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問題の所在と本章の構成

第 2 章 授業評価の回答意識に関する計量テキスト分析

2.1 問題の所在と本章の構成

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第 2 章 授業評価の回答意識に関する

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しかし,現象は,その根底にある原理の表れである.原理がどの様に授業に表れている のかを意識するためにまず現象を注視するため,原理とは何ら関わりなく現象のみを問 題にはできない.

「原理的観点」には,直観の原理,自己活動の原理,注意の原理,社会化や個別の原 理など授業の「方法原理」が挙げられる.「良い授業」への条件として,「具体的な資料 や気付きを導き出す工夫がある」,「個人差への配慮がある」,「学習者が主体的に取り組 んでいる」,「協働学習が成立している」といった例が挙げられる.これらの例は「方法 原理」の実際化の度合いにより「良い授業」であるかどうかを測る十分条件となる.

更に,田中(2007)は,「良い授業の条件として,『わかる授業』や『たのしい授業』と いうことばがよく使われます.この『わかる』と『たのしい』が調和されることで,よ い授業が生み出されると一般的には理解されています.」と指摘している.

Brown (1981)の言及は,「良い授業」を定義付けできる立場を述べたものであり, 高 久(1990)は「良い授業」に求められる観点,田中(2007)は「良い授業」の解釈の一例を 紹介している.

この様に,「良い授業」を考察する視点,様々である.そのため,「良い授業」を一般 化して語ることは困難である.

しかし,授業の改善を目指す取り組みは「良い授業」を目指したものであるため,本 研究では「良い授業」をどの様な意味で用いているのかを明らかにしておきたい.

本研究では,「良い授業」を定義付けすることはせず,「これまで受けていた授業」や

「現在,受けている授業」を「より良い」または「満足している」と生徒が感じられる 授業を指すものとして「良い授業」を用いることとする.

教師が授業の改善に取り組むのにあたり,生徒が授業をどの様に捉えているかを考察 することは意義あることであると考える.生徒の授業観が生徒による授業評価にも反映 され,その結果が教師に提示されるためである.しかし,生徒の授業観がどの様な視点に より形成されているのかを,評価の結果から探ることは困難である.

例えば,「授業において,説明の声は聞き易いですか.」といった評価項目に対して,

声の大きさ,抑揚,言葉遣いなどの教師側の要因や,生徒の座席の位置,心の開かれ方,

聞こうとする姿勢などの生徒側の要因も評価の背景として考えられる.こうしたことは,

他の評価項目についても同様である.

そのため,生徒がどの様な視点を持ち,授業を評価しているのかを明らかにすること

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を試みる.生徒による授業評価の一つ一つの評価項目に対する生徒の視点が,授業観を 浮かび上がらせ,授業に何を求めているのかを明らかにできると考えるためである.こ の結果,授業の目的と生徒の授業観との一致点や相違点を確認すること,教師が想定し ていなかった授業改善における視点を見出すことが可能となると期待している.

こうした考察により,教師が「生徒による授業評価」に対して抱いている信頼性や妥 当性への不安について検証することができる.このことにより, 信頼性や妥当性への不 安を軽減し,良い授業を目指した教師の自己評価がなされると考えている.

教師が自己評価を行うために,澤本(1998)は,「教育実践家としての教師の,教師に よる,生徒と教師のための授業研究」である「授業リフレクション研究」の必要性を指 摘している.

これは,教師が授業中の自分や生徒の姿を意図的にとらえ,それを手掛かりに振り返 りながら授業改善の方策を講じる反省的な授業方法の研究である.

この「授業リフレクション」には,教師の自己対話による検討である自己リフレクシ ョンによる授業研究が含まれている.

自己リフレクションによる授業研究では,教師は授業者である自分(self)と,それを 研究する自分(ego)に分かれて事例を検討する.研究する自分(ego)は,反省する主体と しての私であり,授業者である自分(self)は,反省の対象となる客体としての私である.

「研究する自分(ego)と授業者である自分(self)の不一致を自覚し,困難を覚悟の上で 両者を統合の方向を目指し,具体的な課題解決の方法を生み出すことが,自己リフレク ションによる授業研究である(澤本1988).」

この点は,生徒による授業評価を用いた授業改善と共通している.

しかし,自己リフレクションによる授業研究における分析対象は,カリキュラム,教 材,教師の指導方法,生徒自身の何らかの問題,施設・設備や社会・文化・歴史的背景 などの直接的教育環境,授業記録・授業資料,第三者の授業に関する情報,先行する研 究や実践事例であるのに対し,本研究では生徒が抱いている授業観そのものを分析対象 としている.

生徒のより良い変容を目指すという点で両者の目的に違いはない.しかし,本研究で はその過程に存在する制度としての「生徒による授業評価」に着目しており,その結果 をもとに,自分(self) と自分(ego)の統合の過程に焦点を当てたものではない.

本章は,5節からなる.まず第2節において,対象者,対象とした授業,調査方法な

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ど調査の概要説明を行なう.続く第3節では,計量テキスト分析を用いた分析方法につ いて説明を行なう.また,第4節では,得られたデータから階層化カテゴリーを作成し,

結果を述べる.そして最後に,第5節で本章のまとめを行う.