点について、河野胱毅氏(昭和18年兵庫県編成五十川中隊員)から、
「志願動機と言われても、その時はそうすることが当然なのであっ て、その決断が何によるのか決定的なことは何とも言えません。経済 的動機とか、教師の勧めとかは、後になって考えればそういうことだ ったかもしれないという程度に過ぎないように思います。私の場合 も、先生から話があった時には、拒否するも何も、ごく自然に話が進 んだと思いますし、先生が執拗だったという事実も思い当たりませ ん。強いて言えば、教育全体がそうなのであって、義勇軍だけがそう だったわけではなかったのでしょう。」(g)
との話があったことが印象深い。少なくとも、取材の範囲内では、彼ら は志願を勧めた、個々の教師に対するある種の憎しみについては、時間 の経過とともに感情の整理がついた(或はつきつつある)というように は感じられる。しかし義勇軍という制度や、当時の教育体制といったも のまでも許容しているというわけではないというのが共通の感覚であろ
うか。
註
(
(
(
(
1)櫻本富雄 r満蒙開拓青少年義勇軍』 (青木書店1987)P.74 2)蘭信三 r満州移民の歴史社会学』 (行路社1994) P.95 3) r満州開拓年鑑康徳11年版』 (満州国通信社1944) P.71 ※満州歴康徳11年は昭和19年冬あたる。
4) r満蒙開拓殉i難者之碑建立記念の栞』(兵庫県拓友会1974)
( 5)
( 6)
( 7)
( 8)
( 9)
前記資料は、1974(昭和50)年3月23日に行われた兵庫県関係の「満蒙開拓殉難 者之碑除幕式、合祀慰霊祭」のために編纂され資料で、満州開拓史を基本史料としながら
も、関係者の努力で集められた情報も掲載されている。碑は、姫路市にある名古山霊園内 に建立された。
r兵庫県未帰還者引揚運動史』 (兵庫県民生部援護課1964) P.175〜176か
ら作表
三木市立志染小学校創立百周年記念誌『志染』
(志染小学校百周年事業協賛会 1984)P.128
『五洲会の歩み』(五洲会の歩み編集委員会1992)
「昭和16年度青少年義勇軍身上調書一覧表」拓務省拓北局青年課1941(昭和16)
年4月2日調査
(r満蒙開拓青少年義勇軍関係資料集第5巻』(不二出版1993) P.59)
1996(平成8)年5月16日、京都市下京区にある氏の自宅にて取材。尚、河野氏の 話は、第4節において詳しく触れる。
1 2 9
第2節 兵庫県内の主な動向
さ こし
1.昭和14年坂越円満蒙青少年二関スル綴込(、)
兵庫県内の義勇軍関連公文書類は、確認できた範囲においては極めて 僅かであったが、標記の史料はそのなかでも貴重なものである。この史 料にたどり着くきっかけを与えてくれたのは、r赤穂市史』にある、下 記の文書であった。
昭和十五年三月二十二日
赤穂郡教育会長 (印)
各町村長殿
青少年義勇軍二関スル件
義勇軍赤穂小隊ノ編成二四イテハ、昨夏開設ノ拓植講習以来、格別 ノ御配意ヲ恭フシ感謝ノ至りニ御座候、去ル三月十五日郡内志願者選 衡ノ結果、別紙三十名ノ合格者ヲ得、来ル三月二十六日、左記ノ通り 栄誉アル出発ヲ為ス事ト相成候
本郡ヨリ集団セル新東亜ノ建設ノ拓士ヲ選出スル事四二邦家ノタメ、
将又郷土青少年ノ将来ノ為賀慶至極ト被存候、就イテハ之等若キ興亜 ノ鍬ノ戦士ノ為二、各町村二於テモ応召軍人二準ジテ壮行式ヲ挙行セ ラレ其ノ使命達成二向ツテ激励相成候様致度、此段御依頼
記
一、出発列車 三月二十六日 上郡発 午后三時二十二分 有年発 午后三時二十一分 那波発 三時四十分
130
赤穂発 二時二十分 二、神戸二於ケル行事
1.二十六日午后七時ヨリ宿舎ニオイテ郡主催懇談会 2.二十七日午前七時 湊川神社参拝
九時 県主催壮行会 十時 神戸駅発
十一時五十分 :大阪駅発特別列車内原闇討フ (満蒙開拓青少年義勇軍赤穂小隊人名三十省略)(2)
以上が全内容である。これをもとに、他の資料との照合によって考察を 進めることとする。
赤穂小隊は、1939(昭和14)年度内に募集が行われた。その年度の調 表3−11義勇軍小隊編成の現況(昭和14年12月現在) (3)
府県
計画小隊数 現在可ヒ ゥ込小隊数
今後確保可
¥見込小隊数 府県
計画ノ、隊数 現在可能
ゥ込小隊数
今後確保可
¥見込小隊数
北海道 一 1 5 滋賀 6 3 3
龍
6 4 2 京都 6 6 一岩手 6 6 一 大阪 12 6 3
宮城 12 9 3 兵庫 12 5 1
秋田 6 4 2 奈良 6 5 1
山形 18 18 } 和歌山 6 3 1
福島 12 12 一 鳥取 6 6 順
茨城 18 12 6 島根 6 6 鱒
励
18 12 6 岡山 6 3 一群馬 6 2 1 広島 12 12 需
埼玉 6 4 鞠 山口 6 5 1
千葉 6 3 騨 徳島 6 6 一
鯨
12 6 3 香川 6 6 一神奈川 6 2 ■
簸
6 6 騨新潟 12 12 一 高知 6 6 陶
富山 6 4 2 福岡 6 2 1
石川 12 9 3
額
6 6 噂福井 6 6 一
顯
6 5 1山梨 12 9 1 能本 12 9 3
麟
42 20 4 大分 6 4 2岐阜 12 9 3 宮崎 6 4 一
静岡 12 12 一 鹿児島 18 12 6