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FWC で開講される予定であった科目は、「FWC 設立法 9」の中に規定されている。また、

FWC で実際に開講されていた科目は、ヴァルシュネーヤ、スィッディーキー、浜渦、浅田がそ れぞれの文献の中で挙げている。これらの文書や文献中で挙げられている科目名の中には、

共通して見られるものと、そうでないものが見受けられる。

本節では、開講されていたとされる各言語科目に焦点を当て、講義の受講状況や、それら の言語がFWCにおいて重視された程度等について見ていくこととする。

5-1-1 授業の履修形態

授業の履修に関しては、「FWC法」の中で、以下の通りに示されている。

Ⅳ.全学期とも、教授(Professors)、講師(Lecturers)、教師(Teachers)は、FWC 評議員会に よって規定された方法で学生を指導するものとする。全学生は各学期とも、1 言語以上のイン ド諸語の授業を受ける。履修した授業は、学期の最後まで出席するものとする。

〔P.P. 1812-13, p.23〕

授業の日程については、かなり詳細な記述が存在する。

言語の授業は、週2回のペースで行われていた。1800年11 月15日付でアラビア語、ペ ルシア語、ヒンドゥスターニー語の講義の開始が決定したが〔Ranking 1911, p.7〕、その際に はアラビア語は1800年11 月24 日月曜日から月曜日と木曜日の10 時、ペルシア語は11 月25日から火曜日と土曜日の 10時、ヒンドゥスターニー語は11月26日から水曜日と金曜 日の9時から開始されると定められた。この時間割は、1800年12月31日まで適用されるこ とになった。その後、1801年4月29日には講義時間が変更となり科目も追加され、ペルシア 語とアラビア語は月曜日と木曜日、ヒンドゥスターニー語は火曜日と土曜日、ベンガル語は水

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曜日と金曜日に開講されることとなった〔Vārṣṇeya, 1947 pp.19-21〕。1801年1月1日から 4月28日までの時間割については正確なところは不明であるが、恐らくそれまでと同じ曜日と 日時で授業が続けられていた可能性が高い。

5-1-2 開講科目に関する各記述の比較

最初に、開講予定とされていた、もしくは開講されていたという記述がなされている科目名を、

各文献や文書毎に以下に示す。これらの科目名は、ウェルズリーが設立法9の中で挙げてい る科目名と基本的には一致しており、後述する 1803 年の公式文書中ではそれらよりも挙げら れている開講科目が少ないことから、各著者は、P.P.で示された予定開講科目と、実際に開講 された科目とを混同している可能性がある。なお、列挙している科目の順番は、比較しやすい よう統一し、さらに言語科目とそれ以外の科目とに分けた。引用文献中での科目の順番は、以 下に挙げる通りではない。

(1)「FWC設立法9」の中でウェルズリーが挙げた予定開講科目

(a)言語科目

アラビア語、ペルシア語、サンスクリット語、ヒンドゥスターニー語、ベンガル語、テルグ語、マラ ーティー語、タミル語、カンナダ語

(b)その他科目

イスラーム法、ヒンドゥー法、倫理学、民事法律学、国際法、英国法、総督やセント・ジョージと ボンベイの統治者らによって制定された法、政治経済学(特に EIC の貿易組織と利益)、地理 学、数学、ヨーロッパ近代語(modern languages of Europe)、ギリシア語、ラテン語、古典英 語、古代と近代の一般的な歴史、ヒンドゥスタンとデカンの歴史と遺跡、自 然史(natural history)、植物学、化学、天文学

〔P.P. 1812-13, p.20〕

(2)ヴァルシュネーヤがFWCで開講が目指されていたとしている科目

(a)言語科目

アラビア語、ペルシア語、サンスクリット語、ヒンドゥスターニー語、ベンガル語、テルグ語、マラ ーティー語、タミル語、カンナダ語

94 (b)その他科目

イスラーム法、インドのダルマ・シャーストラ、倫理学、法学、国際法、大英帝国統治のために 総督とセント・ジョージやボンベイの統治者らによって制定された法、政治経済学(特にEICの 貿易組織と利益)、地理学、数学、ヨーロッパ近代諸語、ギリシア語、ラテン語、古代イギリス文 学(古典)98、古代と近代の一般的な歴史、ヒンドゥスタンと南部の歴史と考古学、自然科学 (prakriti-vigyan)、植物学、化学、天文学

〔Vārṣṇeya 1947, p.14〕

(3)ヴァルシュネーヤがFWCで実際に開講されていたとしている科目

(a)言語科目

アラビア語、ペルシア語、サンスクリット語、ヒンドゥスターニー語、ベンガル語、テルグ語、マラ ーティー語、タミル語、カンナダ語、ヨーロッパ近代諸語、ギリシア語、ラテン語

(b)その他科目

イスラーム法、ヒンドゥー法、倫理学、民事法律学、国際法、英国法、大英帝国統治のために 総督とセント・ジョージやボンベイの統治者らによって制定された法、経済学(特に東インド会 社の貿易組織と利益)、地理学、数学、古代イギリス文学、古代や近代のヒンドゥスタンと南部 の一般的な歴史、伝統技芸、自然科学、植物学、化学、天文学

〔Vārṣṇeya 1971, pp.330-331〕

(4)スィッディーキーがFWCで開講が目指されていたとしている科目

(a)言語科目

アラビア語、ペルシア語、サンスクリット語、ヒンドゥスターニー語、ベンガル語、テルグ語、マラ ーティー語、タミル語、ヨーロッパ近代諸語、ギリシア語、ラテン語

(b)その他科目

古典イギリス文学、(特に EIC の)商法、イスラーム法、ヒンドゥー聖典、倫理学、法律学、イン ド固有法、英国法、総督の枢密院やセント・ジョージとムンバイ管区の統治法、古代又は近代 の世界史、古代又は近代のヒンドゥスタンやデカンの歴史、医学史、植物学、化学、天文学 〔Siddiqi 1979, pp.114-115〕

98 ここではヒンディー語で書かれている文献記述(pracin angrezi sahitya(classics))を「古代イギリス文 学」と訳したが、英語の原語は不明である。

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(5)浜渦がFWCで開講されていたとしている科目

(a)言語科目

東洋諸語(アラビア語、ペルシア語、サンスクリット語、ヒンドゥスターニー語、ベンガル語、テル グ語、マラーティー語、タミル語、カンナダ語)

(b)その他科目

イスラーム法、ヒンドゥー法、地理学、数学、インド史、古典学、ヨーロッパ近代史、政治経済学 〔浜渦 2009, p.140〕

(6)浅田がFWCで開講されていたとしている科目

(a)言語科目 東洋現地語 (b)その他科目

イスラーム法、ヒンドゥー法、国際法、英国法、東インド会社の法律や規則、ヒンドゥスタン史、

民事法律学

〔浅田 1998, p.105〕

これらの内容を比べてみると、これら全ての中で共通して挙げられているのは、インド諸語 科目と、イスラーム法、ヒンドゥー法、インド史の科目である。インド諸語科目の具体的な言語名 については、スィッディーキーはカンナダ語を挙げておらず、列挙もれの可能性が高い。また、

インド諸語科目を浜渦は「東洋諸語」、浅田は「東洋現地語」としている。浅田は、東洋現地語 が指す具体的な言語名の詳細を挙げてはいない。また、ヴァルシュネーヤが挙げている「大英 帝国統治のために総督とセント・ジョージやボンベイの統治者らによって制定された法」という 科目は、浅田が挙げている「東インド会社の法律や規則」と類似しており、これら2つは一見同 一の科目を示しているかのように見受けられる。しかし、「FWC 法」9 は、これら 2 つを別個の 科目として挙げている。同様に、「FWC 設立法 9」で挙げられている「ヒンドゥスタンとデカンの 歴史と遺跡」という科目は、ヴァルシュネーヤが挙げている「ヒンドゥスタンと南部の歴史と考古 学」、「古代や近代のヒンドゥスタンと南部の一般的な歴史」という科目、さらにスィッディーキー の「古代又は近代のヒンドゥスタンやデカンの歴史」、浜渦が挙げている「インド史」という科目、

浅田が挙げている「ヒンドゥスタン史」という科目と同一科目のことを指していたと考えられる。

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但し、ここでヴァルシュネーヤ、スィッディーキー、浜渦、浅田が挙げている開講科目名は、

1800年の段階で「FWC 設立法 9」での予定開講科目を引用しているだけである可能性があ る。「FWC設立法9」とヴァルシュネーヤ、スィッディーキーの挙げている科目名は、「デカンの 歴史」と「南部の歴史」等といった表現の相違は見受けられるものの、ほぼ同一のものとなって いる。浜渦と木畑が挙げている科目は、いずれも「FWC 設立法 9」での予定開講科目名とほ ぼ同じ科目名が挙げられているが、「FWC 設立法 9」で挙げられているものと比べると科目数 は少ない。予定開講科目と実際に開講された科目とを判別するには、各科目が FWC におい て予算として計上されていたのかを見ることが有効である。そこで、FWC の当時の経費見積 表について見ていくこととする。

以下の経費見積表99では、実際に開講されていた科目が挙げられている。これらの科目が 開講されていたことは、経費を要していたことによって裏付けされている。

The laws and regulations of the British Government in India, Hindu law,

Greek, Latin,

Arabic, Persian, Hindostanee, Bengalee, Shanscrit, Mahratta, Experimental Philosophy,

Modern Languages

〔IOR/H/489, p.23〕

FWC では、自然科学や法律等の科目も開講されていた。自然科学系科目は、上記のうち

Experimental philosophy と挙げられている科目のことであったと考えられる。この科目は、

現代の自然科学に相当する科目であった。また、法律系科目としては、Hindu law と、The Laws and Regulations of the British Government in Indiaが開講されていた。これらの 科目のうち、The Laws and Regulations of the British Government in India、Hindu

law、Greek、Latin に関しては、1804年5 月1 日付の経費一覧表に科目名の記載がない

た め 、それ 以 前の 時期に 不 開講 になっ たと 考え られ る 。Experimental Philosophy と Modern Languagesに関しては、1804年5月1日付の経費一覧表には科目名が記載され ている。しかし、その後1805年6月1日に教員のポストが廃止されており、1805年8月以降

99 この見積表が作成された年については、詳しいことは判明していない。同文書中では、この見積書は 縮小措置が下される以前の時期のものであると述べられている。前にも述べた通り、1803年に取締役会 から詳細な縮小命令が下されたことから、この見積表はそれ以前のものであると考えられる。