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一  般

ドキュメント内 Taro-前書.jtd (ページ 57-60)

YESNO

4.2  耐久性設計における留意事項

4.2.1  一  般

(1) 構造計画においては,構造物に要求される性能を最も合理的に満足できるように,構造形式,使用材 料,主要寸法を設定しなければならない設). 

(2) 構造計画においては,このガイドラインに規定される要求性能を満足できるように,構造物の施工方 法,維持管理手法,環境および景観に与える影響,経済性などを考慮し総合的に検討しなければなら ない設). 

(3) 合理的な構造計画を立案するために,建設予定地点の状況,構造物の規模などに応じて必要な調査を 行わなければならない設). 

(4) コンクリート構造物の構造形式の選定にあたっては,所要の性能を設計耐用期間にわたり保持するた めの耐久性能およびメンテナンス性能を有するよう配慮しなければならない. 

(5) コンクリート構造物は,耐久性に関する要求性能を満足させるため,鋼材のかぶりや防食,コンクリ ートの水セメント比の制限など,必要な対策を行うものとする. 

(6) コンクリート構造物の形式決定においては,耐久性の向上を図るため構造形状を単純化し,劣化や損 傷が生じにくい構造を採用するものとする. 

(7) 本体部分の耐久性対策において効果にばらつきが大きいと思われる対策を用いる場合には,他の対策 との併用によって耐久性の安全率を上げなければならない. 

 

【解  説】  (1)について  このガイドラインは,構造物の用途・機能を保証するために要求される性能が設 定された後,構造計画の段階で,構造形式,材料,主要寸法を設定し,それらを基に照査を実施して構造物 の保有性能が要求性能を満足することを確認する体系となっている.したがって,本章で規定される構造計 画は,構造物の要求性能が決定されてから構造形式,材料,主要寸法を決定する段階であると定義した.設) 

構造物に求められる用途・機能は,当該構造物を計画するうえでの前提条件となるべきものであり,この 機能と合致するように構造計画を検討しなければならない.構造物の機能は,法令やそれに準じる基準など により定められる場合が多く,例えば,道路橋では幅員や車線数が道路構造令などに定められている.この ような機能は,当該構造物に義務付けられた条件であるため,関連する法令,基準の内容や解釈を十分に検 討のうえ,適切に適用する必要がある.設)  

また,構造物の機能には,当該構造物に求められる目的または要求に対応する本来の機能のほかに,付加 的に必要となる機能もある.例えば,道路や鉄道と立体交差する橋梁構造物には,上下水道やガスなどのイ ンフラ設備が添架される場合もあるため,構造計画に当たっては関連する機関と事前に十分協議の上,検討 しなければならない.設)  

なお,土木学会 2007 年版コンクリート標準示方書[施工編:特殊コンクリート]には,使用材料,性能,

施工方法および施工環境等が特殊な 13 種類のコンクリートが記述されている.構造物の要求性能を従来の方 法では達成不可能な場合には,これらの特殊コンクリートや新技術を適宜用いることも必要である.特殊コ

気泡  ブリーディング  沈下  乾燥収縮・ 

自己収縮 

ンクリートとは,膨張コンクリート,軽量骨材コンクリート,連続繊維補強コンクリート,短繊維補強コン クリート,高強度コンクリート,高流動コンクリート,吹付けコンクリート,プレパックドコンクリート,

水中コンクリート,海洋コンクリート,プレストレストコンクリート,鋼コンクリート合成構造および工場 製品である.設)  

(2)について  構造計画において,一構造物の建設に要する費用の概略が決まるだけでなく,将来の椎持 管理に要する費用もほぼ決定されるといっても過言ではない.したがって,将来の維持管理も考慮し,十分 な検討を行うことが必要である.構造形式の選定や主要寸法の決定において,長年の使用実績のある形式や 規模の場合には,過去の事例をもとに検討することができる.この場合,構造計画の段階で決定された構造 形式や主要寸法を照査の段階に入ってから変更することは非常に困難であるため,過去の事例の前提条件と 当該構造物の前程条件に大きな相違がなく,適用性に問題がないことを確認の上検討しなければならない. 

形式や規模の使用実績が短い場合もしくは少ない場合には,詳細な検討を実施し,照査の段階で構造形式 や主要寸法の変更が生じないようにすることが望ましい.設)  

(3)について  構造物を計画,設計,施工するためにはさまざまな調査が必要であり,建設予定地点の状 況,構造物の規模などに応じて,構造計画の段階で必要な調査を実施しなければならない.このような調査 が不十分な場合,構造形式などが現地の状況に合わなくなり,計画の大幅な変更が生じる恐れもあるので,

注意が必要である.設)  

(4)について  コンクリート構造物の構造形式を選定するうえで重要なことは,建設時のコストだけでなく,

設計耐用期間にわたるライフサイクルコストを考えて最終的に判断する必要がある.特に橋梁等では,過去 に建設時のコストを優先して設計された構造物において,近年著しい劣化が認められており,中にはきわめ て危険な状態に至る例も報告されている.

解説 図 4.2.1

は路面水や雨水が浸透しやすい構造や部位について まとめたものである.解説 図 4.2.1(a)は,床版部の排水装置付近を示したものであるが,橋面防水を行っ たものであっても,特にこの部位では床版内に水が浸透することを完全に防ぐことは難しいことを表してい る. 

                         

(b)は鋼とコンクリートの合成構造であるが,防水工を行ったとしても完全な遮水を行うことは困難であ

解説 図 4.2.1  留意すべき構造・部位 

(f)埋め込み鋼材の腐食 (g)密閉断面化  (b)鋼材の腐食 

(a)橋梁上部工での 

排水装置付近  (c)埋め込み鋼材の腐食

(e)埋め込み鋼材の腐食 

(d)埋め込み鋼材の腐食 

(i)接触面 

(拡大図)

(h)密閉断面化 

り,また水が浸入すると抜けにくく長期にわたり滞水し,更に東北地方では凍結防止剤(塩水)の影響が加 わるため、著しく腐食が進行することが考えられ,長期の耐久性を期待することはできない. 

(c)から(e)に示すように鋼材がコンクリート中に埋め込まれている場合も,(b)と同様で,水が抜けにく く長期にわたり滞水するため,著しく鋼材の腐食が進行する.さらに,コンクリート中の鋼材腐食が極めて 発見しにくい構造であり,避けなければならない. 

(f)はコンクリートと鋼材の接合部が完全一体となりにくく,腐食環境にある場合は腐食が進行していく と想定される.これらの構造形式は耐久性に課題があり避けるのが望ましい. 

(g)は CFT 構造の場合において,コンクリート打設孔などから腐食要因が断面内に持ち込まれないように 密封し対処した例である. 

(h)は,下面に水抜を設けて滞水を避けたものであるが,酸素が供給されることにより腐食するため,密 封した構造とすべきである. 

(i)は,鋼桁フランジと床版の接合部を示したものである.鋼の上フランジの角の部分は,コンクリート に十分埋め込まれておらず,かぶり不足となっているため,かぶり相当の範囲を塗装することによって保護 したものである. 

(5)について  コンクリート構造物は設計耐用期間にわたり所要の耐久性を保持しなければならない.構 造物が所要の性能を維持するためには,環境作用による構造物中の材料の劣化や変状が設計耐用期間中に生 じないようにするか,あるいは材料劣化が生じたとしても構造物の性能の低下を生じない軽微な範囲にとど まるように設計するのが重要である.設)  

このために,構造物に用いられるコンクリートは,所要の強度を有し耐久的で密実であることが求められ る.また,コンクリート構造物の耐久性に大きく関与する鋼材の腐食は,かぶりに過大な幅のひび割れが存 在すると,局所的な腐食が生じる場合があるので十分に留意するものとする.一般的な環境に建設される構 造物は,解説 表 4.1.1に示す水セメント比のレディーミクストコンクリートを用い,解説 表 4.2.2に示す かぶりを確保し,かつひび割れ幅が一定範囲に抑えられていれば,耐久性を維持することが可能である.し かし塩害環境下においては特別な対策が必要となる. 

プレストレストコンクリートは,PC 鋼材が腐食せずコンクリート部材に導入されたプレストレスが維持さ れることによって耐久性が保証されている.したがって,PC 鋼材の腐食に対する予防保全対策を講じること を目的として,塩分環境に建設されるプレストレストコンクリートに対しては,従来から広く使用されてき た鋼製シースに換えて高密度ポリエチレンなどを用いた非鉄シースの使用が望ましい. 

(6)について  コンクリート構造物の形状を単純化することは,配筋の合理化や簡素化,型枠製作精度の 向上,コンクリートの締固めが容易になるなど,施工品質が向上し,耐久性に優れた構造物を構築すること につながるものと考えられる.また,飛来塩分による塩害のおそれがある構造物の場合は,塩分付着面積の 少ない閉断面の単純化した形状を用いることにより,塩化物イオンの付着量を低減し耐久性を向上させるこ とができる.したがって,既往コンクリート構造物の劣化状況や損傷原因などの調査を踏まえ,劣化や欠陥 が生じにくい構造を採用することや対策工を行うことで耐久性を向上させるものとする.例えば,橋梁を連 続桁とすることは伸縮装置や支承が少なくなり,漏水による桁端部と支承部の劣化や凍結融解を抑制し,耐 久性を向上させることができる. 

(7)について  耐久性対策の中には,効果のばらつきが大きいものがあり,そのような対策だけでは十分

な耐久性を確保することはできない.とりわけ,完成後に大規模な補修が不可能と予測される構造物の本体 部分では,複数の対策を施しておく必要がある.

解説 表 4.1.3

に示したように著しい塩害環境下であれば,

「かぶり」を十分に確保するだけではなく,①コンクリートの水セメント比を小さくする,②鋼材の防錆処 理や構造物の防水処理,表面被覆をするなど,複数の対策を併用するよう検討すべきである. 

   

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