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関連法令等の制定経緯

ドキュメント内 ろうあ連盟表紙 (ページ 106-112)

第Ⅳ章 韓国の障害者放送・電話リレーサービスと手話通訳

3. 障害者放送―放送メディア・アクセス

3.2 関連法令等の制定経緯

障害者放送が普及した背景として、政府によるTV受信機の普及や放送発展基金による 支援、そして法制化による推進等が挙げられる。

1989年制定の「障害者福祉法」第35条「手話と字幕」において、初めて手話や字幕に よる放送の規定が条文化された。この法律によれば、国または地方公共団体は、放送局に 聴覚障害者のための手話や字幕の放映を要請することができる。しかしながら、義務や罰 則の規定は含まれていなかった。

134 KBSと国会放送KBSは公共放送なので、ほとんどの放送に字幕を入れている。また、

40分程度の障害者用の放送番組も制作放送している。一方、国会審議の放送については、

国会放送というチャンネルがあり、このチャンネルで放送される国会の実況放送に字幕 が入る。それ以外に、解説やニュース放送に手話通訳が入ることもある。

キャスターが自ら手話で報道する手話ニュースの番組については、韓国聾唖人協会から の要求もあって現在検討中であるが、まだ実施されていない。2013年に障害者向けの専 用放送局が新たに発足する予定で準備が進められている。視聴を無料とするか一部を障害 者負担とするかは未定である。

135 手話ニュース キャスターが自ら手話で報道する手話ニュースの番組については、韓国 聾唖人協会からの要求もあって現在検討中であるが、まだ実施されていない。2013年に 障害者向けの専用放送局が新たに発足する予定で準備が進められている。視聴を無料と するか一部を障害者負担とするかは未定である。

99 障害者福祉法1989年12月30日施行

第35条(手話と字幕)

①国家又は地方公共団体は、放送局の長に対し、ニュース、国家的重要事項の中継等の放 送番組に聴覚障害者のための手話や字幕を放映するよう要請することができる。

第1項の要求を受けた放送局の長は、特別な理由がない限りこれに応じなければならない。

韓国では、1990年代半ばより限定的ながらも手話放送の番組が放映された。字幕放送に ついては、情報通信部と地上波放送事業者や家電メーカーの間で、字幕放送に関する技術 の研究が進められていたが、実際に放送が実現するまで約 10 年待たなければならなかっ た。

1997年11月、障害者団体は、大統領選候補の討論番組に手話と字幕を付与して放映す ることを要求する運動を起こした。1999年、KBS、MBC、SBSは字幕放送を自主的に開 始した。これらの動きを反映して「障害者福祉法」が改定され、手話や字幕に関する従来 の条項は、新設の第 20 条「情報へのアクセス」に統合された。これは、障害福祉法の中 に「情報へのアクセス」が明文化されたという点で意義がある。

障害者福祉法1999年4月1日施行 第20条(情報へのアクセス)

① 国家及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報にアクセスし、その意思を表示 することができるようにするために、電気通信および放送施設などを改善する ように努力しなければならない。

② 国家及び地方公共団体は、放送局の長など民間事業者に対し、ニュース、国家 的重要事項の中継など大統領令が定める放送番組の聴覚障害者のための手話や クローズドキャプションなどを放映するよう要請することができる。

④ 第 2項及び第3項の要求を受けた放送局の長など民間事業者や民間行事の主催 者は、正当な理由がない限りこれに応じなければならない。

2000年、障害者の視聴権利に関する規定が「放送法」の中に初めて組み込まれた。この 放送法改正で、放送委員会(後の放送通信委員会)と障害者放送のための基金が設置され ることになった。

放送法2000年3月13日施行

100 第69条(放送番組の編成など)

⑦ 地上波放送事業者は、大統領令が定めるところにより、障害者の視聴を助ける ように努力するものとし、必要に応じて放送委員会は、基金からその経費の一 部を支援することができる。

同日施行の「放送施行令」と「障害者福祉法施行令」によって、次の番組については手 話や字幕を利用した放送を行う努力義務が定められた。

①災害放送番組

②報道番組

③選挙放送番組

④祝日および記念日の儀式とそれに付随する行事の中継番組

⑤聴覚障害者の情報アクセスに必要と保健福祉部長官が判断し告示する番組

⑥その他の障害者の福祉を目的に編成された放送番組

放送法施行令2000年3月13日施行

第52条(障害者の視聴をサポート)

法第69条第7項の規定により、地上波放送事業者は、障害者の視聴を助けるため に、次の各号に該当する放送番組については、手話やクローズドキャプションな どを利用した放送をするように努力しなければならない。

1 法第75条の規定による災害放送番組

2 障害者福祉法施行令第11条各号の規定による放送番組

3 障害者の放送の視聴が必要であると判断され、放送委員会規則で定める放送番組 4 その他の障害者の福祉を目的に組織された放送番組

障害者福祉法施行令2000年3月13日施行

第11条(手話·クローズドキャプション放送の放送番組の範囲)

法第20条第2項で「大統領令が定める放送番組」とは、次の各号の1に該当する 放送番組をいう。

1 放送法施行令第50条第2項の規定による報道番組

2 公職選挙及び選挙不正防止法第 70条ないし第74条、第82条及び第82条の2 の規定による選挙放送

3 祝日に関する法律による祝日および各種記念日などに関する規定による記念日 の儀式とそれに付随する行事の中継放送

4 その他の聴覚障害者の情報アクセスに必要と認めて保健福祉部長官が定めて告 示する放送

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2002年、放送法第69条の「地上波放送事業者」が「放送事業者」に改正され、障害者 放送の努力義務を負う放送事業者の対象範囲はケーブルテレビや衛星放送等の事業者を含 めて拡大した。

視覚障害者のための画面解説放送については、2001年に試験放送が開始し、その後、本 サービスに入った。2003年の「放送法施行令」改正によって、手話、字幕に加えて、画面 解説の放送の努力義務が追加された。

放送法施行令2003年5月29日施行

第52条(障害者の視聴をサポート)

法第69条第7項の規定により放送事業者は、障害者の視聴を助けるために、次の 各号に該当する放送番組については、手話・クローズドキャプション・画面解説 などを利用した放送をするように努力しなければならない。

これら一連の法律改正を経てもなお、手話や字幕の提供に関する義務規定はなく、依 然として努力義務の規定に留まっていた。

韓国聾唖人協会は、情報を知る権利や障害者放送の地域への拡大を求めて、2005年9 月、ソウルの KBS 本社と釜山(プサン)のコミュニティ・メディアセンターで示威行動 を起こした。2006年、KBSの地域放送局であるKBS光州放送総局は、地域でも字幕放送 を実施するようKBS本社に働きかけることを回答した。2006年、韓国聾唖人協会の事務 所内にクローズドキャプション・サポートセンター(キャプション放送サポートセンター)

が開所し、字幕制作の請負事業が始められた(2012年10月現在、韓国聾唖人協会での字 幕制作事業は中止している)。

2007年の「障害者福祉法」改正により、放送事業者に手話や字幕の放映を要請するこ とは、国家及び地方公共団体の義務となった。

障害者福祉法2007年10月12日施行 第22条(情報へのアクセス)

② 国家及び地方公共団体は、放送局の長など民間事業者にニュースと国家的重要 事項の中継等、大統領令で定める放送番組の聴覚障害者のための手話やクロー ズドキャプションと視覚障害者のための画面解説や字幕解説などを放映するよ う要請しなければならない。

2008年に「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」が制定されると、放送事業者

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が提供するサービスに字幕、手話を付与しなければならないことになった。ただし、電話 リレーサービスや点字サービス等と同じ文脈で障害者放送の提供義務について規定したの みであり、義務が課される事業者の範囲の明確な規定や障害者放送の実施方法に関する細 かい規定が無かった。この点で、同法の障害者放送の提供義務に関する規定は、理念と基 本的方針を明文化したものに留まった。

障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律2008年4月11日施行 第21条(情報通信·意思疎通での正当な便宜供与義務)

③ 「放送法」に基づいて放送物を送出する放送事業者等は、障害者が障害者でな い人と同等に制作物やサービスをアクセス·利用できるように字幕、手話、点字 や点字変換、補聴器、大きな文字、画面の読み取り·解説·拡大プログラム、印 刷物音声変換出力機、音声サービス、電話等の通信中継サービスを提供しなけ ればならない。

2010年改正された「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律」によって、インター ネットマルチメディア放送事業者が障害者放送の提供義務事業者の範囲に追加された。電 話リレーサービスや点字サービスに関する規定は、分離して別の項に移された。

障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律2010年5月11日施行 第21条(情報通信·意思疎通での正当な便宜供与義務)

③ 「放送法」第 2条第3号の規定による放送事業者と「インターネットマルチメ ディア放送事業法」第 2条第5号の規定によるインターネットマルチメディア 放送事業者は、障害者が障害者でない人と同等に制作物やサービスをアクセ ス・利用できるようにクローズドキャプション、手話通訳、画面解説など障害 者視聴便宜サービスを提供しなければならない。

2011年 5月19日、「障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律施行令」の改正によ り、障害者放送の内容や障害者視聴サービスの履行に必要な基準や方法等を、放送通信委 員会が国家人権委員会と協議して告示することとされた。

障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律施行令2011年5月19日施行

第14条(情報通信·意思疎通での正当な便宜供与の段階の範囲と利便性の内容)

⑦ 5項に規定する事項のほか、障害者視聴サービスの履行に必要な基準、方法等は、

放送通信委員会が定めて告示する。この場合、放送通信委員会は、あらかじめ、

国家人権委員会と協議しなければならない。

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