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第 3 章 撫養港直轄海岸保全施設整備事業の概要とその要求性能

3.2 設計条件

3.2.1 想定地震

当該事業では,設計地震としてレベル 1 地震動,レベル 2 地震動として東南海・南海地 震および中央構造線地震を想定している.事業箇所直下のマグニチュード6.5地震も推定し たが明らかに中央構造線地震よりも小さかったことから照査には用いていない.以下に,

想定地震の概略を示す.

a) レベル1地震

当該事業のレベル1地震動は,確率論的地震危険度6),7)に基づいて,長尾,平松らが常時 微動観測に基づいたゾーニングを行って作成したもの8)を用いている.港湾におけるレベル 1地震動の解説については,文献9)に詳細な解説と整理が成されている.図3.4に文献8)よ り,常時微動観測に基づくゾーニングの結果を示す.

38 b) レベル2地震

当該事業では,港湾の施設の技術上の基準に基づき,以下のレベル2地震動を設定した.

・東南海・南海地震

当該事業の着手は平成19年であったことから,津波を伴う南海トラフ地震としては,中 央防災会議の東南海・南海地震等に関する専門調査会が発表したもの10)を用いている.図3.5 に設計地震の震源域を示す.この地震による事業実施箇所の初期地盤沈降量は,0.7mと見 込まれている.図3.5の震源域から発生する地震動を経験的グリーン関数法11)を用いて予測 した.予測された地震基盤での地震動を文献8)のサイト増幅特性を用いて地表にまで引き上 げ,それを工学的基盤まで引き下ろすことで工学的基盤の東南海・南海地震の地震動を作 成した.

・中央構造線地震

撫養港は,図3.6に示すとおり,中央構造線(讃岐山脈南縁-石鎚山脈北縁東部)の断層面 上に位置 12)しているため,直下型のレベル 2地震として中央構造線地震を想定した.中央 構造線地震の断層パラメータ12)を表3.1に示す.中央構造線地震の地震波も,文献8)のサイ ト増幅特性で一度地表にまで引き上げた後,工学的基盤まで引き戻している.

c) 東南海・南海地震地震動(設計地震)

図3.7には,本研究での主なテーマとなる東南海・南海地震の工学的基盤面での2E波を示 す.特に断りの無い限り,本研究では,ここに示す東南海・南海地震動を設計地震と称す る.なお,設計においては,図3.7の地震動を護岸断面方向に角度変換して用いている.

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図3.4 常時微動観測に基づくゾーニング(文献8)に加筆)

図3.5 東南海・南海地震の震源域10)

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金剛山地東縁-和泉山脈南縁

紀淡海峡-鳴門海峡

讃岐山脈南縁-石鎚山脈北縁東部

石鎚山脈北縁

石鎚山脈北縁西部-伊予灘

図3.6中央構造線の概略断層位置 文献11)

表3.1 中央構造線地震の断層パラメータ12)

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(a) 西側ゾーンの設計地震動 (b) 東側ゾーンの設計地震動 図3.7 撫養港海岸直轄海岸保全施設整備事業における設計地震動

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