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小型化と広ヒステリシス幅の実験実証

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 87-93)

第4章 横モード間光双安定原理の活用による光メモリ素子の動作実証

4.2 小型化と広ヒステリシス幅の実証

4.2.2 小型化と広ヒステリシス幅の実験実証

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Output power [dBm]

315μm

Output power [dBm]

図4.2 試作素子の電流ー光出力特性。(a) デザイン A素子の電流ー光出力 特性,(b) デザインB素子の電流ー光出力特性。(c)前回試作素子の 電流ー光出力特性。横モード間の相互利得抑制領域割合を 75%まで 大きくした結果、32mA の極端に広いヒステリシス幅を実証した。

75%

CW@ 25oC

Whys=32mA

(a)

Whys

=8mA

0th mode 1st mode 0th mode 1st mode

CW@ 25oC 10

0 -10 -20 -30

10 0 -10 -20 -30

(b) 10

0 -10 -20 -30

Whys=14mA

0th mode 1st mode CW@ 25oC

Output power [dBm]

50 70 90 110 Injection current [mA]

550μm 60%

365μm 65%

(c)

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試作した素子の電流ー光出力特性を確認した後、我々は素子の近視野像につ いて確認して見た。図4.3でデザインAのNFPを示す。素子発振の際、0次モー ドと 1 次モードはそれぞれ異なるポートから出力される様子が確認できた。こ れは、素子が小型化されても 0 次モードと 1 次モードはそれぞれ発振でき、こ の発振からモード間は相互利得抑制効果が生じていると考えられる。

続いて、我々はデザイン A のメモリON 動作実験を行った。素子のヒステリ シス幅が極端に広いため、メモリ ON 動作実験の際に設定できる電流値もより 多くなった。測定結果、設定した電流値が違うことによって、メモリ ON 状態 になる入射光の最適な波長と最低パワーが異なった。これは、異なる注入電流 値によって、MMI領域内の屈折率の変化によるものだと考えられる。表4.1に0 次モードの実験結果を示す。素子動作のON-OFF比は18dB以上になり、小型化 したにも関わらず、前回の試作より安定したメモリ動作が得られた。

図4.3 素子のNFP。素子のサイズを前回より小型化にされたが、0次モー

ドと1次モードは変わらず、それぞれ異なるポートから出力される ことが分かる。

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実際の光RAMメモリ素子のメモリ動作は、CW光ではなくパルス光によるも のである。そこで、我々は試作素子にパルス光を入射して、素子の動的メモリ 動作特性について評価した。今回の動的メモリ動作の実証実験で、メモリのON 動作はパルス光を入射することによって実現させ、OFF 動作は電流を下げるこ とによって実現した。バイアス Tを用いて CW電流とパルス電流を同時に素子 に注入する。CW電流はヒステリシス幅より少し低い電流値を設定して、この上 にパルス電流を加えると、素子に注入した電流は、素子の双安定動作電流範囲 であるヒステリシス幅内にある状態とヒステリシス幅より低い状態となる。素 子への注入電流がヒステリシス幅内にある時、パルス光が入射すると素子はメ モリON状態となり、光の入射を中止してもメモリON状態は維持される。この 時、注入したパルス電流を切ると素子への注入電流はヒステリシス幅より低く なり、素子はメモリ OFF状態となる。パルス光の周期とパルス電流の周期を同 期させることで、メモリ素子は光パルス信号により ON 動作ができ、パルス電 流を切ることにより OFF動作ができる。図 4.4 にメモリの動的特性測定の実験 装置図を示す。セット光は可変波長光源で生成し、パルス・パターン・ジェネ

表4.1 0次モード光ON動作入射光の最適波長一覧表

CW電流値(mA) 最適波長(nm) 入射パワー(dBm) ON-OFF比(dB)

65 1568 -7 21

70 1567 -11.3 21

75 1566 -12 21

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レータ(PPG)とマッハツェンダー変調器により変調させてパルス光信号を作る。

パルス光信号は先球ファイバーを用いて素子に入射させる。素子から出力され たパルス光は 3dB カプラにより入射パルス光から分離させ、減衰器(ATT)でパ ワーを落として、アバランシェ・フォトダイオード(APD)により電気信号に転換 した後、デジタルオシロスコープ(DSO) を用いて読み取る。

図4.5に得られた動的メモリ動作特性を示す。一番上のパルス信号は素子の出力 信号で、真中はパルス電流源の信号で、一番下のパルス信号はパルス光入射信号 である。デバイスに CW電流 60mA、パルス電流 10mA を注入しながら、パルス 幅が 20ns で、繰り返し周期 20μs の入射光パルスを入射して、素子のメモリ動作

TLD MOD

PPG DSO

ATT APD

パルス電流源 CW電流源 同期

図 4.4 素子の動的メモリ動作特性測定の実験装置図。可変波長光源の CW 光を LN 変調器とパルスパタンジェネレータにより変調させてパル ス光を生成して、レンズファイバーを通ってメモリ素子に入射する。

Isolator

バイアスT

TLD:可変波長光源 MOD: マッハツェンダー変調器

PPG:パルスパタンジェネレータ

ATT:光減衰器 Isolator: アイソレータ

APD: アバランシェ・フォトダイオード

DSO:デジタルオシロスコープ 3dBカプラ

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を検証した。入射光パルス信号はパルス電流より 750ns の遅延時間を設定した。

素子は入射光パルス信号によって ON となり、メモリ ON になるのに必要な最低 エネルギーが50fJであった。そして、素子から1.5nsの立ち上がり時間と、1250ns のメモリ維持時間が確認された。パケット通信用の光RAMメモリ素子は、ナノ秒 オーダーの立ち上がり時間、数百ナノ秒のメモリ維持時間が求められている[13]

ので、今回の実証結果から、アクティブMMI横モード間双安定レーザーはパケッ ト通信用の光RAMメモリ素子として活用できると考えられる。

図4.5 素子の動的メモリ動作特性の測定結果。(a)素子の出力信号。(b)パル ス電流源の信号。(c)パルス光入射信号である。パルス光信号はパルス 電流源信号より750ns遅延されている。

Electrical Gate [a.u.]

RAM o/p [a.u.]

0 20 40 60 80 100 Time [ns]

Rise time ~1.5ns

(a)

(b)

Optical Signal [a.u.] (c)

0 10 20 30 40 50 Time [μs]

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