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解であることの確かめ、 Poisson 積分

ドキュメント内 偏微分方程式入門 2013 (ページ 150-155)

第 3 章 Laplace 方程式、 Poisson 方程式 137

3.4 円板領域における Laplace 方程式の Dirichlet 問題

3.4.3 解であることの確かめ、 Poisson 積分

に等しいことから納得できるであろう。実際、上の例では三角関数の倍角の公式を使って計算 したが、

r2cos 2θ= Re (x+iy)2 =x2−y2. のようにも計算できる。

定理 3.4.3 (境界値が滑らかなら Abel 和が解を与える) 境界値 Ψ = Ψ(θ) が C1 級な らば

u(rcosθ, rsinθ) = A(r, θ) (0≤r≤1, θ∈[0,2π), A は (3.4.10) で定義された関数) は (DP) の古典解である。

証明 方針のみ示す。

(i) A(r, θ) は 0 r < 1, θ [0,2π] のとき、何回でも項別微分可能であることが示せる (Weierstrass の M 判定法)。ゆえに C 級で、特に

2

∂r2 +1 r

∂r + 1 r2

2

∂θ2

A(r, θ) = 0.

(ii) Ψ が C1 級であることから X

(|an|+|bn|) < が導かれ、これが優級数となるので、

A(r, θ)は 0≤r 1, θ [0,2π) で一様収束する。特に連続で、

A(1, θ) = Ψ(θ)[0,2π)).

(この証明の筋は、熱方程式の場合と同様であることが分かるであろう。) 実は境界値の連続性を仮定しただけで解の存在が証明できる。

定理 3.4.4 (連続な境界値に対する解) ψ が連続ならば u(rcosθ, rsinθ) :=

(

A(r, θ) (0≤r <1,θ [0,2π)) ψ(cosθ,sinθ) (r= 1, θ [0,2π)) で定義されるu は (DP) の古典解である。

この定理の証明も熱方程式の場合と同様である。熱方程式に対しては Green 関数を導入する ことで証明したが、今の場合は、以下に紹介する Poisson 積分を用いて証明できる。これも一 通り説明しておこう。

補題 3.4.5 (Abel 和の Poisson 積分による表現)

(3.4.11) Pr(θ) := 1

2π 1 + 2 X n=1

rncos

!

= 1 2π

1−r2 12rcosθ+r2. とおくと

A(r, θ) = Z

0

Pr−ϕ)Ψ(ϕ)dϕ (0≤r <1, θ∈[0,2π)) と書ける。

証明 級数は θ に関して一様収束しているので (容易に Weierstrass のM 判定法ができる)、 項別積分が可能であるから、

A(r, θ) = 1 2π

Z

0

Ψ(ϕ) +

X n=1

rn 1

π Z

0

Ψ(ϕ) cosnϕ dϕcos+ 1 π

Z 0

Ψ(ϕ) sinnϕ dϕsin

= 1 2π

Z

0

Ψ(ϕ)

"

1 + 2 X n=1

rn(coscos+ sinsinnθ)

#

= 1 π

Z

0

Ψ(ϕ)

"

1 + 2 X n=1

rncosn(ϕ−θ)

#

= Z

0

Ψ(ϕ)Pr−ϕ)dϕ.

そして

2πPr(θ) = 1 + 2 X n=1

rncos= 1 + 2Re X n=1

rneinθ = 1 + 2Re re 1−re

= 1 + 2Re re(1−re−iθ)

|1−re|2 = 1 + 2(rcosθ−r2) (1−rcosθ)2+ (rsinθ)2

= 1 + 2(rcosθ−r2)

12rcosθ+r2 = 2(rcosθ−r2) + 12rcosθ+r2 12rcosθ+r2

= 1−r2 12rcosθ+r2.

定義 3.4.6 (Poisson 核、Poisson 積分) (3.4.11)で定義される関数 Pr(θ)を単位円板の Poisson 核 (Poisson kernel)、Poisson 核と Ψとの畳み込み(convolution) である積分

(3.4.12) PrΨ(θ) =

Z 0

Pr−ϕ)Ψ(ϕ)dϕPoisson 積分 (Poisson integral)と呼ぶ。

つまりΨ の Abel 和 A(r, θ)は、Ψの Poisson 積分である:

A(r, θ) = PrΨ(θ) (r [0,1), θ [0,2π)).

注意 3.4.7 Fourier級数で書けているのに、あえて書き直す理由は何か?

(1) 実は Poisson 積分は、空間の次元 n が 3 以上の場合に一般化できるという利点がある。

(これに対して、Fourier 級数による解法を一般化するのは難しい。n= 3 の場合にこれに 相当するのは、球面調和関数を用いた解法であろうが、相当面倒である。)高次元への拡 張は次のようになる。

命題 3.4.8 (高次元の球における Poisson 積分) n 次元の開球 Ω = {x Rn;|x|2 <

R2} の境界を ΓR と書くとき、ψ ∈C(ΓR)に対して、ディリクレ問題 4u= 0 (in Ω), u=ψ (on Γ)

の解u∈C2(Ω)∩C(Ω) はただ一つ存在して、Poisson の積分表示式 u(x) = 1

|Sn1|R Z

ΓR

R2− |x|2

(R22x·y+|x|2)n/2 ψ(y)dσy.

で与えられる。ただし |Sn1|Rn の単位球の表面積で、x·yxy の Euclid 内積、 は ΓR 上の面積要素を表すとする。

(証明は例えば熊ノ郷 [24] 第 5章を見よ。)

(2) 熱伝導方程式に対する Green 関数でもそうであるが、無限級数よりも、単一の関数をか けて積分する形の公式の方が取り扱いやすい場合が多い。(無限級数では、すぐに項別積 分が可能かどうか問題になる— まあ、積分形式で書いても、そう簡単になるわけではな いのだが…)

練習問題 半径 R の円盤における Dirichlet 問題の解の公式はどうなるか? Fourier 級数を 使った形と Poisson 積分を使った形の両方を求めよ。確認用に Poisson 積分の場合を書いて おくと

u(r, θ) = 1 2π

Z

0

Ψ(ϕ) R2−r2

R2+r22Rrcos(θ−ϕ)dϕ (r[0, R), θ∈[0,2π]).

Poisson 核の性質について準備しよう。

補題 3.4.9 (Poisson 核の性質) (1) Pr(θ)>0.

(2) Z

0

Pr(θ) = 1.

(3) Pr(−θ) = Pr(θ+ 2π) = Pr(θ).

(4) 任意のδ (0, π)に対して、δ≤ |θ| ≤π を満たす θ に関して一様にlim

r1 Pr(θ) = 0.

証明

(1) 1−r2 >0, 12rcosθ+r2 12r+r2 = (1−r)2 >0 であるから。

(2) 級数は項別積分できるから、

Z 0

Pr(θ) = 1 2π

Z 0

+ 2 X n=1

rn Z

0

cosnθ dθ

!

= 1

2π 2π+ 2 X n=1

0

!

= 1.

(3) cos は周期2π の偶関数であるから。

(4) Pr(θ) は変数 θ の偶関数であるから、θ > 0 だけ考えれば十分である。δ ≤θ π で cos が減少関数だからcosθ≤cosδ. ゆえに

12rcosθ+r2 12rcosδ+r2 >0.

割り算して

0< 1−r2

12rcosθ+r2 1−r2 12rcosδ+r2. すなわち

0< Pr(θ)≤Pr(δ).

r↑ 1 とすると、右辺 0 は明らかだから (分母12 cosδ+ 1 = 2(1cosδ)6= 0 に 注意)、θ につき一様に

limr1 Pr(θ) = 0.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9

-3 -2 -1 0 1 2 3

p(0,x) p(0.1,x) p(0.2,x) p(0.3,x) p(0.4,x) p(0.5,x) p(0.6,x) p(0.7,x)

図 3.1: r= 0,0.1, . . . ,0.7に対して Pr のグラフを[−π, π] の範囲で描く (デルタ超関数に収束していくことが信じられそう? )

補題 3.4.10 (連続関数の Poisson 積分) 周期2π の周期関数 Ψ : RR が連続ならば、

(3.4.10) で定義されるΨ の Abel 和 A(r, θ) について、

lim

r1 max

θ[0,2π]|A(r, θ)−Ψ(θ)|= 0.

つまりr 1 のとき、θ [0,2π]につき一様に Abel 和 A(r, θ)は Ψ(θ)に収束する。

証明 Ψ は一様連続であるから、∀ε >0 に対して、十分小さな δ >0を取ると、

|θ−τ|< δ =⇒ |Ψ(θ)Ψ(τ)|< ε.

そこで

A(r, θ)−Ψ(θ) = Z

0

Pr−ϕ)(Ψ(ϕ)−Ψ(θ)) = Z

|θϕ|≤π

Pr−ϕ)(Ψ(ϕ)−Ψ(θ)) より

|A(r, θ)−Ψ(θ)| ≤ Z

δ≤|θϕ|≤π

Pr−ϕ)|Ψ(ϕ)Ψ(θ)|dϕ+ Z

|θϕ|

Pr−ϕ)|Ψ(ϕ)Ψ(θ)|dϕ

2 max

θ[0,2π]|Ψ(θ)| Z

δ≤|θϕ|≤π

Pr−ϕ)dϕ+ε Z

|θϕ|

Pr−ϕ)dϕ

2 max

θ[0,2π]|Ψ(θ)| ·2π max

δ≤|τ|≤πPr(τ) +ε = 4π max

θ[0,2π]|Ψ(θ)| max

δ≤|τ|≤πPr(τ) +ε.

右辺第1項は補題 3.4.9の (4) からr 1のとき θ につき一様に 0に収束する。

定理 3.4.4 の証明 A が [0,1)×T, T =R/2πZ において C 級で、

2

∂r2 +1 r

∂r + 1 r2

2

∂θ2

A(r, θ) = 0

が成り立つことは、定理3.4.3の証明と同様である。ゆえにuB(0; 1)C 級で4u= 0.

u の定義から u が境界条件

u(cosθ,sinθ) =ψ(cosθ,sinθ)∈T)

を満たすことは明らか。問題は u∂B(0; 1) 上の任意の点、つまり (cosθ,sinθ) (θ T) で 連続であることを証明することであるが、

|u(cosθ,sinθ)−u(rcosθ, rsinθ)| ≤ |u(cosθ,sinθ)−u(cosθ,sinθ)| +|u(cosθ,sinθ)−u(rcosθ, rsinθ)|

≤ |ψ(cosθ,sinθ)−ψ(cosθ,sinθ)| + max

θ[0,2π]|A(r, θ)−Ψ(θ)|

において、(r, θ) (1, θ) とするとき、右辺第 1 項は ψ の連続性から、右辺第 2 項は補題

3.4.10 から、いずれも 0に収束することが分かる。

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