す。素子の 入力ポートの幅は 2.7µm、MMI 長は 133µm、MMI 幅 7.4µm にした。デザイン

A(図 4.1(a))は、素子全長を 315µm、入力のポート長を 116μm、出力ポート長を

66μmにし、デザインB(図(4.1(b))は、素子全長を365µm、入力ポート長を116μm、 出力ポート長を 116μm と設計した。二つのデザインの可飽和吸収領域は共に 50µm として設計した。素子は通常のInGaAsP/InP-MQW活性層(波長1.55µm,7重 量子井戸)を用いて、リッジ構造とした。

SA total

MMI in

SA total L L

overlap ovelap

L L

L L L

L

dz Г z

Г

SA total

≅ +

=

0 ( ) *0.76

(4.2)

80

(b) 365µm

(a) 相互利得抑制領域割合75%

可飽和吸収領域 50µm 133µm

7.4µm 116µm

66µm 2.7µm

315µm

116µm

可飽和吸収領域 50µm 133µm

116µm

7.4µm 相互利得抑制領域割合65%

n-InP Cladding Layer

InP基板 BCB

InGaAsP/InGaAsP MQW Active Layer

(λ=1.55µm) p-InP Cladding

Layer

(c)

図4.1 試作した素子の構造図。(a) デザインAの構造図、相互利得抑制領

域割合を75%にした。(b) デザインBの構造図、相互利得抑制領域

割合を65%にした。(c) MQWを用いたリッジ型導波路の構造図。

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