• 検索結果がありません。

最大値原理

ドキュメント内 偏微分方程式入門 2013 (ページ 144-147)

第 3 章 Laplace 方程式、 Poisson 方程式 137

3.3 最大値原理

ゆえに渦無しの非圧縮流の流れ関数も調和関数である。実はこの場合、ψφ の共役調和関 数なので7

f(x+iy) :=φ(x, y) +iψ(x, y) (i は虚数単位) とおくと、f は正則関数になる。この f を複素速度ポテンシャルと呼ぶ。

ある意味で、2次元の渦無しの非圧縮流の理論は、1 変数複素関数論そのものであると言え る。このあたりのことは今井 [8] で明快に説明されている8。この本は複素関数論の副読本と して大いに勧められる (個々の正則関数に「流れのイメージ」を持つことが出来る)。

が導かれる。(3.3.1) を満たすu を劣調和関数、(3.3.2) を満たす u を優調和関数と呼ぶ9。つ まり

劣調和関数について最大値原理、優調和関数について最小値原理が成り立つ

ということになる。

注意 3.3.3 (1次元の場合) 上の定理や、上の注意に述べた事実は、1 次元の場合には以下の ことから直感的にも明らかである。

4u≥0 は u′′0 ということで、これから uのグラフは下に凸。

4u≤0 は u′′0 ということで、これから uのグラフは上に凸。

4u= 0 は u′′ = 0 ということで、これから u のグラフは直線。

(ぜひ自分で図を書いて、最大値、最小値が区間の端で達成されることを納得してほしい。)

3.3.4 (境界上で定数関数ならば全体で定数関数) Ωは Rn の有界領域で、Γ はその境 界であるとする。u∈C(Ω)T

C2(Ω) が Ωで4u= 0 を満たし、さらに u は Γ 上定数な らば、u は Ω で定数関数である。

証明は (本当に)簡単なので省略する。

3.3.5 (Poisson方程式の境界値問題の古典解の一意性) Rn の有界領域 Ω における

Poisson 方程式の Dirichlet 境界値問題の古典解は一意である。すなわち u, v ともに

C(Ω)T

C2(Ω) の元で、

− 4u=f (in Ω), u=ψ (on Γ),

− 4v =f (in Ω), v =ψ (on Γ), を満たすならばu=v (on Ω).

証明 w := u−v とおくと、4w = 0 (in Ω), w = 0 (on Γ) であるから、前系により w= 0 (on Ω). ゆえにu=v (on Ω).

Laplace 方程式は Poisson 方程式でもあるので、Laplace 方程式の Dirichlet 境界値問題の 古典解の一意性も示せたことになる。

次の命題の証明も簡単である。

9本当は滑らかさの低い関数に対して「優調和」「劣調和」が定義できるが、C2級の関数に対しては、ここで 説明したような微分不等式で特徴づけられる。

3.3.6 (Laplace 方程式の Dirichlet 問題の安定性) ΩはRnの有界領域で、Γはその 境界であるとする。u∈C(Ω)T

C2(Ω) が

4u(x) = 0 (xΩ), u(x) =ψ(x) (xΓ) の解であるならば

max

x |u(x)|= max

xΓ |ψ(x)|.

適切性の条件のうちのデータに関する連続性も、次の命題から得られる。

3.3.7 (Poisson 方程式の解の境界値に関する連続性) Ωは Rn の有界領域で、Γ はそ の境界であるとする。uj ∈C(Ω)T

C2(Ω) (j = 1, 2) が

− 4uj(x) = f(x) (xΩ), uj(x) = ψj(x) (xΓ) の解である (j = 1, 2)ならば

max

x |u1(x)−u2(x)|= max

xΓ 1(x)−u2(x)|.

3.3.2 最大値原理の証明

どちらでも同じことだから、最大値について証明する。

M := max

xΓ u(x) とおいて、

u(x)≤M (xΩ) を証明すれば良い。

Ωの一点 a を固定し、

⊂B(a;R)

となる R >0 を取る(Ω が有界だから、このような R が存在する)。

任意のε >0 に対して、v

v(x) :=u(x)−M +ε(|x−a|2−R2) (xΩ) で定める10

主張: v(x)≤0 (xΩ).

10このvのように、それ自身独立してはあまり意味がないが、命題を証明するという技術上の目的のために用 いられる関数のことを補助関数と呼ぶことがある。

主張の証明 max

x

v(x)を達成する xˆΩ を一つ選ぶ。

v(ˆx) 0 を示せば良いが、これを背理法で証明する。そのため、v(ˆx)>0 と仮定して矛盾 を導く。

任意のx∈Ωに対して|x−a| ≤Rであるから、v(x)の定義式の右辺第3項ε(|x−a|2−R2)0 であることを注意しておく。

M の定義から、∀x Γ に対して u(x)−M 0 であるから、v(x) 0 である。ゆえに ˆ

x6∈Γ, すなわち xˆΩでなければならない。

内点xˆ で v が極大になることから 4v(ˆx) =

Xn j=1

2v

∂x2jx)≤0 のはずであるが11、実際に計算してみると、

4v =4u+ε4 |x−a|2

= 0 +ε Xn

j=1

2

∂x2j

(x1−a1)2+ (x2−a2)2+· · ·+ (xn−an)2

=ε Xn

j=1

2 = 2nε >0

となるので矛盾が生じる。ゆえに v(ˆx)≤0でなければならない。(主張の証明終り) 主張した不等式を移項すると

u(x)≤M −ε(|x−a|2−R2) (xΩ).

これが任意の正数 ε について成り立つから、ε↓0 として u(x)≤M (xΩ).

ドキュメント内 偏微分方程式入門 2013 (ページ 144-147)