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独立した履行義務

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 41-46)

3. 顧客との契約の識別

4.2 独立した履行義務

契約に含まれる約定した財及びサービスを識別したら、次に企業は、それらの財及びサービ スのうちいずれを独立した履行義務として取り扱うべきかを判断する。すなわち、企業は個別 に会計処理すべき単位を識別する。約定した財又はサービスが(それ単独で又は財及びサ ービスの組合せの一部として)区別できる場合、又は実質的に同一で、顧客への移転パター ンが同じである、一連の区別できる財及びサービスの一部を構成する場合(セクション 4.2.2 を参照)、独立した履行義務に該当する。

4.2.1 「区別できる」か否かの判断

IFRS第15号は、約定した財又はサービス(あるいは、財及びサービスの組合せ)が区別で きるか否かを判断する際の2段階アプローチについて定めている。

• 個々の財又はサービスのレベルでの評価(すなわち、財又はサービスはそもそも区別さ れ得るのか)

• 財又はサービスが契約に含まれる他の約定から区別して識別できるか否かの評価(すな わち、財又はサービスが契約の観点から見た場合に区別できるか)

下記でさらに詳しく説明しているように、財又はサービスがそれぞれ区別できると結論付けら れるためには、当該要件の双方が満たされなければならない。当該要件が満たされる場合、

当該財又はサービスは区分して個別に会計処理する必要がある。

IFRS第15号は、財又はサービスが区別できるか否かを判断するために、以下のような規定 を定めている。

IFRS15 号からの抜粋

27. 以下の要件がいずれも満たされる場合、約定した財又はサービスは区別できる。

(a) 顧客は、財又はサービスからの便益を、それ単独で又は容易に入手可能な他 の資源と一緒にして得ることができる(すなわち、財又はサービスは区別され得 る)。

(b) 財又はサービスを顧客に移転するという企業の約定が、契約における他の約 定から区別して識別できる(すなわち、財又はサービスが契約の観点から区別 できる)。

財又はサービスが区別され得る

IFRS第15号は、財又はサービスが使用、消費又はスクラップ価値よりも高い金額で売却で きる、あるいは経済的便益を創出する形で保有される場合、顧客は当該財又はサービスから 便益を得ることができるとしている27。顧客が財又はサービスから便益を得る上で、これを単 独又は容易に入手可能な他の資源と組み合わせて利用してもかまわない。容易に入手可能 な資源とは、(企業又は他の企業が)個別に販売している財又はサービス、顧客が企業から 既に取得している資源(企業が契約に従って顧客に既に移転している財又はサービスを含 む)、又は他の取引や事象から既に取得している資源をいう。企業が経常的に財又はサービ スを個別に販売している場合には、その事実により、顧客がそれ単独で又は容易に入手可 能な他の資源と組み合わせて、当該財又はサービスから便益を得ることができることが示唆 される。

27 IFRS15号第28

同基準書の結論の根拠で述べられているように、「顧客が財又はサービスからの便益をそれ 単独で得ることができるか否か」に関する評価は、顧客が財やサービスをどのように利用す るかではなく、財又はサービスそのものの特徴に照らして行う28。したがって企業は、この判 断を行うに際し、顧客が他者から容易に入手可能な資源を取得するのを妨げるような契約上 の制限については考慮しない。

契約の観点からの区別可能性

財又はサービスがそれぞれの特徴に照らして区別できるか否かを判断したならば、次に企業 は、当該財又はサービスが契約に含まれる他の約定と区別可能かどうかを検討する。 IFRS 第15号は、この判断に関して、以下の規定を定めている。

IFRS15 号からの抜粋

29. 財又はサービスを顧客に移転するという企業の約定が(第27項(b)に従って)区別 して識別できることを示唆する要因として、以下が挙げられるが、これらに限定され るわけではない。

(a) 企業は、その財又はサービスを契約に含まれる他の約定した財又はサービス と結合し、顧客が契約した対象物であるアウトプットを表す財又はサービスの 組合せに統合するという重要なサービスを提供していない。言い換えれば、企 業は、当該財又はサービスを顧客が明記した仕様を満たす結合されたアウトプ ットを生産する又は引き渡すためのインプットとして使用していない。

(b) その財又はサービスは、契約に含まれる他の約定した財又はサービスを大きく 改変又はカスタマイズしない。

(c) その財又はサービスが、契約における他の約定した財又はサービスに大きく依 存していない、又は密接に相互関連していない。たとえば、契約に含まれる他 の約定した財又はサービスに重要な影響を与えることなく、顧客がその財又は サービスを購入しないことを決定できるという事実は、その財又はサービスが 他の約定した財又はサービスに著しく依拠していない、又は密接に相互関連し ていないことを示唆している可能性がある。

IFRS第15号の結論の根拠では、典型的には、企業が契約におけるアウトプットである単一 のプロセス又はプロジェクトに投入するインプットとして財又はサービスを使用する場合、当 該財又はサービスは契約における他の約定から区別して識別することはできないと述べられ ている29。たとえば工事契約では、企業は、建設工事を完成させるために、財やサービスの 提供に加え、それらを統合するサービスも提供する。IFRS第15号第29項(a)の指標は建設 業界から受領したフィードバックを受けて開発されたものであるが、当該指標はすべての業種 に適用される。

約定した財又はサービスが区別できない場合、企業は、区別できる財又はサービスの組合 せが識別されるまで、当該財又はサービスを他の約定した財又はサービスと結合することが 求められる。

約定した財及びサービスのすべてをひとまとめにしたものが、識別される唯一の区別できる 履行義務である場合、企業は、契約において約定したすべての財及びサービスを単一の履 行義務として会計処理することになる。

28 IFRS15BC100 29 IFRS15BC107

以下の設例では、企業が契約における約定した財又はサービスが区別できるか否かを判断 する際に、どのように2段階アプローチを適用するかについて説明している。

IFRS15 号からの抜粋

設例11 - 財又はサービスが区別できるか否かの判断

(IFRS第15IE49項-IE58項)

ケースA - 区別できる財又はサービス

あるソフトウェア開発会社が、ソフトウェア・ライセンスを付与し、設定サービスを行った上 で、2 年間にわたる不特定のソフトウェアのアップデート及び(オンライン又は電話による)

技術サポートを提供する契約を顧客と締結する。企業は、ライセンス、設定サービス及び 技術サポートをそれぞれ個別に販売している。設定サービスには、(たとえば、マーケティ ング、在庫管理及び IT向けなど)各ユーザーの用途に合わせてウェブ画面を変更するこ とが含まれる。他の企業もこうした設定サービスを経常的に提供しており、また当該サー ビスによりソフトウェアが大きく改変されることはない。ソフトウェアはアップデート及び技術 サポートがなくとも機能する。

企業は、いずれの財及びサービスがIFRS第15号第27項に従って区別できるか否かを 判断するために、約定した財及びサービスを評価する。企業は、ソフトウェアは他の財及 びサービスより前に引き渡され、アップデートや技術サポートが無くても機能することに留 意する。よって企業は、顧客はそれらの財及びサービスのそれぞれからの便益を、それ 単独で又は容易に入手可能な他の財及びサービスと一緒にして得ることができるため、

IFRS第15号第27項(a)の要件が満たされると結論付ける。

企業はまた、IFRS第15号第29項の要因を検討し、各財及びサービスを顧客に移転す る約定は他の約定から区別して識別できる(よって、IFRS第15号第27項(b)の要件が 満たされる)と判断する。特に企業は、設定サービスはソフトウェアを大幅に変更もしくは カスタマイズするものではなく、よってソフトウェアと設定サービスは結合されたアウトプッ トを創出するために使用されるインプットではなく、企業が約定した別個のアウトプットであ ると判断する。

企業は、この評価に基づき、当該契約において以下の財又はサービスに関する4つの履 行義務を識別する。

(a) ソフトウェア・ライセンス

(b) 設定サービス

(c) ソフトウェアのアップデート

(d) 技術サポート

企業は、IFRS第15号第31項から第38項を適用して、設定サービス、ソフトウェアのア ップデート及び技術サポートに関する履行義務のそれぞれが、一時点で又は一定期間に わたり充足されるのかを判断する。また、企業はIFRS第15号B58項に従ってソフトウェ ア・ライセンスを移転する約定の性質を評価する(IE276 項–IE277 項の設例 54 を参 照)。

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 41-46)