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セメント

ドキュメント内 Taro-前書.jtd (ページ 102-111)

YESNO

写真 4. 2.1  酒田塩害橋の事例

5.2  配  合

5.2.7.2  セメント

 

5.2.7  材  料 

2)  橋梁上部構造 

コンクリート橋の上部構造物でマスコンクリートでない場合には,普通ポルトランドセメントが適し,施 工条件によっては早強ポルトランドセメントが適応する. 

3)  供用環境が寒冷地 

寒冷地では凍結融解の繰り返しにより,スケーリングを起しやすく,耐久性低下を招く事例が少なくない.

特に,凍結防止剤や波浪・潮風など外部から塩化物イオンが頻繁にあるいは高濃度で供給されるような環境 下では,高炉セメント B 種を用いたコンクリートは,同一水セメント比,同一空気量の普通ポルトランドセ メントを用いたコンクリートよりもスケーリングの伸展が速いことが知られている.したがって,スケーリ ングによって第三者への被害や景観の悪化が重視される場合は,普通ポルトランドセメントを用いることが 望ましい.高炉セメント B 種とする場合は,水セメント比を 5%程度低下させ十分に湿潤養生を行なったの ちに膜養生を行なうのが良い. 

4)  凍結防止剤散布地域 

凍結防止剤は KCl や NaCl を主成分としており,これの溶解液中に含まれる K+ や Na+などのアルカリ金属 や Clなどの塩化物イオンがコンクリート内へ浸透蓄積することが知られている.このうちアルカリ金属は コンクリート中のアルカリ濃度を高める結果,アルカリ総量を 3.0 kg/m3以下に抑えてアルカリシリカ反応 を抑制したコンクリートにおいてもアルカリ骨材反応を誘発させる危険性がある. 

アルカリシリカ反応を引き起こす危険性がある場合は,高炉セメント B 種或いはフライアッシュセメント B 種などの混合セメントが適する. 

5)  沿岸,海洋地域 

沿岸地帯(解説 表 4.1.4の塩害対策区分 S,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)に構築されるコンクリート構造物では,潮風や海 水の飛沫により海水中のアルカリ金属(Na+,K+)や塩化物イオンがコンクリート表面に付着し,それらが徐々 にコンクリート中に浸透して,アルカリ反応性骨材を用いたコンクリートではアルカリシリカ反応が促進さ れることや塩化物イオンにより鉄筋の発錆が促進されることが知られている.このような海水由来の悪影響 が懸念されるコンクリート構造物には,化学抵抗性があり,且つ塩化物イオンの固定化性能のある高炉セメ ント B 種やフライアッシュセメント B 種などの混合セメントが適する. 

なお,海洋構造物では,塩化物や硫酸塩に対する抵抗性のある耐硫酸塩ポルトランドセメントや中庸熱ポ ルトランドセメント,低熱ポルトランドセメント,フライアッシュセメントなどが適する. 

6)  アルカリシリカ反応性 

コンクリートの使用骨材がアルカリ反応性のものである場合には,海水や凍結防止剤由来のアルカリ金属 が頻繁にあるいは高濃度で供給される環境では,アルカリシリカ反応をセメントのみで抑制することは困難 である.したがって,このような場合には,実際に使用される配合に対して,外部からの塩化物の影響を取 り入れたアルカリシリカ反応性判定試験を行って,安全性を確認し使用セメントを決めるのが良い. 

7)  冬期施工 

施工が冬期となり寒中コンクリートが適用される時(日平均気温が 4℃以下になると予想されるとき)は,

普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントが適する.なお,十分な養生を行うとともに,しっ かりとした湿潤条件を所定期間維持することで,高炉セメント B 種の適用も可能である. 

 

 

895章コンクリートの製造

構造物の 種類 

橋梁の 

部位  気候  凍結防止 剤散布 

沿岸・海中・

海洋地域 

使用骨材 施工時期  説    明 

マスコン

クリート       

温度応力解析で工法と組み合わせて選定する必要がある.セメントで水和熱を抑える 場合には低熱ポルトランドセメントや中庸熱ポルトランドセメント,低発熱型混合セメ ントなどが適する. 

  上部 

構造      普通ポルトランドセメントや施工条件によっては早強ポルトランドセメントが適す る. 

      飛沫帯     

         

普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントが適する.スケーリングが問 題にならない場所では,高炉セメントも使用できる. 

スケーリングが問題となる場合で,高炉セメントを使用する場合は,W/C を 5%低減し 十分な養生を行なう. 

海中・海洋構造物では,塩化物や硫酸塩に対する抵抗性のあるセメントが適する. 

   

寒冷地 

散布付着 

   

       

アルカリ シリカ反

応性骨材  

外部からアルカリ金属が頻繁に,或いは高濃度に供給される環境で,アルカリ反応性 骨材を用いる場合には,アルカリシリカ反応をセメントのみで抑制することは困難であ る.予め,実際に使用される配合に対して外部からの塩化物イオンの影響を取り入れた 反応性評価試験を実施し,安定性を確認する必要がある. 

海中・海洋構造物では,塩化物や硫酸塩に対する抵抗性のあるセメントが適する. 

       

飛沫帯 

   

      散布付着       

高炉セメント B 種が適する. 

海中・海洋構造物では,塩化物や硫酸塩に対する抵抗性のあるセメントが適する. 

         

アルカリ シリカ反 応性骨材

 

アルカリシリカ反応抑制対策に従う.対策の順位は, 

1.コンクリート中のアルカリ総量を 3.0kg/m3以下とする. 

2.抑制効果のある混合セメントを使用する. 

       

寒冷地 

(日平均気 温が 4℃以

下) 

普通ポルトランドセメントや早強ポルトランドセメントが適する. 

高炉セメントを用いる場合は,特に養生を適切に行うものとする. 

 

 

(2)について  現在 JIS に規定されているセメントは,JIS R 5210 「ポルトランドセメント」として普通,

早強,超早強,中庸熱,低熱,耐硫酸塩があり,混合セメントに JIS R 5211 「高炉セメント」,JIS R 5212 

「シリカセメント」,JIS R 5213 「フライアッシュセメント」があり,その他に JIS R 5214 「エコセメン ト」がある施).主として用いられるセメントの特徴と用途を解説 表 5.2.3に,それらのセメントの品質につ いて,解説 表 5.2.4〜10に示した. 

一般に用いられるセメントとしては,普通ポルトランドセメントが多く,国内で使用されるセメントの約 70%を占めている.その他で使用実績の多いものは,ポルトランドセメントでは,早強および中庸熱,混合セ メントでは高炉およびフライアッシュであり,近年は高炉セメント B 種の使用実績が多くなっている.現在,

セメント産業は,他産業等の副産物を再利用することにより循環型社会の構築に大きく貢献している. 

一般に,低温環境下では,早強ポルトランドセメントを用いると,低温養生した際の初期材齢における強 度発現性の遅延程度が小さくなるため,コンクリートが凍害を受けるおそれを少なくできる.一方,高温環 境下では,早強ポルトランドセメントを用いると,水和発熱が大きいためコンクリート温度を上昇させる要 因となり,高温の影響によりコンクリートにこわばりが生じて均しが困難になり,コールジョイントが発生 しやすくなる.さらに,打ち込んだコンクリートが冷却する際に容積変化が大きくなり,ひび割れが発生し やすくなる.したがって,高温環境下では,コンクリートの温度上昇量とその後の温度下降にともなうひび 割れ発生を低減する目的で,低熱,中庸熱,普通ポルトランドセメントおよび混合セメント B 種を用いるこ とが望ましい.施)  

高炉セメントは,銑鉄製造過程で副産される高炉スラグを微粉砕した高炉スラグ微粉末を普通ポルトラン ドセメントに混合して製造する混合セメントであり,一般的には高炉スラグ微粉末 40%程度を混合した B 種 が用いられることが多い. 

高炉セメント B 種は,スラグ微粉末(製鉄副産物であるため発生する CO2は全て製品の鉄にカウントし,

スラグ自体には CO2はカウントされない)の分だけセメントの量が減るため,セメント製造時の CO2排出量が 約 40%削減されるとしている.このため,グリーン購入法の特定調達品目としての指定を受けている. 

高炉セメント B 種は,アルカリシリカ反応の抑制や塩化物イオンの浸透抑制に有効なセメントであるが,

最近の高炉セメント B 種は,スラグ混合率および粉末度等によっては初期強度が大きくなるように調整され ており,コンクリートの断熱温度上昇量が普通ポルトランドセメントよりも高くなる場合もあり,部材寸法 や拘束条件,環境条件等によって温度応力によるひび割れ発生が増加する事例が報告されている.高炉セメ ント B 種には低発熱型のものもあるため,その使用にあたっては発熱性状を確認するとともに,長期の養生 を行うことが重要である.  

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