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中国経済の中の四川省経済の見方

ドキュメント内 四川省の基礎調査と震災復興への取組み (ページ 191-195)

第三章 アウトソーシングサービス産業

第一節 中国経済の中の四川省経済の見方

第四章 外資企業が参入可能なプロジェクト

――共生の場としての四川省

第一節 中国経済の中の四川省経済の見方

1.四川省の経済の展望

2008 年の四川省は、汶川大地震を経験したことから、余震の中で、仮設住宅の建設や負傷者の治療、

学生の入学、生産回復などを中心とする震災復興が主な課題でした。四川省の人々はあまり貯蓄せず、

よくお金を使うことから、経済は内需牽引型といわれ、地震後には我先に自動車と不動産を購入して いたことがニュースになりました。輸出専門の企業が少なく、震災復興の大きなニーズに牽引された ことから、金融危機の影響は小さなものでした。

2009 年に入ってから、四川省は西部大開発の重点地区で、財政出動の主なプロジェクトの震災復興 とインフラ建設の受け皿になっています。各省も中央の呼びかけに応じて、財政収入の 5%にものぼ る「対口支援」も積極的に行いました。特に内需拡大のため、胡錦濤総書記が 3 年計画の震災復興を 2 年で完成しようと号令を発しました。2010 年には、四川省で 5 月 12 日までにはさらに急ピッチで震 災区の道路、住宅、商業施設、公共施設の建設が進められ、内需がさらに刺激され、拡大することが 期待されています。震災区の工業開発団地や農業モデルパークも稼動し、経済成長の新しい成長点に なるでしょう。

同時に、四川省全体では多くの高速道路、高速鉄道、地下鉄、モノレールが開通・着工することか ら、インフラは一層整備されます。

産業構造は調整され、雇用が拡大され、都市化がさらに進むでしょう。

3.四川省への日本企業参入の展望

中国が 1987 年に対外開放政策を実施してから、世界の製造業は中国へ移転を始めました。しかも、

多くは輸出を目的とした商品生産が主でした。製造業である以上、物流が伴うことから、中国国内の 輸出企業も奥地に工場を設立すると、人件費が安くても、運賃と納期で負けることから、工場の建設 は敬遠されることにより経済のグローバル化へ参加の度合いが低くなり、奥地が経済的に立ち遅れる 原因となりました。

現在は中国への投資は単なる人件費や原料の安さを求めるのでなく、企業が有する技術やサービス で地域の経済繁栄に貢献し、溶け込むことによって自らも発展するという考え方が浸透してきており、

内需旺盛な四川省に対する考え方も変わりました。

産業発展のための原料や資源に富む四川省はまさに工業の発展には最適な場所です。加えて、中国 西部の 3 億人を有する市場は大変魅力的です。

特にインターネットの発達により、オフィスの仕事の多くはアウトソーシングという形で世界中の どこへでも発注できますし、先進国のコストダウンの切り札となります。物流も税関も通りませんか ら、四川省の豊かで教育を受けた人材は大いに活躍し、活用されるでしょう。

四川省は日本に対する偏見が無く、物さえよければ、必ず売れる理想的な市場です。四川省は日本

に対して、豊かな資金力や最先端の技術でなく、アジアの繁栄をともに分かち合いたいという志向を 求めており、日本での成功を四川省でもう一回繰り返すという夢の舞台を提供することができるでし ょう。

中西部地区外商投資強勢産業目録(2008 年訂正)では次のプロジェクトが優遇事業として歓迎され ています。

1)野菜、果物などの種子(遺伝子組み換えの種子を除く)の開発、生産(中国側 50%以上の出資が 条件)

2)豚、肉牛、肉羊などの家畜の飼育と深度加工

3)退耕還林、退牧還草、天然林保護などの国家重点生態プロジェクトに続く産業開発。

4)水を節約できる灌漑技術、土壌を保護する耕作技術の開発と応用。

5)稀土深度加工および応用製品の生産

6)チタンバナジウム鉄鉱新技術、新製品の開発(中国側 50%以上の出資が条件)

7)天然ガス下流科学製品の開発(「天然ガス利用政策」に列挙された制限類と禁止類を除く)

8)シルク製品の深度加工。

9)高性能無機フッ素化学製品の生産(「外商投資産業指導目録」に列挙された制限類と禁止類を除 く)

10)動植物薬剤資源の開発生産(「外商投資産業指導目録」に列挙された制限類と禁止類を除く)

11)特殊品種(超白、超薄、Low-E)のガラスの技術開発と深度加工 12)日産 4000 トン及び 4000 トン以上のセメント新型乾式生産 13) 高性能ラジアルプラタイヤの生産

14)自動車部品製造(ギア、エンジンクランクシャフト、ピストン、緩衝装置、クラッチ、ライト、

計装器など)

15)クレーン、掘削機、積載自動車、液圧機、コンクリート機械、ローラー、フォークリフト、ブ ルドーザーなどの工事用機械の製造(中国側 50%以上の出資が条件)

16)デジタル医療設備及び重要部品の開発及び生産 17)天然ガスコンプレッサーの製造

18)通信関連業務(但し、WTO 加盟時に承諾した開放プロジェクトに限る)

19)道路旅客運輸業務(中国側 50%以上の出資が条件)

20)都市ガスの供給、熱の供給、上水ネットワークの建設と経営(大都会では中国側 50%以上の出 資が条件)

21)観光資源の保護、開発、経営及び関連施設の建設。

4.アジアの共生

成都市にはイトーヨーカドー4 店舗が展開しています。開業当初から日本的サービスを前面に打ち 出し、しっかり成都で根を下ろし、今では成都市民から最も人気を集める店となっています。2008 年 に、イトーヨーカドー双楠店はチェーン店の中でも売り上げが 1 番、利益 2 番となり、2009 年は前年 よりもっといい業績を記録することが期待されています。

その成功の要因は、中国の需要をただ取り込むという発想でなく、中国の豊かな社会づくりに寄与 し、結果として生まれる市場の果実を得るというそのビジネスモデルに尽きます。

幕を開けた 2010 年代は世界的な構造変化が加速し、米国の過剰消費に世界中がもたれ掛かれば何 とかなるという時代は終わりを告げました。世界は今まで以上に安定と調和が要求されています。

日本は高度な科学技術と生産技術を持ち、特にサービス業は世界でトップレベルを誇っています。

単に商品やサービスを売るのでなく、現地に溶け込んだ商品・販路づくりや人材育成に力を入れ、現 地の発展に日本のどんな資源が生かせるかと志を高く持ち、考え抜くことが求められています。いわ ばアジアへの共生です。

すでに多くの日本企業がアジア向け製品開発に走り出しています。パナソニックは、中国で家電製 品が行き渡っていない農村地帯にどんなニーズが眠っているのかを徹底的に調べています。もっとも、

パナソニックは日本でもこうして自社の飛躍につなげた歴史的ないきさつがあります。ぜひ、日本で の成功を中国でも繰り返してほしいものです。

孫子の兵法に学ぶまでもなく、顧客と市場、社会を知り、自分を知ることこそが王道で、日本の再 出発には、持てる資産を自覚する「ニッポン総棚卸し」が求められます。そして、アジアの飛躍に日 本の人と技術と文化を生かすことで、共生と新たな成長への道を切り開きたいものです。

ドキュメント内 四川省の基礎調査と震災復興への取組み (ページ 191-195)