第六章 攀西経済区――エネルギー、チタンバナジウム新材料、
第三節 涼山イ族自治州――衛星打ち上げ基地
西昌といえばまず西昌衛星打ち 上げ基地のことが思い出されます。
現在対外開放されている発射基地の 中で、規模が最も大きく、設備技術 が最も進んでおり、外国からの受注 発射が一番多く、多種類の衛星を打 ち上げる能力を備えた基地です。こ こは 1,500 メートルの海抜があり、
緯度が低く、地盤がしっかりし、年 間晴れの日が 320 日という気象条件 にも恵まれていることから「天然の 理想的な打ち上げ基地」と言われて
います。 図 6-3-1 涼山の四川省における位置
1986 年 2 月 1 日、中国最初の通信衛星を打ち上げ、他国の衛星を借りる歴史に終止符を打ちました。
1990 年に率先して外国から受注するビジネスを開始しました。最初に受注したのはアメリカの衛星で、
他の 5 カ国に発注してすべて失敗に終わったのに対し、西昌衛星打ち上げ基地は衛生を軌道にのせる ことに成功しました。
表 6-3-1 涼山の基本情況
市(州)政府所在地 西昌市 URL
http://www.lsz.gov.cn/
http://www.scinvest.cn/html/default.htm 招商局又は商務局 四川省招商引資局
公開電話 028-66469930
市街区域 西昌市街区域
市街区域面積 2655 平方キロメートル 所轄県(市)
西昌市、塩源県、徳昌県、会理県、会東、寧南、普格、布拖、金陽、
昭覚、喜徳、冕寧、越西、甘洛、美姑、雷波、木里自治県
面積 6.0 万平方キロメートル
自然条件(降水量、平均気 温、日照時数)
年間降雨量 1064.9mm、年間平均気温 17.3℃、年間日照時間 2080.1 時 間。
人口 461.0 万人
民族
イ族、チベット族、回族、プイ族、リス族 など 10 つの世代居住民族 がある。
主要資源 気候資源、水利資源、鉱物資源、農業資源、観光資源
資源産業 無公害農業、航空産業
観光資源 瀘山―邛海、秘かな瀘沽湖、「螺髻山」
環境評価
環境保護関連産業 汚水処理、ゴミ処理、水土保護 アウトソーシング産業
空路 空港あり
水路
高速道路
攀枝花市へは開通されているが、成都へは一部のトンネル工事が残る だけと成っている。
交通
道路 広大な高原に道路建設が急務。
(2009 年四川省統計年鑑、中国統計出版社 8 月)
2007 年 10 月 24 日に中国最初の月を回る衛星もここから打ち上げています。
このほかにも西昌衛星打ち上げ基地はいろいろな業績に輝いています。
ここは西昌市の観光名所にもなっています。宇宙への関心が向上している今、特に重大な打ち上げ があるときに世界各国から見物に殺到してきています。
2.基本情況
涼山イ族自治州は四川省の西南部の高原地帯にあり、州都が西昌市です。ここには 415.48 万の人 口がいますが、181.55 万人のイ族人口が 43.79%を占めています。海抜が 1,500 メートルあり、年中 の気候は寒くも無ければ、暑くもありませんから、四季おりおりの花が咲き、常緑の植物が生い茂っ ています。汚染も少なく、衛星打ち上げ基地にふさわしい環境です。
涼山は昔から、西南辺境へ行く「南方シルクロード」重要な通路でした。2,000 年前の秦と漢の時 代にはすでに県が置かれ、中央政権の支配がなされています。「史記」の作家の司馬遷、蜀の宰相の 諸葛孔明、元の皇帝のクビライ、地理学者の徐霞客、イタリアの旅行者マルコポーロ、蒋介石などが ここで活動したことが文献に記載されています。1935 年に中国赤軍が長征の途中、ここの領主の小葉 丹と兄弟の契りを結び、イ族の居住区を順調に通りぬけることができました。
3.経済的実力
西昌衛星打ち上げ基地は観光と内需拡大の大きな牽引力となっています。
もう一つの牽引力はここならではの気候条件です。地形の多様性により、気候を「立体的」に楽し むことが出来ます。雪山を眺めながら、足元には柔らかい草の絨毯が広がっており、まさに「山に四 季があり、十里を歩けば、天気が違う」という言葉がここの気候・風土を端的に表しています。成都 平野の日照時間の 1.6 倍もあることから、陽光レジャーという新しい観光種類が生まれています。観 光業を中心とする第三次産業が大きく成長しました。
豊かな日光は野菜や果物を平野部と違う季節に育て、涼山州は成都や重慶などの大都会の野菜や果 物の供給基地になります。旬の季節とずらすことで、高い価格で売ることができます。日光のおかげ で、砂糖きびの畝(ムー)あたり生産量が 10 トンにも達し、平均糖含有量が 13.5%にもなります。
一年中、養蚕が行われ、繭が大きく、糸の長さが 1,200 メートルに達します。タバコの栽培も盛んで、
輸入品にも匹敵する品質を誇っています。
水力発電、鉄鉱、貴金属の資源にも恵まれていますから、西昌新鋼業、涼山鉱業、西昌電力などの 有力企業が技術革新を積み重ね、拡張のテンポを速め、川威鐵鋼グループの新規投資も加わることに より、工業の発展と雇用の拡大を大きく促進しました。
涼山州は四川省三番目の林業基地と三番目の牧畜業基地でもあります。
4.都市建設
西昌市の町には大都会のシンボルであるケンタッキーやマクドナルトなどはまだ無いのですが、街
のすぐ近くに卭海という大きな湖があって、イ族が生活する情緒豊かな静かな佇まいを演出していま す。
西昌市には 4 つの別名があります。太陽城、月城、宇宙城、小さい春城です。それぞれ、日照時間 の長さ、夜空の透き通っていること、西昌衛星打ち上げ基地のあること、気候が昆明によく似ている ことを表しています。2009 年、西昌は平遥古城と麗江古城とともに、「中国の最も綺麗な古城」に選 ばれました。
表 6-3-2 涼山の経済情況
総額 561.07 億元
第一次産業 157.63 億元 第二次産業 246.12 億元 第三次産業 157.33 億元 GDP
一人当たりの GDP 12896 元
国営 30776 元
平均給与
民営 24616 元
住民一人当たり可処分所得 11715 元
住民一人当たり消費支出 8042 元
農民一人当たり純収入 3653.3 元
農民一人当たり生活消費支出 2605.9 元
年金加入者数 28.23 万人
年金収入総額 11.12 億元
就職者数 263.04 万人
(2009 年四川省統計年鑑、中国統計出版社 8 月)
毎年、農歴 6 月 24 日はイ族の「たいまつの祭り」です。この日にはイ族の人たちが各地から集ま って、この盛大な祭りに参加します。
5.交通運輸
涼山州は交通が発達しなかったために、長い間、経済的に遅れた地方と考えられてきました。鉄道 の成都-昆明線が開通し、涼山州の南北をつらぬいてから、西昌衛星打ち上げ基地が建設され、人の 移動と物資の流通が盛んになり、涼山州の社会経済が飛躍的に進歩しました。
現在、西昌市を中心に高速道路が開通していますが、成都-昆明への高速道路全線開通まではいく つかのトンネルが残るだけで、まもなく開通します。西昌―濾沽湖線は計画されており、現在、四川 省市内の濾沽湖という有名な観光地へは、雲南省経由で遠回りをして行くしかありませんが、高速道 路が開通することで、涼山州の観光は一層の発展が期待されます。広大な面積を有することから、各
県、各鎮にも自動車道が伸びています。
空路では成都を主とし、北京や昆明への定期便が飛んでいます。
6.未来展望
西部大開発で涼山州の交通や都市建設などのインフラの整備が一層早められることが期待され、そ れに伴い、涼山州の気象資源、鉱物資源、森林資源、農業資源、観光資源などは一層活用されるでし ょう。現に高原の野菜と果物は全国で歓迎されています。特殊な産業構造は成都、重慶の相互補完の ために無限の可能性を提供してくれます。