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過密配筋対策および継ぎ手・定着

ドキュメント内 Taro-前書.jtd (ページ 72-77)

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写真 4. 2.1  酒田塩害橋の事例

4.4  過密配筋対策および継ぎ手・定着

* 主鉄筋の中心からコンクリート表面までの最短距離で囲まれる範囲を対象として,単位高さに含まれる鉄筋 体積比 (軸方向鉄筋と帯鉄筋の体積)および(コンクリート体積) を有効換算鋼材量と定義する. 

解説 図 4.4.1  柱部材におけるかぶり近傍の有効換算鋼材量

の算出方法

鉄)

 

 

4.4  過密配筋対策および継ぎ手・定着   

4.4.1  過密配筋対策 

(1) コンクリート構造物の設計では,原則として過密配筋を回避するように配慮しなければならない.ま た,やむを得ず過密配筋となる場合には,設計時において適切な施工時の対策を提示しなければなら ない. 

(2) かぶりあるいは鉄筋のあきは,部材の種類および寸法,粗骨材の最大寸法,鉄筋の径,フレッシュコ ンクリートの施工性等を考慮して,コンクリートが鉄筋の周囲にゆきわたり,鉄筋が十分な付着を発 揮できる寸法を確保しなければならない設). 

 

【解  説】  (1)について  現在の耐震設計規準では,従来の震度法と比較して大きな地震荷重に対する耐震 性向上や復旧性を確保するため,過密配筋になっている場合が多い.このため,コンクリートの打込み不良 や締固めが不十分なことに起因した初期欠陥による耐久性能の低下が懸念される. 

ここでいう過密配筋とは,標準的なコンクリートを標準的な方法で打込みおよび締固めた場合に,所要の 品質を得ることが困難と想定される配筋状態をいう.過密配筋の状態は,構造物の規模,部材・部位などに よって異なり,かつ,コンクリートを連続して打ち込む量,締固め装置の種類やその方法などによっても異 なるため一義的に定めることは困難であるが,土木学会「施工性能にもとづくコンクリートの配合設計・施 工の指針(案)」では,過密配筋の程度を柱部材では解説 図 4.4.1に定義される有効換算鋼材量を用いて,

700kg/m3程度以上,はり部材や壁部材では鋼材量が概ね 200〜350kg/m3程度を超えると過密配筋と判断して いる.設計者は過密鉄筋とならないよう計画すべきであるが,必ずしも現行の設計基準を満足できない場合 

 

がある.また,主鉄筋間隔を基準通りで設計しても,継手部や定着部では鉄筋の空きが確保できない場合が あるため,機械式定着工法・機械式継手工法を活用することも有効である.さらに同指針(案)では,柱部 材,はり部材,壁部材や接合部などの具体的な施工事例を通じて,コンクリートのスランプ,打込み方法・

締固装置や締固方法などを紹介しており,過密配筋に対する対策の参考にすると良い.なお,施工性能から 定まる打込みの最小スランプ値が 15cm を上回る場合,コンクリートの落下高さ 1.5m 以下にできない場合,

あるいは締固めの作業高さが 3.0m を超える場合には,高流動コンクリートの使用も可能とする. 

(2)について  コンクリート構造物では,鋼材のあきが主鉄筋,配力鉄筋,スターラップ,帯鉄筋,用心鉄 筋では確保されていても,それらの交差する部分,組立鋼材,継手部分,フックなどがある場合やシースな どが複雑に配置されている場合には,所定のあきが確保できない部位が生じることが想定され,打込みにあ たってコンクリートポンプの筒先の挿入が不可能な場合や,締固めに使用するバイブレータが下部まで挿入 できない場合も生じている.すなわち,(1)によって示される鋼材量以下であっても,構造物の部材・部位に よっては過密配筋となることが予想される.これと同じく,土木学会 コンクリート標準示方書[構造性能照 査編]や道路橋示方書などに規定された鉄筋のあきの基準値を満足していても,部分的に過密配筋となって 不完全な充てんや締固めの事例も生じている. 

根本的には,鉄筋の重ね継手やフックなどの重なりを避けるために,設計者は密に鉄筋を配置しない設計 を心がけるべきである.また,平面的な図面に記載されたあきやかぶりの確認だけではなく,鉄筋の組み立 て順序や工程に無理がないこと,完成した鉄筋かごがバイブレータの挿入を妨げないことに配慮しなければ ならない.なお,一般に使用されるバイブレータの径は 50mm 程度であり,これを挿入するための十分なあき が確保できない場合には,発注者との協議を行い,配筋状態に応じた打込み,締固の装置,締固め方法など を計画段階において確認することが重要である. 

   

4.4.2  鉄筋の継手  4.4.2.1  一  般 

(1) 継手部は,適切な方法によって所要の性能が得られることを確かめなければならない. 

(2) 鉄筋継手は,母材鉄筋の種類,直径,応力状態,継手位置,継手に要求される性能等に応じて適切な ものを選ばなければならない鉄). 

(3) 鉄筋継手位置は,応力の大きい断面をできるだけ避けるのが良い鉄).  (4) 鉄筋継手位置は,相互にずらしできるだけ一断面に集めないのが良い鉄).   

【解  説】  (1)について  継手部とは,

解説 図 4.4.2

に示すように鉄筋に設けられた継手単体だけでなく,

継手周辺の補強筋やコンクリートなどから構成される鉄筋コンクリート部材の一部と考える鉄).鉄筋コンク リート部材が所要の性能を発揮するために継手の性能を十分に確保する必要がある.十分な定着長を確保し た鉄筋の重ね継手は,設計図とおりのかぶりや鉄筋のあきが確保できなくなるなど,過密配筋の原因となり やすい.過密配筋が懸念される部位・箇所においては,適切な施工による溶接継手やガス圧接継手,あるい は機械式継手の使用が有効である.土木学会「鉄筋定着・継手指針」では,これらの継手方法ごとの性能や その照査方法がまとめられており,参考にすると良い. 

 

なお,継手の種類によっては,かぶり・鉄筋間隔が変更となる場合もあるため,特に機械式継手を採用す る場合はこれらを考慮し鉄筋配置を検討しなければならない. 

(2)について  継手性能が満足されても,構造物や部材の種類,配筋状態,施工条件などによっては,用い ることのできない種類の継手がある鉄).例えば,エポキシ樹脂塗装鉄筋あるいはステンレス鉄筋を使用した 場合は,鉄筋の被膜や母材の材質変状が懸念されるため圧接継手は使用せず,重ね継手や機械継手を用いる のがよい.機械式継手を用いる場合には,継手部分が耐久性の観点から弱点とならないように,継手部分の 腐食などにも十分に留意する必要がある.また,同じ種類の継手であっても,工法が異なれば用いることの できる範囲が異なったり,継手性能が相違したりすることがある.鉄筋継手の種類および工法の選定にあた っては,これらの点に特に注意する必要がある. 

(3)および(4)について  鉄筋の継手は弱点となる場合があるので,塑性ヒンジ部や大きな引張応力が生じ る箇所に継手を設けると,部材の強度を減ずることになりかねない.したがって,塑性ヒンジ部や大きな引 張応力を受ける断面,例えば,柱基部やはりのスパン中央部付近などには,できるだけ継手を設けないのが 良い.また,継手を一断面に集中すると,継手に弱点がある場合,部材の強度が低下する恐れがあり,また,

継手の種類によっては,その部分におけるコンクリートのゆきわたりが悪くなることもある.そのため,継 手はできるだけ相互にずらして設けるのが良い. 

 

 

4.4.2.2  継手の構造細目 

(1) 継手単体と隣接する鉄筋とのあき,または継手単体相互のあきは,原則として粗骨材最大寸法以上と する鉄). 

(2) 鉄筋を配置した後に継手を施工する場合には,継手施工用の機器等が挿入できるあきを確保しなけれ ばならない鉄). 

(3) 径や材質が異なった鉄筋を継ぐ場合には,これらの相違が継手性能に悪影響を及ぼさないことを確か めておかなければならない. 

(4) 繰返し荷重による疲労の影響を受ける部材には,同一断面に種類の異なった継手を併用しないのがよ い鉄). 

 

【解  説】  (1)について  圧接や機械式継手は過密配筋の対策として有用である.このときの継手のあきは 土木学会「鉄筋定着・継手指針」に準拠した.これは,土木学会 2002 年版コンクリート標準示方書[構造性 能照査編]よりも若干ゆるめた規定である.さらに,継手部のコンクリートのゆきわたりやかぶりの剥落な どに問題がないことを確認した場合には,あきを小さくしても良い. 

(2)について  鉄筋を配置した後に継手を施工する場合,継手施工用機器等を挿入する関係上,一般に粗骨 材の最大寸法の値に比べて相当大きなあきが必要となる鉄).そこで,継手施工用機器等が挿入できなくなる 事態を避けるため,設計者は施工者と継手の種類について協議し,必要なあきを確保しなければならない. 

(3)について  径や材質の異なった鉄筋を継ぎ合わせる場合,継手の種類によっては,所要の継手性能が得 られない可能性がある.特に溶接継手やガス圧接継手のように,施工にあたって母材鉄筋の一部を溶接また は加熱して接合する継手の場合には,鉄筋の材質の相違,ふし等の形状の相違などが継手の性能に影響を及

ぼすことがあるため,特に注意が必要である.なお,圧着継手のようにスリーブ長さが両側で異なる場合が あるので,この点にも注意する必要がある. 

(4)について  種類の異なった継手を同一断面に設けた場合,継手部の剛性,耐疲労性能などの継手性能が 異なっていると,いずれかの継手に応力集中等が生じ,部材の強度に悪影響を及ぼす恐れがあるので,この ように規定した鉄). 

 

 

4.4.3  鉄筋の定着  4.4.3.1  一  般 

(1)鉄筋の定着は,適用の目的に応じて,軸方向鉄筋と横方向鉄筋のそれぞれについて適切な方法によっ て定着部が所要の性能を有していることを確認しなければならない. 

(2) 定着の種類および工法は,母材鉄筋の種類,直径,応力状態,定着位置,鉄筋の定着部に要求される 性能等に応じて適切なものを選ばなければならない鉄). 

 

【解  説】  (1)について  鉄筋コンクリート構造物の応答値および限界値の算定において,鉄筋とコンクリ ートの力の伝達が想定したとおりになっている必要がある.そのため,鉄筋の定着は極めて重要であり,定 着部が所要の性能を有していなければならない.鉄筋端部は,コンクリート中に十分埋め込んで鉄筋とコン クリートとの付着力によって定着するか,フックの付与または機械的な方法により定着しなければならない.

最近のコンクリート構造物では,耐震性能向上のため過密配筋となる場合も多く,従来の鉄筋の折り曲げ加 工によるフックではコンクリートの充てん性や締め固めが十分に行われない可能性がある.定着体と定着具 による機械式定着は,このような過密配筋の箇所において鉄筋量を大きく低減できるため,非常に有効であ る.本来,性能照査を行うのは構造物や構造部材であり,要求性能はそれらに対して明示されるものである が,土木学会コンクリートライブラリー128「鉄筋定着・継手指針」では,その性能を定着部や定着体等の性 能を確認することにより構造物や構造部材の性能を担保できるものとしている.なお,軸方向鉄筋と横方向 鉄筋では求められる定着性能が異なるため,性能の確認はそれぞれについて行うことを原則とする.コンク リートと鉄筋の付着力による定着方法および鉄筋の曲げ加工によるフックを介した定着方法については,コ ンクリート標準示方書や道路橋示方書の構造細目に準拠する.また,過密配筋対策として機械式定着を用い る場合には,軸方向鉄筋と横方向鉄筋に求められる性能,および静的載荷試験の方法などが土木学会コンク リートライブラリー128「鉄筋定着・継手指針」まとめられており,参考にすると良い. 

(2)について  定着の種類は,定着の機構により分類され,付着式,付着とフックの併用式,および機械式 に大別される.また,工法は鉄筋の機械式定着における個別の方法(製品)を意味している.鉄) 設計の際に は,これらの個別の方法(製品)に応じて,適切な鉄筋径やかぶりや鉄筋のあきなどを決定し,また,圧縮・

引張・曲げ・せん断などの定着部周辺に作用するコンクリートや鉄筋の応力を考慮して定着方法を選定しな ければならない.過密配筋対策として機械式定着を使用する場合には,各定着工法を用いた定着部の性能照 査,その定着体の性能評価および基本要件である定着具の性能評価に関する具体的な方法が土木学会「鉄筋 定着・継手指針」に具体的な製品ごとにまとめられており,参考にすると良い. 

  

鉄)

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