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第二節 中国の GDP が世界 2 位へ 1.世界 2 位の GDP をどう読むか

2009 年の中国の GDP は国家統計局の発表によると、335,353 億元で、49,092.81 億ドルに換算され、

日本の GDP の 96%に当たります。話題になっていた世界 2 位は先延ばしになりました。2010 年には中 国の GDP が日本を越えて、世界 2 位になることが確実視されています。一部の専門家は、中国が十数 年のうちに米国を超えて世界最大の経済大国になるとの予想を打ち出しています。

これについては、四つの視点から見なければならないと思います。第一に、中国の GDP 総額が日本 に近付き、または越えたとしても、一人当たり GDP では日本は未だ中国の 13 倍近くあります。中国の 人口は日本よりはるかに多く、GDP 総額だけを見ることにはあまり意味がありません。第二に、為替 レートという魔法がありますから、物価、人件費、土地の価格を総合的に考えれば、13 倍の差がない と思われる要素もあります。第三に、一人あたりの名目 GDP は世界で 100 位以下、依然として発展途 上国であることを、中国人は謙虚に冷静に受け止めるべきと考えます。第四に 08 年の米国の GDP は 14 兆 3,000 億ドルにのぼり、中国の 3 倍余りですから、中国の GDP が米国超えるにはまだしばらく時 間がかかると思われるため、論じるには早すぎるでしょう。

2.日本にとってチャンスである

中国の経済発展は、日本側から見ると、商品とサービスを売り込むための大きな市場が現れたこと になります。これまで日本の商品とサービスは、質も価格も高すぎることから、中国人から敬遠され、

日本企業も遠慮した時期がありましたが、こうした考え方が改められるべき時が来ています。

一人当たり GDP の 13 倍の差は、日本の企業にとって、日本での成功をもう一度再現することがで きる絶好の舞台を中国が提供してくれるといってよいでしょう。その夢を現実のものにするかどうか は、各企業の勇気と決断にかかっています。

第三節 未来展望 1.内需は膨張しつつある

ここまで、四川省について様々な面から考察を加えてきましたが、歴史上、四川省は中国に対して 多くの誇れる貢献と実績を積み重ねてきました。そして今、交通と通信の発達により、四川省は再び 歴史の表舞台へ押し出されようとしています。

2009 年末には、旅立つ友を見送る李白の詩に登場する楼閣「黄鶴楼」で有名な武漢から広州までの 高速鉄道が開通し、約 1,000 キロの距離が 3 時間で結ばれました。営業時の最高速度 350 キロは世界 最速を誇っています。

中国の 30,000 キロの高速鉄道網の整備は景気刺激策の一つで、自動車に偏る輸送手段を変える環 境対策としても重視されています。車両などの技術を日本やドイツから取り入れ、中国で生産します が、そこは「世界の工場」らしく、既に輸出の計画もあります。30 年来の改革開放政策の成功を象徴 する成果といえるでしょう。

2010 年には、四川省でも多くの鉄道や高速道路の建設が着工し、または開通しています。財政出動、

インフラ建設、内需の拡大、社会保障、福祉事業の発展によって、2010 年も中国経済は引き続き安定 的な発展が期待されています。

2.パートナーであると同時にライバルの日中関係

中国の企業は「世界の工場」に甘んじず、既にアフリカや中近東や東南アジアに工場を作り、家電 や通信機器や自動車を生産し、販売しています。一方、インターネットの発達により、ソフト開発、

データ処理、マルチメディア、ゲーム、などの先進国のオフィスの業務もアウトソーシングの形で中 国に移転しています。

日本と中国のライバルであると同時にパートナーであり、パートナーであると同時にライバルであ るという関係が確実に進展・深化しています。日本は技術とサービス面での優位性を発揮して、この 面での競争について優位に立つ必要があります。

附録 1: 四川省の文化と風土

第一節 四川料理

中国料理の特徴については、南は甘く、北は塩辛く、東は辛く、西は酸っぱいと言われることが多 いです。中国地図を広げると、四川省はちょうどその真ん中にあり、様々な味が入り混じっているの が最も顕著な特徴だと言えましょう。

社会と生活のリズムが速くなるにつれて、刺激的で四川料理が世界各地で受け入れており、辛い四 川料理を食べればダイエットに効果的と考える人も増えています。

辛さという特徴は、色、味、そして鮮明なイメージを伴い、目と舌に訴えることができます。

四川料理の人口に膾炙する理由について考えてみました。色、香、味、形、音、質、器、意の八つ の字にまとめることができるかと思います。

色については、四川料理に唐辛子、豆板醤、塩付した唐辛子やラー油をたくさん使う赤色という特 徴が象徴的です。四川料理の代表のマーボー豆腐店に入ってみると、実は、辛くないメニューのほう が多いと思います。しかし、辛くはなくても素材の色を大事にしたり色の工夫がしているのです。つ まり、四川料理の伝統として、まず目で楽しんでもらうことに努力してきました。

香については、四川省の地理的、気候的な原因により、唐辛子のほかに、山椒、胡椒、シソ、シナ モン、生姜などをはじめ、香辛料をたくさん使う習慣があります。最近ではわさびを使う料理が増え ています。角煮などの煮込み料理は特に濃厚な芳香を放ちます。

味については、豊富な香辛料は香りだけでなく、豊富多彩な味をもたらしています。四川料理のメ ニューを見れば、料理名は味付けと材料の前に来ています。味付けの種類は椒麻(胡椒と唐辛子)、

麻辣(山椒と唐辛子)、魚香(塩付した唐辛子、しょうがと豆板醤、ネギ、にんにくも入れ、複合的 な味付け)、椒塩(胡椒と塩のあっさりした味付け)、蒜香(にんにくの粉を熱した油に沁みこませ、

上げる材料にもしみこませる味付け)、荔枝(氷砂糖と果物による味付け)、塩味(野菜の味をその まま大事にしようとする味付け)、怪味(魚香よりももっと複雑で複合的な味付け)など数え切れな いほどです。

形については、形にこだわることで客人の食欲を刺激するという、もてなしの心が込められていま す。形があまりにもきれいなので、食べるのが忍びない場合もあります。

音については、代表的な料理は、お焦げの料理と水煮牛肉です。この二つの料理の共通点は音が出 せることです。お焦げの料理ではお焦げを盛った大きなお皿に、お客さんの前でスープをかけると、

ザーという音を立て、お客さんの食欲が増進されます。水煮牛肉ではできた料理に唐辛子の粉をまぶ して、その上に熱した油をかけておくのが作法ですが、必ず、お客さんの前で油が音を立てながら、

沁みこんでゆくのを見せます。これがもっと重要な作法だそうです。

質については、四川料理では「腕よりも材料」と言われ、どんなに上手な腕でも良い材料にかなわ ないと考えられています。たとえば、豚のどの部分の肉がどういう作り方に合うとか、羊のどの部分 の肉がどの季節に食べるのにふさわしいかなどについて、全て料理人はもちろん一般市民の頭にも入 っています。これは中国には古くから「医食同源」という考え方があり、どんな食べ物がどんな季節 にとりいれると体にいいと決められているからです。

器について、「美食は美器に如かず」とよく言われますが、中国の陶磁器は有史以前より発達し、

宋、元、明、清代を通じて、その技術は世界の最高水準にあったことは周知の通りです。料理の美観、

食卓の演出など器の果たす役割は大きいのです。一方、中国料理は味本位で実質的なものを求める傾 向が強く、日本料理などに比べると器、盛り付けは繊細さに欠けるといわれてきました。特に改革開 放後、中国の経済の発展に伴い、流行し始めた新派川菜(四川料理)は器、盛り付けに対する概念を 大きく変えてきています。器の品質が店の格付けや料金の決め方には大きく影響するようになってき ています。

意については、それぞれの料理にそれぞれの物語が秘められて、その物語が料理の趣をより奥行き のあるものにしています。例えば、「マーボー豆腐」は今世界的な料理になりましたが、この店は 1842 年に成都の万福橋という場所で開業し、料理人を務めていたのが陳店主の奥さんの劉でした。彼女は 顔に少しあばたがありますから、陳マーボー(麻婆:あばたのおかみさん)と呼ばれていました。劉 は、油樽の底をきれいに拭いたり、売れ残りの牛肉を集めてひき肉にしたりして、豆板醤をたくさん 使うことで、安く、美味しい豆腐料理を考案しました。辛く、熱く、柔らかく、香ばしく、新鮮で、

ご飯にかけて食べることでたちまち評判になり、小さい店は以降「陳マーボー豆腐店」という看板を 掛けて大きくなりました。開放後、一度は国有化されましたが、老舗ということで、看板と味は多く の人を引き付けています。

第二節 四川省に関連する唐詩

「若くして蜀に入らず、老いて四川省をでない」と言われる同時に「昔より多くの詩人が蜀に入る」

という言葉があります。つまり、四川省は生活がしやすく、頑張ってみようという気概が生まれにく く、むしろ、老後の生活に適しているのです。しかし、詩人や芸術家は別です。

ドキュメント内 四川省の基礎調査と震災復興への取組み (ページ 195-200)