第二章 四川省と西部大開発
第3部 四川省の個別産業に関する日中貿易
第一章 資源関連産業
第一節 四川省資源概況 1.概況
四川省は中国でも有数の豊富なエネルギー資源、鉱物資源、水資源に恵まれた省です。地下鉱物資 源は現在判明しているだけでも 132 種類に上り、天然ガスの埋蔵量は新疆のタリーム盆地と内モンゴ ルのホルンベル草原に及ばないものの全国トップレベルにあり、水力発電資源は僅差でチベットに劣 りますが、稼動発電量では文字通り全国一を誇っています。
四川省で最も発達している成都市、綿陽市、徳陽市、資陽市、眉山市から成る成都経済区は盆地の 底にあり、昔から農業が発達した一方で、現代産業を発展させていくエネルギー資源、鉱物資源、水 力発電資源が乏しいことから、ハイテク、先進的な製造業とサービス業が発展の重点になっています。
他方、盆地の周りは 4 つの経済区に分かれ、いずれも資源に依存した産業構造になっています。
アバチベット族チャン族自治州、カンゼチベット族自治州の 2 つの少数民族自治州が含まれる四川 省西北生態経済区は、豊かな鉱物資源、水力発電資源、観光資源を有しています。
広元市、巴中市、達州市、広安市、遂寧市、南充市の 6 都市から成る四川省東北経済区では、天然 ガスを中心としたエネルギーと化学工業が重点です。成都市の電力の増大を見込み、南充市にて原子 力発電所の建設が計画されています。
楽山市、内江市、自貢市、濾州市、宜賓市から成る四川省南部経済区は楽山市は楽山の大仏や峨眉 山など観光資源に恵まれているほか、天然ガスや岩塩を原料にしたエネルギーと化学工業が重点です。
攀枝花市、涼山イ族自治州、雅安市から成る攀枝花西昌経済区では、豊富なチタン、バナジウム、
鉄鉱、石炭に恵まれています。
2.資源についての定義
資源とは人間の生活や産業等の諸活動の為に利用可能なものを言います。広義には人間が利用可能 な領域全てであり、狭義には諸活動に利用される原材料です。中国では一般的にはかなり広義的な解 釈が行われています。鉱物資源やエネルギー源や水などの天然資源のほかに、人力資源、観光資源、
農業資源、森林資源、水産資源、海底資源、海洋資源、遺伝資源、電波資源、経済的資源、教育的資 源などがあります。
3.エネルギー資源
四川盆地の天然ガスの資源総量が 71,851 億立方メートルあり、全国天然ガス資源総量の 19%を占 めます。同時に四川省の天然ガスの重要生産エリアの生産量が 175 億立方メートルで、全国生産総量 の 24.7%に当たります。天然ガス輸送用のパイプラインは 2,500 キロにもなります。現在のペースで いけば、350 年以上も開発を続けることが可能です。地質調査が進むにつれて、さらに多くのガス田 が発見されることが期待されています。しかし、社会経済の発展により、四川省自身の使用量が 100 億立方メートルを突破し、今後も増える傾向にあります。
石油の貯蔵量は、天然ガスと比べるとごくわずかにすぎず、6,796 万トンの埋蔵量が確認されてい ますが、一人当たりの石油保有量は全国平均の 10.9%にすぎません。
2012 年にはさらに 5,900 億立方メートルの埋蔵量が発見され、生産量が 548 億立方メートルを超え、
パイプラインがさらに 2,630 キロ建設され、315 億立方メートルの輸送能力が増加されると計画され ています。2015 年には生産量がさらに 730 億立方メートルにアップされ、3,073 キロのパイプライン が新築され、輸送能力が 375 億立方メートルに増えるでしょう。
4.鉱物資源
地質条件が複雑で、マグマ活動が頻繁に起こり、鉱物資源が形成されやすく、種類もとても多いで す。攀枝花市と西昌市周辺には全国の 13.3%の鉄、93%のチタン、69%のバナジウム、83%のコバル トが埋蔵されており、32 種の鉱物の埋蔵量が全国で上位 5 位に入っています。
全国第一位がチタン、バナジウム、硫鉄鉱、溶錬水晶、工学蛍石、ガラス用水晶など6種類ありま す。
全国第二位がリチウム、よう素、塩鉱、晶質石墨、石綿、雲母、レンガ用沙岩など計 11 種類です。
第三位がプラチナ系金属、鉄鉱、ベリリウム、溶剤用灰岩など計 5 種類です。
第四位がマグネシウム冶金用白雲岩、軽稀土鉱、カドミウム、鋳型用沙岩、青い石綿、ガラス用白 雲岩、セメント添加用粘土など計 8 種類です。
第五位がリン鉱の 1 種類のみです。
豊富な埋蔵量を有する 90 種類の鉱物は工業的に開発価値が高く、四川省の工業発展にとって重要 な役割を担っています。しかし、四川省の石炭保有貯蔵量は 97.33 億トンで、全国の貯蔵量の 0.9%
にしかすぎません。
5.水力資源
四川省はチベット高原の東の斜面に位置し、長江と黄河が四川省を挟みながら東へ流れていますが、
水力資源総量をの発電量に換算すると 1.43 億キロワットで、チベットに次いで全国二位です。
四川省には 1,300 本の川があり、ほとんどが長江流域にあります。西部大開発は四川省の水力資源 の開発のための大きなチャンスを提供しています。1万キロワット級の川が737本あり、経済的に4,018 億キロワット/時間を発電することができます。金沙江、雅礱江、岷江、沱江、嘉陵江、渠江、涪江な どが全国的に有名です。
四川省の計画は水力発電を大きく発展させ、火力発電の効率をアップさせることです。2010 年には 四川省の発電量を水力発電の 3,000 万キロワットを含む 4,500 万キロワットに増加させ、電力産業の 売り上げを 1,200 億元、2012 年には発電量を水力発電 4,000 万キロワットを含む 5,700 万キロワット にし、売り上げを 1,730 億元、2015 年には発電量を水力発電 6,430 万キロワットを含む 8,230 万キロ ワットにし、売り上げ 3,000 億元を実現します。原子力発電については 2020 年に 200 万キロワットの 能力を実現します。四川省を国際的な水力発電基地と「東電西送」の重要基地とすることを目指しま す。そのため、ネットワークの建設に力をいれ、2010 年には 110-500 千ボルト輸送変電工事を 1,768 ヶ所建設し、送電線路を 1.6 万キロを新設します。華中、華東と西北のネットワークとの連絡を強化 します。
6.林業資源
四川省は中国の西南部の長江上流にあり、水と気温に恵まれた亜熱帯気候エリアに属することから、
中国では最も豊富な林業資源に恵まれ、中国二位の林業地区です。林地面積は 3.42 億ムーで、市内面 積の 47%を占めています。材木の総量は 16.73 億立方メートルで全国 2 位に位置し、34.3 万ヘクター ルの面積が森林に覆われています。森林は四川省西部の高山高原地区、西南部の山地、盆地周辺の山 地、盆地中の丘陵、平野部へと行くにつれて順次減っていきます。自然林が 3 分の 2 を占め、主に四 川省西部の高山高原地区、西南部の山地に分布し、人工林が 3 分の 1 で、盆地周辺の山地、盆地中の 丘陵に植えられています。
四川省の植物の種類は 1 万種類にのぼり、これは中国の植物の種類全体の 3 分の 1 に相当し、全国 で 2 位の種類数の多さです。裸子植物は 100 種類あり全国 1 位、被子植物は 8,500 種類程度あります。
また、419 種の国家重点保護野生植物のうち、四川省には 63 種あります。そのうち、一級が 13 種、
二級が 50 種です。
豊かな森林を有することから、脊椎動物が 1,259 種類生息し、全国総種類数の 45%を占めます。ま た、国家重点保護野生動物が 145 種生息するなど、中国ないし世界の希少生物の宝庫といえるでしょ う。
四川省はパンダの故郷で、野生パンダが 1,206 頭(2004 年第三次全国パンダ全数調査データによる)
生息し、全国の 76%を占め、人口飼育のパンダが 200 頭余りで、文字通り全国一です。
四川省はもともと材木産出の基地でしたが、西部大開発で、特に長江上流の生態林保護政策が実施 されてからは、林業地区のみならず農業地区や市街区域においても樹木が厳重に管理されています。
林業の伐採は間伐を主にして、計画的に管理されています。
7.観光資源
四川省が中国の地形を 3 段の階段に例えると 2 段目に位置し、風光明媚な観光資源に恵まれていま す。例えば、九寨溝、黄竜、峨眉山、海螺溝、四姑娘山、稲城と亜丁、青城山などの景勝地です。(詳 しくは付録を参照)
8.その他の資源
生物資源が比較的に多く、毎年、利用可能な人畜糞尿が 3,148.53 万トン、柴薪が 1,189.03 万トン、
わらが 4,212.24 万トン、メタンが 10 億立方メートルあります。泥炭は 20 億トンの埋蔵量が確認され ています。
活用可能な太陽エネルギー、風エネルギー、地熱エネルギーも豊富にあり、開発が待たれています。