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解説表 5. 2.14 バッチミキサの練混ぜ性能 施)
5.5 マスコンクリート
荷卸しまでの各過程に要する時間とその間の温度上昇及び乾燥を事前に把握し,コンクリートの温度上昇お よび乾燥が少なくなるような装置,方法を用いなければならない.暑中コンクリートでは練混ぜから打込み 終了までの時間が 1.5 時間以内であることを原則とする.
【参考文献】
施) 土木学会 2007 年制定 コンクリート標準示方書 施工編
5.5 マスコンクリート
(1) セメントの水和熱に起因した温度応力が問題となる場合は,マスコンクリートとして取り扱い,その 対策を十分に検討しなければならない施).
(2) マスコンクリートに使用するセメントおよび混和材料は,設計で定めたものを用いることを原則とす る施).
(3) (2)以外のセメントおよび混和材料を使用する場合には,セメントの水和熱による温度応力および温 度ひび割れに関する照査を行わなければならない施).
(4) マスコンクリートの単位セメント量は,設計で定めた値を基本とする施).
(5) 設計で定めた単位セメント量では,所要のワーカビリティー,強度,耐久性,水密性,ひび割れ抵抗 性および鋼材を保護する性能などが確保できない場合,あるいは,セメントまたは混和材料の種類を 変更した場合には,温度応力および温度ひび割れに関する照査を再度行い,単位セメント量を定めな ければならない施).
(6) マスコンクリートは,コンクリートの運搬距離,運搬方法,打込み方法,気象条件,その他の条件を 考慮して,打込み温度が所定の値を超えないように製造しなければならない施).
【解 説】
(1)について コンクリート構造物の大型化および大量急速施工の増加に伴い,セメントの水和 熱による温度ひび割れが発生する事例が増加しつつある.かつては,このような現象はコンクリートダムな どのように部材寸法が特別大きいコンクリート構造物に特有のものと考えられていたが,部材の拘束,環境 温度,コンクリートの使用材料,配合および施工の条件によっては比較的小型の構造物であっても,有害な ひび割れを生じる事例が確認されている.そこで,ここでは部材の寸法に拘わらずセメントの水和熱に起因 した温度応力が問題となるコンクリートをマスコンクリートとして取り扱うこととした.施)マスコンクリートとして取り扱うべき構造物の部材寸法は,構造形式,コンクリートの使用材料,配合お よび施工の諸条件によりそれぞれ異なるが,広がりのあるスラブについてはおおよそ厚さ 80〜100cm 以上,
下端が拘束された壁では厚さ 50cm 以上と考えてよい.しかしながら,プレストレストコンクリート構造物な どのように,富配合のコンクリートが用いられる場合には,より薄い部材であっても拘束条件によってはマ スコンクリートに準じた扱いが必要になる.施) なお,ダムコンクリートについては,このガイドラインでは 対象外とした.
(2)および(3)について マスコンクリートに使用するセメントおよび混和材料は,セメントの水和熱によ る温度応力および温度ひび割れに関する照査を行った上で選定することが原則である施).
このガイドラインでは,温度応力および温度ひび割れに関する照査に基づきセメントを選定することを定 めているが,設計段階において必ずしも実際の工事の条件を想定できるとは限らないことから,施工時にセ メント等の材料を見直し,同様の照査を行って再選定する場合も想定される.
マスコンクリートでは,セメントの品質がコンクリートの強度や水和熱等に大きな影響を及ぼす.したが って,マスコンクリートに用いるセメントの選定にあたっては,個々のセメントの特性を十分に調査し,所 要の品質のコンクリートが得られるようセメントを適切に選ぶ必要がある.一般的には,中庸熱ポルトラン ドセメント,低熱ポルトランドセメント,高炉セメント,フライアッシュセメントなどの低発熱型のセメン トを使用することが望ましい.ただし,高炉セメントの発熱性状は,温度が高いほど促進される傾向にある ことも十分に考慮して選定しなければならない.施)
ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末,フライアッシュなどの混合材を比較的多量に混合した混合セ メント等を用いる場合には,その品質・性状は製造会社によって互いに大きく相違していることが多い.し たがって,このようなセメントの使用にあたっては,あらかじめ試験を行うなどして,その品質・性状を十 分に確認しておく必要がある.なお,発熱量が抑制されているセメントは,一般に長期材齢における強度増 進が普通ポルトランドセメントに比べて大きいため,設計基準強度に達するまでの期間に部材に発生する応 力度を照査したうえで,設計基準強度の基準となる材齢を 91 日程度の長期にとるのがよい.施)
マスコンクリートに用いられる混和材料は,一般に混和材としてはフライアッシュ,高炉スラグ微粉末,
混和剤としては AE 剤,減水剤,AE 減水剤,高性能 AE 減水剤等である.最近では,膨張材が用いられる事例 が増えている.フライアッシュは品質の優れたものを用いれば,コンクリートのワーカビリティーの改善,
単位水量の減少,長期材齢における強度の増加等の効果が得られるほか,コンクリートの水和熱による温度 上昇が小さくなるので,温度応力によるひび割れ発生を制御する目的には有利な材料である.また,粉末度 が小さな高炉スラグ微粉末を適切に用いれば,コンクリートの長期強度を増進させるだけでなく,水和熱の 発生速度を遅くすることが可能である.施)
一方,AE 剤,減水剤,AE 減水剤または高性能 AE 減水剤を適切に用いれば,コンクリートのワーカビリテ ィーが改善されるので,単位水量を減らすことができ,それに伴って単位セメント量も減らすことができる.
したがって,これらの混和剤を用いることによってコンクリートの温度上昇を小さくすることができる.施) 大量のマスコンクリートを打ち込む場合は,水和熱の発生速度を小さくする目的とコールドジョイントの 発生を防ぐ目的で遅延型の減水剤や AE 減水剤の使用を検討するのがよい.ただし,この場合には,使用する 混和材との組合せや施工時の気温等によっては,凝結時間が大幅に遅れることがあるので,事前に試験等で コンクリートの凝結遅延の程度や強度発現性への影響を確認しておくことが大切である.施)
(4)および(5)について コンクリートの発熱量は単位セメント量にほぼ比例し,一般にはコンクリートの 温度上昇量は単位セメント量 10kg/㎥に対してほぼ 1℃の割合で増減する.したがって,温度応力および温度 ひび割れに関する照査で設定した単位セメント量を大幅に増加させることは避けなければならない.しかし,
設計で定めた単位セメント量では,所要のワーカビリティー,強度,耐久性,水密性,ひび割れ抵抗性およ び鋼材を保護する性能を確保することが難しい場合には,単位セメント量の見直しが必要になることもある.
また,セメントあるいは混和材料の種類を変更する場合には,温度応力および温度ひび割れに関する照査を
再度行い,温度ひび割れに対して問題のない単位セメント量(セメント以外の結合材を用いる場合は単位結合 材量)を定めなければならない.施)
(6)について コンクリートの打込み温度を低くすることは,部材内外の温度差と部材内の最高温度を低減 させるので,温度応力あるいは温度ひび割れの低減に有効である.打込み温度を低くする方法としては,コ ンクリートの製造時に水,骨材等の材料をあらかじめ冷却するプレクーリングがある.各材料の温度がコンク リートの練上り温度に及ぼす影響は,おおよそ骨材が±2℃につき±1℃,水が±4℃につき±1℃,さらにセ メントが±8℃につき±1℃である.施)
プレクーリングには,冷水を用いる方法,練混ぜ水の一部にフレークアイスや小片の氷を単独もしくは組 み合わせて用いる方法,冷却した骨材を用いる方法,液体窒素を用いて材料やコンクリートを冷却する方法 等がある.練混ぜ水の一部に小片の氷を用いる場合には,コンクリートの打込み前に氷が完全に溶けている ことを確かめなければならない.また,冷却に液体窒素を使用する場合には,使用箇所周辺における酸素濃 度の管理など安全に十分留意する必要がある.施)
コンクリートの製造時の温度を低下させても,運搬中にコンクリートの温度が上昇し,打込み温度が計画 時の温度を超えることも考えられる.したがって,あらかじめ運搬距離や運搬方法,気象条件などによるコ ンクリートの温度の上昇分を見込んで,コンクリートの製造時の温度を設定することが大切である.施)