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耐久性

ドキュメント内 Taro-前書.jtd (ページ 92-97)

YESNO

写真 4. 2.1  酒田塩害橋の事例

5.2  配  合

5.2.4  耐久性

コンクリートは,構造物の供用期間中に受ける種々の物理的,化学的作用に対して十分な耐久性を有す るとともに,鋼材を保護する性能を有していなければならない施). 

 

(1) 凍害の危険性のある環境下に供用される構造物にあっては,予定供用期間にわたって凍害により構造 物の所要の性能が損なわれてはならない. 

(2) コンクリートは,海水や潮風に曝される環境下に供用される構造物および凍結防止剤散布の影響を受 ける構造物にあっては,予定供用期間にわたって海水や塩化物の作用により構造物の所要の性能が損 なわれてはならない. 

(3) 中性化および収縮等に対して所要の耐久性を満足できるよう,設計図書に記載された参考値に基づい て適切な配合条件や使用材料を設定する.なお,設置される地域,融雪剤等の実際の散布量,骨材状 況および構造物の種類と部材なども考慮する. 

(4) 設計図書に記載された参考値によらない場合は,既往の実績配合や信頼できるデータを参考とするか,

あるいは事前試験により設計図書に記載された特性値を満足することを確認したうえで,適切な配合 条件を設定する施). 

(5) アルカリシリカ反応に対しては,適切な抑制対策を講じなければならない施).なお,外部からの塩化 物の作用を受ける地域にあっては,使用骨材は化学法で「無害」の骨材を用いるものとする.化学法 で「無害でない」骨材を使用する場合は外部からの塩化物の影響を取り入れた試験によって使用骨材 または使用配合の安全性を確認しなければならない. 

(6) 化学的侵食および水密性に対して所要の耐久性を満足できるよう,適切な配合条件を設定する施).  (7) コンクリートは,その内部に配置される鋼材が供用期間中所定の機能を発揮できるよう,鋼材を保護

する性能を有しなければならない施). 

(8) 練混ぜ時にコンクリート中に含まれる塩化物イオンの総量は,原則として 0.30kg/m3以下とする施).  (9)コンクリートは,透水により構造物の機能が損なわれないよう,所要の水密性を有していなければな

らない施). 

(10) コンクリートは,沈下ひび割れ,プラスティック収縮ひび割れ,温度ひび割れ,自己収縮ひび割れあ るいは乾燥収縮ひび割れ等の発生ができるだけ少ないものでなければならない. 

 

【解  説】  コンクリートは,構造物が所定の期間,所要の性能を発揮するために必要とされる耐久性を有

していなければならない.このためには,コンクリート自体の耐久性および内部の鉄筋を保護する性能が必 要となる.コンクリート自体の耐久性を阻害する要因には,凍害,化学的侵食,アルカリシリカ反応等があ る.構造物の供用される環境において,コンクリートに耐凍害性,耐化学的侵食性,耐アルカリシリカ反応 性等のいずれか,または複数の性能が要求される場合には,いずれの要求性能に対しても十分に満足される 品質のコンクリートを使用しなければならない.コンクリート中の鋼材腐食については,主として塩害と中 性化,さらにそれらの現象を促進する原因となり得るひび割れが関係する.施) 

これらの劣化現象に対して,コンクリート構造物あるいはコンクリートそのものが十分な耐久性を有する ことを確かめる方法として,各種の耐久性照査手法が提案されており,土木学会 2007 年制定コンクリート標 準示方書[設計編:本編](8 章  耐久性に関する照査)に示されている.設計図書には照査に基づいた耐久 性確保のための材料の設計値とそれを実現するための使用材料や配合に関する参考値が記載されているので,

それらの参考値に基づいてコンクリートの配合を定めればよい.なお,施工の段階で材料や配合が変更され る場合には,設計に立ち戻って耐久性を照査する必要がある.ただし,アルカリシリカ反応性に対する照査 方法は[設計編:本編]に示されていないため,アルカリシリカ反応の抑制については,土木学会 2007 年制 定コンクリート標準示方書[施工編:施工標準]2.5.2 解説(1)に示す対策を講じる必要がある. 

(1)について  コンクリートは,厳寒中に曝されると凍結による被害を受ける.これは,コンクリート中の 水分が凍結して,その氷圧のためコンクリートの組織に微細なひび割れが生じ,さらに凍結と融解とを繰り 返すと,その損傷が次第に大きくなるためである.損傷は,当初コンクリート表層のモルタル剥離からスケ ーリングへと発展し,更にかぶりコンクリートの剥落,鉄筋発錆,構造物の性能低下へと伸展する.コンク リートの気象作用に対する耐久性の目安として,通常,凍結融解試験(JIS A 1148「コンクリートの凍結融 解試験方法」)における耐久性指数が参考となる. 

(2)について  海水がコンクリートに及ぼす化学作用は,主として海水中に含まれる硫酸マグネシウム

(MgSO4)と塩化マグネシウム(MgCl2)などによるものがある.塩化マグネシウムはコンクリート中の水酸 化カルシウムのカルシウムと置き換わり,さらに,水酸化マグネシウムも溶解し,コンクリートの脆弱化を もたらす.また,硫酸マグネシウムはコンクリート中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2),アルミン酸三カルシ ウム(C3A)や石こう(CaSO4)と反応して,コンクリートを膨張させるエトリンガイトを作り,コンクリー ト組織を破壊する.海水の作用を受けるコンクリート構造物では,エトリンガイトの生成が少ない耐硫酸塩 ポルトランドセメントや中庸熱ポルトランドセメントが適する.なお,高炉セメントは,普通ポルトランド セメントに比べて水和に際して供給される水酸化カルシウムが少ないため,海水に対する耐食性は大きい.

コンクリートの配合では,水セメント比を小さくすることが必要で,特に海水位付近のコンクリートは海水 の作用の他に凍結融解などの作用も受けるので,常に海水中にあるコンクリートより W/C を小さくして,水 密性を高める必要がある. 

(3)および(4)について  設計図書に記載された参考値により,所要の耐久性が得られることを確認しなけ ればならない.設計図書に記載された参考値を用いて所要の耐久性が得られない場合は,構造物の特性等を 考慮したうえで,設計図書に記載された参考値によらず適切な値に変更する. 

(5)について  現状ではアルカリシリカ反応を短時間で適切に照査できる方法は確立されておらず,設計図 書に記載された特性値や参考値にはアルカリシリカ反応については考慮されていない.そのため,この

[施工編:施工標準]では以下に示す 3 つの抑制対策のうち,いずれか一つを講じることによって,アルカ リシリカ反応に対する耐久性は満足されたものと見なすこととする. 

①コンクリート中のアルカリ総量の抑制 

試験成績表等にアルカリ量が明示されたポルトランドセメントを使用し,混和剤のアルカリ分を含めてコ ンクリート 1m3に含まれるアルカリ総量が Na20 換算で 3.0kg 以下となるようにする. 

②アルカリ骨材反応抑制効果をもつ混合セメントの使用 

JIS A 5211「高炉セメント」に適合する高炉セメント B 種(スラグ混合率 40%以上)または C 種,あるい は JIS  R  5213「フライアッシュセメント」に適合するフライアッシュセメント B 種(フライアッシュ混合 率 15%以上)または C 種を用いる.あるいは,高炉スラグやフライアッシュ等の混和材をポルトランドセメン トに混入した結合材でアルカリシリカ反応抑制効果の確認された結合材を使用する. 

③アルカリシリカ反応性試験で区分 A「無害」と判定される骨材の使用 

JIS  A  1145「骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(化学法)」および JIS  A  1146「骨材のアルカリ シリカ反応性試験方法(モルタルバー法)」により無害であることが確認された骨材を使用する. 

なお,レディーミクストコンクリートを使用する場合には,これらの抑制対策のうち,①あるいは②を優 先して実施するのが基本である.また,海洋環境や凍結防止剤の使用地域等のように外部からのアルカリの 混入が避けられない場合には,外部環境からのアルカリ金属イオンの侵入をできるだけ低減する対策を講じ るのが望ましい.特に区分 B“無害でない”の骨材を用いる場合には,先の①あるいは②の抑制対策を行っ たうえで,表面被覆工法等のアルカリ低減対策を行うと効果的である. 

ただし,外部から塩化物の作用を受ける構造物にあっては,使用骨材は化学法で「無害」の骨材を用いる ものとし,化学法で「無害でない」骨材を使用する場合には,外部からの塩化物の影響を取り入れた試験(例 えば,SSW モルタルバー試験)によって使用骨材の安全を確認する。SSW モルタルバー試験を行わない場合,

および SSW モルタルバー試験で「無害でない」とされた骨材を使用する場合には,外部からの塩化物の影響 を取り入れた試験(例えば,SSW コンクリート試験)によって,使用配合の安全を確認しなければならない.

ここで「SSW モルタルバー試験」とは,骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(JIS A 1146)において,供 試体を包む吸取り紙に含ませる真水を 20%NaCl 水溶液に変える点のみが異なる試験方法であり,「SSW コンク リート試験」とは,反応性判定試験方法である「コンクリートのアルカリシリカ反応性判定試験方法

(JCI-AAR-3)」において,供試体を包む保水紙に含ませる真水を 20%NaCl 水溶液に代える点のみが異なる試 験方法である.(SSW:Salt Solution Wrapping の略) 

(6)について  コンクリートの化学的侵食を構造物の所要の性能に影響を及ぼさない程度に抑えることが 必要な場合には,劣化環境に応じて配合条件の水セメント比を解説 表 5.2.6.3に示す水セメント比以下に設 定するのがよい. 

(7)について  コンクリートは,外部からの腐食因子や火災等の熱から,内部の鋼材を防護する機能を有す る.コンクリート構造物の多くは,その内部に鉄筋等の補強用鋼材が配置されており,それらが腐食すると 構造物の耐久性は著しく低下する.鋼材に対するコンクリートの保護作用が失われる原因は鋼材表面の不動 態被膜の破壊であり,中性化によるコンクリートのアルカリ性低下とコンクリート中の塩化物イオンが不動 態被膜の破壊の主な原因である.したがって,コンクリートが十分にその保護機能を発揮するためには,コ ンクリートの中性化深さが供用期間中に鋼材の腐食を発生するレベルである鋼材腐食発生限界深さまで進行

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