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変数変換の例

ドキュメント内 偏微分方程式入門 2013 (ページ 110-113)

第 2 章 熱方程式 57

2.14 変数変換の例

ところが明らかに

E(t) = 1 2

Z 1 0

u(x, t)2dx≥0 であるから、

E(t) = 0 (t [0,)).

このことから、初期値と、Dirichlet境界値またはNeumann境界値が等しい(すなわち u(0, t) = A, u(1, t) = B (t (0,)),

あるいは

ux(0, t) =A, ux(1, t) = B (t(0,))

という境界条件を課す)ならば、解はただ一つに限る、すなわち解の一意性が成り立つことが 分かる。

注意 2.13.1 我々のもともとの (H-IBP) の古典解の定義では、ut(x, t), ux(x, t), uxx(x, t) は

x= 0, 1 に対して存在するとは限らないのであったから、以前と同じ一意性定理(系 2.4.4)が

証明できたわけではない。古典解の条件を少し強めたので、結果として得られる一意性定理は 少し弱くなったと言える。しかし、上の議論は見通しが良いし、同じやり方で Neumann境界 条件の場合も扱えることは大きな魅力と言える。

余談 2.13.1 (多次元への一般化) この節の議論は、解の公式を用いていない。そのため、容 易に多次元の一般領域での熱方程式の初期値境界値問題に拡張される。興味のある人はやっ てみると良い.そのためには、Green の公式(定理3.5.3)が役立つ。

とおくと、v は [0,1]×[0,) において定義された関数で、

∂u

∂t = ∂v

∂ξ

∂ξ

∂t + ∂v

∂τ

∂τ

∂t = ∂v

∂ξ ·0 + ∂v

∂τ ·α =α∂v

∂τ,

∂u

∂x = ∂v

∂ξ

∂ξ

∂x + ∂v

∂τ

∂τ

∂x = ∂v

∂ξ · 1 L + ∂v

∂τ ·0 = 1 L

∂v

∂ξ,

2u

∂x2 =

∂x 1

L

∂v

∂ξ

= 1 L

∂ξ

∂v

∂ξ · ∂ξ

∂x +

∂τ

∂v

∂ξ · ∂τ

∂x

= 1 L

2v

∂ξ2 · 1

L+ 2v

∂τ ∂ξ ·0

= 1 L2

2v

∂ξ2 であるから、ux =κ uxx に代入して

α∂v

∂τ =κ 1 L2

2v

∂ξ2, すなわち

∂v

∂τ = κ αL2

2v

∂ξ2. ゆえに

α= κ L2α を選べば、

vτ =vξξ ((ξ, τ)(0,1)×(0,)) が成り立つ。

このことから、初期値境界値問題

ut(x, t) =κ uxx(x, t) (x(0, L),t >0), u(0, t) =u(L, t) = 0 (t >0),

u(x,0) =f(x) (x[0, L]) の解の公式が次のようにして得られる。

F(ξ) :=f(Lξ) とおくと、v

vτ(ξ, τ) = vξξ(ξ, τ) ((ξ, τ)(0,1)×(0,)) v(0, τ) = v(1, τ) = 0 (τ (0,))

v(ξ,0) = F(ξ) (ξ [0,1])

を満たすから、既に得られている結果 ((H-IBP) の解の公式) から、

v(ξ, τ) = X n=1

cnen2π2τsinnπξ, cn = 2 Z 1

0

F(ξ) sin(nπξ)dξ.

ゆえに、

u(x, t) =v(ξ, τ) = w(x/L, κt/L2) = X n=1

cnexp

−κn2π2t L2

sinnπx L . cn の定義式については、ξ=x/Lと置換積分して

cn= 2 L

Z L 0

f(x) sin nπx

L

dx.

2.14.2 (熱方程式の右辺に温度 u に比例する項がある場合) q を既知定数とする。u が初 期値境界値問題

ut(x, t) = uxx(x, t) +qu(x, t) (x(0,1), t∈(0,)), u(0, t) =u(1, t) = 0 (t (0,)),

u(x,0) = f(x) (x[0,1])

の解であるときに、

v(x, t) := eqtu(x, t) とおくと、v

vt(x, t) =vxx(x, t) (x(0,1), t∈(0,)), v(0, t) =v(1, t) = 0 (t (0,)),

v(x,0) =f(x) (x[0,1]) を満たす。これは (H-IBP) に他ならないから

v(x, t) = X n=1

bnen2π2tsinnπx, bn= 2 Z 1

0

f(x) sinnπx dx (n N).

と解ける。ゆえに

u(x, t) = eqtv(x, t) = X n=1

bne(qn2π2)tsinnπx.

余談 2.14.1 上の微分方程式 ut(x, t) = uxx(x, t) +qu(x, t) の物理的な意味を考えてみよう。

ある時期まで筆者は、「例えば、化学反応等で、温度に比例する熱の発生がある場合の方程式 は、こういう形になる」と説明してきたが、ファーロウ [58] を読んで、もっと自然なたとえ があることを知った。q が負の場合を考えると、外界の温度が0で、側面の絶縁が完全でない ため、冷却効果がある場合の方程式と考えられる。それから、熱伝導の効果がない場合、すな わち

ut(x, t) = qu(x, t) という方程式の解は

u(x, t) =u(x,0)eqt

であるから、+quという項の解に対する効果はeqtをかけることで、だからu(x, t) =eqtw(x, t) という変数変換が有望だ、という説明はなかなか面白いと感じた。

2.14.3 (右辺に ux に比例する項がある場合) pを既知定数とする。uが初期値境界値問題 ut(x, t) =uxx(x, t) +pux(x, t) (x(0,1), t∈(0,)),

u(0, t) = u(1, t) = 0 (t (0,)),

u(x,0) = f(x) (x[0,1])

の解であるときに、

u(x, t) = eAxv(x, t) i.e. v(x, t) :=eAxu(x, t)

とおくと、

vt(x, t) =vxx(x, t) + (2A+p)vx(x, t) + (A2+pA)v(x, t) (x(0,1), t∈(0,)),

v(0, t) = v(1, t) = 0 (t(0,)),

v(x,0) =eAxf(x) (x[0,1])

ゆえに A=−p/2 と選べば

vt(x, t) =vxx(x, t)−p2 4v(x, t) となる。上の例から

v(x, t) = X n=1

bne(p2/4n2π2)tsinnπx, bn= 2 Z 1

0

epx/2f(x) sinnπx dx (n N).

ゆえに

u(x, t) = epx/2v(x, t) =epx/2 X n=1

bne(p2/4n2π2)tsinnπx.

上の例の問題はかなり難しい。その理由は、これは対称な問題ではないからである。固有関 数を求めてみると分かるが、普通の内積について直交性は成り立たない。だから直接 Fourier の方法を使うのは苦労する。

練習問題 熱方程式の初期値境界値問題(H-IBP) において、初期値が 1/2に関して対称であ る (初期温度分布が左右対称である)場合、任意の時刻 t において、解u(·, t)は 1/2に関して 対称であることを示せ。

(ヒント: 例えばf が 1/2 に関して対称であるとは

f(1−x) =f(x) (x[0,1]) と書ける。そこで

v(x, t) =u(1−x, t)

をおいて、v がどういう初期値境界値問題の解になっているかを考えると…)

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