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民間機関が運営する病院・医院等の施設及びサービスにおける情報アクセス・コミ

ドキュメント内 ろうあ連盟表紙 (ページ 33-36)

第Ⅱ章 米国における情報アクセス・コミュニケーションの権利保障

2. 米国における情報アクセス・コミュニケーション保障

2.3 民間機関が運営する病院・医院等の施設及びサービスにおける情報アクセス・コミ

(1) 概説

生命、健康にかかわる医療の現場においては、情報アクセス・コミュニケーション の保障が非常に重要である。

民間機関が運営する施設及びサービスにおいても、「効果的なコミュニケーショ ン」が保障及び義務付けされる点において、基本的には、上記2.2 司法手続における 情報保障・適正手続保障と同様である。

以下では、ADA等の根拠法について概説した上で、民間機関が運営する病院・医院 等の施設、サービスにおける「効果的なコミュニケーション」について報告する。

71 Video Remote Interpreting

インターネットを用いたビデオによるリモート通訳

72 Communicating with People Who are Deaf or Hard of Hearing ADA guide for Law Enforcement Officers http://www.ada.gov/lawenfcomm.htm

26 (2) 根拠法・管轄機関

① 根拠法

ADA第3編は、「民間機関」が運営する「公共施設及びサービス(ホテル、レストラ ン、小売店、交通機関、学校、保育園、老人施設、病院・医院、法律事務所、娯楽施 設等)」における障害を理由とする差別を禁じ、平等のアクセスを保障している。

そして、司法省による施行規則が、聴覚障害者のための補助器具、補助サービス(筆 談、手話通訳、CART、補聴器、磁気ループ、電話リレーサービス等)を適切に用い て、平等に、「効果的なコミュニケーション」(上記2.2 (4)で詳説した)を提供するこ とを義務付けている。

② 管轄機関

管轄機関は、第2編と同じく司法省である。

(3) 民間機関が運営する病院・医院における「効果的なコミュニケーション」

民間機関が運営する病院・医院においては、聴覚障害を持つ患者、その家族等への

「効果的なコミュニケーション」の提供が義務付けられている。費用は、病院・医院 が負担する。

個々の具体的な場合についての補助手段については、法律、施行規則に規定はない が、司法省のADAガイドマニュアル73では、

① 通常、筆談や指差しで足りうる場合の例

・見舞客が病室の番号を訪ねる場合

・病院内の売店で買物をする場合

② 通常、書面を用いれば足りうる場合

・治療費を請求する場合⇒請求書

・既往歴を問診する場合⇒問診表

③ 適格な手話通訳(VRI含む)またはCART等が必要な場合

・患者が医師に症状を告げる場合

・医師が診断結果や治療法の選択、手術について患者や家族に説明し、同意を得 る場合

・カウンセリング、母親・父親学級

等のより複雑で相互的なコミュニケーションの場合

73 ADA Business BRIEF

Communication with People Who Are Deaf or Hard of Hearing in Hospital Settings http://www.ada.gov/hospcombr.htm

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なお、緊急時を除き、家族に通訳を依頼するのは避けるべきである。

上記ADAガイドは、他にも、

・電話リレーサービスによる電話に対応できるように職員研修を行わなくてはな らない

・聴覚障害を持つ患者のニーズに合わせて、病室には、タイプライター付き電話、

補聴器対応の音量調節付き電話等を設置しなければならない

・病室のテレビを字幕対応にしなければならない

・緊急事態の避難方法については、聴覚障害を持つ患者、家族等の存在を考慮し て計画しなければならない

・ロビー等の公共の場には、タイプライター付き公衆電話等を設置しなければな らない

・音によるアラームが設置されているところには、アラームランプを設置しなけ ればならない

等と規定している。

【コラム】民間機関が費用負担をする制度

米国では、民間機関を「効果的なコミュニケーション」提供の義務主体とし、補助手 段にかかる費用負担を各民間機関の責任としている。そのため、例えば、特に小規模な 医院・法律事務所等では、手話通訳やCARTへの対応を渋られ、聴覚障害者が、医師、

弁護士と補助手段について交渉をしなければならない場合もある。このように、各民間 機関が費用負担を行う制度は、「効果的なコミュニケーション」の保障の点からも、費 用負担を行う民間機関と行わない民間機関の間の公平性に欠ける点でも、ADAの課題と なっている。

この点につき、全米ろう協会を訪問した際の説明によると、電話リレーサービスにお けるユニバーサル料金の考え方を応用して、医師会費や弁護士会費の一部を「効果的な コミュニケーション」を提供するための補助手段の費用に充てる等の組織的な対応をす ることが考えられているとのことである。そのようにすれば、上記の例では、聴覚障害 者が医師、弁護士と交渉する必要がなくなり,医師、弁護士も必要なときに手話通訳や CARTを手配することができ、費用負担の面でも公平性が確保されることとなる。しか しながら、医師会、弁護士会の合意を得るのがなかなか困難であり、活動が必要である とのことであった。

ADAは、「社会保障法」ではなく、「市民権法」であり、米国には、日本における行政 による公費の手話通訳・要約筆記派遣制度はない。「効果的なコミュニケーション」の 保障を義務付けされる主体が公的機関の場合は、大きな問題は生じないが、民間機関の 場合は、問題が浮き彫りとなる。

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【コラム】コミュニケーション方法の選択権

米国では、個々具体的な場合における「効果的なコミュニケーション」を提供するに あたっての補助手段の選択については、具体的な法律の規定がなく、聴覚障害者の要望 を優先的に考慮することが規定されているものの、最終的には、「効果的なコミュニケ ーション」を提供する義務主体が判断することとなっている。

すなわち、米国で、聴覚障害者が保障されているのは、「効果的なコミュニケーショ ン」の提供を受けることであり、聴覚障害当事者のコミュニケーション方法の選択権を 前提とする障害者権利条約、日本の障害者基本法と異なっている。この点は、費用負担 の問題と関連する点があるが、問題提起が必要であると思われる。

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