第 2 章 授業評価の回答意識に関する計量テキスト分析
2.5 考察とまとめ
2.5.2 まとめ
学校設定科目である「数学演習」を選択し履修した3年次の生徒が生徒による授業評 価の評価項目をどの様に捉えているか,良い授業にはどの様なことを求めているのかに ついて,計量テキスト分析による分析を行った.その結果,生徒が授業を評価する際は,
次4つの視点に基づいていることが明らかになった.
(1) 授業技術 (2) 授業の雰囲気 (3) 学びに対する姿勢 (4) 受講の背景
授業技術では,「生徒による授業評価」の結果から読み取ることのできる内容となっ ている.「授業を受けている今,必要な技術」と「授業後に理解するための有用性」の
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2つの側面が「授業での必要な技術として」求められている.例えば,板書において「良 い板書」とされるのは見易さだけではなく,ノートを作成し易いことに重点が置かれて いる.しかし,「学び」に結びついていない表面的な「し易さ」に留まる場合は,批判 的な意見も存在している.生徒にとって,いかに授業技術が優れたものだとしても「学 び」として残るものが無ければ,要望に対する評価は低いものになる.
授業の雰囲気では,理解を深めるために「開かれた雰囲気」が求められている.この
「開かれた雰囲気」は,授業の中で生徒自身が主体性を感じられることでもあるため,
理解力の差に違いなく求められている.
学びに対する姿勢では,「理解できることが楽しい」,「解くことができる」といった 生徒の自己実現欲求をどの様に引き出すかが課題となっており,指導方法や知識の向上,
「熱意ある指導」といった教師側の努力に期待している表れでもある.
受講の背景では,生徒自身の授業の捉え方,クラス編成の問題といった授業の展開そ のものではない要因も生徒が授業を評価する際に影響することが確認できた.
本研究では,生徒による授業評価の評価項目のみでは浮かび上がることができない授 業改善の要素が数多く確認された.このことは,生徒による授業評価のみによる授業の 改善には限界があり,結果として数値化されたものは授業の一部を表していることを意 味する.生徒の評価の背景には,「学び」に対する大きな期待と自己実現欲求が内在化 されており,結果のみを受けて授業改善に臨むのは表面的な改善に留まることとなって しまう.
同時に,見出された生徒の「学び」に対する欲求は,授業の改善にとって大きな支え となるものである.こうした自己実現欲求を生徒が有している以上,それに応えるべく 授業改善が取り組まれる必要がある.
生徒による授業評価の結果を受けて,自己評価を行うのみではなく,学習者たる生徒 にも改善に向けた意見を求め,共に授業を作り上げていく姿勢が求められると考える.
具体的な方策として,生徒による授業評価の評価項目設定に向けて,授業の目的に加 え,生徒が授業にどの様なことを期待しているのかを,評価項目案毎に尋ねてみる.寄 せられた意見を参考にし,評価項目を設定する.
また,評価の結果を,生徒に説明し「どの様な所が良いと感じているのか.」,「どの 様な点を改善して欲しいのか.」などの意見を求め,改善に取り入れることも考えられ る.
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結果を踏まえ,生徒との授業そのものについてのコミュニケーションを深めることに より,授業の改善に繋がり,教師の指導力改善へと活用されると考える.
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