6.2. 敬語意識
6。2.1。 敬語の知識
被調査者が敬語についてどの程度の知識をもっているかを知るための調査は 前回と全く同じ方法で行った。つまり,ある短文を示して,その文中のどの部 分が敬語(つまり,高い敬語形式)であるかを尋ね,その回答をもとに各人の 敬語に対する「知識点」を算iliした。この調査で用いられた劇激文(設問短
lO4 6.継続調査の結果 (1)
褒6−32 「お持ち下さいJの分離型回答率
c性,年齢,学:歴別)
aお持ち b下さい
a十b
男
(ユ5.6) (4。8) (20.4)女
(エ0.7) (6,4) (エZ2)ユ0代後半
(エz4) (エ9.6) (37:0)20代 (エ2。8) (6.4) (エ9.3)
30代 (エ7.4) (3。5) (20.9)
40代
(エ0.0) (5.7) (25.7)50代 (8.6)
(一)
(&6)60代以上
(7.4)(一)
(ス4)低学歴
(7.3)(57)
(13。0)中学歴
(エ8.7) (4.7)・ (23.3)高学歴
(15.5) (8.6) (24.エ)(注)畿申の%は各属性カテゴリーの総数に
対する貰分率
けを指摘したものは1点とした。
このようにして得られた,短文ごとの得点
(以下,「正解点」と呼ぶ)の分布状況を一覧 表にしたものがi表6−31である。この表でま ず冒立つことは,1点とされた回答が著しく 少ない中で,「(2)お持ち下さい」の1点が例 外的に多いことである。この文の1点の内訳 をみると,「お持ち」51人(12.8%),r下さ い」23人(5.8%),「全文」3人(0.8%)と なっており,「お持ち」とF下さい」とを分 離した回答が大部分を占めている。このr分 離型」の回答は属性別のどの層でも程度の差 こそあれ一様に現れている(表6−32)。他に 比べて回答に迷う短文といえよう。表6−32 をよく見ると,分離型の回答は,年齢が低いほど多くなる傾向があり,最年少 層の10代後半と20代との間に顕著な段差が認められる一とりわけ10代後半の
「下さい」の割合が大きいことが品評される。また,学歴では低学歴と中学歴 との闇に断層がみられる。なお,ここで分離型回答率が他より高かったグルー プは,後に掲げる表6−35の「知識点」が示すように,本書でいう意味での敬 語の知識はむしろ他より高い方だといえる。
話を表6−31に戻そう。この表の最上段に配した六つの短文(の略称)は調査 時の呈示順ではなく,表の最下段に示した「平均点」の順に並べ換えてある。
この平均点は2〜0の各正解点に属する入数を基に算出したものであるから,
この平均点の高いものほど,その短文に対し本項でいう意味での正解に近いこ
とになる。
六つの短文の平均点をみると,「お車」から「いただいた」までの4文が1 点を超えているのに比べて,「お野菜」が0.755,「あります」がO. 425と著しく 低くなっている。この2文に対する回答の分布を詳しくみると以下のようにな
っている。
6,2.敬語意識 le5
◎お野菜 124人(31。0%) お 27人(6.80/o) 敬語なし 223人(55.8
%) 無回答22人(5.5%) その他 4入(1. 0%)
◎あります 63人(15.8%) ます 19入(4.8%) 全文 6人(1.5%)
敬語なし 282人(70,5%) 無回答 24入(6。0%) その他 6人
(1.50/o)
下線を施した「敬語なし」の割合をみると,「お野菜」が半数以上の56%,
「あります」が約7割を占めている。つまり,美化語の「お」や丁寧語の「ま す」は敬語と考えられる度合いが低いといえる。これが,この2文の平均点を 他よジ著しく低下させた最:大の原因だといえよう。ちなみに,他の4文につい て「敬語なし」と回答した比率は,「お車」3!.0%,「行かれた」31.8%,「お 持ち下さい」22.3%,「いただいた」33.0% となっており,先に述べた分離 型園答が著しく多い「お持ち下さい」を除くと,この比率と平均点とに完全な 逆相関関係が認められている。
次に,性,年齢および学歴と平均点との関係をみてみよう(表 6−33)。性別 では,「(2)お持ち下さい」の平均点に大きな差がみられる(男0.97点,女1.25 点)。この短文に対する病難の分布は次のとおりである(かっこ内の数値:は左 が男,右が女のパーセント)。
表6−33短文別平均「正解」点(性,年齢,学歴溺)
(6) (1)
︵2︶
(5) (3)
︵4︶
お車
行かれた お持ち下さい いただいた お野菜 あります
:男 (エ.31エ) (1.222) (0.9π)) (エ.048) (O. 778) (0.365)
女
(エ,ユ46) (エ,エ63) (エ.249) (1.エ29) (0.Zヨ8) (0,468)10代後半
(エ.348) (エ.826) (エ.283) (エ.435) (0,696) (0.4怨)20代, (エ.エ93) (ユ.450) (1,239) (エ.エ47) (0.624) (0.505)
30代
(エ.395) (1.349) (エ.エ28) (エ.058) (0.953) (0.3Z2)40代
(1.200) (0.9エ4) (エ.エ00) (0.900) (0.7ZZ) (0.4エ4>50代 (エ.057) (0857> (エ.029) α.029) (0.743) (0.257>
60代以上
(0。98ガ (0.426) (0.907) (エ。056) (0.778) (0.426)低学歴
α,083) (0,828) (0.984> (0.948) (0.865) (0.53エ)中学歴 (エ.333) (エ.480ウ (エ.287) (エ.3エ3) (0.四〇) (0.320)
高学歴
(エ.345) α,62エ) (エ.224) (エ.0エ7) (0,483) (0.345)106 6.継続調査の結果 (1)
お持ち下さい(37。7,53. 6) お持ち(15.6,!0. 7) 下さい(4.8,
6.4) 全文(1.2,0.4) お(11.4,3.4) 一つ(0.6,0.4) 敬語な
し(26.3,19.3) 無回答(2.3,5.6)
他の短文では「㈲お車」が男1.31点,女1,15点とやや差があるが,全般的に は男女の平均点には差異はないといえよう。なお,男女の平均点の順位相関は
O. 600とかなり高い相関がみられている。
各短文について年齢別の平均点をみると,全般的に年齢の若い層ほど平均点 が高い傾向が認められる。特に「(1>行かれた」は年齢と完全な逆相関をなして おり,「(2)お持ち下さい」と「㈲いただいた」もほぼ醐じ関係になっている。
しかし,「㈲お野菜」だけは10代後半と20代の著年齢層の平均点が他より低く なっている。これは度々ふれたように「敬語なし」という回答がこの年齢層に 著しく多いためである(10代後半65.3%,20代前半78.6%,2G代後半60.4%,
他の年齢層は38、9〜54.30/o)。
また,年齢層別に短文の平均点の順位をみると,20代および30代は被調査者 金蓮の順位(表6−31参照)と完全に一致している。そこで,この20・30代と他
の年齢層との順位相関係数を求めてみると,10代後半O. 714,40代0.943,50代 0.814,60代以上0.357と,20・30代から遠ざかるにつれて相関が低くなっている ことがわかる。このことから,敬語に関する知識のタイプは,ある程度年齢に
0 1 2 よって変化するといえよう。
同様のことは学歴において
(1>行かれた
もいいうる。図6−11は,表
(2>お持ち
学歴層の順位の順に並べ換え
下さい
たものである。この図から,(5)いただいた 中学聖画は高学歴膠と同じ傾
(3>お野菜
向にあるが,低学歴層は中・
㈲あります 高学歴層とやや分布が異なる ことがわかる。つまり,低学
図6−11学歴溺平均「正解ノ撫分布
歴層は,:金体としては平均点
6.2.敬語意識 107 が低い「(3)お野菜」と「(4)あります」では他の層より裕対的に平均点が高いの に対し,上位の寸土での平均点が低い。特にr(1)行かれた」で大きな差が認め られる。この差には,「敬語なし」の回答が中・高学歴屡の23.5%・15.5%に 対して,低学歴屡では半数近くの43.2%にのぼっていることが大きく関与して
いる。また,「無回答」が低学歴層に多いことも原因の一一一一・っになっている(低 学歴13.0%,中学歴1.30/o,高学歴G%)。
今まで,短文ごとの平均「正解点」をみてきたが,ここでは,これらの点数 を合算して個入ごとに総合
褒6−34『知識点」の山窟 点(「知識点」と呼ぶ)を
求めてみよう。この「知識 点」は0〜12点に分布する が,これを5段階にまとめ て示すと表6−34のように なる。また,平均「知識点」
表6−35 「知識点」による2團の調査の比較
点数
今 園 調査瀧園調査
男 女
全体全体
0
ユ5(9.0) 25(エ0.の 40(エ0.0) 17(4.2)1−3 11(6.6) 25(エ0.7) 36(9.0) 52(エ2.9)
4〜6 8エ(48.5) 81(34.8> 16£(40.5) 125(30。9>
7揮9 41(24.6) 61(25.2) 102(25.5) ユ26(3エ.2)
ユ0〜12
19(エエ。4) 41(エ冗6) 60(エ5.0) 84(20.8)今回調査 前司調査 日立本社
平均 標準偏差 画数 平均 標準偏差 重犯 平均
全 体
(5」890) 〔3。2α)) 400 (6㌧525) (3。エ07〕 406(5220)
男女
(5.766) {2,993〕 ユ67i5」979) 〔3る338} 233
(6.4エ7) 〔2.997〕 204 i6.634) 〔3.2エエ〕 202
(5285)
i5レ05Z)