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解説表 5. 2.14 バッチミキサの練混ぜ性能 施)
5.6 膨張コンクリート
【解 説】
(1)について 膨張コンクリートの膨張性は,膨張材の種別や使用するセメントの種別,単位膨 張材量,材齢,養生方法,構造物が置かれる環境条件,部材の断面形状・寸法等によって異なる.また,収 縮補償用コンクリートであるかケミカルプレストレス用コンクリートであるかによっても,膨張コンクリー トの要求性能が異なるので,所定の膨張性が得られるように,材料,配合,製造方法,品質管理の方法を定 めなければならない.なお,膨張コンクリートの適用にあたっては,その配合設計,製造,施工の各段階に おいて,このコンクリートの特性を理解し,その利用技術を習得して十分な知識と経験を有する専門技術者 の指導のもとに管理することが望ましい.施)(2)について 膨張コンクリートは,通常のコンクリートと同様,作業に適するワーカビリティー,所要の 膨張性を有するとともに,そのばらつきが少ないものでなければならない.特に,膨張性にばらつきがある と,収縮補償やケミカルプレストレスの効果が得られない場合や過大な膨張により強度の低下を招くことが あるので,その品質を十分に管理することが必要である.施)
(3)について 膨張コンクリートの膨張率は,コンクリートの配合,養生方法,材齢等によって異なるだけ でなく,供試体の形状・寸法,拘束状態等の試験条件によっても異なる.したがって,膨張コンクリートの 膨張率は,JIS A 6202「コンクリート用膨張材」の附属書 2(参考)「膨張コンクリートの拘束膨張及び収縮 試験方法」によって求めた一軸拘束膨張率で表すものとする.この試験方法による一軸拘束膨張率は,拘束 器具(拘束端板および拘束棒[PC 鋼棒])を用いて一軸拘束鉄筋比を 0.95%とした供試体を用いて行うものであ る.通常の鉄筋コンクリートでは,この試験に比べて鉄筋比が小さいことから,同一の膨張コンクリートを 用いても膨張率が大きくなることに留意する必要がある.また,膨張コンクリートの膨張率や膨張速度は,
膨張材の種別,単位膨張材量,養生温度および乾湿の程度等によって異なるが,膨張率は,附属書 1(規定)
「膨張材のモルタルによる膨張性試験方法」によって試験を行った場合,膨張が材齢 7 日でほぼ完了するこ とから,コンクリートによる膨張性試験においても材齢 7 日における一軸拘束膨張率で表すことを標準とし た.施)
(4)について 膨張コンクリートは,主な使用目的によって収縮補償用コンクリートとケミカルプレストレ ス用コンクリートに大別され,それぞれのコンクリートでの膨張率の範囲の標準を示した.収縮補償用コン クリートとケミカルプレストレス用コンクリートでは,膨張率が 200×10-6から 250×10-6の範囲では,両コ ンクリートの膨張率が重なるが,膨張コンクリートの使用目的を考慮した使用者の判断でいずれかを選択す ればよい.施)
収縮補償用コンクリートにおいて,高強度コンクリートや高流動コンクリートなどの水結合材比 30%程度 以下のコンクリートに膨張材を用いる場合,材齢初期において膨張材の水和に必要な水分が不足して膨張が 抑制され,一定期間経過後に異常な膨張が生じる場合がある.このような水結合材比の小さいコンクリート に膨張材を用いる場合には,異常な膨張が生じないよう膨張材の種類や単位量,養生方法および膨張性を判 定する材齢などをあらかじめ試験によって確かめ定めておくことが重要である.施)
ケミカルプレストレス用コンクリートでは,膨張を拘束するための鉄筋や鋼管などが適切に配置されてい なければ有効なケミカルプレストレスを確保することができないばかりでなく,膨張コンクリートの品質も 低下することは前述した通りである.ケミカルプレストレス用コンクリートを用いる場合の鉄筋量や鉄筋の 配置方法は,コンクリートの膨張率,構造物の種類,荷重の性質,部材の形状・寸法および施工方法等を考
慮して定める必要がある.鉄筋量が不足したり,鉄筋が部材断面に著しく偏って配置されると,膨張率が特 に大きくなる部分が生じ,その部分のコンクリートの品質が損なわれることがあるので鉄筋量や鉄筋の配置 方法には十分な検討が必要である.施)
通常の鉄筋コンクリート構造物では,施工中および完成後に部材断面に生じる最大膨張率が 1000×10-6程 度以下になるように,鉄筋量および鉄筋の配置方法を定めるのがよい.また,ケミカルプレストレスによっ て曲げひび割れ発生モーメントが大きくなり,曲げひび割れが発生したときに,鉄筋が降伏あるいは破断し てぜい性的な破壊性状を示す可能性は,通常の鉄筋コンクリートより大きい.そのため,鉄筋のひずみが 700
×10-6程度生じていてもこのようなぜい性的な破壊が防げるように,曲げモーメントの影響が支配的な棒部 材(矩形断面)の引張鉄筋比は 0.25%以上,丁形断面の場合には,軸方向鉄筋をコンクリート有効断面積の 0.35%以上配置しなければならない.施)
工場製品に用いるケミカルプレストレス用コンクリートは,膨張率,鉄筋の配置および養生方法などの管 理が現場打ちコンクリートに比べて良好である.また,膨張コンクリートの使用効果を実際の製品により確 認できることなどから,膨張率の上限値を,現場打ちコンクリートの 700×10-6より大きい 1000×10-6にして もよいこととした.施) 使用にあたっては,土木学会 2007 年制定コンクリート標準示方書 [施工編:特殊コ ンクリート]14章「工場製品」を参照するのがよい.
(5)および(6)について 膨張コンクリートの圧縮強度は,通常のコンクリートと同様,材齢 28 日における 圧縮強度を標準とする.収縮補償用コンクリートについては,JIS に定められている試験による圧縮強度お よびその強度発現性状が,膨張材でセメントを置換しない配合のコンクリートとほぼ同等であるため,通常 のコンクリートと同じ試験方法で圧縮強度を求めることとした.施)
(7)について ケミカルプレストレス用コンクリートは,収縮補償用コンクリートに比べて大きな膨張性を 有するため,JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」と JIS A 1132「コンクリートの強度試験用供 試体の作り方」で求めた圧縮強度が,過大な自由膨張に起因する著しい強度低下を生じる場合があり,実際 の使用状態と大きく相違することがある.したがって,このような影響がある場合には JIS A 6202 の附属書 3(参考)「膨張コンクリートの拘束養生による圧縮強度試験方法」により,圧縮強度試験の直前まで型枠内に 存置させた供試体について圧縮強度を求めることが必要となる.施)
(8)について 膨張コンクリートに一般に用いられるセメントは,普通ポルトランドセメント,中庸熱ポル トランドセメント,早強ポルトランドセメント,フライアッシュセメント B 種および高炉セメント B 種であ る.これらのセメントを用いた範囲では,膨張性状に特異な性状は見られず,セメントの種類が膨張率に及 ぼす影響は少ないことが確認されている.しかし,低熱ポルトランドセメントもしくは高炉スラグ微粉末や フライアッシュなどの成分比率の高い 3 成分系セメントなどを用いる場合には,コンクリートの凝結性状や 強度発現性が異なることから,膨張の発現が早くなったり,膨張率が大きくなったりする場合もある.した がって,これらのセメントを用いる場合には,あらかじめ試験を行うか過去の使用実績によって所要の性能 が得られることを確認してから使用する必要がある.施)
(9)について 膨張コンクリートに用いる膨張材は,主に化学組成の違いからカルシウムサルフォアルミネ ート系(CSA 系)と石灰系(CaO 系)に大別される.従来,これらの膨張材を用いた収縮補償用コンクリートでは 単位膨張材量 30kg/㎥を標準として用いられていたが,近年,この他にカルシウムサルフォアルミネート・
石灰複合系膨張材や石灰系成分を高めた低添加型の膨張材が実用化され,単位膨張材量 20kg/㎥を標準にし
た使用実績が多くなってきている.この低添加型の膨張材は単位膨張材量を 20kg/㎥としても,従来と同様 な膨張性が得られることが報告されている.但し,JIS A 6202 は,従来の収縮補償用コンクリートに用いら れていた単位膨張材量 30kg/㎥を標準使用量とする膨張材を対象に制定された規格のため,膨張材の標準使 用量を 30kg/㎥としている試験方法である.そこで,低添加型の膨張材に関して JIS A 6202 の試験を行う場 合は,単位膨張材量 20kg/㎥を標準として試験を行ってよいこととした.そして,従来用いていた膨張材お よび低添加型の膨張材のいずれの膨張材においても JIS A 6202 で規定する膨張材の品質に適合したものを用 いることを標準とした.施)
(10)について (9)以外の膨張材には,温度応力によるひび割れを低減することをも目的にしたマスコンク リート用(水和熱抑制型とも称する)膨張材や工場製品用に早期強度を発現させる特性を有する早強型膨張材 も実用化され用いられている.これらの膨張材は,水和熱抑制や早期強度発現のための添加剤が混合されて いる場合があるため,JIS A 6202 の強熱減量の規定値を満足しないことがある.その理由は,強熱減量は膨 張材の風化状態を判断するための規定であるが,強熱減量の試験により前述の添加剤が検出されるためであ る.したがって,このような膨張材は,強熱減量以外の JIS A 6202 で規定する膨張材の品質を確認するとと もに,膨張コンクリートの所要の品質を満足することを既往の実績もしくは試験により確認してから用いな ければならない.施)
(11)について 膨張材は,多量の遊離した酸化カルシウム(CaO)を含有しているために,セメントに比べて 風化しやすい材料である.膨張材が空気中の水分や炭酸ガスを吸収して風化すると膨張性能が低下し,膨張 コンクリートとしての所要の性能が得られなくなる.したがって,膨張材の貯蔵は,次の事項について十分 に配慮する必要がある.施)
①膨張材は,防湿的な機能を有するサイロまたは倉庫に,セメントなどの他の材料と混合しないように区 別して貯蔵しなければならない施).
②袋詰めされた膨張材は,倉庫内で床に直接触れないように積み重ね,貯蔵しなければならない.また,
その積重ねは 15 袋程度以下とする施).
③袋詰めされた膨張材は,使用の直前に解袋するのを原則とし,貯蔵中に破袋したものは工事に用いては ならない施).
④長期間貯蔵した場合は,試験を行い,所要の品質を有することを確認してから用いなければならない施). (12)について 膨張コンクリートは,所要の性能を有する範囲内で通常のコンクリートの場合と同様に単 位水量をできるだけ少なくすることがきわめて大切である施).
配合の表し方は,解説 表 5.6.1によるものとする.
解説 表 5.6.1 配合の表し方
施)単 位 量 (kg/m3)
混和材 F 粗骨材G 粗骨材
の 最大 寸法 (mm)
スランプ (cm)
空気量 (%)
水結合
材比 W C+F (%)
細骨材 率 s/a
(%)
水 W
セメント
C 膨張材
E
その他の 混和材 Fʼ
細骨材 S mm
〜 mm
mm
〜 mm
混和剤
注)混和剤の単位量は,ml/m3または g/m3で表し,薄めたり溶かしたりしない原液の量を記述する.
(13)について 構造物における膨張コンクリートの収縮補償効果およびケミカルプレストレスの効果は,
膨張率が大きいほど優れているといえる.しかし,膨張率があまり大きくなると,コンクリートの圧縮強度 が膨張材でセメントを置換しない配合のコンクリートの場合に比べて低下するので,強度が低下しない範囲 で適切な膨張率を定めることが必要となる.施)
膨張コンクリートの膨張率は,拘束その他の条件が一定の場合は,単位膨張材量とほぼ比例関係にあるこ とが知られている,したがって,膨張コンクリートが用いられる構造物において所定の膨張率が定まればそ の膨張率に相当する単位膨張材量を定めることができるため,単位膨張材量は試験により定めることとした.
膨張コンクリートの単位膨張材量を試験によって定めるには,単位膨張材量を 3 水準以上に変化させた適当 な配合のコンクリートについて,JIS A 6202 の附属書 2(参考)に規定されている試験を行い,所要の膨張率 に相当する単位膨張材量を求めればよい.施)
なお,収縮補償用コンクリートの場合,所定の膨張率が得られる単位膨張材量に関する信頼できる資料が ある場合は,それに基づき単位膨張材量を決定してもよい.解説 表 5.6.2に収縮補償用コンクリートおよ びケミカルプレストレス用コンクリートにおける膨張材の種類と標準的な単位膨張材量の範囲を示す.施)
解説 表 5.6.2 膨張材の種類と標準的な単位膨張材量の範囲
施)膨張コンクリートの種類 膨張財の種類 標準的な単位膨張材量(kg/㎥)
従来型 30
一般用
低添加型 20
従来型 30
収縮補償用
マスコンクリート用
低添加型 20
一般用 35〜50
ケミカルプレストレス用
工場製品用 30〜60
(14)について 膨張コンクリートの強度と膨張率は,膨張コンクリートの配合のうち,単位セメント量と 単位膨張材量が密接に関係している.通常,膨張材はセメントと置換して,単位結合材量(=単位セメント量 +単位膨張材量)を一定として,所要の膨張率を得るための単位膨張材量を決定する場合が多い.この場合,
膨張率を大きくするために単位膨張材量を多くすると,単位セメント量に対する単位膨張材量の比率が大き くなり、コンクリートの強度や耐久性が損なわれることがある.このような現象は単位結合材量の少ないコ ンクリートの場合に認められる.したがって,膨張コンクリートでは,最小の単位セメント量を 260kg/㎥を 標準とすることとした.施)
(15)について 膨張コンクリートの練混ぜは,膨張材の計量や投入が正確であっても,練混ぜが不十分で あると,コンクリート中において膨張材が不均一となり,膨張材が塊状や部分的に過剰混和の状態となって,
コンクリートの硬化後に部分的な強度低下あるいは局部的に膨張破壊が生じる場合がある.したがって,練 混ぜには,コンクリート用膨張材やその他のコンクリート材料が十分均一になるよう,5.2.10.5によるミキ サを用いることを標準とする.施)
(16)について 膨張コンクリートの練混ぜは,コンクリート中の膨張材が十分均一になるように,適切な 投入手順や練混ぜ時間をあらかじめ試験によって定めてから行わなければならない施).
一般には,膨張材はセメントと同時に投入することが好ましいが,それ以外の材料と同時に,あるいは単
独で投入する場合には,十分均一に練り混ぜられることをあらかじめ試験によって確かめておかなければな らない.万一投入手順が計画されたものと相違した場合は,状況に応じ,練混ぜ時間を長くするなど,適切 な処置をとらなければならない.施)
また,連続して膨張コンクリートを練り混ぜる場合,膨張材の投入口やミキサの内壁や混合羽根に膨張材 が付着して塊が生じ,その塊や破片がコンクリート中に混入すると,前述と同様に局部的な膨張破壊を起こ す恐れがある.したがって,膨張材の塊が生じた場合には直ちに除去するとともに,投入場所や手順の再検 討を行って塊の発生を回避することが必要である.施)
(17)について 膨張材の受入れ検査は,解説 表 5.6.3を標準としてよい.
解説 表 5.6.3 膨張材の受入れ検査
施)種 類 項 目 試験・検査方法 時期・回数 判定基準
膨張材 品質 製造会社の試験成績表による確認
または JIS A 6202 の方法 材料納入時 JIS A 6202 に適合すること
(または発注者との協議による)
(18)について コンクリートの受入れ検査は,解説 表 5.6.4を標準としてよい.
解説 表 5.6.4 膨張コンクリートの受入れ検査
施)種 類 項 目 試験・検査の方法 時期・回数 判定基準
膨張率 使用された膨張材量の確認 荷卸し時・全バッチ 配合に示されている 単位膨張材量の±3%以内 収縮補償用
コンクリート
強度 JIS A 1108 および JIS A 1132 の方法
構造物の重要度と工事の規 模に応じて定める
設計基準強度を下回る確率 5%以下であることを,適当な生産 者危険率で推定できること
膨張率 JIS A 6202 附属書 2(参考)
の方法
荷卸し時
1 回/日または構造物の重要 度と工事の規模に応じて 20〜150m3ごとに 1 回
所定の膨張率±15%以内 ケミカル
プレストレス用 コンクリート
強度 JIS A 6202 附属書 3(参考)
の方法
構造物の重要度と工事の 規模に応じて定める
設計基準強度を下回る確率 5%以下であることを,適当な生産 者危険率で推定できること