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IFRS 第 15 号における契約の定義を満たさない取決め

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 34-37)

3. 顧客との契約の識別

3.4 IFRS 第 15 号における契約の定義を満たさない取決め

取決めがIFRS第15号に従って契約とみなされるための要件を満たさない場合、当該取決 めは次のように会計処理しなければならない。

IFRS15 号からの抜粋

15. 顧客との契約が第 9 項の要件を満たさないが、企業が顧客から対価を受領する場 合、次のいずれかの事象が発生した場合に限り、企業は受領した対価を収益として 認識しなければならない。

(a) 企業には財又はサービスを顧客に移転する義務は何ら存在せず、かつ、企業 が約定対価のすべて、あるいは実質的にすべてを受領しており、返金不能で ある。

(b) 契約は終了しており、かつ顧客から受領した対価は返金不能である。

16. 第15項に定められる事象のうちいずれかが発生するまで、あるいは第9項の要件 が事後的に満たされるまで(第14項を参照)、企業は顧客から受領した対価を負債 として認識しなければならない。契約に関する事実及び状況に応じて、認識される 負債は、企業が将来財又はサービスを移転する義務、あるいは企業が受領した対 価を返金する義務のいずれかを表す。いずれの場合であっても、当該負債は顧客 から受領した対価の金額で測定しなければならない。

IFRS 第15 号の結論の根拠に記載されているように、両審議会は、履行が開始された契約 が(セクション3.1で説明した)IFRS第15号第9項の要件を満たさない状況において、企業 が代替的なガイダンスを参照したり、同基準書の収益認識モデルを不適切に類推適用する のを防ぐために、上記で抜粋した規定を設けることを決定した21。したがって両審議会は、契 約が当該要件を満たさない状況では、企業は上述した事象のうち1 つが発生した(すなわち、

完全な履行及び実質的にすべての対価の受領、あるいは契約の終了)場合、あるいは IFRS 第15号第9項の要件が事後的に満たされた場合に限り、受領した返金不能な対価を収益と して認識すると規定した。そのような事象が発生するまで、顧客から受け取ったすべての対 価は、(収益ではなく)負債として会計処理され、当該負債は顧客から受領した対価の金額で 測定される。

両審議会は、結論の根拠において、US GAAP に以前規定されていた、販売が完了していな い場合に適用される「預り金法(deposit method)」に類似するように、当該会計処理を規定 したと述べている22。IFRS第15号は、次の設例を用いてこの概念を説明している。

IFRS15 号からの抜粋

設例1 — 対価の回収可能性(IFRS第15IE3項-IE6項)

ある不動産開発業者はビルをCU1百万で販売する契約を顧客と締結する。顧客はその ビルでレストランを開業する予定である。当該ビルはレストランの激戦区にあり、また顧客 は外食産業でわずかな経験しかない。

顧客は、契約開始時点で返金不能の手付金CU50,000を支払い、約定対価の残り95%に ついて企業と長期借入契約を締結する。借入契約はノンリコース型であり、顧客が債務不 履行に陥った場合、企業はビルを差し押さえることはできるが、担保により借入金額の全額 が回収されないとしても、顧客からそれ以上の補償を求めることはできない。当該ビルの原 価はCU600,000である。顧客は契約の開始時点でビルに対する支配を獲得する。

当該契約がIFRS第15号第9項の要件を満たすか否かを評価した結果、企業は、IFRS 第15号第9項(e)の要件が満たされないと判断する。なぜなら、当該ビルの移転と交換 に権利を得ることになる対価を企業が回収する可能性が高くないからである。企業は、当 該結論に至る過程で、次の要因から顧客の対価を支払う能力及び意図に疑義があると 考えた。

(a) 顧客は(かなりの残高がある)借入金の返済を主にレストラン事業(競争の激しい業 界である上に、顧客にはあまり経験がないことから、重要なリスクにさらされている事 業)から得られる収益により返済する予定である。

(b) 顧客には借入金の返済に使用できるその他の収益又は資産がない。

(c) 借入金はノンリコース型であるため、顧客の借入契約に基づく債務は限定されている。

21 IFRS15BC47 22 IFRS15BC48

IFRS15 号からの抜粋(続き)

IFRS第15号第9項の要件を満たしていないため、企業はIFRS第15号第15項から 第16項を適用して、返金不能な手付金CU50,000の会計処理を決定する。企業は、第 15項に定められている事象はいずれも発生していない、すなわち企業は対価の実質的 にすべてを受領しておらず、また契約は終了していないと評価する。よって企業は、第16 項に従い返金不能なCU50,000の支払いを預り金して会計処理する。第9項の要件が 満たされる(すなわち、企業が対価を回収する可能性が高いと判断できる)、あるいは第 15項に提示された事象のうち1つが発生したと判断されるまで、企業は契約当初に受領 した預り金とその後の元利支払いを引き続き預り金として会計処理する。企業は、その後 第9項の要件が充足されたか、あるいは第15項の事象が発生したかどうかを判断する ために、第14項に従い当該契約を継続して評価する。

4. 契約における履行義務の識別

IFRS第15号を適用するに際し、企業は契約に含まれる約定した財及びサービスを識別し、

それらの財及びサービスのうちいずれが区別できる独立した履行義務(すなわち、同基準書 を適用する上での会計単位)に該当するのかを判断しなければならない。これらの概念のそ れぞれについて、以下で解説する。

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 34-37)