• 検索結果がありません。

継続調査の概要

614守⊥

3.  継続調査の概要

10 「おつり」(買いつけの店でもらったおつりが聞違っていることを    言う)

12  「魚つり」(魚つりの少年に釣れるかどうかを尋ねる)

なお,12位のr魚つり」の三面は葡画調査の「物売り」(物売1;)の少年にその父親 のことを尋ねる)に代って用いられたものであIJ,厳密な意味では比較しえないもの であることを断っておく。

 以下,この12場面について6.1.「場面と敬語段階」で述べられた結果を中 心に箇条書きの形で示す。

 1)上記の12場面での丁寧さの順位は前回と今回とでよく似ており(順位相 関係数0.958),ともに発話者力感理的に弱い立言に立つときの言語形式はより 丁寧であり,逆に二品の強いときは乱暴になるという傾向がある。

 2)12場面全体の平均の丁寧さ段階は前回と今回とではあまり差がない。

 3)より丁寧な場面とより乱暴な場面とについて2回の調査結果を比べると

(図6−2),二二の方が丁寧な誌面ではより丁寧に,乱暴な場面ではより乱暴な 言語形式が多くみられるようになっている。

 したがって,この地域社会では,どの山面で丁寧に言うかどうかの判断基準 はこの20年間でほとんど変化はないが,使い分けに関しては今回の方がうまく

なったといえる。

 4)被調査者の性別でみると,すべての揚面で女の方が男よりも丁寧な敬語 形式を用いている(図6−5)。これは前回調査で指摘されたことでもあり,他 の調査結果とも一致する現象でもある。

 5)特に性差の大きい場面は,「医者」,階物預け」,「電灯料」,「おつり」な どであり,顔見知りの店や集金入などには女は男よりもより丁寧である。ま た,「傘貸し」や「傘忘れ」のように,少し知っている入また知らない入へあ る種の恩恵を施す場面でも同様である。

 6)反対に性差の少ないものは,r議事堂」,「席ゆずられ」,「先生」などやや 緊張を要する二面である。

 この5),6)の結果だけでは早断はできないが,男の方が場面による使い分

      3.2. 結果の概要  47 けの程度が大きいと考えることができよう。

 7)年齢別では全体としては高年齢層の方が丁寧なことば使いをしているが,

「電報用紙」と「電灯料」の2揚面は最も若い10代後半が一番丁寧である。こ の両揚薗の相手がお役所的であることが関係しているのであろうか(図6−8)。

 8)反対に若い人が顕著に乱暴だった場颪は「魚つりjであ!,「席ゆずら れ」にもこの傾向がみられる。これらの場面の話し相手が比較的低年齢だとい うことからみて,若い入は若い入に対して乱暴な言語形式を用いるといえるよ うである。つまP,親しみの二丁的表現だと考えられる。

 9)年齢と敬語の使い分けという観点でみると,20代と30代とが最もうまく,

この年代から離れるにしたがって使い分けない人が多くなっている。

 10)学歴別では,全体的に学歴が高いほど丁寧であり,またこの層は二三に よる使い分けをよ!多く行っている(pa 6 一9)。なお,この傾向は前回調査と全

く岡じである。

 11)性,年齢,学歴の3属性(要因)のうちでは,丁寧さの程度は性別で最 も大きく異なっている。次いで,学歴別で差がある。

 12)ただし,3要因聞のクロスということを考えると,性,性×学歴,性×

年齢,学歴の順に了寧さを決定する要因となっている(表7−2)。

 13)性×学歴でみれば,男女とも学歴の上昇につれてより丁寧さが増すが,

その差は男に著しい。つまり,男は学歴によって丁寧さの程度が大きく異なっ

ている(図7−2,図7−3)。

 14)また,性×年齢では男女ともに年齢が高くなるほど丁寧になるようであ るが,その傾尚は女の方でよりはつきりしている(表7−1)。

3.2.2, 特定の敬語形式

 上記の結果は丁寧さの程度に関する場面間の比較であったが,ここでは同じ 場面内または類似場面での語形の選択のされ方についてまとめる。

 1)被調査者の反応文の中で,否定形を含むものとそうでないものとを此べ ると,前回調査同様,否定表現形式を含む方がより丁寧である(表6−3〜表6一

48 3.継続調査の概要 5ほか)。

 2)否定形を用いる反応の割合の多さと場面間の丁寧さの順位とはかなりの 程度一致している(順位相関係数0. 714)。したがって,比較的丁寧な場面には

言語形式の肯定形・否定形の別が問題になることが多いといえる(表6 一2.P.)。

なお,これらの二面は図7−5で示された数量化理論第四類による三面間の分類 でも近い位置にかたまっていることが注屠される。

 3)否定形の多さと年齢との関係でみれば,「医者」のような場面では差がみ られないが,rおつり」では若い年代での否定形が非常に少なくなっている。

この結果は前回調査とも一致しており,若い入は相手が聞違えたような場合に は遠まわしにではなく直接的表現でそれを指摘することが多いといえる。

 4)この否定形・肯定形と関係することであるが,ものごとを言うのに質問 の形を借りるか断定形で述べるかといったことも丁寧さの程度と関係してい る。言うまでもなく,質問形による表現の方が丁寧さの段階が高くなっている

(表6−16〜表6−17)。

 5)質問を示す終助詞の現れ方をみると,「か」,「かい」は男に多く,「の」

は女に多い。また,文末に終助詞を用いずにイントネーションだけで質問を蓑 すのは,性別では女,学歴では蕩い方に多い(表6−20)。

 6)依頼表現で用いられた語形についてみると,「いただく」,「願う」,「下さ る」,「貰う」の順に丁寧さの程度が低くなっている。この順は前回調査とも一

致している。

 7)このうち最も丁寧な語形「いただく」は場面としてより了寧なもので多 く現れる(表6−3〜表6−6,表6−12)。

 8)また,「いただく」に関していえば,前回調査と今回調査とではその使い 方に若干の変化がみられている。すなわち,否定形と結びつく「いただけない」

の形は前回よb大幅に減少し,肯定形の「いただく」が若干増えている(表

6 m3)e

 9)尊敬形式の「お……になる」,「お……です」,「……られる」についてみ ると,前回も今園もこの順で丁寧であるが,最も丁寧な「お……になる」を使

う人の割合は今回かなり減少している(表6−8)。この点では20年前よりも敬語

       3. 2.結果の概要  49

形式は簡単化したともいえる。

 10)「おそれいります」,「すみません」,「ちょっと」といった形での呼びか けも,この順で丁寧さに影響を与えている。このうち,「ちょっと」という呼び かけは丁寧さの程度への寄与は他の二つほどではないが,それでもいきなり用 件に入る発話よりは,丁寧さの段階が高いといえる(表6−7,表6−13〜表6−

14)0

 11)礼を雷うときの「ありがとう」と「すみません」とについてみると,前 者よりも後者の有無の方が全体の丁寧さに髭響を与えている(表6−14)。この

「すみません」は現在の言語生活では「ありがとう」の意味をも付加している

といえる。

 12)自称代名詞の使い方では前回も今回もほとんど違いはみられないが,

「ぼく」と「自分」とが減少したように思われる。また,この「ぼく」を使う 入の割合は年齢の上昇につれて減少している(表6−9)。

 13)一方,二人称代名詞についてみると,その選択と丁寧さとにはそれほど の差は認められていない。これは使用揚面が「魚つり」(前回は「物売り」)で あったことと係りがある。つまり,呼びかけの対象が小さな男の子であり,全 揚畑中最も乱暴であったからである(表649)。

 14)しかし,用いられた代名詞の語形そのもについてみると,前回は「あな た」と「あんた」が半数近くを占めていたのに対し今回はこれが減少し,「ぼ く」カミ著しく増えている。特にヂぼく」の使用は女に多くなっているが,女は 一人称としてこの語を使わないので二人称へ容易に転換しうるからであろう。

 15)前回調査でも指摘されたことであるが,方言形を含むものとそうでない ものとでは,含まない方がより丁寧である。また,2回の調査で比較すると予 想どおり方書形の割合は今園の方が低くなっている(表6−23〜表6−24)。

 16)漢語の使用・非使用に関しても,前回同様に漢語を使う方が丁寧である が,今回はその差が小さくなっている(表6 一25)。

 17)理由を示す助詞では,「ので」,「から」,「で」の順に丁寧な発話の文に 含まれている(表6−26〜表6−27)。

 18)言語形式そのものではないが,反応文の長さと丁寧さとについてみる

50 3.継続調査の概要

と,前回善様,今回も長い反応文のものほど丁寧である。ただし,前回に比べ て,より丁寧な揚面では今回の方がより長く,反対に乱暴な場面ではより短く

なっている(表6−29)。

 以下,上記の藏接調査とは異なるが中学生と高校生のみを対象として行った

「スライド調査」(6.4.「スライド調査」参照)での主な結果を示しておく。

なお,「スライド調査」は種々の場颪をスライドで示すとともに,その揚颪で の会話を録音で聞かせて,「自分ならこう言うj,「こう感じる」という反応を 求めたものである。

 19)「こう言う」ということで選ばれた表現形式を全場面についてみると,

この20年閥に丁寧でない語形の選択が多くなっている(表6 一80)。

 20)一方,「どう感じる」かという会話文の適切さを尋ねた揚合では丁寧な 語形の選択率が高くなっている。したがって,最近の若者は聞けばこの方が適 切だと感じても自分はそのような言い方ができないと思っているといえる。自 分の書肺生活を客観的に鞠慣していることの現れだろうか。

 2!)選択語形の丁寧さを性別で沈較すると,前回は女の方が一般に丁寧であ ったのに対して,今回は項罠による若干の違いはあるが全般的にはほとんど差 がなくなっている。

 22)社長と社:員,先生と生徒といった地位の異なる人物どうしの会話では,

前園は両者の差の小さいものが支持されていたが,今回は差の大きい方の会謡 が適切だと意識されている。ただし,社員が女の揚合は,差の小さい会話への 支持率が増加している(表6−80)。

 以上では12場面での丁寧さの程度と敬語使用の側面についてやや詳しく述べ てきたが,以下は男時ごとに結果溺異なる面が大きいので特に資立つ特徴のみ

を記すことにする。

3.2.3.  敬藁蓑意言哉

 !)短文中の敬語形式を指摘させるという形で被調査者の敬語に対する知識 の程度(知識点)をみると,今園は前回よりも大福にr知識点」が低下してい