10 実務適用上の検討事項
10.5 主要な利害関係者とのコミュニケーション
企業は、導入プロセス全体を通じて、主要な利害関係者(たとえば、取締役会、監査役会、監 査委員会、投資家、貸手、規制当局)と早い段階で、頻繁なコミュニケーションを図るべきであ る。特に、収益の金額、認識時期及び表示に重要な変更が予想される場合はなおさらであ る。
経営者は、次をはじめとする、基準書及び自社の導入プロセスに関する最新情報を定期的 に監査役会等に提供すべきである。
•
基準書の概要•
重要な収益源に及ぼすと予想される影響•
移行方法監査役会等のメンバーの経験及び同様の課題に直面している他社と交流を図ることは、導 入プロセスを進めている企業にとって有益な情報源となる可能性がある。
付録 A : EY の IFRS 開示チェックリストからの抜粋
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IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」は2014年5月に公表された。同基準書は、一部の例外を除き、顧客との すべての契約に適用される。
IFRS第15号は、2017年1月1日以後開始する事業年度から適用される。早期適用は容認される。
IFRS 第 15 号の経過措置
IFRS 15.C3 企業はIFRS第15号を次の2つの方法のうち1つを用いて適用しなければならない。
a. 表示されている過去の各報告期間について、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従い遡 及適用する。ただし、IFRS第15号C5項に定める実務上の便法を適用できる。
IFRS 15.C2 b. 遡及適用するものの、適用開始日にIFRS第15号の適用開始に伴う累積的影響を IFRS 第15号C7項–C8項に
従い認識する。
本経過措置を適用する上で、
a. 適用開始日とは、企業がIFRS第15号を最初に適用する報告期間の期首をいう。
b. 完了済みの契約とは、企業がIAS第11号「工事契約」、IAS第18号「収益」及び関連する解釈指針書に従って識別 された財又はサービスのすべてを移転した契約をいう。
IFRS 15.C1 2017年1月1日以後開始する事業年度より早い年度のIFRS年次財務諸表においてIFRS第15号を初めて適用する
場合、企業はその旨を開示しているか。
□ □ □
IFRS 15.C3(a) 完全遡及適用アプローチ
IAS 8.22 IFRS第15号をIFRS第15号C3項(a)に従い遡及適用する場合には、表示されている最も古い年度の資本のうち影響
を受ける各項目の期首残高及び過去の各年度のその他の比較金額を、あたかも新しい会計方針がずっと適用されて
いたかのように修正して開示しているか。
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IAS 8.28 IFRS第15号を初めて適用することにより、当期もしくは表示される過年度に影響を及ぼすか、又は将来の期間につ
いて影響を及ぼす可能性がある場合には、修正額の算定が実務上不可能な場合を除き、以下を開示しているか。
a. 当該IFRSの名称
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b. 会計方針の変更が経過措置に従って行われた旨(該当する場合)
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c. 会計方針の変更の内容
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d. 経過措置の概要(該当する場合)
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e. 将来の期間について影響を与える可能性がある経過措置(該当する場合)
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IAS 33.2 f. IFRS第15号を初めて適用した年度の直近の比較年度について、実務上可能な範囲で、影響を受ける財務諸表の
各表示科目、並びに基本的及び希薄化後1株当たり利益(IAS第33号が適用される場合)の修正
□ □ □
IFRS 15.C4
IAS 8.28(f) IAS第8号第28項の規定にかかわらず、IFRS第15号を初めて適用する際には、企業は、IFRS第15号が適用される
最初の事業年度の直前の事業年度(「直前の事業年度」)についてのみ、IAS第8号第28項(f)で要求される定量的情 報を開示する必要がある。さらに当該開示は、IFRS第15号をIFRS第15号C3項(a)に従い遡及適用する場合に限り 要求される。企業は、同様の情報を当期又は直近の事業年度より前の比較年度について表示することもできるが、要 求はされない。
g. 実務上可能な範囲で、表示されている期間より前の期間に関する修正額
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h. 特定の過去の期間又は表示されている期間より前の期間について、遡及適用が実務上不可能な場合には、その
ような状態に至った状況及び会計方針の変更がどのように、そしていつから適用されているかについての記載
□ □ □
その後の期間の財務諸表で上記の開示を繰り返す必要はない。
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IFRS 15.C6 企業が使用するIFRS第15号C5項に定められる実務上の便法について、次の情報を開示しているか
a. 使用した実務上の便法
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b. 合理的に可能な範囲で、各実務上の便法を適用したことによる影響の見積りに関する定性的評価
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IFRS 15.C5 企業は、IFRS第15号を遡及適用する際に、次の実務上の便法のうち1つ又は複数を使用することができる。
a. 完了済みの契約について、同一年度中に開始し終了した契約を修正再表示する必要はない。
b. 完了済みの契約のうち変動対価を伴う契約について、比較年度における変動対価の金額を見積らずに、契約が完 了した日における取引価格を使用することができる。
c. 表示される適用開始日前のすべての報告期間について、残存する履行義務に配分された取引価格の金額及び企 業が当該金額に関して収益を認識すると見込む時期に関する説明を開示する必要はない。
IFRS 15.C3(b) 修正遡及適用アプローチ
IFRS 15.C8 IFRS第15号をIFRS第15号C3項(b)に従い遡及適用する場合には、適用開始日を含む報告期間について次の両方
の情報を提供しているか。
a. IFRS第15号の発効前に有効であったIAS第11号、IAS第18号及び関連する解釈指針書を適用した場合と比較し
て、当報告期間について、IFRS第15号を適用することにより財務諸表の各表示科目が影響を受けた金額
□ □ □
b. IFRS第15号C8項(a)で特定された重要な変動の理由についての説明
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IFRS 15.C7 IFRS第15号をIFRS第15号C3項(b)に従い遡及適用することを選択する場合、企業はIFRS第15号の適用開始に伴
う累積的影響を、適用開始日を含む年次報告期間の期首利益剰余金(又は、適切となる場合には他の資本項目)へ の修正として認識しなければならない。修正遡及適用アプローチの下では、企業は適用開始日時点(たとえば、12月 31日が年度末の企業の場合、2017年1月1日)で完了していない契約に対してのみIFRS第15号を遡及適用しなけ ればならない。
IFRSの初度適用企業 IFRS 1.D34
IFRS 15.C6
IFRSの初度適用企業がIFRSへの移行時にIFRS第15号を適用する場合、企業が使用するIFRS第15号C5項に定め られる実務上の便法について、次の情報を開示しているか。
a. 使用した実務上の便法
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b. 合理的に可能な範囲で、各実務上の便法を適用したことによる影響の見積りに関する定性的評価
□ □ □
IFRS
1.D34-35 初度適用企業は、IFRS第15号C5項の経過措置を適用することができる。当該経過措置における「適用開始日」への
言及は、最初のIFRS報告期間の期首と読み替えなければならない。初度適用企業がこれらの経過措置を適用すると 決定した場合、IFRS第15号C6項も同時に適用しなければならない。
初度適用企業は、表示対象となる最も古い期間より前に完了済みの契約を修正再表示する必要はない。完了済みの 契約とは、企業が従前のGAAPに従って識別された財又はサービスのすべてを移転した契約をいう。
表示
IFRS 15.105 対価を受け取る無条件の権利は、売上債権として個別に表示しているか。
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IFRS 15.108 売上債権とは、企業が対価を受け取る無条件の権利をいう。対価を受け取る権利は、対価の支払期限が到来するま
でに時の経過以外は必要とされない場合に無条件となる。たとえば、企業が支払いを受ける現在の権利を有している 場合、受け取った金額を将来的に返金する可能性があったとしても、企業は売上債権を認識する。企業はIFRS第9号 又はIAS第39号に従い売上債権を会計処理しなければならない。
IFRS 15.108 顧客との契約から生じた売上債権の当初認識時に、IFRS第9号又はIAS第39号に従って測定した売上債権の金額
と、対応する収益の金額との間に差異がある場合は、当該差額を費用(たとえば、減損損失)として表示しているか。
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IFRS 15.107 IFRS 15.105
顧客が対価を支払う前又は支払期日の到来前に、企業が顧客に財又はサービスを移転することによって履行する場
合、企業は当該契約を契約資産(売上債権として表示している金額は除く)として表示しているか。
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IFRS 15.106 IFRS 15.105
企業が顧客に財又はサービスを移転する前に、顧客が対価を支払う、又は企業が対価を受ける無条件の権利(すな わち売上債権)を有する場合、企業は顧客からの支払いが行われた時点、又は支払期限の到来時点のいずれか早
い時点で、当該契約を契約負債として表示しているか。
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IFRS 15.109 契約資産を他の名称で開示している場合には、財務諸表の利用者が売上債権と契約資産とを区別できるように十分
な情報を提供しているか。
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IFRS 15.107 契約資産とは、企業が顧客にすでに移転した財又はサービスと交換に対価を受け取る権利をいう。企業はIFRS第9
号又はIAS第39号に従い、契約資産について減損の有無を評価しなくてはならない。契約資産の減損は、IFRS第9 号又はIAS第39号のいずれか該当する基準書の範囲に含まれる金融資産と同じように測定、表示及び開示しなけれ ばならない(IFRS第15号第113項(b)も参照)。
IFRS 15.106 契約負債とは、企業が顧客に財又はサービスを移転する義務のうち、企業が顧客から対価をすでに受け取っているも
の(又は対価の支払期限が到来しているもの)をいう。
IFRS 15.109 IFRS第15号では、「契約資産」及び「契約負債」という用語が使用されているが、これらの項目について貸借対照表
上で他の表示科目を用いることは禁止されていない。
契約に重要な金融要素が含まれる場合
IFRS 15.65 金融要素による影響(利息収益又は利息費用)を顧客との契約から生じた収益とは区別して損益計算書で表示してい
るか。
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IFRS 15.65 利息収益又は利息費用は、顧客との契約を会計処理した際に契約資産(もしくは売上債権)又は契約負債が認識さ
れた範囲でのみ認識される。
返品権付きの販売
IFRS 15.B25 返金負債の決済時に顧客から製品を回収する権利に関する資産は、返金負債とは区別して表示しているか。
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IFRS 15.B25 返金負債の決済時に顧客から製品を回収する権利について認識した資産は、当該製品(たとえば棚卸資産)の従前
の帳簿価額から当該製品を回収するための予想コスト(返品された製品の企業にとっての価値の潜在的な下落を含 む)を控除した金額を参照して当初測定しなければならない。各報告期間の末日時点で、企業は返品予想の変動に 応じて当該資産の測定を見直さなければならない。
開示
IFRS 15.110 IFRS第15号の開示規定の目的は、顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不
確実性を財務諸表の利用者が理解できるように、企業が十分な情報を開示することである。
IFRS 15.110 IFRS第15号第110項に定められる開示目的を達成するために、次のすべてに関する定量的及び定性的情報を開示
しているか。
a. 顧客との契約(IFRS第15号第113項-第122項を参照)
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b. それらの契約にIFRS第15号を適用する際の重要な判断及び当該判断の変更(IFRS第15号第123項-第126項
を参照)
□ □ □
c. IFRS第15号第91項又はIFRS第15号第95項に従って、顧客との契約を獲得又は履行するためのコストに関して
認識された資産(IFRS第15号第127項-第128項を参照)
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IFRS 15.111 開示目的を達成するために必要な詳細さの程度、及びさまざまな規定のそれぞれにどの程度の重きを置くべきかに
ついて検討したか。
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IFRS 15.111 有用な情報が、大量の重要でない詳細情報を開示することにより、又は実質的に異なる特徴を持つ項目を集約するこ
とにより不明瞭にならないように、開示を集約又は分解しているか。
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IFRS 15.112 他の基準書に従い提供している情報については、IFRS第15号に従い開示する必要はない。
顧客との契約
IFRS 15.113 当報告期間について、次のすべての金額を開示しているか。
a. 顧客との契約から認識された収益。この金額は他の収益源とは区別して開示しなければならない。
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b. 顧客との契約から生じた売上債権又は契約資産に関して(IFRS第9号又はIAS第39号に従い)認識された減損損
失。この金額は他の契約から認識される減損損失とは区別して開示しなければならない。
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収益の分解
IFRS 15.114 顧客との契約から認識された収益は、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性が経済的要因に
よってどのように影響されるかを描写するような区分に分解されているか。
IFRS 15.114 IFRS 15.B87 IFRS 15.B88
IFRS第15号第114項は、顧客との契約から認識された収益を、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び 不確実性が経済的要因によってどのように影響されるかを描写するような区分に分解することを求めている。したがっ て、この開示目的に基づき収益を分解する範囲は、企業の顧客との契約に関連する事実及び状況によって決まる。
IFRS第15号第114項に定められる収益の分解に関する目的を満たすために、複数の種類の区分を使用する必要が ある企業もあれば、1種類の区分を用いることで当該目的を達成できる企業もある。収益の分解に使用する区分(複 数の区分)の種類を選択するにあたって、企業は、次のすべてを含め、収益に関する情報が他の目的のためにどのよ うに開示されているかを考慮しなければならない。
a. 財務諸表以外で開示されている情報(たとえば、決算発表、アニュアルレポート又は投資家向けプレゼンテーショ ン)
b. 事業セグメントの財務業績を評価するために、最高経営意思決定者によって定期的に検討されている情報 IFRS 15.B89