出に並々ならぬ熱意を持ち、長野県などのように全県を挙げてその送出 に力を尽くした地域であろう。兵庫県と同様に、表3−2に一度しか顔 を出さない諸県としては、熊本、新潟、栃木、福島、茨城、鹿児島、岡 山があり、これらの送出実績にも検討を加えたものが表3−3である。
表3−3 年度別送出順位変動表
府県名 昭和13鞭 昭和14年度 昭和15鞭 昭和16年度 昭和17鞭 昭和18鞭 昭和19年度
福島 7 6 9 9 1 1 1 4 1 9
茨城 1 4 5 2 7 1 9
32
2 942
栃木 2 1 1 0 6 7 6 2 2
34
新潟 1 0 5 4 1 3 2 9 9 1 7
岡山 1 3 1 9 2 9
28
2 3 7 3熊本 3 1 5 1 1 1 1
34
4 1 4 1鹿児島 5 2 7 2 5
36
4 1 6 1 5表からは、都道府県別送出順位が、同じ地域でも年によって大きく変 動していることがわかる。長野県、山形県、広島県などのように常に上 位に顔を出しているところもあるが、それはむしろ例外的であり、1938
(昭和13)年度に上位10位までに位置している県で、資料の最終年度で ある1944(昭和19)年度もその中に入っているのは長野、山形の2県し かないことでも、その変動ぶりは理解できる。また、兵庫県と同様に、
1944(昭和19)年度にのみ送出実績が突出して多くなるところもいくつ か見られることから、年による送出1縦位の変動はかなり大きいものであ
った。
あららぎ
一般開拓団送出数についての:地域的偏りを詳細に検討した蘭信三氏
は、
満州移民率の府県別分布を示すと、まず第一に言えることは、満州
1 1 1
移民率の低い県が特定地域にはっきりとまとまっていることである。
それは、東京を中心とする千葉、神奈川、茨城、埼玉の首都圏、愛 知、三重の中京圏、大阪、京都、兵庫に滋賀という京阪神、そして最
後に福岡である。 (中略)
後半の海外移民は西日本を中心に多出しているのに、満州移民は東 北、北陸、中部という東日本を中心に多出していること、つまり一般 の海外移民の送出県と満州移民の送出県とは、熊本、福島を除いて全
く重複していないということである(2)。
と述べて、満州移民の送出要因は、従来のそれとは異なることを示唆し ている。分析方法は複雑になるので、その説明についてはここでは省く が、満州移民送出要因として「移民行政指標」に注目する必要があるこ
とを結論で述べている。この説明は、あくまで一般開拓団の送出要因に ついての分析であるため、そのまま義勇軍送出要因と一致するとは断定
しがたいが、「地方担当者の熱意の差が、義勇軍応募数に反映する」と いった分析が当局に存在したことからも、義勇軍送出の地域差や、同じ 地域に見られる年度ごとの変動も、それに類する要因によって生み出さ れたのではないかと考えられる。
先に見たように、兵庫県の一般開拓団送出率は、全国水準から見る と、かなり低い位置にあったと言わなければならず、送出数から見ても 30位に過ぎない。その一般開拓団送出の低調さに比較すると、義勇軍の 送出を相対的に高めた要因は、やはり当局の働きかけや、学校教育に求 められるのではなかろうか。
3.割当の根拠
一一一 1 1 2一
義勇軍の編成が、拓務省から道府県への割当にしたがって行われたこ とは先に見たが、その数値は、表3−1にも示されている。兵庫県につ いては、1944(昭和19)年度の送出数が全国第4位となったことに触れ たが、ここで注目する必要があるのは、この年の割当数が、前年比2倍 とされたことであろう。この年に割当数が前年比2倍となったのは、兵 庫県の他には岡山県しかない。岡山県はこの年に兵庫県以上の全国第3 位の送出数を達成していることからも、両県については、割当の大幅増 が、送出数急上昇の背景にあったものと考えられる。ただ、岡山県は、
前年も送出数:全国第7位を記録していることから考えて、二つの県の割 当が倍増されたことの要因は、別個のものであると考えなければならな い。前年の実績を参考にしながら考慮すると、
端的にいへば關係者の真剣な熱意にも拘らず十八年度義勇軍送出は 惨敗といひ得る結果を招いたのである。 (中略)下局では青森、岩 手、宮城、山形、栃木、群馬、埼玉、福井、長野、岐阜、静岡、愛 知、滋賀、大阪、兵庫、奈良、野島、山口、香川、愛媛、高知、福 岡、宮崎の二十四平野に再送出を行わしめたのであるが(四、五?月 に亘る)幾許の附加をもなし得なかった如くである(3)。
との言にあるように、兵庫県は1943(昭和18)年度中に義勇軍再送出の 督促を受けていることがわかる。この年は、兵庫県は250名の割当に対
して234名の送出数を確保しており、決して悪い成績ではないため、督 促先として選ばれた府県が、どのような根拠で選ばれたかは明確ではな
い。しかし、前年度にあたる1942(昭和17)年度の数値を見ると、督促 を受けた諸県のうち、埼玉、愛知、滋賀、兵庫の4県はその年の割当達