第4章 横モード間光双安定原理の活用による光メモリ素子の動作実証
4.4 極広ヒステリシス幅の実証
4.4.1 部分 MMI 可飽和吸収領域構造の提案
94
95
と考えられる。
そこで、アクティブMMI横モード間双安定レーザーの二つのモード間の相互 利得抑制領域のモード間相互利得抑制効果ついて詳しく分析して見た。素子の 出力ポートには、二つのモードの相互利得抑制領域はほぼ存在しないと考えら れる。MMI 領域において、図4.9に示すように0 次モードと1次モード光は入 力側の共通ポートから入力されるので、入力側に近い部分は相互利得抑制効果 が高いと考えられる。しかし、これに対し出力側は二つの光モードがそれぞれ 分離して出力ポートに出力されるので、出力側に近い部分は二つのモード間の 相互利得抑制効果が弱いと考えられる。3 章で説明した計算方法で、MMI 領域 におけるモード間相互利得抑制領域を詳しく解析した結果、出力側でMMIの面
図4.9 MMI領域のモード間相互利得抑制領域分布図。出力側でMMI面積の
約 15%を占める部分は弱い相互利得抑制効果領域で、残りの部分は
強い相互利得抑制効果領域である。
弱い相互利得抑制効果領域
(60%の相互利得抑制領域、MMI面積の約15%占める)
強い相互利得抑制効果領域
(85%の相互利得抑制領域、MMI面積の約85%占める)
96
積の約 15%を占める部分では相互利得抑制効果が比較的に弱くて、この部分で
の相互利得抑制領域が約60%であった。残りのMMI領域では、相互利得抑制効 果が比較的に強く、相互利得抑制領域が約85%であった。MMI領域での弱い相 互利得抑制効果領域と出力ポートの全部を素子の利得領域から外すと、素子の 利得領域には極端に強い相互利得抑制効果が生じることができると考えられる。
そこで、MMI 領域のうち二つの光モード間の相互利得抑制効果が比較的弱い領 域を可飽和吸収領域とする部分MMI可飽和吸収領域構造を提案した。この構造 により、MMI 領域の一部を可飽和吸収領域化した場合であっても、レーザー発 振状態となれば、アクティブMMI現象が生じて、極めて強いモード間の相互利 得抑制効果が得られると期待される。このモード間の極端に強い相互利得抑制 効果の働きにより、極端に広いヒステリシス幅が実現できると期待される。
シミュレーションで分析した結果に基づいて試作素子を設計した。図 4.10(a) に設計した部分MMI可飽和吸収領域構造を持つ素子の構造を示す。素子の全長 を335µm、アクセスポートの幅を2.7µm、MMIの幅を7.4µm、MMI長を153µm、 入力ポート長を117µm、出力ポートを65µmとした。可飽和吸収領域の長さは、
MMI領域の一部25µmと出力ポート長65µm合わせて90µmにした。試作素子は、
閉じ込めが強い InGaAsP/InP-MQW 活性層(波長 1.55µm、7 層量子井戸)を用い、
導波路構造はリッジ型導波路とした。図 4.10(b)に MQW を持つ素子のリッジ型 導波路の構造図を示す。素子のウェハの結晶成長には MOVPE(有機金属気相成 長法)を用いて層構造を形成した後、i線ステッパを用いて導波路構造パターニン グ用マスクを形成し、そののちRIE法によってリッジ導波路構造を形成した。
97