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表1:「自動車のまち豊田市」における課題と解答

   データベース構造における課題と解答

・ 日

1 A どのようにして き3 トたのか。

13:49 2 A どのようにしてあんなにたくさんの車

港から送るのか。

13:49 3 A どのようにしてあんなにたくさんの車

港に集めるのか。

13:49

4 A 豊田市にはトラックやバスだけ作って

骰H場があるなんて初めて知った。

13:49

5 A

豊田市の工業製品の出荷は8兆円ぐ一ら.

セそうです。そのうち7兆円が車の製 iが占めていることがわかった。

一  . 一   一

P3:49

6 A 豊田市の車に関係する工場がたくさん

?驍ニいうことはわかったが、100 ネ上もの工場があるなんて知らなかっ

る答は見つけていない。また,教材の活用時間は平均21分である。最 も長い間教材を活用した被験者Lは,トヨタ記念病院の資料から「自動 車会社がなぜ,病院を作ったのか。」という課題を設定したにとどまっ ている。最も短い活用時間であった被験者Eは,約6分の間に10のノ

ードを見て活用を終わっている。同様に被験者Jも約12分の間に10

のノードを見て活用を終わっている。これら2名の被験者は課題を設定 することができなかった。

 では,被験者がどのような教材の活用のプロセスを経て,課題を設定 したのか,具体的に被験者Aと被験者Gの場合について考察する。次に 示す図は,教材「自動車のまち豊田市」のサブメニューである(図1)。

図1:「自動車のまち豊田市」のサブメニュー

このサブメニューから,2名の被験者がどのような資料を選択していっ たのかを示し,2名の設定した課題について考察する。

 被験者Aは約14分間教材を活用し,14の資料を見ている。その活

用のプロセスは以下のようになる(表2)。

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表2:被験者Aの教材活用のプロセス

今の豊田市 昔の豊田市 豊田市の工場 地  図

6産業別

7自動車工場 1自動車 8近郊の自動

労働人口 建設 部品工場 車積載港

12規模別

2自動車第1

9近郊の自動

工場数 次関連工場 車積載港

3自動車第2

10関連工場

次関連工場 の分布

4自動車第3

11豊田市空撮

次関連工場 14豊田市の 5現在の本社 の位置

工場前 13自動車組み

立て工場

※表中の番号は被験者の選択したノードの順番を示す。

 被験者Aは豊田市の工場に着目し,工場に関係する資料を中心に選択 している。そして,「どのようにしてあんなにたくさんの車を港から送 るのか。」「どのようにしてあんなにたくさんの車を港に集めるのか。」

という輸送に関する課題を設定している。被験者Aは自動車関連工場の 資料を最初に選択し,それに関係する資料を順次選択している。よって その過程において,近郊の自動車積載港の資料からこのような課題を設 定したと考えられる。つまり,被験者Aは自らの興味・関心に従って資 料を選択し,各資料を関連させて思考し課題を導き出したといえる。し かし,課題に対する答は記入できていない。自動車の主な輸送路である 東名高速道路の資料を選択していないからである。これは,東名高速道 路の資料が豊田市の工場とは別の項目(今の豊田市)にあるため,被験 者が見落としたことが原因と考えられる。

 また,被験者Aは課題のほかにわかったこととして,「豊田市にはト ラックやバスを作る工場がある」「豊田市の工業製品の出荷額8兆円の

      一 138 一

うち7兆円が車の製晶で占められている」「豊田市の関連工場が100 以上もある」という豊田市の特色に関することを記入している。これは それぞれ,自動車組み立て工場,規模別工場数,関連工場の分布の3っ の資料から導きだしたものである。

 よって,学習者が着目する視点をはっきりと持っていれば,教材に位 置つく資料を関連させて思考することが可能だといえる。しかし,各資 料を関連させて思考しながらも課題に対する答の見落としがあったとい うことは,並列的・独立的な資料の構成という教材の構造に限界がある

といえる。

 次に,被験者Gの場合について考察する。被験者Gは約20分間教材 を活用し,23の資料を見ている。その活用のプロセスは以下のように なる(表3)。

表3:被験者Gの教材活用のプロセス

今の豊田市 昔の豊田市 豊田市の工場 地  図 1豊田市の 7建設中の 11自動車組み 17愛知県の

中心部 自動車工場 立て工場 位置

2市の 870年前の

12自動車 18空から みた

人口推移 繭問屋 部品工場 愛知県

3産業別 930年前の

13自動車第1 19近郊の自動

労働入口 市の中心部 次関連工場 車積載港

4規模別

10昭和初期の 14自動車第2 20関連工場 工場数 駅前 次関連工場 の分布 5豊田市役所 15自動車第3 21豊田市

6東名

次関連工場 の位置

高速道路 16現在の 22豊田市

本社工場前 の地図 23空からみた 豊田市

※表中の番号は被験者の選択したノードの順番を示す。

被験者Gは,サブメニューの項目に従って左から順番に資料を選択し,

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すべての資料を見ている。すなわち,被験者GはAと違いこれといった 視点を持たずに資料を選択しているのである。そして,「誰が自動車工 場を建てることを考えたのか。」「なぜ,豊田市に自動車工場ができた のか。」という2つの課題を設定している。この2つの課題に対する答 は,建設中の自動車工場の資料(図2)の中に含まれており,その通り の回答を記入しているのである。よって,被験者Gの設定した課題はひ

とつの資料から設定され,他の資料と関連させて思考していないといえ

る。

 ■一■匿一■1臨閣■1聾■■■■唇題図田日置■

図2:「建設中の自動車工場」のノード

 このことから,学習者が教材に対して着目する視点を明確に持ってい ない場合には,教材に位置つく資料を関連させて思考することが困難で あるといえる。なお,被験者Gのように左から順番に資料を選択してい った被験者は12口中5名である。また,被験者Aと課題を設定できな

かったC,E,1,Jの4名の被験者を除く7名の被験者の活用のプロ

セス,導きだした課題とその答の関係を見ても,明確な視点をもって資 料を選択している場合は見られなかった。