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生徒による授業評価を用いた授業改善の活性化に向けて

第 5 章 総合的考察

5.5 生徒による授業評価を用いた授業改善の活性化に向けて

生徒による授業評価は,内発的な実施と導入が,教師の主体的な授業を改善する取り 組みを生み出し,効果的である.外発的な導入である場合,教師の反発,評価の信頼性 への不安などにより,自己評価に繋げにくい状況が存在する.

評価の信頼性について,授業を評価する生徒と教師の視点,生徒の基準について分析

173 を行った.

その結果,「授業技術」に関しては両者とも近い視点により授業評価と自己評価が行 われていた.他の視点では,生徒にとっては,授業に対する主体的な学び,教師にとっ ては理想とする授業や生徒像が反映されており,批判的な視点による評価はなされてい なかった.

また,授業を評価する基準は,生徒それぞれが持つ良い授業を潜在的基準とした相対 的なものであった.この相対的な基準には,絶対的な側面も存在し,主体的に学んでい る場合は,最も良い評価を選択している.

以上のことから,生徒による授業評価の信頼性は,徐々に高まっていると考えられる.

しかし,より効果を高めるための,いくつかの知見が得られた.

評価の視点,基準の考察において,「良い授業」についての共通理解の必要性を指摘 することができた.生徒による授業評価の目的は,授業の改善であるが,目標とする良 い授業がどの様な授業なのかは,生徒,教師そして管理職においても位置付けられてい ない.

良い授業の位置付けによって,生徒による授業評価の視点や評価基準が,より明確に なる.また,自己評価が生徒の評価と同じ方向性によって行われ,実状を反映した授業 の改善がなされることも期待できる.

生徒と教師が良い授業を共に目標化することにより,目標と照らし合わせて,その都 度,授業を評価し改善することも可能となる.

また,研究授業とは異なる形により,教師の成長を図ることができる.研究授業は,

教師間の評価が伴う.一方,良い授業の共通理解を図る中で,教師の成長が促され,自 己評価の能力を高めることができると期待できる.

これらのことから,外発的な導入,実施が徐々に内発的なものに変容する可能性があ る.

もう一つの知見として,生徒による授業評価の結果の活用が考えられる.生徒による 評価は,信頼性が高まっている.このことは,前述した内容以外に,先行研究において も触れられていた.先行研究では,評価を受けての授業に生徒が改善を見出さなければ,

評価することへの諦めに繋がることが挙げられていた.つまり,現在の授業評価では,

評価を受けて,授業が改善されたと感じない限り,生徒は自分たちの評価を教師がどの 様に受け止めたのかが分からないのである.

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この点は,共に授業を築き上げる上で,少なくともプラスの効果とはならない.評価 を受けて,全てを開示するまではいかなくとも,どの様な評価を受けたのか,良かった 点,良くなかった点は何であったか,これからどの様に授業を展開していくかといった 回答を示すことが有効であると考える.生徒にとって,評価に応えようとする教師の姿 勢は,期待とともに責任を学ぶ機会でもある.結果,評価の信頼性がより高まるものと 期待できる.

最後に,生徒による授業評価の制度そのものの改善を考える必要がある.良い授業は,

生徒,教師によって共通理解が図られることが重要である.なぜならば,そこには良い 授業への違いが存在するためである.これとは別に,教科・科目によっても違いが存在 すると考えられる.実際,本研究の対象校では,座学を中心とする教科と実技を中心と する教科の評価項目には違いが存在していた.

また,生徒の視点を検討する中で,数学独自の視点も含まれていた.独自の視点は他 の教科・科目にも存在する.

更に,評価は学科,学年といった属性によっても視点や潜在的基準に変化が存在する.

この変化は,生徒の成長の結果でもある.

共通の評価項目による生徒による授業評価には,時系列での変化を把握し,教育の質 を維持できるという利点がある.これに加え,教科・科目独自の評価項目,学年が上が るにつれ評価能力の高まることに対応できる評価項目を設定する.こうした非共通の評 価項目の設定も,より実状を反映した自己評価に繋がるものと考えられる.

以上のことを,生徒による授業評価に取り入れ,授業の改善が促され,生徒のより良 い変容に寄与することを期待している.

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