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解説表 5. 2.14 バッチミキサの練混ぜ性能 施)
5.7 短繊維補強コンクリート
5.7 短繊維補強コンクリート
(1) 短繊維補強コンクリートを使用する場合には,品質の確認された材料を用い,所要の性能が得られる ように配合を定め,適切に製造,施工し,各段階で必要な検査を行わなければならない施). (2) 短繊維補強コンクリートは,所要の強度,タフネス,耐久性,ひび割れ抵抗性,作業に適するワーカ
ビリティーをもち,品質のばらつきの少ないものでなければならない施).
(3) 短繊維補強コンクリートの圧縮強度は,JIS A 1108 により求めるものとする施).
(4)短繊維補強コンクリートの引張強度は,JIS A 1113,またはコンクリート供試体による直接引張試験 により求めるものとする施).
(5) 短繊維補強コンクリートの曲げ強度には,寸法依存性を考慮することを標準とする施).
(6) 短繊維補強コンクリートの応力−ひずみ曲線は,JIS A 1149 に準じる方法で求めることを標準とす る施).
(7) 短繊維補強コンクリートの応力−ひずみ曲線は,使用目的に応じて,信頼できる資料をもとに適切な 形状を仮定してもよい施).
(8) 短繊維補強コンクリートの引張軟化特性は,コンクリート供試体の直接引張試験,または曲げ試験に より求めることを原則とする施).
(9) 短繊維補強コンクリートの引張軟化曲線は,使用目的に応じて,信頼できる資料をもとに直線でモデ ル化するなど適切な形状を仮定してもよい施).
(10) 引張軟化曲線を使用しないで,短繊維補強コンクリートの特性として曲げタフネスを考慮する場合に は,JSCE-G 552 により求めた試験値に基づく曲げじん性係数,コンクリート供試体による曲げ試験 に基づく荷重−たわみ曲線,荷重−ひび割れ幅曲線により定めてよい施).
(11) 火災発生時における爆裂防止を目的として短繊維を使用する場合には,使用する合成繊維の種類と使 用量を適切な方法で確認することを標準とする.ただし,信頼できる資料をもとに,使用する合成繊 維の種類に応じて爆裂防止効果を付与できる標準混入量を定めてもよい.施)
(12)構造物からのコンクリート片のはく落防止を目的として短繊維を使用する場合には,使用する短繊維 の種類と使用量を適切な方法で確認することを標準とする.ただし,信頼できる資料をもとに,使用 する短繊維の種類に応じてはく落防止効果を付与できる標準混入量を定めてもよい.施)
(13) 上記以外の性能が特に必要な場合は,実物規模や模型等による試験,供試体による試験,解析等によ り適切に確認しなければならない施).
(14) 鋼繊維は JSCE-E 101 に適合したものを標準とする施).
(15)(14)以外の鋼繊維を用いる場合には,その品質を確かめ,その使用方法を適切に定めなければなら ない施).
(16) 合成繊維は,これを用いて製造した短繊維補強コンクリートが所要の性能を有するよう,品質の確認 されたものでなければならない施).
(17) 短繊維補強コンクリートの配合は,所要の性能を満足するよう,適切に定めなければならない施).
(18) 短繊維の種類,形状,寸法および混入率は,目的に応じて設定された強度特性,変形特性,爆裂防止 効果,はく落防止効果などを考慮して定めることを原則とする施).
(19) 短繊維補強コンクリートの配合は,所要の性能が確保される範囲内で,単位水量をできるだけ少なく するよう定めなければならない施).
(20) 配合の表し方は,短繊維の種類,形状,寸法および短繊維混入率を明示するものとする施). (21) ミキサは,強制練りバッチミキサを用いることを標準とする施).
(22) 短繊維のミキサへの投入は,短繊維がコンクリート中に均一に分散するような方法で行わなければな らない施).
(23) 短繊維補強コンクリートは,所要の品質が得られるよう十分に練り混ぜなければならない施). (24)練混ぜ時間は,試験によって定めるのを原則とする施).
(25) 短繊維をトラックアジテータ内に投入する場合は,高速かくはんを行い,そのかくはん時間を定め,
スランプの低下を明確にし,所定の品質が得られることを確認しなければならない施).
(26) コンクリートポンプを用いて運搬する場合には,短繊維の混入による圧送負荷の増加に留意して圧送 計画を立て,コンクリートポンプの機種および圧送量等を定めなければならない施).
(27) 短繊維の受入れ検査は,受入れ側の責任のもとに実施する施).
(28)短繊維補強コンクリートの受入れ検査は,受入れ側の責任のもとに実施する施).
【解 説】
(1)について 短繊維補強コンクリートの所要の品質を得るためには,短繊維が一様に分散され ることが原則であるが,短繊維の長さ,形状,混入率,コンクリートの粗骨材の最大寸法,水セメント比,細骨材率,練混ぜ方法,締固め方法等によって,その品質が大きく左右される.したがって,施工前にこれ らの事項について十分に検討した上で施工することが重要である.施)
(2)について 短繊維補強コンクリートでは,短繊維の分散が一様でない場合や,特定方向に配向した場合 には,所要の強度やタフネスを得られないことがある.また,引張強度,曲げ強度,せん断強度,およびタ フネスは短繊維混入率にほぼ比例して増大するが,圧縮強度はあまり変化しない.鋼繊維補強コンクリート や,ある程度多くの合成繊維を混入した短繊維補強コンクリートでは,ひび割れを生じた後もなお相当な耐 力を保持しつつ漸次破壊に至るので,コンクリートの脆性が大幅に改善され,タフネスが大きくなる施).
なお,鋼繊維補強コンクリートを鉄筋コンクリート構造物に適用した場合には,ひび割れの発生が少ない ことや電気抵抗が変化することなどにより,海洋環境のような厳しい腐食環境下であっても鉄筋の腐食は抑 えられるという報告もある.施)
(3)について コンクリートに短繊維を混入すると圧縮強度はわずかに上昇するが,その影響は少ない.短 繊維補強コンクリートの圧縮強度試験は,通常のコンクリートと同様に,JIS A 11O8「コンクリートの圧縮 強度試験方法」により行い,試験値が設計基準強度を下回る確率が 5%以下となるように配合強度を定めるの がよい.なお,短繊維補強コンクリートの圧縮強度の変動係数は,通常のコンクリートと同程度とみなすこ とができる.施)
(4)について 短繊維補強コンクリートの引張強度は直接引張試験により求めることが望ましいが,現時点 では汎用的な試験装置によって精度よく測定できる試験方法が確立されていない.したがって,一般には,
JIS A 1113「コンクリートの割裂引張強度試験方法」によるものとした.この場合には,初期ひび割れ発生時
の強度を引張強度として設定してよい.なお,試験値が引張強度の特性値を下回る確率が 5%以下となるよう に配合強度を定めるのがよい.また,短繊維補強コンクリートでは,主にコンクリートにひび割れが発生し た後に短繊維により引張応力が伝達されるので,短繊維補強コンクリートの引張強度は,母材であるコンク リートのひび割れ発生強度であるコンクリートの引張強度とほぼ同一と考えてよい.施)
(5)について 曲げ強度は寸法依存性が高く材料特性をあらわす指標とは考えにくいが,実構造物の寸法で 曲げ強度試験を行えば,その試験値は実構造物での特性値に準じて取り扱うことができる.ただし,一般に は,短繊維補強コンクリートの曲げ強度は,寸法効果を考慮した上で,適当な試験方法によって求めている.
試験方法は,JSCE-G 552「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法」を用いるとよ い.施)
(6)および(7)について 短繊維補強コンクリートの場合でも,通常のコンクリートと同様に応カ−ひずみ 曲線は,コンクリートの種類,材齢,作用する応力状態,載荷速度および載荷経路等によって相当に異なる.
しかしながら,圧縮強度および圧縮強度に至るまでの圧縮側の変形特性に対しては短繊維の混入による影響 は少ない.したがって,短繊維補強コンクリートの圧縮側の変形特性における応カ−ひずみ曲線は,JIS A 1149
「コンクリートの静弾性係数試験方法」に準じて設定してよい.施)
なお,鋼繊維補強コンクリートは,
解説 図 5.7.1
に示すように鋼繊維を混入することにより,圧縮強度以 降の変形特性が改善されることが知られている.合成繊維の混入率は用途に応じて大きく異なり,混入率が 小さい場合には,圧縮側の変形特性の改善はごくわずかであるが,混入率が大きい場合には,同様に圧縮強 度以降の変形特性が改善される.施)応力計算などの解析において,高い精度を求める場合には,実際に近い応カ−ひずみ曲線を用いる必要が ある.このような場合には,圧縮軟化を考慮する必要がある.施)
解説 図 5.7.1 圧縮試験結果の例
施)(8)について 短繊維は,ひび割れが発生した後に応力を伝達することから,短繊維補強コンクリートの引 張破壊特性への影響は,引張応力とひび割れ幅の関係を表わした引張軟化曲線に顕著に現れる.このため,
柱部材などにおいて引張軟化特性が必要な場合には,短繊維補強コンクリートの引張軟化特性を引張軟化曲 線により表す.引張軟化曲線は,直接引張試験により求めることができるが,直接引張試験は,高剛性でか つ高精度の変位制御が可能な試験機が必要であり,短繊維補強コンクリートの一般的な試験方法とすること
は困難である.引張軟化曲線は,直接引張試験に基づいて定めることが望ましいが,引張軟化曲線を曲げ試 験結果から算定することも現実的な方法である.曲げ試験結果に基づいて引張軟化曲線を算定する方法はい くつか提案されており,「鋼繊維補強鉄筋コンクリート柱部材の設計指針(案)」付属資料 1 や,「複数微細ひ び割れ型繊維補強セメント複合材料設計・施工指針(案)」試験方法 2 などがある.なお,直接引張試験およ び曲げ試験を行う場合は,変位制御で試験することが原則である.施)
(9)について 短繊維補強コンクリートの引張軟化曲線は,一般的にひび割れ発生直後に応力が低下するよ うな挙動を示す.ひび割れ発生後の軟化挙動は,短繊維の種類,形状,混入率等の影響を受けることが知ら れている.したがって,使用目的に応じて引張軟化曲線の形状を適切に設定する必要がある.直接引張試験 から得られた引張軟化曲線は,
解説 図 5.7.2
に示すようにひび割れ発生直後に応力が急激に低下する領域と,ひび割れ幅の増加に伴って緩やかに応力が低下する領域に分けられる.ここで,引張軟化曲線で囲まれた面 積で表される破壊エネルギーは,コンクリートのひび割れ抵抗性能を示している.施)
なお,引張軟化曲線の設定の一例を解説 図 5.7.3に示す.この例は,「鋼繊維補強鉄筋コンクリート柱部 材の設計指針(案)」に示されている引張軟化曲線であり参考にするとよい.施)
また,合成繊維の混入率は用途に応じて大きく異なり,混入率が小さい場合には,引張軟化特性の改善は ごくわずかであるが,混入率が大きい場合には,引張軟化特性は大幅な改善を示し,混入率を 2%程度まで高 めた複数微細ひび割れ型繊維補強モルタルでは,擬似ひずみ硬化特性を示す施).
解説 図 5.7.2 引張軟化曲線の例
施)解説 図 5.7.3 引張軟化曲線の設定の一例
施)(10)について 短繊維補強コンクリートは,トンネル覆工,舗装,のり面吹付け,補修・補強などのよう に構造物の種類,用途,使用目的などによっては,従来から応力計算や数値解析を行わずに用いられている ものが多くある.このような場合では,過去の実績に基づき,JSCE-G 552「鋼繊維補強コンクリートの曲げ 強度および曲げタフネス試験方法」により求めた試験値に基づく曲げじん性係数,曲げ試験による荷重−た わみ曲線のひび割れ発生以降の曲線,あるいは荷重−ひび割れ幅曲線などにより,曲げタフネスを適切に定 めていることが多い.施)
なお,曲げタフネスは,寸法依存性が高いため,実構造物寸法と試験体寸法との寸法の相違効果を考慮し て定めることが望ましい施).
(11)について 高強度コンクリートや高流動コンクリートなどの低い水セメント比配合を有する緻密なコ ンクリートでは,火災時にコンクリート内部の蒸気圧が高まり表層のコンクリートの爆裂が生じることがあ る.しかし,合成繊維が混入されていると,火災時に合成繊維が焼失することで蒸気の移動経路が確保され
るので,爆裂防止効果が期待できる.ポリプロピレン短繊維の場合,コンクリートに対する短繊維混入率(容 積百分率)が 0.165%〜0.33%(混入量として 1.5〜3.Okg/㎥)程度の範囲で十分な爆裂防止効果を有し,合成繊 維の混入によるコンクリートの強度特性や耐久性への影響はほとんどない.爆裂防止効果を付与した短繊維 補強コンクリートの使用例は,設計基準強度 80N/m ㎡程度以上の高層建築の柱が多いが,火災条件が厳しい トンネルに対しても通常強度レベルから検討が行われている.施)
繊維の種類はポリプロピレンの使用実績が多いが,ポリアセタール,ビニロンなども使用される.合成繊 維の種類ごとに融点が異なるために爆裂防止効果は異なるが,繊維混入量が多いほど,繊維径が細かいほど,
繊維の長さが長いほど,爆裂防止効果は高い傾向にある.融点および消失温度は,ポリプロピレンとポリア セタールでは異なるが,0.2〜0.3%程度の容積混入率で十分な爆裂防止効果を付与することができる.なお,
合成繊維の中には,消失により有毒ガスを発生する恐れのあるものもあるので注意を要する.施)
爆裂防止効果を付与するための標準混入量に関する信頼できる過去のデータがない合成繊維を使用する場 合には,合成繊維の混入量をパラメータとした適切な加熱実験により,合成繊維の種類に応じて爆裂防止効 果を付与するための有効な使用量を確認する必要がある.加熱温度の設定は,ドイツにおける道路トンネル の設備と運用に関する指針に規定されているトンネル火災試験用の RABT 温度曲線(ZTV-Tunnel Curve)やオラ ンダ運輸公共事業省治水本局(RWS)の曲線などを参考にするとよい.施)
(12)について コンクリート高架橋などからコンクリート片がはく落すると第 3 者に危害を及ぼす恐れが ある.短繊維補強コンクリートをはく落防止目的に使用する場合には,容積混入率 0.04〜0.1%程度の少量の 合成繊維が使用されており,コンクリート高架橋の上層・中層のスラブ・はり,桁,場所打ちで施工する地 覆・高欄等で使用されている.施)
使用する短繊維の種類に応じてはく落防止効果を付与するのに有効な混入量を定めるためには,打撃によ る損傷を加えることではく落させる実験等により,その効果を確認するのがよい.
解説 図 5.2.4
に,短繊維 によるはく落防止効果を確認するための試験方法の例を示した.この提案方法は,鉄筋腐食に起因するコン クリート片のはく落を模擬するために,供試体の鉄筋位置に鉄筋の代わりに設けた孔に静的破砕材を注入し て膨張圧でひび割れを発生させた後に,ハンマーによる打撃でかぶりコンクリートをはく落させる試験であ る.短繊維の混入量をパラメータにとり,短繊維有りの場合にはく落に至る打撃回数と短繊維無しの場合の 打撃回数の比(打撃回数比)をとって,短繊維によるはく落防止効果を評価するものであり,打撃回数比が 8 程度となる短繊維混入率をはく落防止効果を付与するための標準混入量の目安としている.なお,鉄筋位置 に設けた孔に注入した静的破砕材が過度に膨張して噴出することがないように,静的破砕材の使用にあたっ ては,その用量・用法を守ることが大切である.施)