YESNO
4.1.2.2 地域特性に配慮した設計計画
塩害は,海洋からの飛来塩分と凍結防止剤散布による飛散塩分の双方を考慮するものし,十分な耐久性 を有するよう,塩害区分に応じて必要な対策を講じるものとする.
【解 説】 東北地方は三方を海洋に囲まれているため,それぞれの地域区分ごとに適切な塩害対策区分を 示すことが必要である.
解説 図 4.1.3
は,東北地方の日本海,太平洋沿岸の各地点における日平均飛来塩分 量を比較したものであるa).使用したデータは,既往の全国調査によるものであり,測定期間は昭和 60 年 12 月から昭和 62 年 12 月までのものであるb).この図より,日本海沿岸部において多量の塩分が飛来している ことがわかる.さらに,同じ日本海沿岸部でも地域によってはその量に大きな差が生じている.以上を考慮 して日本道路協会 道路橋示方書・同解説では,解説 図 4.1.4
と解説 表 4.1.3に示したように塩害対策区分 を 4 区分に分けて,それの対応地域と具体的な対策を示している.深浦
岩城
温海
山田 東通 深浦町(青森)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
0 20 40 60 80
温海町(山形)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月
東通村(青森)
0 20 40 60
80 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月
旧岩城町(秋田)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
0 20 40 60 80
山田町(岩手)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 深浦
岩城
温海
山田 東通 深浦町(青森)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
深浦町(青森)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
0 20 40 60 80
温海町(山形)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
温海町(山形)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月
東通村(青森)
0 20 40 60
80 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 東通村(青森)
0 20 40 60
80 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月
旧岩城町(秋田)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
旧岩城町(秋田)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
0 20 40 60 80
山田町(岩手)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 0
20 40 60 80
山田町(岩手)
日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月 日平均飛来塩分量(×103mg/ m2/day)
1月 3月 5月 7月 9月 11月
解説 図 4.1.3 東北地方における日平均飛来塩分量の比較a)
また,東北地方において路面凍結が生じる地域では,凍結防止剤が散布されておりこれに含まれる塩化物 イオンの影響についても考慮する必要がある.これによる塩分は,水に溶けた状態で直接コンクリートに浸 透するものと,飛散塩分とに分けられる.このような塩分供給状況の違いを踏まえ,塩害対策区分は床版や 道路面周辺の部材については解説 表 4.1.3に示す対策区分 S に,それ以外は I に相当するものとしてよい.
解説 図 4.1.3 東北地方における日平均飛来塩分量の比較
北海道のうち,宗谷支庁の礼文町・利尻富士町・利尻町・稚内市・猿払村・豊富町,
留萌支庁,石狩支庁,後支支庁,檜山支庁,渡島支庁の松前町
青森県のうち,蟹田町,今別町,平館村,三厩村(東津軽郡),北津軽郡,西津軽郡,
大間町・佐井村・脇野沢村(下北郡)
秋田県,山形県,新潟県,富山県,石川県,福井県
解説 図 4.1.4 塩害の影響の度合いの地域区分c) 地域区分 B とする地域
上記地域を除く 海岸線付近
解説 表 4.1.3 塩害地域区分の定義c)
塩害の影響度合いと 対策区分
地域区分 地 域 海岸線からの距離
対策区分 影響度合い 海上部および海岸線から 100m まで S 影響が激しい 100m をこえて 300m まで Ⅰ
A 沖縄県
上記以外の範囲 Ⅱ
影響を受ける 海上部および海岸線から 100m まで S 影響が激しい 100m をこえて 300m まで Ⅰ
300m をこえて 500m まで Ⅱ B 解説 図 4.1.4
に示す地域
500m をこえて 700m まで Ⅲ
影響を受ける
海上部および海岸線から 20m まで S 影響が激しい 20m をこえて 50m まで Ⅰ
50m をこえて 100m まで Ⅱ C 上記以外の地域
100m をこえて 200m まで Ⅲ
影響を受ける
※ このガイドラインは東北地方のものであるため B,C 地域を対象
写真 4.1.1 実構造物におけるスケーリングの発生状況
塩化物イオンを含んだ水分がコンクリート部材の表面に接すると,構造物表面でスケーリングによる劣化 が著しく促進されることが明らかになっているが,そのメカニズムは複雑であり,定説は得られていない.
実際の構造物において凍結防止剤の影響で発生したスケーリングの状況を写真 4.1.1に示した.このような 劣化を防ぐためにはコンクリートの水セメント比を 45%以下にし,空気量を 6%(管理値±1.5%)にする必要 がある.
一方,凍結融解を受けかつ飛来塩分や飛散塩分あるいはその両者の影響を受ける地域においては,
解説 表 4.1.4
に示す塩害対策区分と,構造物および部材毎に定めた解説 表 4.1.5に示す L1~L3 の重要度に応じて 具体的な対策を講じるのが良い.解説 表 4.1.4
に示す単独や複合とは以下に示す通りとする.1)単独:4.2.2に示すかぶり・水セメント比を使用するもの.
2)複合:単独の対策に加えてエポキシ樹脂塗装鉄筋(PC においてはエポキシ樹脂塗装 PC 鋼材を含む)を 優先的に採用するものとする.コンクリート表面被覆や埋設型枠は補助的に使用するものとする.
かぶりのみによる鋼材の保護は効果のばらつきが大きく,長期間確実に効果を発揮することに対しての不 安がある.したがって塩害に対する影響が激しくかつ重要な構造物の場合には,複合的に鋼材の保護策を講 ずるものとした.また,重要度 L2 に属する部材(例えば地覆や高欄)で塩害対策が必要な場合は,エポキシ 樹脂塗装鉄筋を採用することで,
解説 表 4.2.1
に示す塩害の影響を受けない場合のかぶりを使用してよいも のとする.解説 表 4.1.4 構造物または部材の重要度と塩害対策区分に応じた対策 道路橋示方書・同解説の塩害対策区分
重要度 S Ⅰ Ⅱ Ⅲ
L1 複合 複合 単独 単独
L2 複合 単独 単独 必要に応じて
L3 単独 単独 必要に応じて -
また,このガイドラインで扱う代表的な構造物における対策レベルの目安は,
解説 表 4.1.5
に示す通り構 造物の種類に応じて重要性や構造物の部材交換の難易度を踏まえて作成したものである.L1 とは,重要度の 最も高い構造物として位置付けたもので,交換不可能なもの,あるいは補修・補強に対して大規模な工事が 必要となるものである.L2 とは,橋梁の構成部材で交換がある程度可能なもの,または,場所打ち杭や基礎 工など地中にあり劣化環境因子が比較的少ないものである.L3 は,橋梁の伸縮装置に代表されるように,設 計者がその供用期間を定め,交換が容易なものである.解説 表 4.1.5 構造物・部材の設計耐用期間と対策レベルの目安
工種 部材 設計耐用期間※1 部材の交換※2 重要度
基礎工 100 年 × L2
下部構造 100 年 × L1
上部工桁 100 年 × L1
交換不可 100 年 × L1
上部工
床版 交換可 - △ L2
伸縮装置 - ○ L3
支承 - ○ -
落橋防止 - ○ -
地覆 - ○ L2
橋梁
高欄 - ○ L2
基礎工 場所打ち杭本体 100 年 × L2※3
海岸堤防 堤体・波除工 100 年 ○ L1
本体・副ダム※7 100 年 × L1
側壁 100 年 × L1
砂防ダム
水叩 - △ L1
ロックシェッド 本体 100 年 × L1
重力式擁壁※4 駆体 100 年 × L1
底版 100 年 × L1
RC 擁壁※4
駆体 100 年 × L1
RC カルバート※5 本体 100 年 × L1
堰柱 100 年 × L1
門柱 100 年 × L1
床版 100 年 × L1
堰・水門
水叩 - △ L1
樋門 本体 100 年 × L1
本体 100 年 × L1
揚・排水機場※6
沈殿池 100 年 × L1
※1 設計耐用期間は基本を 100 年とし,交換可能な部位については設計者が耐用年数を定める.
※2 構造物の性能低下による交換の可否.(○:可能,△:状況により可能,×:不可能)
※3 地中又は地下水以下に完全に埋設されているものを標準としている.
※4 高さが 5m 以上の場合を重要構造物として定めた.
※5 内空断面積が 25m2以上の場合を重要構造物として定めた.
※6 高さが 3m 以上の場合を重要構造物として定めた.
※7 砂防ダムは施工実積から無筋構造物を対象としている.