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自貢市――井戸から取る塩

ドキュメント内 四川省の基礎調査と震災復興への取組み (ページ 111-116)

第五章 南部経済区――エネルギーと重化学工業基地 5 都市

第二節 自貢市――井戸から取る塩

自貢市といえば、自ずと塩が思い浮かびます。それは、この都市ではいたるところに塩の存在があ るからです。地下の深いところの塩水を取り出すためには井戸を掘ることが重要です。市内には井と いう字の付いている地名が 200 を下らないといいます。自貢市の名も、最も有名な「自流井」と「貢

井」という 2 つの地名を取 って付けられました。

塩業歴史博物館の庭に は「深海井」という井戸が ありますが、1,001.42 メー ト ル の 深 さ で 、 人 力 で 1,000 メートルまで掘り下 げた世界で最初の井戸です。

100 メートルの木製の塔が あり、塩水を取り、天然ガ スで水を蒸発させ、豆乳で 不必要なものを除いて真っ 白な塩ができるまでの昔な

がらのプロセスを実演しています。1988 年に全国重点保護文物に定められ、自貢市の重要な観光名所 になっています。

図 5-2-1 自貢市の四川省における位置

自貢市の塩は地下深いところの塩水を使用するため、汚染は一切無く、豆乳を使用するという自然 な加工方法で処理します。人体に必要な多くの元素を少量ずつ含む上に、血圧が高くならないという メリットがありますから、四川省だけでなく、国内外の市場でも珍重されています。

2.基本情況

自貢市は海に遠い四川省の南部にあり、地下塩水を取って塩を作る長い歴史を持っているため、昔 から「塩の都」と呼ばれています。近代になって、1853 年に太平天国農民蜂起軍が南京を占領し、コ ストの安い海塩の供給が途絶え、四川省の塩が湖北省、湖南省などの大市場を獲得したことにより、

自貢市の塩業が大きく発展しました。さらに 1937 年の抗日戦争のさなか、沿海地方が占領されたため、

自貢市をはじめとする四川省の塩が再び全国へ供給されました。自貢市は塩で栄えた都市と言えまし ょう。

塩業で蓄積された経済力で、自貢市は次第に機械、化学、塩業、紡績、軽工業、食品、照明器具、

新型建材などの産業を備え合わせた工業都市へと成長しました。

1972 年、自貢市の東北 11 キロの大山鋪で、1 億 6 千万年前の恐竜及び多くの脊髄動物の化石が発 見されました。1977 年、1979 年、1984 年の 3 回の大掛かりな発掘では、2,800 平方メートルの範囲内 から、恐竜と古代脊髄動物 200 体、10,000 件以上の化石が出土しました。恐竜、魚類、両棲類、哺乳 爬行類などの化石が、現在、自貢恐竜博物館に保存展示されており、自貢市観光の目玉です。

表 5-2-1 自貢市の基本情況

市(州)政府所在地 自貢 URL

http://www.zg.gov.cn/

http://www.scinvest.cn/html/default.htm 招商局又は商務局 四川省招商引資局

公開電話 028-66469930

市街区域 自貢市街区域

市街区域面積 1438 平方キロメートル

所轄県(市) 栄県、富順県

面積 0.4 万平方キロメートル

自然条件(降水量、平均気 温、日照時数)

年間降雨量 908.5mm、年間平均気温 18℃、年間日照時間 958 時間。

人口 325.6 万人

民族

漢民族以外、少数民族 37 民族を持っている。人数が割合多いのは 回民族で、次いではチベット民族、イー民族、満民族、ミャオ民族、

トゥチャ族だ。

主要資源 土地資源、森林資源、水利資源、環境資源

資源産業 牧畜業、林業、農業、漁業

観光資源

自貢市は国務院により国家歴史文化名城と評されて、その後も省級 景色名所、国家対外開放都市と全国衛生都市と許可された。自貢市 は山を背にして水に臨んで、景色も美しくて、「千年の塩都市」、

「恐竜の故郷」、「南国の灯都市」で有名である。

環境評価

環境保護関連産業 ゴミ処理、廃水処理、排気処理、廃タイヤ、廃ゴム、廃プラスチッ クの回収産業など

アウトソーシング産業 アニメ産業、化学産業

空路 良

水路

高速道路 高速道路は 10 年前に開通された。

交通

道路 一般道路の補修に力を入れるべき。

(2009 年四川省統計年鑑、中国統計出版社 8 月)

もう一つ、世に自貢市の名を知らしめた名物は、年に 1 度、元宵節(小正月)に開催される提灯祭 りです。紙、絹、シルク、ガラスなどの材料を用いて作った提灯は、竜灯、走馬灯、工芸灯、動物灯、

人物灯、花鳥灯などの種類があり、公園に集中展示され、正月気分が盛り上がります。国家観光局か

らも中国民間芸術コースとして推薦されています。これまで、北京、上海、広州、重慶、香港、マカ オ、台湾など 200 の都市に出展して、延べ 1 億 5,000 万人が足を運びました。日本、韓国、シンガポ ール、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドなどの外国に 50 回も巡回出展して、賞賛を受けて います。

3.経済的実力

四川省内の上位 3 都市の発展から自貢市の経済力の推移の一端を垣間見ることができます。50 年代 は成都、重慶、万州、60 年代には成都、重慶、自貢の順になり、70 年代には成都、重慶、渡口(現在 の攀枝花市)、80 年代には成都、重慶、綿陽になりました。重慶が直轄市となってからは成都、綿陽、

徳陽になっています。

表 5-2-2 自貢市の経済情況

総額 486.85 億元

第一次産業 82.11 億元 第二次産業 247.93 億元 第三次産業 156.81 億元 GDP

一人当たりの GDP 17348 元

国営 25263 元

平均給料

民営 22104 元

住民一人当たり可処分所得 11414 元

住民一人当たり消費支出 8682 元

農民一人当たり純収入 4627.0 元

農民一人当たり生活消費支出 3353.4 元

年金加入者数 62.68 万人

年金収入総額 17.31 億元

就職者数 180.58 万人

(2009 年四川省統計年鑑、中国統計出版社 8 月)

自貢市の工業は以前栄えていたものの、産業の構造調整が遅れ、新興の IT、自動車などの産業が発 達しませんでした。いかにして投資と企業を誘致し、新興産業を育て、経済の新しい成長点とするか が現在の大きな課題です。代表的な企業は久大塩業グループ、鴻鶴化学グループ、東方ボイラー、自 貢硬質合金などですが、塩と関係ある企業が多数あります。民営企業の GDP が全体に占める割合は 52.4%で、サービス業と製造業を中心とする中小企業の街でもあります。

2009 年、西部大開発と国家の内需拡大政策の影響で、発電、石炭、設備製造業、食品加工、金属冶 金及び圧延業などが成長を続け、不動産業の発展により、建築業も大きく発展しています。

四川省の重点プロジェクトの自貢機械新素材工業団地、自貢市汚水処理工場第二期工事、自貢―濾 州高速道路の着工などの公共事業は自貢市の経済を牽引し、国際金融危機の影響に対処する有力な手 段になっています。

水利灌漑施設の整備により、有効灌漑農地が 115.95 万ムーに達し、農業、養殖業、漁業、林業は ともに急速な成長を見せました。

表 5-2-3 自貢市のインフラ情況

道路キロ数(キロ) 498

道路面積(万平方メートル) 581

橋梁数(個所) 92

街灯(千個) 23

バス保有台数 808

タクシー保有台数(台) 1569

公衆便所数(個所) 225

道路清掃面積(万平方メートル) 528

水道普及率(%) 83.26

都市ガス普及率(%) 73.86

一人当たり道路面積(平方メートル) 8.05

公園数(個所) 9

公園緑化面積(ヘクタール) 378 一人当たり公園緑地面積(平方メートル) 5.24 市街区域の緑化率(%) 32.46 下水排出量(万立方米) 6057

下水道の長さ(キロ) 411

下水処理率(%) 72.81

ごみ処理率(%) 74.48

(2009 年四川省統計年鑑、中国統計出版社 8 月)

4.交通運輸

自貢市市内を鉄道(内江―昆明線)が貫き、7 つの駅があります。成都、広州、重慶、昆明などの 都市へ延びてます。

内江―宜賓高速道路も市内を通っており、それを骨格にして、2,121 キロの道路が県、鎮をつなぐ ネットワークを形成しています。

5.都市建設

自貢市は、1939 年に設立され、産業の発達により人口が集まり、四川省南部初の 100 万人都市にな りました。

自貢市は有名な山城で、「半城青山半城楼」という表現がこの都市の特徴を的確に表しています。

木が生い茂っている丘の上に聳え立つ新しいマンションは、この都市に立体感を与えるとともに大都 会としての雄大さを演出しています。小さな渓流が市内を流れ、水と山と都市とが調和の取れた形で 存在しています。2,000 年来の塩業の歴史で培われた伝統文化と蓄積された巨大な財産が自貢市に多 くの物的遺産を残し、豊かな人文景観を与えています。「西秦会館」に代表されるような建築様式を 形成しており、「千年の塩都」「恐竜の故郷」「南国提灯の町」の美称を得ています。

6.未来展望

四川省南部は、農業が発達すると同時にエネルギーと化学工業の資源にも恵まれ、成都と重慶の間 という良好な立地条件もあるため、効率的な分業体制を確立すれば、大きな市場に発展する可能性は 十分あります。自貢市は歴史的栄光があり、工業の伝統も有りますから、豊かな資源、近代的産業、

歴史的文化的伝統、自然遺産の恐竜遺跡という特長を十二分に発揮すれば、自貢市の前には、輝かし い未来が開けるでしょう。

第三節 宜賓市――銘酒「五糧液」を生んだ風土

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