ユニット7:財務管理
C. 事業へのインパクト
7.7 活動、手法、技法、サービス・ライフサイクルとの関 係
モデルと技法
財務管理のモデルと技法には、次のようなものがあります。
サービス査定
y
サービス供給モデルと分析
y
資金調達モデルの選択肢
y
ビジネス・インパクト分析(BIA)
y
サービス査定 1.
IT組織は、サービス査定活動中に次のような課題に対応する必要があ ります。
直接費と間接費
y
労務費
y
変動原価要素
y
原価勘定データのサービス価値への変換
y
直接費と間接費
直接費とは、特定のサービスに明らかに直接的に起因するものです。
一方、間接費とは、複数のサービスで共有されるものです。
組織は、どの費目が次の条件に合うかを判断するために、これらのコ ストに賢明にアプローチするべきです。
扱うのが賢明である。
y
利用可能なデータがある。
y
必要とされる労力のレベルが適切である。
y
コストのコンポーネントの深さと幅を正しく識別することが重要です。
識別したら、コストをどのように複数のサービスに配布するかの手引 き、規則、方針が必要になるでしょう。
ITIL v3 Intermediate Certification Level | Service Offerings and Agreements
Copyright © 2011, ITpreneurs Nederland B.V. All rights reserved.
182
My N otes
労務費
組織は、労務費についても重要な意思決定を行うべきです。この決定 は「直接費と間接費」と類似していますが、時間追跡システムの複雑さ と精度のため、さらに困難なものになっています。複数のサービスに 配分したリソースを説明することができない場合は、労務費の配賦に 対して規則や想定事項を作成しなければなりません。一般的で実際的 な方法としては、サービス指向に基づく財務センタ全体に労務費を振 り分けることで、人件費をサービスに整合させることができます。同様 に、すべてのITサービスの管理費も、マクロ・レベルではある1つの財 務センタにまとめることができます。このコストを複数のサービスに配 賦する規則も作成できます。
変動原価要素
変動原価要素には、ユーザ数や実行中のインスタンス数によって常に 変動する費用が含まれます。変動は価格感度の主要な要因となりうる ため、変動の度合いを大きくするサービスやサービス・コンポーネント を特定する能力に基づいて、組織は決定を下す必要があります。一定 時間経過後の価格の変動から、予測を可能にする規則を作成すること もできます。変動の大きいサービスにコストを関連付けるには、その サービスの特定の消費を一定期間にわたって追跡する能力が必要で す。これにより、変動の範囲が確定されます。
そのコストの予測可能性には、次の手段で対応できます。
階層化:プロバイダ内部で停滞が生じる部分で価格区分を明
y
確にします。これによって、そのプロバイダが得意とする規模 の効率性を得るよう顧客に奨励できます。
最大コスト:変動の最大レベルに基づいてサービスのコスト
y
を規定します。おそらく、これによって過剰課金が起こります が、事業は追加コストよりも割引を好むでしょう。
平均コスト:変動の経時的な平均に基づいてサービスのコス
y
トを設定することです。計画立案サイクルの最後でコストに 対応することができるように、ある程度の過剰課金と課金不 足を許容します。
Student | ITIL v3 Intermediate Certification Level | Financial Management
Copyright © 2011, ITpreneurs Nederland B.V. All rights reserved.
183
従来の勘定科目表
勘定科目表へ の請 求の適用
給与 60,000
サーバ保守 25,000 ハードウェアの減価償 却 15,000
合計 100,000
サービス指向のIT会計 サービス指向のコストの会計と識別
サービス保守の請 求 25,000
* サービス: コラボレーシ ョン・サービスA
* 原価費目: ハードウェア
* 分類:
運用 または 資本 直接 または 間接 固定 または 変動
*課金基準は製造番 号
ハードウェアの減価償却 15,000
* サービス: 財務報告
* 原価費 目: ハードウェ ア
* 分類:
運用 または 資本 直接 または 間接 固定 または 変動
*課 金基準はユーザの内線 番号
給与 60,000
* サービス: サービス拡張プ ロジェクトABC
* 原価費 目: 労務
* 分類:
運用 または 資本 直接 または 間接 固定 または 変動
*課 金基準は従業員ID
サービス指向の会 計項目総計 100,000
(同じく100,000であるが、サービス指向の会計として扱う)
サービス・コストの小単位:
コラボレーシ ョン・サービ ス コラボレーシ ョン・サービスの総コスト
サービス・コスト#1 - 50,000 サービス、コラボレーション・
サービス 年間保守 サービス・コスト#2 - 125,000 コラボレーション ・サービス ソフトウェ ア
サービス・コスト#3 - 25,000 コラボレーション・サービス その他の特性など
総サービス支出 225,000
サービス保守の請求は他のサービス 固有の請求と合計される
25,000
200,000
コラボレーション・サービスの査定
会 計特性別のサービス・コスト内訳サンプル コラボレーション・サービス総コストの特性 別内 訳
ハード ウェ ア 150,000
ソフトウェ ア 25,000 225,000 従来の原価 会計
労務 50,000
運用 180,000
資本 45,000 225,000 資本構成
直接 51,000
間接 55,000 225,000 利益構成
固定 100,000
変動 125,000 225,000 コストの変動性
支 出小計 225,000
コラボレーション・サービスの潜在的価値の追加 有用性の最適化
保証の強化 10,000 サービス改善の見積もり価値
付 加価値小計 10,000
小計 : 225,000 今期の資金 基盤
予想される ピーク需要の変動 20%
増大(減少 ) 47,000 追加資金要
282,000
サービス査定合 計(将来) 282,000 将来必要な資金 従来の勘定科目表
勘定科目表へ の請 求の適用
給与 60,000
サーバ保守 25,000 ハードウェアの減価償 却 15,000
合計 100,000
サービス指向のIT会計 サービス指向のコストの会計と識別
サービス保守の請 求 25,000
* サービス: コラボレーシ ョン・サービスA
* 原価費目: ハードウェア
* 分類:
運用 または 資本 直接 または 間接 固定 または 変動
*課金基準は製造番 号
ハードウェアの減価償却 15,000
* サービス: 財務報告
* 原価費 目: ハードウェ ア
* 分類:
運用 または 資本 直接 または 間接 固定 または 変動
*課 金基準はユーザの内線 番号
給与 60,000
* サービス: サービス拡張プ ロジェクトABC
* 原価費 目: 労務
* 分類:
運用 または 資本 直接 または 間接 固定 または 変動
*課 金基準は従業員ID
サービス指向の会 計項目総計 100,000
(同じく100,000であるが、サービス指向の会計として扱う)
サービス・コストの小単位:
コラボレーシ ョン・サービ ス コラボレーシ ョン・サービスの総コスト
サービス・コスト#1 - 50,000 サービス、コラボレーション・
サービス 年間保守 サービス・コスト#2 - 125,000 コラボレーション ・サービス ソフトウェ ア
サービス・コスト#3 - 25,000 コラボレーション・サービス その他の特性など
総サービス支出 225,000
サービス保守の請求は他のサービス 固有の請求と合計される
25,000
200,000
コラボレーション・サービスの査定
会 計特性別のサービス・コスト内訳サンプル コラボレーション・サービス総コストの特性 別内 訳
ハード ウェ ア 150,000
ソフトウェ ア 25,000 225,000 従来の原価 会計
労務 50,000
運用 180,000
資本 45,000 225,000 資本構成
直接 51,000
間接 55,000 225,000 利益構成
固定 100,000
変動 125,000 225,000 コストの変動性
支 出小計 225,000
コラボレーション・サービスの潜在的価値の追加 有用性の最適化
保証の強化 10,000 サービス改善の見積もり価値
付 加価値小計 10,000
小計 : 225,000 今期の資金 基盤
予想される ピーク需要の変動 20%
増大(減少 ) 47,000 追加資金要
282,000
サービス査定合 計(将来) 282,000 将来必要な資金
原価勘定データのサービス価値への変換
この図は、財務管理が従来の原価勘定データをサービス勘定の情報に変換し、最終的にサービスの査定に 変換する様子を示しています。
次に、サービス供給モデルについて理解しましょう。
ITIL v3 Intermediate Certification Level | Service Offerings and Agreements
Copyright © 2011, ITpreneurs Nederland B.V. All rights reserved.
184
サービス供給モデルと分析 2.
財務管理は、サービス供給モデルを採用して、現在のサービス供給方法を分析します。サービス品質や移行 の準備状況など財務以外の側面も重要ですが、このトピックでは次のようなサービス提供モデルの財務的 側面のみを扱います。
マネージド・サービス供給モデル
y
シェアード・サービス供給モデル
y
ユーティリティベースの供給モデル
y
サービス供給モデル
y
マネージド・サービス供給モデル
組織がマネージド・サービス供給モデルを使用する場合、事業部門が要求するサービスに対して、各事業部 門が資金を用意します。サービス・プロバイダはサービスのコストを算出する際に、開発、インフラストラク チャ、および労務の費用を含めます。例えば、顧客固有のハードウェア、ソフトウェア、およびスタッフをサー ビスの管理のために使用する際、事業部門はそのサービスに対して料金を支払います。
1つの実体にサービスを提供するためにリソースを使用するので、このモデルは非常に高価です。ユーザが サービスと関連リソースを最大限に活用しない場合、使用されないキャパシティと、その同じキャパシティと リソースを利用して他のサービスを提供する機会が失われます。このような組織は、シェアード・サービス供 給モデルを採用することで、リソースを適切に利用でき、コストを削減できます。このモデルでは、共有され たインフラストラクチャとリソースを利用して、複数のサービスを1つまたは複数の事業部門に提供します。
顧客 1
顧客2
顧客3
顧客4
顧客5 サービス
資産 顧客
1
顧客2
顧客3
顧客4
顧客5 サービス
資産