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第 6 章 係留施設の断面変化箇所での水平変位の法線方向分布の

6.4 床掘置換とSCP改良地盤の施設境界の水平変位の推定

6.4.3 粘性土のパラメータスタディ

前項で,地盤の弾性係数の決定方法については,概略の方向性を得ることが出来た.し かし,前項のパラメータスタディでは,粘性土の弾性係数を N 値から一義的に決定してい る.このため,粘性土の弾性係数の影響を見るために本項にてパラメータスタディを行う.

粘性土のパラメータスタディのフローを図6.18に示す.

図6.18 粘性土のパラメータスタディのフロー

(1)粘性土のパラメータ設定

(7) PC14の水平方向加速度を仮定

(5)水平変位および 沈下量の比較 概ね一致

一致しない (2)置換砂・置砂・裏埋土・基礎捨石等

のパラメータを仮定

(3) PC13断面の水平方向加速度を仮定

(8) PC14断面の2次元解析 (9) 水平変位および

沈下量の比較

一致しない

概ね一致

(18) PC13,PC14境界部の3次元弾性解析

(19)考察 (4) PC13断面の2次元解析

(6) SCP改良地盤のパラメータを仮定

(10) PC13PC14境界部の水平加速度の算定

(11)置換砂・置砂・裏埋土・基礎捨石等 のパラメータを仮定 (12) PC13断面の2次元解析

(13)水平変位の比較 概ね一致

(14) SCP改良地盤のパラメータを仮定

(15) PC14断面の2次元解析

(16) 水平変位の比較 一致しない

一致しない

概ね一致

試行による液状化地盤の弾性係数の算定

試行によるSCP改良地盤の弾性係数の算定

試行による液状化地盤の弾性係数の算定

試行によるSCP改良地盤の弾性係数の算定

(17) 床掘り擦り付け部の基礎捨石・裏込石の 弾性係数の算定

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粘性土のパラメータスタディでは,基礎捨石・裏込石のパラメータスタディ(図 6.12)

と手順は良く似ているが,以下の点が異なっている.

・基礎捨石・裏込石の弾性係数を直下の地盤の弾性係数と同じにしたこと.

・PC13とPC14の床掘り擦り付け部の基礎捨石・裏込石の弾性係数は,置換砂とSCP70%

改良地盤の平均値としたこと.

・PC14の試行によるSCP改良地盤の弾性係数の算定時に,PC14の水平変位,鉛直変位に 合うようにPC14の水平加速度も求めるようにしたこと.

・3次元解析に使用するPC13とPC14の境界部の水平加速度は,PC13の水平加速度とPC14 の水平加速度を平均して求めるようにしたこと.

・PC13とPC14の境界部の水平加速度に対して,一致するような弾性係数をあらためてPC13 とPC14で試行により求めるようにしたこと.

粘性土の弾性係数は,800kPaを基本ケースとして,半分の400kPa,2倍の1,600kPaの3 ケースと実施した.

(2) 粘性土のパラメータスタディの弾性係数と2次元解析の結果

粘性土のパラメータスタディに用いた弾性係数及び計算結果の一覧を表6.4に示す.捨石 等の場合とは異なり,粘性土の弾性係数を大きくするほど置換砂や SCP改良地盤を強く,

水平加速度も大きくしなければならないことがわかる.

表6.4 粘性土のパラメータスタディの弾性係数と2次元解析の結果

捨石

裏込石 粘性土 裏埋土

(気中)

置換砂 置砂 埋立土

(水中)

SCP70%

改良地盤 SCP50%

改良地盤 置砂 SCP 改良地盤

SD 改良地盤

水平変位 (m)

鉛直変位 (m)

PC13 1,900 -2.9 -3.397 -1.332

PC14 11,000 11,000 7,971 15,543 3,429 -6.3 -2.507 -0.854

PC13 1,900 -3.2 -3.419 -1.340

PC14 11,000 11,000 8,086 15,371 3,714 -6.8 -2.474 -0.858

PC13 1,900 -3.7 -3.373 -1.312

PC14 12,500 12,500 9,386 17,171 4,714 -8.7 -2.503 -0.825

PC13 2,950 -3.397 -0.923

PC14 5,900 5,900 4,329 8,257 1,971 -2.504 -1.126

PC13 1,900 -3.367 -0.959

PC14 6,000 6,000 4,514 8,229 2,286 -2.457 -1.131

PC13 3,200 -3.376 -0.936

PC14 6,300 6,300 4,957 8,314 2,943 -2.504 -1.120

境界 部分の 加速度 算出用 備考

境界 部分の 加速度 算定後 施設天端の変位

1,600 1,900 1,900 400 1,900

400 2,950 2,950 -4.6

800 3,000 3,000 施設

弾性係数(kPa)

水平 加速度

(m/s2)

1,900 800 1,900 1,900

-5.0

1,600 3,200 3,200 -6.2

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図6.19に,2次元解析の結果の施設の地表面の変形図を示す.図6.19(a)がPC13の結果,

(b)がPC14の結果である.図6.19では,縦軸と横軸のスケールを変えて表示している.図 6.19 の(a)も(b)も,粘性土の弾性係数が400kPa のケースでは,岸壁背後(メッシュ境界付 近)の沈下量が他のケースに比べて大きくなっている傾向が見えるが,それを除いては,

施設の変形モードには大きな違いは無いように思える.図6.19の結果だけから見ると,粘 性土の弾性係数は800~1,600kPa程度の範囲であれば,言い換えれば,400kPa近くまで小さ くなければ,あまり問題は無いようである.

(a) PC13の2次元解析の結果 粘性土のパラメータスタディ

(b) PC14の2次元解析の結果 粘性土のパラメータスタディ

図6.19 粘性土パラメータスタディ 施設表面の変形

157 (3) 3次元解析の結果

粘性土パラメータスタディの 3 次元解析の結果として,水平方向変位量と鉛直方向変位 を図6.20に示す.図6.20を見てわかるとおり,粘性土の弾性係数を変えても施設法線の水 平変位と鉛直変位にはほとんど影響が出ていない.粘性土の弾性係数の想定に当たっては,

2 次元解析時の変形モードと水平加速度が想定される変形モードや加速度と異ならないよ うに定めればよいと思われる.以上の検討から,この事例における粘性土の弾性係数は,N 値から求めた値の1/10である800kPaで適切であると考えられる.

(a) 施設の水平変位分布

(b) 施設の鉛直変位分布

図6.20 3次元解析結果 粘性土のパラメータスタディ

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