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知的財産のライセンス

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 136-145)

8 測定及び認識に関するその他の論点

8.4 知的財産のライセンス

IFRS第15号には、知的財産のライセンスから生じる収益の認識に関して個別の適用ガイダ ンスが設けられているが、当該ガイダンスは他のすべての約定された財又はサービスに適用 される規定とは少々異なっている。知的財産のライセンスには、ソフトウェアやテクノロジー、

メディア・エンタテインメント(たとえば、映画や音楽)、フランチャイズ、特許権、商標権、著作 権などの項目に関するライセンスが含まれる。

両審議会は、ライセンスを付与する際の企業の約定の基本的な性質(すなわち、それが顧客 に一時点で移転されるのか又は一定期間にわたり移転されるのか)を判断するために、個別 の要件を設けることが必要であると結論付けた。両審議会は、まずライセンスの性質と企業 の関連する履行義務を特定しなければ、顧客がライセンス対象の資産に対する支配を獲得 する時点を決定することは困難であると考え、これらの追加規定が必要であると判断した。こ れらの概念については、下記で詳しく説明している。

8.4.1 ライセンスが区別できるか否かの判断

知的財産のライセンスに関する適用ガイダンスは、区別できるライセンスにのみ適用される。

ライセンスが、契約において(明示的又は黙示的に)約定された唯一の項目である場合、そ のライセンスに当該適用ガイダンスが適用されることは明らかである。

しかし、知的財産のライセンスは、明示的又は黙示的な追加の財又はサービスに係る約定と 共に複数要素契約に含まれることが多い。そうした状況では、まず、セクション4.1及び4.2で 説明したように、知的財産のライセンスが区別できるか否かを判断する。これには、顧客がラ イセンスからの便益をそれ単独で、又は容易に入手可能な他の資源と一緒にして得ることが できるかどうかに関する評価も含まれる。知的財産のライセンスはしばしば財又はサービスの 特徴に照らした場合に区別できることがあるが、大半のケースにおいて、顧客は他の財又は サービスと一緒にした場合にしかライセンスからの便益を得ることができない。たとえば、ソフ トウェアのライセンスが、当該ソフトウェアが組み込まれた有形資産の一部を構成し、当該ソフ トウェアが有形資産の特徴及び機能に重要な影響を及ぼす場合がある。また企業は、ホステ ィング・サービスと一緒の場合にのみ、ソフトウェアのライセンスを顧客に提供することがある

(すなわち、顧客はホスティング・サービスがなければ当該ソフトウェアを使用できない)。どち らの場合も、顧客はライセンスからの便益をそれ自体から得ることができないため、ライセンス は区別できない。その場合、ライセンスを他の約定した財又はサービスと結合する。

区別できないライセンスの大部分に関して、他の財又はサービスと結合されたライセンスに 関する履行義務を会計処理するために、ライセンス以外の財又はサービスに係る一般規定

(すなわち、セクション7.1及び7.2で説明しているように、結合された履行義務が一定期間 にわたり移転するか、又は一時点で移転するかを判断するために、IFRS第15号第31項か ら第36項)に従う。

61 IAS36号第109項 - 第125

両審議会は、結論の根拠において、ライセンスが一緒に移転される財又はサービスから区別 できないとしても、これらが一体となった履行義務について、ライセンス要素が主要又は支配 的な構成要素になるケースもあると言及している62。両審議会は、そうした状況においてもラ イセンスに関する適用ガイダンスを用いるべきと決定した。しかし両審議会は、どのような場 合にライセンスが主要又は支配的な構成要素となるのかを判断するための適用ガイダンス や設例を提供していない。

IFRS第15号では、ライセンスが区別できるか否かの判断に関して、下記の設例を用いて説 明している。

IFRS15 号からの抜粋

設例56 ― 区別できるライセンスの識別(IFRS第15IE281項からIE288項)

ある製薬会社は、顧客に承認済みの薬剤化合物に関する特許権を10年間にわたりライ センス供与し、さらに顧客のためにその薬を製造することを約定する。この薬は定番製品 であるため、企業は薬の効能を裏付けするための活動は行わないが、これは商慣行と一 致している。

ケースA―ライセンスが区別できない場合

このケースでは、製造過程が極めて特殊であるため、他の企業はこの薬を製造できない ものとする。そのため、製造サービスと別個に当該ライセンスを購入することはできない。

企業は、IFRS第15号第27項に従い、どの財又はサービスが区別できるかを判断する ために、約定した財又はサービスを評価する。企業は、製造サービスがなければ顧客は ライセンスからの便益を得ることができないと判断する。そのため、IFRS第15号第27項 (a)の要件は満たされない。したがって、ライセンスと製造サービスは区別できず、企業は それらを単一の履行義務として会計処理する。

企業は、履行義務(すなわち、ライセンスと製造サービスの組合せ)が一時点で充足され るか又は一定期間にわたり充足されるかを判断するために、IFRS第15号第31項から 第38項を適用する。

ケースB―ライセンスが区別できる場合

このケースでは、薬の製造過程は特殊なものではなく、複数の他の企業も当該顧客のた めにこの薬を製造できる。

企業は、IFRS第15号第27項に従い、どの財又はサービスが区別できるかを判断する ために、約定した財又はサービスを評価する。企業は、他の企業もこの薬を製造できるた め、顧客はライセンスからの便益をそれ単独で(すなわち、製造サービスがなくとも)得る ことができ、ライセンスを製造サービスから区別して識別できる(すなわち、IFRS第15号 第27項の要件が満たされる)と結論づける。

したがって、企業は、当該ライセンスと製造サービスは区別でき、以下の2つの履行義務 が存在すると判断する。

(a) 特許権のライセンス (b) 製造サービス

62 IFRS15BC407

IFRS15 号からの抜粋(続き)

企業は、IFRS第15号B58項に従い、ライセンスを付与するという企業の約定の性質を 評価する。この薬は定番製品である(すなわち、既に承認され、現在製造されており、か つ過去数年間にわたって商業目的で販売されている)。こうした種類の定番製品に関し て、企業は商慣行として薬の効能を裏付けるための活動を行っていない。したがって、顧 客が権利を有する知的財産に重要な影響を及ぼす活動を企業が実施することについ て、契約で要求されておらず、また顧客も合理的に期待していないため、企業は、IFRS第 15号B58項の要件は満たされないと結論づける。IFRS第15号B58項の要件を評価 するにあたり、企業は、製造サービスの提供に関する独立した履行義務を考慮しない。そ の結果、ライセンスを移転するという企業の約定は、ライセンスが顧客に付与された一時 点における形態及び機能を有する企業の知的財産の使用権を提供するという性質を有 する。したがって、企業は当該ライセンスを一時点で充足される履行義務として会計処理 する。

企業は、製造サービスが一時点で又は一定期間にわたり充足される履行義務のいずれ であるかを判断するために、IFRS第15号第31項から第38項を適用する。

8.4.2 約定の性質の決定

区別できると判断されたすべての知的財産のライセンスに関して、企業は顧客への約定の性 質を決定しなければならない。IFRS第15号では、企業は以下のいずれかを顧客に提供する と述べられている。

• 知的財産への変更を含め、ライセンス期間にわたり存在する企業の知的財産にアクセス する権利(「アクセス権」)

• ライセンスが付与された時点で存在する企業の知的財産を使用する権利(「使用権」)

ライセンスが知的財産へのアクセス権又は使用権のいずれであるかを決定するために、(こ れは、履行時期、よって収益認識の時期を決定する上で重要である)、両審議会は下記の適 用ガイダンスを提供している。

IFRS15 号からの抜粋

B57. ライセンスを付与するという企業の約定が、顧客に企業の知的財産に対するアク

セス権を付与するものなのか、又は使用権を付与するものなのかを判断するにあたり、

企業は、ライセンスを付与した時点で、顧客がライセンスの使用を指図して当該ライセン スからの残りの便益の実質的にすべてを得ることができるか否かを検討しなければなら ない。顧客が権利を有する知的財産がライセンス期間にわたり変化する場合、顧客はラ イセンスが付与された時点で、ライセンスの使用を指図して当該ライセンスから残りの便 益の実質的にすべてを得ることはできない。企業が知的財産への関与を継続し、顧客が 権利を有する知的財産に重要な影響を及ぼす活動を行う場合、当該知的財産は変化す る(そのため、顧客がライセンスの支配を獲得した時点に関する企業の評価に影響を及 ぼす)。そうした場合、ライセンスは顧客に企業の知的財産に対するアクセス権を付与し ている(B58項を参照)。一方、顧客が権利を有する知的財産が変化しない場合、顧客は ライセンスが付与された時点で、ライセンスの使用を指図して当該ライセンスから残りの 便益の実質的にすべてを得ることができる(B61項を参照)。こうした場合、企業が行う活 動は自己の資産(すなわち、原資産である知的財産)を変化させるだけであり、こうした変 化は将来にライセンスを付与する企業の能力に影響を及ぼす可能性はあるものの、そう した活動によって、ライセンスが何を付与したのか又は顧客が何を支配しているかに関す る判断が影響を受けることはない。

ドキュメント内 IFRS第15号 顧客との契約から生じる収益 (ページ 136-145)