ハワラは有効なプレイスメントの手口となります。ハワラ業者が現金を受け取る場合、その現金を銀行口 依頼者 / 送金者
依頼者 / 送金者 ハワラの銀行員ハワラの銀行員
受領者
受領者 ハワラの銀行員ハワラの銀行員
外国
(アジア / 太平洋または海外)
外国
(アジア / 太平洋または海外)
本国
(アジア / 太平洋)
本国
(アジア / 太平洋)
依頼者は、現地のハワラの銀行員に連絡をとる。外 貨で 10,000 米ドル相当の本国への送金を依頼する。
依頼者は、銀行に 10,000 米ドルを支払い、資金受 領用のコード番号(コレクション・コード)を受け 取る。少額の手数料、または外国通貨に換えるとき の有利なレートが、銀行の利益となる。
受領者は、資金受領用のコード番号を示す。現地ハワラの 私的な現金準備の中から、10,000 米ドル相当の現地通貨 を、受領者に支払う。
10,000 米 ド ル の 貸借が、銀行同士 の間に生じる。こ れは、将来の取引 や、相互の送金に よって決済される。
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送金金額と送金先が通知される 送金金額と送金先が通知される 資金受領用のコード番号が通知される 資金受領用のコード番号が通知される
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ハワラ
出典:インターポール(国際刑事警察機構)
座に預け入れます。銀行には、合法的な事業による収益であると、預金の正当性を説明します。また、
受領した現金のいくらかを事業の費用として支払うことにより、銀行口座に預け入れる現金を減らす場合 もあります。
また、多くのレイヤリングに見られる要素に、書類の証拠を残さずに、資金をある口座から別の口座 に移動させることがあります。基本的なハワラ送金では書類の証拠がほとんど残らず、ハワラ送金が何 重にも重ねられると、追跡がより困難になります。この方法は、複数の国に及ぶハワラ業者を使って行 われます。
ハワラの手法を用いると、資金を実質どのような形にも変えることができるため、インテグレイション の段階で、見た目の合法性を与えるのに役に立ちます。例えば、資金が合法もしくは合法に見える事業 に再投資されます。ハワラ業者は、事業投資の一環として、米国からパキスタン、パキスタンから米国 と、容易に資金を移動することができます。
テロ資金供与を行う者にとってハワラが魅力なのは、公式な金融機関とは異なり、政府の監督対象 になる可能性がなく、標準の形式で詳細な記録を残さないためです。ハワラ業者に台帳はありますが、
多くの場合、独特の速記で書かれており、短期間しか保管されません。
アルカイダは9・11以前に、ハワラを利用して資金の多くを移動していました。アルカイダが1996年 にアフガニスタンに移った時、アフガニスタンの銀行システムは信頼に足るものではなかったため、ハワ ラ以外の選択肢がなかったのです。ビン・ラディン(Bin Laden)は、資金を効率よく送金するため に、パキスタン、ドバイ、そして中東全域に渡って張り巡らされたハワラのネットワークを利用していまし た。アルカイダは、アルカイダの資金源およびその目的を知っていたとされる12人程度のハワラ業者を 利用しました。アルカイダはまた、アルカイダと取引をしていると強く疑いながらも取引に応じた、無関心 なハラワ業者も利用しました。
実例
アル・バルカート(Al-Barakaat)(文字通りには“祝福”という意味)は、ソマリアを中 心に世界中に販売経路を張り巡らされた送金システムであり、ソマリア政府および銀行シ ステムの崩壊後に形づくられました。情報コミュニティによると、アル・バルカートは、
オサマ・ビン・ラディン(Osama Bin Ladin)から、活動開始のための資金を受け取り、
テロリスト・グループのアルイティハード・アルイスラミヤ(Al-Itihaad Al-Islamiya、以 下、AIAI)と密接な関係もしくは支配下にあったとされています。また、その収益の一部 がAIAIの資金に充てられ、その一部がビン・ラディンに渡されたと言われています。米国 FBIは、アル・バルカートのネットワークについて1999年初めに情報調査を行い、2000年 には刑事事件として捜査に着手しました。9・11の直後、世界中の捜査で、アル・バルカー トの資産凍結並びに帳簿類が差し押さえられました。アラブ首長国連邦による前代未聞の協 力により、アル・バルカートの帳簿類が入手され、財務面の分析を含めたその後のFBIの調 査では、アル・バルカートとAIAIおよびビン・ラディンの関係疑惑は証明されませんでし た。米国では、アル・バルカートの活動は刑事事件に発展することはありませんでした。
米国外国資産管理局(OFAC)は、凍結は指定の証拠基準を満たすと訴えたものの、行政命
令によって米国で凍結された資産の大部分(と国連決議による他国の資産凍結)は結局解 除され、米国のアル・バルカート送金者が法的措置に対する訴訟を起こした後、資産は返 還されました(出典:テロ資金供与に関するモノグラフ、米国テロ攻撃国家委員会、2004 年(Monograph on Terrorist Financing, the National Commission on Terrorist Attacks Upon the United States, 2004))。
慈善事業もしくは非営利団体
故意か否かにかかわらず、慈善団体は、テロ目的の資金調達もしくは洗浄手段に利用されます。その 結果、特にイスラム教関係の慈善団体は、急激に寄付金が減少しているか、もしくは彼ら曰く、不公平 な調査や告発の対象になっています。
慈善団体や非営利団体はテロ資金供与に対して脆弱な、以下のような特徴を有しています。
■社会的信頼を持つ。
■相当な資金源を利用できる。
■取引が主に現金で行われる。
■世界中に拠点を持ち、テロ活動にさらされた領域内やその近隣に存在する。
■規制がほとんどないか、または全くない、あるいは、設立の妨げとなる障害が少ない。
合法的な非営利団体が、テロ関連の事業体との関係を避けて公的信頼を取り戻すために、金融活 動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)は、非営利団体の濫用に対抗するのためのベ スト・プラクティスについてのガイドラインを2002年に発表しました。ガイドラインは、テロ資金供与に 関するFATF特別勧告に関連するもので、銀行口座および海外支社の管理および会計まで、慈善活動 運営の全段階を網羅しています。非営利団体に対して、FATFは次のように勧告しています。
■すべての費用の内訳を示した全体予算プログラムを作成し、いつでも提示できるようにし ておくこと。
■独立した内部監査および外部監査を行うこと。後者については、資金が、意図された目的 のために使われていることを確認すること。
FATFは、慈善団体に対して、資金を銀行規制や銀行管理下において、正式な銀行口座を利用した 資金の蓄積や移動を行うよう勧告しています。口座が開設された銀行では、非営利団体をその他の顧 客と同等に扱うことで、銀行の顧客確認(Know Your Customer:KYC)の規程を適用し、疑わし い活動を報告することができるようになります。
まとめ
マネー・ローンダリングは、違法な行為から得られた資金を、合法的な資金源から派生したかのよう に装い、金融システム内を移動させる場合に発生します。
マネー・ローンダリングには通常、3つの段階が存在し、それぞれ、プレイスメント、レイヤリング、お
よびインテグレイション、と呼ばれます。プレイスメントの段階では、現金や現金同等物が金融システム に投入されます。レイヤリングの段階では、資金源を曖昧にする一連の金融取引を通して、資金が別の 口座に送金もしくは移動されます。最後に、インテグレイションの段階では、資金が経済に再び投入さ れ、まるで合法的な資金源によってもたらされたかのように見せかけます。
マネー・ローンダリングは、犯罪や汚職の増加、合法的な民間部門の弱体化等、経済および社会 的な影響を及ぼします。
マネー・ローンダリングには、テロやテロ組織の支援を目的とした資金の移動も含まれます。この場 合の資金源は、合法的もしくは非合法的のどちらもありえます。仮に合法的な資金源から生じていて も、その資金の移動は、資金源を隠蔽するために、前述のマネー・ローンダリングと同じパターンをと る場合があります。
歴史に見られるように、銀行はマネー・ローンダリングの手段として重要な機能を果たします。この章 では、電子資金決済、コルレス銀行口座、ペイヤブル・スルー口座(Payable-Through Account:
PTA)、プライベート・バンキング等、銀行やその他の預金機関を介したマネー・ローンダリングにつ いて、特に危険な領域の説明を行ってきました。ノンバンク取引を介した犯罪収益の使用に関するいく つかの事例によって、自動車販売業者、送金ビジネス、証券、および保険業界等の他の業界を、マ ネー・ローンダリング対策の傘下に含めるべきであるとの強い議論が提起されています。
プリペイド・カード、オンライン・バンキング、およびEキャッシュ(E-cash)等の新しいテクノロジー は、新たなローンダリングの機会を提供します。オンラインの金融機関が、高いレベルの銀行の機密保 持で知られる地域にあり、口座開設に身元証明があまり必要でない、もしくは全く必要でない場合、マ ネー・ローンダラーは、自分のパソコンから資金を移動することができます。特定のプリペイド・カード やEキャッシュ(E-cash)のシステムも、取引に上限が設けられていないという意味で、同様のリスクを 伴います。一貫した基準や監督当局による適切なモニタリングが欠如している場合、こうした新しいテク ノロジーが、マネー・ローンダリングに濫用される可能性があります。