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金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)

マネー・ローンダリング対策(Anti-Money Laundering:AML)の国際的な活動は、1989年に 先進7カ国グループがパリで年次経済サミットを開き、金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)を設置したことをきっかけに、急速な発展を遂げました。フランスが最初の議長国を務 めたこの多国間の政府間会合は、国際的なマネー・ローンダリングに対抗するために、組織的な取り 組みを開始しました。

当初、G-7金融活動作業部会と呼ばれていたFATFは、現在、マネー・ローンダリングに対抗する各 国政府の活動として、世界で最も重要な起爆剤の1つとして位置付けられています。最近では、IMFお よび世界銀行もこの分野で取組みを行っており、重要な役割を果たしています。

FATFは、世界中の銀行や企業における従来の業務遂行方法に関して、重要な変化をもたらしまし た。また、FATFは法律や政府の運営に対しても影響を与えています。

この政府間会合は、パリの経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development:OECD)に本拠地を置いており、同機構本部にFATFの事務局があります。

加盟国とオブザーバー

1991年から1992年にかけて、FATFの加盟国は16カ国から28カ国に増えました。2000年には31カ 国に、そして2003年には、現在の33カ国に増えました。(注1)

加盟国には以下の国々が含まれています。アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、

ブラジル、カナダ、デンマーク、欧州委員会、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、湾岸協力理 事会、香港(中国)、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルグ、メキシコ、オラン ダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、ロシア連邦、シンガポール、南アフリカ、スペイン、ス ウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国。

オブザーバー参加の国々(注2)

■中国

■大韓民国(韓国)

加盟国として認められるためには、下記の要件を満たしている必要があります。

■戦略的に重要である。

■FATF型地域体の、正式および現役のメンバーである。

■担当大臣、もしくは、同等の政治的地位にある人物が、FATFの勧告を妥当な時間内に履行し、

加盟国相互評価のプロセス(下記参照)に従う旨の政治的確約を示す文書を提出すること。

■ マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与を、犯罪であると定めること。金融機関に、

顧客の本人確認、顧客の記録保存、および疑わしい取引の届出を義務付けること。当該国 が、FATF勧告の1、5、10、13、FATF特別勧告のIIとIVを、完全に履行、もしくは概ね履

行と見なされるように、効果的な金融捜査機関(Financial Investigations Unit:FIU)を 設けること。

下記の各機構は、FATFの提携機関です。

■アジア太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(Asia/Pacific Group on Money Laundering:APG)

■欧州評議会マネー・ローンダリング対策評価専門家委員会(Council of Europe Select Committee of Experts on the Evaluation of Anti-Money Laundering Measure:

MONEYVAL)- 前身は欧州会議特別委員会(PC-R-EV)

■南米金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering in South America:GAFISUD)

下記の国際機関および国際組織は、FATFにオブザーバーのステータスを有しています。こ れらはFATF型地域体であり、FATFと似た形式と機能を備えています。FATFの加盟国の中 には、これらの機関に加盟している国もあります。(注3)

■カリブ金融活動作業部会(Caribbean Financial Action Task Force:CFATF)

■ユーラシア・グループ(Eurasian Group:EAG)

■東部・南部アフリカ・マネー・ローンダリング対策グループ(Eastern and Southern Africa Anti-Money Laundering Group:ESAAMLG)

■西アフリカにおけるマネー・ローンダリング対策政府間活動グループ(Intergovernmental Action Group against Money-Laundering in Africa:GIABA)

■中東および北アフリカ金融活動作業部会(Middle East and North Africa Financial Action Task Force:MENAFATF)

目的

FATFは、下記の項目を含む、重要な課題に取り組んでいます。

1. マネー・ローンダリング対策のメッセージを世界に広める。

FATFは、加盟国を増やし、世界の様々な地域にマネー・ローンダリング対策の地域機関を 設け、他の国際機関と協力することで、AMLおよびテロ資金供与対策のグローバルなネッ トワークの構築を推進しています。

2. FATFの勧告が、FATF加盟国によって履行されているかをモニタリングする。

履行のモニタリングには、2通りのアプローチがあります。

■年1回の自己評価の実行。加盟国は、勧告の遵守の実態に関する詳細な標準質問票に、回 答することを要求されます。この情報は集積および分析され、個々の国々とグループ全体 の両方で、勧告がどの程度実行されているかを評価するための基礎となります。

■より詳細な相互審査の手続き。加盟各国は、FATFの現地審査を受けます。審査の実施は、

他の加盟国の政府から派遣される、法律、財務、および法執行分野の3、4人の専門家に

よって行われます。評価対象国におけるマネー・ローンダリング対策の効果的なシステム の構築がどの程度まで進んだか、もしくはまだ改善が必要な領域があるかについて、専門 家たちが報告書を作成します。

FATFの「マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(AML / CFT)のメソドロジー」

(Anti-Money Laundering/Combating Terrorist Financing(AML/CFT)Methodology)

(2004年公表、2006年6月改訂)は、各国におけるFATFの勧告遵守状況を判断する際に 役立ちます。このメソドロジーには、FATFの40の勧告とFATF特別勧告の原則が反映さ れています。また、FATFやFATF型地域体による相互評価、IMFおよび世界銀行による金 融セクター(部門)評価プログラム、そしてIMFによるオフショア金融センター評価プロ グラムにおける経験に基づいたものになっています。

FATFには、勧告に従わない加盟国に対して罰金や罰則を科す権限はありません。そのた め、FATFの勧告の履行にはあまりインセンティブが働かないという問題があります。

1996年、FATFは、FATFの勧告を遵守できていない国々の扱いに関する新しいポリシー を設けました。FATFはこれについて、“加盟国間のプレッシャー(Peer Pressure)を 高めることを目的とする、段階的なアプローチ”と言っています。第1段階では、その国 に、進捗に関する報告を総会で提出することを要求します。次の段階では、その国に、

FATFの理事長からの文書が届く、もしくは、FATFの上層部の派遣団の訪問を受ける可能 性があります。また、FATFは、勧告の21条を適用する可能性もあります。21条には、各 金融機関に対して、勧告を遵守しない国に本拠地を置く個人、会社および金融機関とのビ ジネス関係や取引には特別な注意を喚起すると定められています。最後の手段として、

FATFは、その問題国の加盟国としての権利を停止することができます。

1996年9月、トルコは、この同盟国間による“ピア・プレッシャー ”ポリシーの適用対象 となった最初のFATF加盟国となりました。1990年以降加盟しているにもかかわらず、ト ルコは依然として、マネー・ローンダリングを犯罪と見なそうとはしていませんでした。

FATFは、トルコのマネー・ローンダリング対策が不十分であるとして、世界の各金融機 関に対し、トルコの個人や企業とのビジネス関係や取引を警戒するようにとの警告を発し ました。その1カ月後、トルコはマネー・ローンダリングに関する法律を制定しました。

FATFは1989年以来、世界へのマネー・ローンダリング規制の浸透を大きく促進させてき ました。FATFは、自身が推奨するAML管理を真剣に検討するよう、一部の加盟国政府に 対して説得を行っていますが、その努力は空回りしています。FATFの加盟国の中には、

世界有数の金融システムを持つ国々があり(例えば米国)、それらの国々は、多くの勧告 の導入を様子見しています。

3. マネー・ローンダリングの傾向と対策のレビュー(“犯罪類型分析”の実行)

金融システムに地理的な限界というものがなくなり、あらゆるタイムゾーンで24時間営業 しているため、犯罪者たちは金融システムの新しい弱点を常に探し、また、FATFの加盟国 やその他の国々が導入する対策の裏をかくために、マネー・ローンダリングの手口を変化さ せています。FATF加盟国は、FATF勧告が時勢に合ったものであることを確かめるため、マ

ネー・ローンダリングの傾向について情報を収集しています。

1989年に設立されて以来、FATFは、5年ごとにその存続について検討しています。2004年5月に、

加盟国は組織の存続を今までで最長の8年間延長しました。このことは、FATFが、マネー・ローンダリ ングおよびテロ資金供与にグローバルで対抗するための、恒久的な機関になる可能性を示唆します。

FATF加盟国は、FATFが2012年12月まで運営を続け、更新について再び検討することに合意しまし た。ただし、延長された8年の期間の途中で、組織の活動と使命について見直す可能性があるとしてい ます。

加盟国は、40の勧告およびテロ資金供与に関する8つのFATF特別勧告(注1)の見直しを引き続き行う こと、その実行に関するガイドラインを発行することについても合意しました。これら“2セットの勧告を統 合”し、“1セットの基準”にまとめることが望ましいかどうかを考慮する、と加盟国は述べています。

FATFの40の勧告

FATFの取組みにおける重要な要素は、各国が実行すべき適切な対策の詳細なリストです。これらの 対策は、「40の勧告」として提示されています。「40の勧告」は、1990年の公表後、1996年と2003 年に改定され、2004年10月に更新されています。

この勧告は、世界中で、国内外における有効なマネー・ローンダリング対策の青写真となっていま す。

IMFと世界銀行は、40の勧告を、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に対抗するための国際 的な基準であると認識しています。IMF、世界銀行、およびFATFは、FATFの勧告の遵守を評価する ための共通のメソドロジーについて、2002年に合意しました。

40の勧告は、マネー・ローンダリング対策の一式を示しており、次の各項目にわたっています。

■刑事司法制度と法の執行

■金融システムとその規制

■国際協力

各国は、それぞれ異なる法制度および金融制度を備えているため、マネー・ローンダリングおよびテ ロ資金供与に対抗する手段として共通の制度を使用することができないことを、FATFは認識しています。

勧告は、各国がそれぞれ特有の環境や憲法の枠組みに沿って実行すべき最低限の行動の基準を設定 するものです。

2003年に行われた40の勧告の改訂で、FATFは違法な資金移動に対する取締りの国際的な基本方 針の範囲を拡大しました。その結果、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に対抗する手段を強 化する意図で、大きな変更をもたらしました。それは、世界の大部分が、マネー・ローンダリング対策 関連規制の第一世代に対応すべく努力している段階で、政府、国際組織および民間企業に新たな圧力 を加えるものでした。