第 2 章 熱方程式 57
2.17 練習問題
解答 24. 級数の収束の意味を決めないと議論ができない。簡単のため、例えば級数が R上 で一様収束することを仮定すると、有界な関数 cosℓx をかけた
f(x) cosℓx= a0
2 cosℓx+ X∞ n=1
(ancosnx+bnsinnx) cosℓx も R 上一様収束することになり、[−π, π]で項別積分が出来て、
aℓ = 1 π
Z π
−π
f(x) cosℓx dx
が示せる。 bℓ についても同様である。あるいは超関数論を知っていれば、級数を超関数の意 味で考えて、
an= 1 π
Z π
−π
f(x) cosnx dx, bn = 1 π
Z π
−π
f(x) sinnx dx が示せる (ただしこの場合は、R
は普通の積分ではない)。
解答 25. 仮定からFourier 級数展開は一様収束するのみならず絶対収束する。このことに注
意すると、級数の和の取り方に融通が効く。 (略)
解答 26. これは紙の上にペンを走らせれば簡単に分る。
問題 2. f: [0,1] → R は連続関数で、f ≥0 (on [0,1]) を満たすとするとき、初期値境界値 問題
ut(x, t) = uxx(x, t) ((x, t)∈(0,1)×(0,∞)) (2.17.1)
u(0, t) = 0, ux(1, t) = 0 (t ∈(0,∞)) (2.17.2)
u(x,0) =f(x) (x∈[0,1]) (2.17.3)
の古典解u(uは[0,1]×[0,∞)で連続、uxは(0,1]×(0,∞)で存在し連続、ut,uxxは(0,1)×(0,∞) で存在し連続、そして u は方程式(2.17.1), (2.17.2), (2.17.3)を満たす) について考える。
正定数ε を固定して w(x, t) := e−t(u(x, t) +εa(x, t)), a(x, t) := 1−x(1−x) + 2t とおく。
任意の正数 T > 0 を固定し、QT := [0,1]×[0, T] とおき、QT における w の最小値を m =u(x0, t0) ((x0, t0)∈QT) とする。m≥ 0を背理法で示すために、m < 0 と仮定する。こ のとき以下の問(i), (ii), (iii) に答えよ ((iii) までで矛盾が生じて背理法が完成する。)
(i) wt+w = wxx (in QT) を確かめ、それを用いて(x0, t0) 6∈ (0,1)×(0, T] であることを 示せ。
(ii) 任意のt に対してwx(1, t)>0 であることを確かめ、x0 6= 1 であることを示せ。
(iii) x0 6= 0 であること、t0 6= 0 であることを示せ。
(注意: この結果から古典解の一意性が分かる。また、Neumann境界条件ux(0, t) = ux(1, t) = 0 の場合も同様に扱える。)
問題 3. q を実定数とするとき、初期値境界値問題
ut(x, t) = uxx(x, t) +qu(x, t) ((x, t)∈(0,1)×(0,∞)) u(0, t) =u(1, t) = 0 (t ∈(0,1))
u(x,0) = f(x) (x∈[0,1])
について、正値性の保存 f ≥0 =⇒ u≥0 は成り立つか? 理由をつけて答えよ。
(ヒント: 結果は「成り立つ」。変数変換 v(x, t) =u(x, t)e−qt を使うのが簡単。)
問題 4. (固有値問題の練習用) 定数cに対して
ζ′′(x)−cζ′(x) +ζ(x) = 0 (x∈(0,1)), ζ(0) =ζ(1) = 0, ζ 6≡0 を満たす関数 ζ =ζ(x) が存在するための条件を求めよ。
問題 5. 初期値f が次の関数の時、(H-IBP) の解を求めよ。
(1)f(x) = sinπx. (2)f(x) = sin3πx. (3)f(x) =x(1−x). (4)f(x) = (
x (x∈[0,1/2]) 1−x (x∈[1/2,1]) .
ヒント f の Fourier 級数展開を求めれば、後は簡単。Fourier 係数をその定義に基づいて計 算して得てもよいが、何らかの方法で sinnπx で展開する式が得られれば、それがFourier級 数に他ならない (「Fourier 級数の一意性」)。
(1) f は自分自身のFourier 級数展開になっている。
(2) 高校で習ったような三角関数の変形で f の Foueri 級数展開が求まる。
(3) 積分を計算することで、f を Fourier (正弦) 級数展開する。その結果を書いておく。
x(1−x) = 8 π3
sinπx
13 +sin 3πx
33 +· · ·+sin(2k−1)πx (2k−1)3 +· · ·
.
(4) これも積分計算によりf を Fourier (正弦)級数展開する。その結果を書いておく。
f(x) = 4 π2
sinπx
12 −sin 3πx
32 +· · ·+ (−1)k−1sin(2k−1)πx (2k−1)2 +· · ·
.
問題 6. (H-IBP) の条件 u(0, t) =u(1, t) = 0 (t >0) を次の各条件に入れ替えた場合の解を Fourier の方法で求めよ。
(1) ux(0, t) = ux(1, t) = 0 (t >0).
(2) u(0, t) = ux(1, t) = 0 (t >0).
(3) u(0, t) = u(1, t),ux(0, t) =ux(1, t) (t >0).
(4) ux(0, t) = u(0, t), ux(1, t) = −u(1, t) (t > 0). ただし簡単のため初期条件の関数 f は f(x)≡1とする。
(5) u(0, t) = A, u(1, t) = B (t >0). ただし A, B は与えられた定数。
(6) u(0, t) = A, ux(1, t) = B (t >0). ただし A,B は与えられた定数。
(7) ux(0, t) = A, ux(1, t) = B (t >0). ただし A,B は与えられた定数。
ヒントその他 (1) は同次Neumann 境界条件で、(2.10.3) に結果が書いてある。(2) の解は u(x, t) =
X∞ n=1
bne−(n−1/2)2π2tsin [(n−1/2)πx], bn= 2 Z 1
0
f(x) sin [(n−1/2)πx]dx.
(3) について: ζ(x) =C1e√λx+C2e−√λx が境界条件を満たすための条件が
(♯) e√λ −1 e√λ−1
e√λ −1 −e√λ+ 1
! C1 C2
!
= 0
0
!
となり、(C1, C2)6= (0,0)となる解を持つための条件が(行列式= 0から得られる)e√λ = 1 で、
このとき(♯)は
0 0 0 0
! C1 C2
!
= 0
0
!
となる。これがどういうことか、良く考えること。以下スキップして、固有値と固有関数を書 いておくと、
λ0 = 0, ζ0(x) = 1,
λ2n−1 =λ2n =−4n2π2, ζ2n−1(x) = sin 2nπx, ζ2n(x) = cos 2nπx (n = 1,2, . . .)
となる (重複固有値! )。
(4) の結果だけを書いておくと、
u(x, t) = 4 X∞ n=1
secαn
3 + 4α2ne−4α2ntcos(2αn(x−1/2)), ただし、sec = 1
cos,{αn}∞n=1 は方程式
αtanα= 1 2 の正の解全体である(y = tanxと y= 1
2x の交点を考えよ)67。(5)以降は線型非同次であるか ら、直接 Fourierの方法は使えない。(5), (6) は特解を探せばよい。(7) は難しいが、(2.10.4), (2.10.5) に書いてある。
問題 7. 講義の内容、前問の結果等を利用して以下の問に答えよ。(ヒント: Fourierの方法を 用いても解けるが、変数変換して既に解決した問題に帰着する。)
(1) (H-IBP)の条件 u(0, t) = u(1, t) = 0 (t >0)をux(0, t) =u(1, t) = 0 (t >0) で置き換えた 問題の解を求めよ。
(2) 区間[0, L] における針金の熱伝導の問題
ut(x, t) =uxx(x, t) (x∈(0, L),t >0), u(0, t) =u(L, t) = 0 (t >0),
u(x,0) =f(x) (x∈[0, L]) の解を求めよ。
(ヒント: (1) は現象を 1/2 について折り返せば(具体的には、ξ =x− 1
2 と変数変換する)、
前問 の (2) になってしまうことに注意。(2) も同様に変数変換を考える。)
問題 8. k∈R, f: [0,1]×R が与えられたとき、次の初期値境界値問題を解け。
ut(x, t) = uxx(x, t) +ku(x, t) ((x, t)∈(0,1)×(0,∞)) u(0, t) =u(1, t) = 0 (t∈(0,∞))
u(x,0) =f(x) (x∈[0,1])
67G. D. Smith, Numerical Solution of Partial Differential Equations: Finite Difference Methods, Third Edition, Oxford University Press (1992)の Example 2.3から採った。
(ヒント: Fourier の方法でも解ける。変数変換 v(x, t) = u(x, t)e−kt を使っても良い。2.14 に 書いてある。)
境界条件をux(0, t) =ux(1, t) = 0 や u(0, t) =ux(1, t) = 0 に変えるとどうなるか? またそ の場合の解の漸近挙動は?
問題 9. 初期値境界値問題
ut(x, t) = uxx(x, t) ((x, t)∈(0,1)×(0,∞)) ux(0, t) = A, ux(1, t) = B (t ∈(0,∞))
u(x,0) = f(x) (x∈[0,1])
について以下の問に答えよ。(1) A=B の場合、t→ ∞ の時の漸近挙動を求めよ。(2) A < B の場合、t → ∞の時の漸近挙動を求めよ。
(ヒント: 境界条件が線型同次ではないので、直接 Fourier の方法では解けない。特解を探 してみる。余裕があれば、境界条件を ux(0, t) = 1, ux(1, t) = 2 に変えたときに漸近挙動はど うなるか、考えてみよ。)
問題 10. G(x, y, t) := 2 X∞ n=1
e−n2π2tsinnπxsinnπy (x, y ∈ [0,1], t > 0) とおく。以下の問に 答えよ。
(1) 適当な仮定の下で、d dx
Z x
a
φ(x, y)dy= Z x
a
∂φ
∂x(x, y)dy+φ(x, x) が成り立つことを示せ。
(2) 熱方程式の初期値境界値問題(H-IBP) の解の公式を書き、それが次式で定義されるvf と 一致することを確めよ。
vf(x, t) :=
Z 1
0
G(x, y, t)f(y)dy (x∈[0,1], t >0) f(x) (x∈[0,1], t= 0).
(3) F(0, t) = F(1, t) = 0 (t≥0) を満たす C1 級の関数 F =F(x, t)に対して、
u(x, t) :=
Z t 0
Z 1 0
G(x, y, t−s)F(y, s)dy
ds とおくとき、ut(x, t) = uxx(x, t) +F(x, t) が成り立つことを示せ。