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サプライヤのカテゴリ化およびサプライヤ・データ ベースの維持管理

ユニット6:サプライヤ管理

6.6  サプライヤのカテゴリ化およびサプライヤ・データ ベースの維持管理

サプライヤのカテゴリ化およびSCDの維持管理

サプライヤ管理では、重要なサプライヤを優先する必要があります。

サプライヤ管理プロセスは、こうしたサプライヤの管理に、より多くの 時間と労力をかけるべきです。そのためには、サービス・プロバイダに 対するサプライヤの重要性と、サプライヤが事業に提供するサービス の重要性に従って、サプライヤをカテゴリ化するためのプロセスが、サ プライヤ管理内にあるべきです。最適な手法は、リスク、インパクト、お よび事業に対するサプライヤとそのサービスの価値をカテゴリ化の 基準に利用することです。サプライヤとの関係の管理に費やす時間と 労力は、そのカテゴリ化に見合うものであるべきです。

次のようなカテゴリが考えられます。

戦略的:ここには、上級マネージャ同士が長期的な計画に関

y

する戦略的な機密情報を共有するようなパートナシップが含 まれます。このような関係は、上級マネジメントが所有し、管 理します。戦略的な関係では定期的な連絡とパフォーマンス・

レビューを行い、サービスストラテジおよびサービスデザイ ンのリソースを必要とします。継続的な改善プログラム(世界 規模のネットワーク・サービスの供給とサポートを行うネット ワーク・サービス・プロバイダなど)も、戦略的な関係に含まれ ます。

戦術的:ここには、商業活動や事業とのやり取りが顕著に見ら

y

れる関係が含まれるでしょう。このような関係は、中級マネジ メントが管理します。この関係では、継続的改善プログラム(

サーバのハードウェアの故障を解決するハードウェア保守組 織など)を含む、定期的な連絡とパフォーマンス・レビューを 行います。

運用上:ここには、運用中の製品やサービスのサプライヤとの

y

関係が含まれるでしょう。このような関係は、下級運用マネジ メントが管理します。これらの関係では、頻繁ではないが定期 的な連絡とパフォーマンス・レビューを行います。利用頻度の 低い、低インパクトのウェブサイト向けのホスティング・スペー スを提供するインターネット・ホスティング・サービス・プロバ イダなどが含まれます。

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コモディティ:ここには、容易に代替プロバイダからソーシン

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グでき、容易に入手できる、価値の低い製品やサービスを提 供するサプライヤとの関係が含まれるでしょう。例えば、紙や プリンタ・カートリッジのサプライヤなどです。

戦略的に重要なサプライヤとの関係

戦略的に重要なサプライヤとの関係には、より注意を払ってください。

このような関係では、関係が初期の契約を越えて継続できるように、サ プライヤ・マネージャは、サプライヤがサービス・プロバイダ組織のカ ルチャを取り入れることを確実にしなければなりません。外部ソーシン グが普及し、ソーシングの取り決めの複雑さが増大した結果、サプラ イヤとの関係の種類のカテゴリ化は多様化しています。戦略的には、

最大の事業利益をもたらし、発展するビジネス・ニーズに適合するサ プライヤとの関係の種類を選択できるように、すべての可能な選択肢 を理解することが重要です。

適切なサプライヤ関係を選択するには、事業達成目標に対する明確 な理解が必要です。

事業の観点からのサプライヤの重要性は、サービスの性質から総コス トまで、多くの要素に依存します。事業にとって重要な関係ほど、その

管理や発展にさらに事業が関与する必要があります。カテゴリ化のプ ロセスは、この重要性の判断に役立ちます。

契約価格よりも事業上の価値を考慮するほうが、事業と整合したアセ スメントになります。

標準的なサービスのサプライヤ

標準的なサービスではサプライヤへの依存性は低くなります。このよ うな場合、サプライヤを取り替えるのも容易です。標準化されたサービ スは、市場投入までの期間が最短となるので、新規または変更された サービスの展開には有益です。また、コスト削減戦略の実施にも役立 ちます。

カスタマイズされたサービスのサプライヤ

サービスがカスタマイズされるほど、サプライヤを変更することは困 難になります。カスタマイズは、差別化されたサービスを通じて、事業 に競争力をもたらす場合があります。カスタマイズは、運用上の発展 の結果である場合もあります。

オーダーメイドのサービスは、サプライヤへの依存性を高めます。ま た、コストとリスクを増大させます。サプライヤにとって、オーダーメイ ドのサービスは規模の経済を縮小させ、その結果、利幅が低下し、将

来的な投資への資金が減少することにつながります。

標準的なサービスとカスタマイズされたサービスではどちらが良いの でしょうか?

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カスタマイズから得られる事業上の優位性が明確でない場合は、標準

的な製品およびサービスを選ぶべきです。事業上の優位性が明確な 場合は、戦略的サプライヤからオーダーメイドのサービスをソーシン グすることができます。

サプライヤとサービス・プロバイダの合意

関係の種類を確立したら、次に合意によってその関係を形式化する必 要があります。合意には、非公式な契約から法的拘束力のある契約ま であります。価値の低い関係に対しては、サプライヤの標準的な諸条 件で十分であり、またこうした関係は、全面的にITによって管理するこ とができます。

契約を管理し、策定するには、調達部門と法務部門、および事業の利 害関係者を巻き込みます。

ビジネス・サービスの提供には、外部や内部のサプライヤが複数関与 することがあります。複数のサプライヤには、戦略的サプライヤとコモ ディティ・サプライヤの組み合わせが含まれることもあります。組織に 直接サービスを提供するサプライヤもあれば、他のサプライヤを通じ て間接的に業務を行う再委託先サプライヤもあります。サービス・プロ バイダは直接サプライヤを管理し、統括サプライヤは再委託先サプラ イヤを管理します。1つのサプライヤが、複数のビジネス・サービスに 対して製品やサービスを提供する場合もあります。

サプライ・チェーン分析は、ビジネス・サービスとサプライヤのサービ スとの間の結びつきを明らかにします。ビジネス・プロセスの分析は、

各プロセスに関連するサプライヤと、それらのサプライヤ間での引継 ポイントを示します。サプライ・チェーンの管理は、それぞれのサプラ イヤの機能上の境界とパフォーマンスの目標値を明確に定義するこ で、ビジネス・サービスレベルが確実に達成されるようにします。サプ ライヤ間に、適切に定義された少数のインタフェースがある小さなサ プライ・チェーンの場合は、ビジネス・サービスの目標値を満たしやす くなります。

直接サプライヤの数を減らすと、管理するべき関係の数や、個別に関 係しているサプライヤの問題の数が減少し、サプライヤ管理活動が単 純になります。一部の組織では、サプライ・チェーン全体を「主」サプラ イヤと呼ばれる単一のサービス・プロバイダにまで縮小しています。一 般的に施設管理は、単一の専門サプライヤが行い、このサプライヤが レストラン・サービス、清掃、および自動販売機の保守を外注する場合 が多くあります。

しかし、「主」サプライヤを利用すると別のリスクが生じます。そのた め、重要な活動をアウトソーシングする前に、慎重にサプライ・チェー ン戦略を検討する必要があります。サプライヤの数を減らす際は、アウ トソーシングされるサービスの適用範囲を検討して、リスクが引き続

き管理可能であり、供給市場の力量が適切であることを確実にしてく ださい。

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SCDには、組織のサプライヤに関するすべての情報とともに、電子メ ール・サービス、PCの供給と導入、サービスデスク、契約などのサプラ イヤの製品またはサービスの詳細が含まれます。また、サポート協定 および発注プロセスに関する情報も含まれます。SCDはCMSの一部 で、CMSの中に含まれます。

SCDは、優先サプライヤの利用を促進したり、承認されていないか互 換性のないアイテムを購入しないようにしたりするのに有益です。ま た、購買活動が体系化され、コントロールされるので、組織が優遇レー トを交渉できるようにもなります。