第Ⅲ章 イギリス:情報・コミュニケーション保障の現状と課題
3. 現在の手話通訳派遣のしくみ
3.2 手話通訳者
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ており、また、ニーズ・アセスメントに基づいて2つのレベル(標準(Standard)と高 度(Enhanced))になっており、全部で4つの給付がある。
日常生活部分については、標準が週53ポンド、高度が週79.15ポンドになっている。
移動部分については、標準が週21ポンド、高度が週55.25ポンドとなっている。ただし、
4週毎にまとめて支給されるので、上記の数字に4倍した金額が支給されることになる。
この日常生活部分の「コミュニケーション」の困難を理由として、ニーズ・アセスメン トに基づいて必要と判断された場合は、聴覚障害者にも個人自立給付が支給される。こ れによって、日常生活でコミュニケーション支援が必要な場合には、この給付を利用し て手話通訳等を利用することができるようになる。
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具体的に、手話通訳の資格付与・登録団体であるNRCPD によれば、手話通訳で6レ
ベルNVQ Diploma を取得するには、以下の表1の科目から必要な学習時間をクリアし
たうえで合計5つの単位を取得しなければならない。これらの単位を修得するために、
各地の大学や「ろう者センター」(Centres for the Deaf)で学習をしなければならない。
表1 6レベルNVQ Diplomaの必修4単位と選択必修2単位の内容 科目
条件
科目名 講 義
時 間
自 習 時 間 等
合 計 時 間
必修 手話通訳者としての仕事の準備 130 70 200 必修 専門職の手話通訳者としての1方向の通訳 200 100 300 必修 専門職の手話通訳者としての2方向の通訳 200 100 300 必修 手話通訳者としての有効性の発展 160 80 240 選択 書類の視覚的な翻訳による手話通訳の支援 160 80 240 選択 他の手話通訳者との協働 160 80 240
出典)Signature “Level 6 NVQ Diploma in Sign Language Interpreting”, http://www.signature.org.uk/signlanguageinterpreting
2012年9月現在、イングランドとウェールズで完全資格の登録手話通訳者は749人い る。この749 人の内、セントラル・ランカシャー大学で学んだ手話通訳者は、396 人に 及ぶという。準見習い手話通訳者は多すぎて何人いるか分からない(2012年8月までの データについては表2を参照)。
表2 コミュニケーション専門職の登録者数、2011年7月31日~2012年7月31日 2011年
7月31日
2012年 7月31日 登録手話通訳者 Registered Sign Language Interpreter 656 737 見習い手話通訳者 Trainee Sign Language Interpreters N/A 135 見習い通訳者Trainee Interpreters 107 43 準見習い通訳者Junior Trainee Interpreters 151 59 登録手話翻訳者 Registered Sign Language Translators N/A 1 登録口話通訳者Registered Lipspeakers 35 42 登録速記記述者Registered Speech to Text Reporters 23 24
にみる厚生労働施策の概要と最近の動向」の「英国」の節を参照。
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レベル3登録PCノートテーカー Registered Level 3 Electronic Notetakers 5 7 レ ベ ル 2 手 書 き ノ ー ト テ ー カ ー Level 2 Manual
Notetakers
12 11
レベル2 PCノートテーカー Level 2 Electronic Notetakers 8 5 盲ろう者登録通訳者 Registered Interpreters for Deafblind People 16 18
合計Total 1,013 1,082
出典)NRCPD(31 August 2012)“NRCPD Update, Summer 2012”, http://www.nrcpd.org.uk/news.php?news_id=45
先に述べたように、手話通訳を利用したい人は、病院や学校、企業等が手話通訳を手 配するように依頼することになるが、それができない場合は、先に述べたように、「就労 へのアクセス支援事業」(ATW)等の公的制度を利用して、手話通訳を利用することにな る。
具体的に手話通訳者を探すためには、「全国ろう・盲ろう者のためのコミュニケーショ ン専門職登録団体」(NRCPD)のホームページで、個々人の手話通訳者を検索して探す ことができる107。手話通訳者の個々人の経歴や資格条件などを見て選択することができ る。多くの人は電話番号とメールアドレスを掲載している。手話通訳者の中には、個人 で営業するためのホームページを作成している人もいる。
また、手話通訳者等を派遣している団体もある。その代表的な団体のなかには1841年 設立の王立聴覚障害者協会(Royal Association for Deaf People: RAD)がある。RADは、
法律相談や若者支援サービスなどの聴覚障害者支援の一環として、通訳支援をしている
108。具体的には、イギリス手話通訳、ろう通訳(Deaf Interpreter: 文字を手話通訳する こと等)、口話通訳、速記記述者(Speech to Text Reporters)、ノートテイク、盲ろう者 通訳の支援をしている。RADの通訳事務所には、管理者、マネジャー、コーディネータ ー4人がおり、エセックス、ロンドン、ケントの3つのエリアをカバーしている。各エ リア担当の手話通訳者がいるが、利用者の選択にかなう手話通訳者がいない場合は、フ リーランスの手話通訳者を派遣する。RADは有資格の手話通訳者のみを派遣することと しており、手話通訳の利用料は2時間までは 130 ポンドであり、3時間以上になると1 時間につき47 ポンドが追加される。手話通訳以外の通訳活動については、RAD の外部 のフリーランスの通訳者を派遣することになっており、利用料金も個別交渉となってい る。なお、交通費等の追加的なコスト、また、朝8時前や夕方6時以降、休日等につい ては別途追加的な支払が求められる。なお、これらの利用料金の支払いで「就労へのア クセス支援事業」(ATW)等の公的制度が利用される。
107 http://www.nrcpd.org.uk/
108 詳しくは、RADのInterpreting Home Pageを参照
http://royaldeaf.org.uk/Interpreting/Interpreting_Home_Page_/5
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