• 検索結果がありません。

製品保証

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 126-130)

8 測定及び認識に関するその他の論点

8.1 製品保証

製品保証は、明示的に又は商慣行により黙示的に、財又はサービスの販売契約に含まれる ことが一般的である。製品保証の価格は製品の購入価格に含まれている場合もあれば、オ プション商品として個別に表示されている場合もある。IFRS第15号では、以下の2種類の 製品保証が取り扱われている。

• 引き渡される製品が契約に定められる通りの製品であるという保証に加えて、顧客にサ ービスを提供する保証(「サービス型の製品保証」と呼ばれる)

• 引き渡される製品が契約に定められる通りの製品であるという保証(品質保証型の製品 保証」と呼ばれる)

8.1.1 サービス型の製品保証

顧客が製品保証を別個に購入するオプションを有している場合、又は製品保証が販売時に 存在していた欠陥を修理する以上のサービスを提供する場合、企業はサービス型の製品保 証を提供している。両審議会は、この種類の製品保証は、区別できるサービスを表すもので あり、独立した履行義務であると決定した。したがって企業は、製品保証の見積販売価格に 基づき、取引価格の一部を製品保証に配分する(セクション6を参照)。その後、製品保証サ ービスが提供される期間にわたり、配分された金額について収益を認識する。

サービス型の製品保証に関して、適切な収益認識パターンを決定するには判断が必要とな る。たとえば、企業が、製品保証サービスは保証期間にわたり継続的に提供される(すなわち、

履行義務は明記された保証期間にわたり「履行するために待機する」義務である)と判断する 場合がある。こうした判断を行う企業は、保証期間にわたり収益を比例的に認識する可能性 が高い。また、企業は、そうしたサービスが提供される時期に関する十分なデータがあれば、

別の認識パターンが適切であると判断することも考えられる。たとえば、3 年間のサービス型 の製品保証に関して、過去のデータに基づけば、製品保証サービスが通常、保証期間の 2 年目又は3年目にのみ提供されることが示される場合、企業は1年目にはほとんど又はまっ たく収益を認識しない場合もある。

サービス型の製品保証に関する履行義務の充足に要する見積コストが変更されたとしても、

相対的な独立販売価格に基づく当初の取引価格の配分が修正されることはない。たとえば、

製品が出荷されてから2カ月後に、製造業者である第三者から取得している部品のコストが 3 倍になり、製品保証を請求された場合に当該部品の交換にかなりのコストが必要になると 判明する場合がある。サービス型の製品保証に係るコストの認識は収益認識に影響を及ぼ さないため、部品の交換に係るコストの変動はサービス型の製品保証に配分される取引価 格の金額に影響を与えない。

8.1.2 品質保証型の製品保証

両審議会は、品質保証型の製品保証は、顧客に追加の財又はサービスを提供するものでは ない(すなわち、独立した履行義務ではない)と結論付けた。こうした製品保証を提供すること により、売手企業は実質的に製品の品質を保証しているのである。IFRS第15号に基づくと、

この種類の製品保証は保証債務として会計処理され、当該債務の充足に要する見積コスト がIAS第37号の規定に従い引当計上される。売手の環境や義務の変化が確実に製品保証 に係る負債に反映されるように、当該負債は計上後は継続的に評価される。当該負債は見 積りの変更が生じた時点で調整される(これに対応して費用も調整される)。

8.1.3 製品保証が品質保証型か又はサービス型かの決定

製品保証が、契約に定められる通りの製品であるという保証に加えて、顧客にサービスを提 供するものであるか否かを判断することが難しい場合がある。この評価の一助となるように、

IFRS第15号には以下の適用ガイダンスが示されている。

IFRS15 号からの抜粋

B31. 製品保証が、製品が合意された仕様に合致しているという保証に加えて、顧客に サービスを提供しているかどうかを評価する際に、企業は次の要因を考慮しなければなら ない。

(a) 製品保証が法律で要求されているかどうか ― 保証の提供が法律で要求され ている場合、こうした法律の存在は、その製品保証が履行義務ではないことを 示している。これは、こうした法律による要求は通常、欠陥製品を購入するリス クから顧客を保護するために存在するからである。

(b) 保証対象期間の長さ ― 保証期間が長いほど、製品が合意された仕様に合致 しているという保証に加えて、顧客にサービスを提供している可能性が高いた め、製品保証が履行義務に該当する可能性が高い。

(c) 企業が履行することを約定している作業の内容 ― 製品が合意された仕様に 合致しているという保証を提供するために企業が特定の作業(たとえば、欠陥 製品に係る返品配送サービス)を行う必要がある場合には、そうした作業は履 行義務を生じさせない可能性が高い。

弊社のコメント

製品保証が品質保証型又はサービス型のいずれであるかを決定するにあたり、相当な 判断を求められるであろう。この評価は、業界における一般的な製品保証実務や企業の 製品保証に関する商慣行など、さまざまな要因の影響を受ける可能性がある。たとえば、

高級車には5年、大衆車には3年の製品保証を提供する自動車メーカーを考えてみる。

当該メーカーは、高級車の製品保証期間が長いのは、高級車に使われている原材料の 品質が高く、潜在的な欠陥の発生までにより長い期間がかかるためであり、追加のサー ビスではないと判断する可能性がある。反対に、競合他社が提供している製品保証と比 較し、5年の保証期間又はその一部が、サービス型の製品保証として会計処理すべき追 加のサービスであると判断する可能性もある。

8.1.4 品質保証型とサービス型の製品保証の両方を含む契約

契約によっては、下記で説明するように、品質保証型とサービス型の両方の製品保証が含ま れている場合がある。しかし、契約において品質保証型とサービス型の両方の製品保証を提 供しているが、それらを合理的に区分して会計処理することができない場合、これらの製品保 証は単一の履行義務として会計処理される(すなわち、収益は一体としての製品保証に配分 され、製品保証サービスが提供される期間にわたり認識される)。

品質保証型とサービス型の製品保証を区分して会計処理できる場合、企業は、品質保証型 の製品保証に関する見積コストを引当計上し、サービス型の製品保証に係る収益は繰り延 べる。下記の例ではこの点を説明している。

設例 8–1 ― サービス型と品質保証型の製品保証

企業は、90 日間の品質保証型の製品保証が付いたコンピューターを製造、販売している。企 業は、オプションで「延長保証」を提供しており、延長保証を付けると品質保証型の製品保証の 終了から3年間はあらゆる欠陥部品について修理又は交換が行われる。オプションの「延長保 証」は別個に販売されているため、企業は、3 年間の延長保証は独立した履行義務(すなわ ち、サービス型の製品保証)であると判断する。

コンピューター及び延長保証の販売に係る取引価格の総額はCU3,600であり、企業はそれぞ れの独立販売価格はCU3,200とCU400であると算定する。コンピューターの棚卸評価額は CU1,440である。また、企業は、過去の経験に基づき、品質保証型の製品保証に基づく90日 間の保証対象期間中に生じる欠陥を修理するために CU200 のコストが生じると見積る。その ため、企業は下記の仕訳を行う。

借方: 現金/売上債権 3,600

製品保証に係るコスト 200

貸方: 製品保証引当金(品質保証型の製品保証) 200

契約負債(サービス型の製品保証) 400

収益 3,200 収益及び製品保証に係る契約負債を計上

借方: 売上原価 1,440

貸方: 棚卸資産 1,440

棚卸資産の認識を中止し、売上原価を計上

企業は、顧客によるコンピューターの受領後最初の 90 日間は、実際に製品保証に係るコスト が発生するに従い、品質保証型の製品保証に係る製品保証引当金の認識を中止する。企業 は、サービス型の製品保証に係る契約負債を保証期間にわたり収益として認識するとともに、

当該製品保証の提供に係るコストを発生時に計上する。すなわち、企業は、発生した修理費を 既に計上されている製品保証引当金から取り崩すのか、又は発生時に費用処理するのかを判 断できなければならない。

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 126-130)