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国際貿易を通じたマネー・ローンダリングの例

出典:米国国土安全保障省

グを始めた既存の金融機関です。

1997-1998年のFATF犯罪類型報告で、FATFは、インターネット・バンキングやテレフォン・バンキ ングによって、銀行とその顧客の間に距離が生じ、従来の本人確認の基本であった物理的な接触が減 少する、あるいは、完全に排除されると述べています。FATF は、これらのサービスは、利便性および 実務面において明らかに優れているが、従来の顧客管理の手法が通用しないため、マネー・ローンダリ ング活動の検知がより困難になる、と指摘しています。

オンライン・サービスを提供する金融機関の最大のマネー・ローンダリング・リスクは、提供された 本人確認の書類と顧客との照合がより一層困難である点です。

その他のリスクには以下のようなものがあります。

■オンライン・バンキングの特性から、顧客と金融機関の従業者間の直接的な接触が排除さ れ、必然的にその口座の真の受益者の把握が困難である点。

■インターネットを通した容易なアクセス。

■電子商取引の迅速性。

FATFは、サイバー上のマネー・ローンダリング対策として、以下を提案しています。

■ インターネット・サービス・プロバイダーによるサーバー接続に使用されるインター ネット・プロトコル番号および電話番号を含む、トラフィック・データのログ・ファイル 構築。

■ 法執行機関とのサーバーを通して収集される情報共有。

■ 収集した情報の最大1年間の保存。

■ インターネット・サービス・プロバイダーによる、サーバーを通過した利用者に関する 識別情報を含んだ記録の保管。

“従来型の”銀行同様に、オンライン・バンキング・サービスを提供する金融機関も、金融機関と取 引を行おうとする顧客の身元を、ソフトウェアか、人手か、あるいは両者の組み合わせによって確認する ための手続きを整備しておく必要があります。これは、顧客確認をほぼパスワード入力に依存しているオ ンライン銀行には困難なことでしょう。FATFは、だれもがオンラインで開設した口座へアクセスできるの で、その口座にアクセスした人物を本人かどうか確認することは不可能、と述べています。

取引が行われたコンピューターを追跡するための“ログ・ファイル”が使用されていないサーバーがある という事実が、この問題を複雑にしています。つまり、サーバーのインターネット・プロトコル番号およ び接続日時が電子ファイルで記録されていないため、電子取引のルートは秘密裏に保たれ、事実上追 跡できない、とFATFは述べています。

オンライン・バンキングは、マネー・ローンダリングの3つの段階で利用可能であるため、マネー・

ローンダラーにとって魅力的といえます。

■…プレイスメント —銀行、証券、あるいは不動産等の合法的な場所に、なるべく資金源や 真の受益者の形跡を残さぬようにして、犯罪収益を置こうとします。通常、サイバース ペースの銀行は、従来型の預金を受け付けませんが、資産の保管(世界中に様々な形で保 有されている資産の権利の保管、照合、譲渡)のような形でサイバー銀行が編成される可 能性があります。マネー・ローンダラーが伝統的な商業銀行を装って、現金やその他の大

口商品の倉庫のように、預金の受け入れを行う独自のシステムを作ることも可能です。こ のように、サイバースペースの銀行は、マネー・ローンダラーに、高度に安全が保たれ、

気づかれるリスクの低い“プレイスメント”の手段を与える可能性があります。

■…レイヤリング —ローンダラーは、暗号化した電子メールおよびサイバースペースの銀行 送金によって、世界中どこでも1日のうちに何度も資産を移動させることができます。

■…インテグレイション —レイヤリングが終わると、サイバースペースのバンキング・テク ノロジーを利用して、2通りのインテグレイションが可能です。サイバー銀行が、実際の 資金移動を伴わない、個人間の現金のような送金を認める場合、既存の通貨取引報告に関 する規制が適用されない可能性があります。また、“スーパー・スマート・カード”の技術 を使えば、ATM取引を駆使して、世界中で資金を移動することができます。この技術に より、ATMカードを使って容易に“口座”残高を引き出すことができます。

インターネット・カジノ

FATFによると、インターネット上の賭博は、マネー・ローンダリング・スキームを隠蔽する手段として 理想的なウェブ上の“サービス”ではないかと見られています。一部のFATFの法域(司法権の異なる国 や地域)で、インターネット賭博を利用して犯罪行為を行い、犯罪収益を洗浄した証拠が挙げられてい ます。インターネット賭博の潜在的な問題に対処するための規制や営業ライセンスもしくは賭博サービス の全面禁止、といった試みにもかかわらず、インターネット上のリンクを追跡することができないという上 記の問題に加えて、数多くの懸念が残っています。例えば、主にクレジット・カードを使用して取引が 行われ、また、多くのオンライン賭博サイトが、オフショアに拠点を持つため、関係者の所在地の特定 および起訴が非常に困難、あるいは不可能となっています。さらに、賭博取引は、その記録が証拠とし て必要な場合がありますが、賭博取引が賭博サイトのソフトウェアに基づいて行われた場合、そのような 証拠の収集や提示がより困難になる場合があります。

米 国 国 務 省による2003年の「 国 際 薬 物 取引についての報 告 書 」(International Narcotics Strategy Report)によると、インターネットによって、犯罪者は瞬時に資金を移動することができ、ま た、規制が緩いオフショアの拠点では顧客基盤を増やしています。バーチャル・カジノは、政府にも収 益をもたらすため、政府が賭博サイトのライセンスを販売し、賭博事業者の利益の一部を受け取ってい る可能性もあります。オンライン賭博サイトに関わるオフショア金融センターの数は、2002年から2003 年にかけて、2倍以上に伸びており、報告書は、そうした国におけるオンライン賭博の管理が不十分で あると結論付けています。

実例

  2003年、米国ミズーリ州のセントルイス(St.Louis)検事局は、大手インターネット 決済サービス提供会社で、電子メールによる通貨交換サービスを提供しているペイパル

(PayPal)を、オンライン賭博会社への支払いを処理したとし、マネー・ローンダリング に関する法律(犯罪収益の国際移転を禁じる法律)に違反した罪で起訴しました。米国の

法律は、州の認可なしに送金事業を行うことを犯罪としています。この条項は、米国愛国 者法によってさらに強化され、認可を受けた事業者であっても、“犯罪行為から生じた、あ るいは違法行為の促進または支援を意図した”資金を送金する行為は犯罪と定められていま す(合衆国法典18編第1969条)。ミズーリ州東部地区検事は、ペイパル が違法なオンライ ン賭博によって得られた資金を繰返し送金していたことから、ペイパル に対し、2001年10 月26日から2002年7月31日までの期間に得たオンライン賭博による利益に利息を足した額 を、罰金として支払う命令を下す可能性がある旨を、2003年3月28日付の通告で告知しま した。また、同社に刑事訴追を受ける可能性があることも告知しました。2002年7月、ペイ パルは、オンライン賭博サービスに関する書類を連邦大陪審に提出しました。2002年8月、

ペイパルは、ニューヨーク州地区検事と、ニューヨーク住民から賭博業者への支払いの処理 を停止することで合意しました。同社は罰金として20万ドルを支払い、利益を放棄しまし た。ペイパル は、2002年11月、オンライン賭博業者への支払処理を停止しました。オンラ イン・オークションの大規模業者のイーベイ(eBay)に合併されてから1 ヵ月後のことで した。イーベイの証券取引委員会に対する2002年の年次報告書によれば、2002年のペイパ ルの収益のおよそ6%は、オンライン賭博業者から得たものでした。この報告書でイーベイ は、ペイパルは“自社の行為がマネー・ローンダリングに関する法律に違反するものではな いと信じて、善意で行動していた”と、述べました。オンライン賭博からの利益の額は公表 せずに、 “この件に関連する金額は、当社の財務状況、業績、キャッシュ・フローには、大 きな影響はないと予想される”とイーベイは述べました。しかし、同社はこの起訴で生じう る損害を未だ警戒しています。 “ペイパルの民事もしくは刑事違反に関するいかなる調査結 果も、いかなる和解の可能性も、業務上、送金ライセンスを必要とする法域(司法権の異な る国や地域)でのペイパルの送金ライセンスの取得、維持、更新を危うくする可能性があ る。”と報告書に述べられています。米国上院行政監察小委員会(U.S. Senate Permanent Subcommittee on Investigations)による2001年のヒアリングによると、バンク・オブ・

アメリカ(Bank of America)とJ.P.モルガン・チェース(J.P. Morgan Chase)における、

外国の銀行が所有するコルレス口座を通して、オンライン賭博で得られた数千万ドルの資金 が移動していたことが明らかになりました。米国では、オンライン賭博を制限するために、

多くの法案が提出されていますが、まだ最終的に可決された法案はありません。

米国最大のクレジット・カード発行会社の1つであるシティバンク(Citibank)は、同社が発行する ビザ(Visa)およびマスターカード(Mastercard)付きのクレジット・カードに対してオンライン賭博 での使用を禁止しました。その他大手クレジット・カード会社が、シティバンクに追随したこともあり、

サイバースペースにおけるマネー・ローンダリングの機会は減少してきています。

クレジット・カードがオンライン賭博で利用されていることを、金融機関はどのように検知するのでしょ うか。カードは取引の種類を示すコードを頼りにしています。多くの場合、クレジット・カードの明細 には、例えば、娯楽や旅行等、顧客が何にカードを利用したのかを示すコードが表示されます。銀行 は、オンライン賭博のコードの取引をブロックすることができます。