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変動対価の配分

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 92-95)

6 取引価格の各履行義務への配分

6.3 変動対価の配分

IFRS第15号には、相対的な独立販売価格に基づく取引価格の配分方法に対する2つの例 外規定が設けられている。

最初の例外規定は変動対価の配分に関するものである(2 つ目の例外規定については、セ クション6.4を参照)。この例外規定では、変動対価のすべてを以下のものに配分することが 認められている。

• 契約に含まれる特定の履行義務(すなわち、契約に含まれる履行義務のうち、1つ又は 複数(ただし、すべてではない)の履行義務)

• 単一の履行義務の一部を構成する一連の区別できる財又はサービスに含まれる1つ又 は複数(ただし、すべてではない)の区別できる財又はサービス(セクション4.2.2を参照)

IFRS第15号は、この例外規定を、単一の履行義務、履行義務の組合せ、又は履行義務の 一部を構成する区別できる財又はサービスに適用することを認めている。

この例外規定を適用するには、下記の2つの要件を満たさなければならない。

IFRS15 号からの抜粋

84. 契約で約定された変動対価は、契約全体に起因する場合もあれば、次のいずれか のように、契約における特定の履行義務に起因する場合もある。

(a) 契約に含まれる履行義務のうちすべてではない 1つ又は複数の履行義務(た とえば、ボーナスは企業が約定したある財又はサービスを一定期間内に移転 することを条件としている)。

(b) 第 22 項(b)に従い単一の履行義務の一部を構成する一連の区別できる財又 はサービスに含まれるすべてではない1つ又は複数の区別できる財もしくはサ ービス(たとえば、2年間の清掃サービス契約のうち2年目のサービスに関す る約定対価が、特定のインフレ指数の変動に基づき増加する)。

85. 次の両方の要件を満たす場合、企業は変動性のある金額(及び当該金額のその後 の変動)のすべてを、1つの履行義務、又は第22項(b)に従い単一の履行義務の 一部を構成する1つの区別できる財又はサービスに配分しなければならない。

(a) 変動対価の支払条件が、履行義務を充足する又は区別できる財もしくはサー ビスを移転するための企業の努力(あるいは履行義務の充足又は区別できる 財もしくはサービスの移転から生じる特定の結果)に明確に関連している。

(b) 契約におけるすべての履行義務及び支払条件を考慮した場合に、変動対価の すべてを特定の履行義務又は区別できる財もしくはサービスに配分すること が、第73項に定められる配分の目的に合致する。

86. 第85項の要件を満たさない残りの取引価格を配分するにあたっては、第73項か ら第83項に定められる配分に関する規定を適用しなければならない。

上記で抜粋したIFRS第15号第85項の文言からは、当該例外規定の適用は、単一の履行 義務又は単一の区別できる財もしくはサービスに限定されることが示唆されるが、IFRS第15 号第84項は、変動対価を「すべてではない1つ又は複数の履行義務」に配分できるとしてい る。我々は、両審議会が、「すべてではない1つ又は複数」という文言を他の規定において繰 り返すのではなく、基準書を通して1度だけ言及するという基準策定における慣習を用いたも のと理解している。我々のこうした理解は、IFRS第15号第84項とも整合している。

両審議会は、結論の根拠において、変動対価を契約におけるすべての履行義務に配分した 場合、取引の経済的実質を反映しない結果となることがあるため、この例外規定が必要であ ると説明している49。そのような状況では、変動対価のすべてを特定の区別できる財又はサ ービスに配分することにより、当該特定の財又はサービスに配分される金額が、契約におけ る他のすべての履行義務及び契約条件との比較において合理的な結果となる場合に適切と なる。変動対価の事後的な変動は、一貫した方法により配分しなければならない。

なお、変動対価をすべてではない 1 つ又は複数の履行義務に配分することは、要求事項で あって、会計方針の選択ではない点に留意されたい。上記の要件が満たされる場合、企業は 変動対価を関連する履行義務に配分しなければならない。

IFRS第15号には、どのような場合に変動対価を契約に含まれる特定の履行義務に配分で きるかについて説明するために、下記の設例が示されている。なお、この設例では、セクショ ン8.4で説明する知的財産のライセンスを取り扱っている。

IFRS15 号からの抜粋

設例35― 変動対価の配分(IFRS第15IE178項からIE187項)

企業は、2つの知的財産のライセンス(ライセンスXとライセンスY)に係る契約を顧客と 締結し、いずれも一時点で充足される2つの履行義務が存在すると判断する。ライセンス XとYの独立販売価格は、それぞれCU800とCU1,000である。

ケースA―1つの履行義務に変動対価のすべてを配分する場合

ライセンスXに係る契約価格はCU800の固定金額である。ライセンスYに係る契約価 格はライセンスYを使用する製品の将来の売上高の3%である。配分の目的上、企業は IFRS 第 15 号第 53 項に従い売上ベースのロイヤルティ(すなわち、変動対価)を CU1,000と見積もる。

企業は、取引価格を配分するために、IFRS第15号第85項の要件を考慮し、変動対価

(すなわち、売上ベースのロイヤルティ)のすべてをライセンスYに配分すべきであると結 論付ける。企業は、以下の理由から、IFRS第15号第85項の要件が満たされていると 判断する。

(a) 当該変動対価は、ライセンス Y を移転する履行義務から生じる成果(すなわ ち、ライセンスYを使用した製品の事後的な売上)に明確に関係している。

(b) ロイヤルティの予想金額 CU1,000の全額をライセンス Y に配分することは、

IFRS第15号第73項の配分目的と整合している。これは、売上ベースのロイ ヤルティの見積金額(CU1,000)がライセンスY の独立販売価格に近似し、固 定金額CU800がライセンスXの独立販売価格に近似しているからである。企 業はIFRS第15号第86項に従いライセンスXにCU800を配分する。これは、

双方のライセンスに関する事実及び状況に照らすと、ライセンスYに変動対価 の全額に加えて固定対価の一部を配分することは、IFRS第15号第73項の 配分目的と整合しないからである。

49 IFRS15BC278

IFRS15 号からの抜粋(続き)

企業は契約の開始時点でライセンスYを移転し、その1カ月後にライセンスXを移転す る。ライセンスYに配分された対価は、売上ベースのロイヤルティの形式をとるため、ライ センスYの移転時に収益は認識されない。企業は、IFRS第15号B63項に従い、事後 的に売上が発生した時点で売上ベースのロイヤルティに関する収益を認識する。

企業は、ライセンスXが移転された時点で、ライセンスXに配分されたCU800を収益とし て認識する。

ケースB―独立販売価格に基づき変動対価を配分する場合

ライセンスXに係る契約価格はCU300の固定金額である。ライセンスYに係る契約価格 はライセンスYを使用する製品の将来の売上高の5%である。企業は、IFRS第15号第 53項に従い、売上ベースのロイヤルティ(すなわち、変動対価)をCU1,500と見積る。

企業は、取引価格を配分するために、IFRS第15号第85項の要件を適用し、変動対価

(すなわち、売上ベースのロイヤルティ)のすべてをライセンスYに配分すべきか否かを判 断する。当該要件を適用するにあたり、企業は、当該変動対価がライセンスYを移転する 履行義務から生じる成果(すなわち、ライセンス Y を使用した製品の事後的な売上)に明 確に関係するものの、変動対価のすべてをライセンスYに配分することは、取引価格の配 分に関する原則と整合しないと結論付ける。ライセンスXにCU300を、ライセンスYに CU1,500を配分してしまうと、ライセンス X とライセンスY のそれぞれの独立販売価格

(X:CU800、Y:CU1,000)との比較において、合理的な取引価格の配分を反映していると はいえない。したがって、企業はIFRS第15号第76項から第80項に定められる配分に 関する一般規定を適用する。

企業は、取引価格 CU300 を相対的な独立販売価格(X:CU800、Y:CU1,000)に基づき ライセンスXとライセンスYに配分する。企業は、売上ベースのロイヤルティから生じる対 価も相対的な独立販売価格に基づき配分する。しかし、IFRS第15号B63項によれば、

企業が知的財産をライセンス供与し、その対価が売上ベースのロイヤルティである場合、

企業は事後的な売上が発生する時点又は履行義務が充足される(又は部分的に充足さ れる)時点のいずれか遅い時点まで収益を認識できない。

ライセンスYは契約の開始時点で顧客に移転され、ライセンスXはその3ヶ月後に移転 される。企業はライセンス Y が移転された時点で当該ライセンスに配分された CU167

(CU1,000 ÷ CU1,800 × CU300)について収益を認識する。企業はライセンスXが 移転された時点で当該ライセンスに配分された CU133 (CU800 ÷ CU1,800 × CU300)について収益を認識する。

1カ月目に、顧客の同月の売上に基づき支払われるロイヤルティはCU200である。した がって、IFRS第15号B63項に従い、企業はライセンスY(既に顧客に移転され、充足済 みの履行義務)に配分されたCU111 (CU1,000 ÷ CU1,800 × CU200)について収 益を認識する。企業は、ライセンス X に配分された CU89(CU800 ÷ CU1,800 × CU200)に関して契約負債を認識する。これは、顧客による事後的な売上は生じているも のの、ロイヤルティが配分された履行義務が充足されていないからである。

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 92-95)