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主要な活動、手法、技法、サービス・ライフサイクル との関係

ユニット6:サプライヤ管理

6.5  主要な活動、手法、技法、サービス・ライフサイクル との関係

プロセスの活動、手法、技法

外部サプライヤと取り引きする場合、すべての責任と目標値を定義し、

文書化した正式な契約があることが重要です。そしてこの契約は、ビジ ネス・ニーズの識別から契約の運用と終了までの契約ライフサイクル を通して管理しなくてはなりません。

ビジネス・ニーズを識別し、ビジネス・ケースを準備する際は、次のこと を行います。

要件記述書(SOR)や入札案内(ITT)を作成する。

y

戦略/方針に従っているようにする。

y

内部および外部の選択肢、コスト、期間、目標値、利点、リスク

y

を含む、完全なビジネス・ケースを準備する。

新しいサプライヤおよび契約を評価しソーシングする際は、次のこと を行います。

購入と調達の方法を特定する。

y

個人および組織の能力、サービス、品質、コストなどの評価基

y

準を定義する。

サプライヤおよび委託先に関するすべての選択肢を比較す

y

る。

サプライヤまたは委託先を選択する。

y

目標値、責任、終了、更新、延長、争議、移行など、契約の諸条

y

件について交渉する。

契約に合意し、発注する。

y

新しいサプライヤおよび契約を確立する際は、次のことを行います。

SCDおよび他の関連する企業システム内に、サプライヤのサ

y

ービスと契約を設定する。

サービスを移行する。

y

関係および契約を確立する。

y

サプライヤおよび契約をカテゴリ化する際は、次のことを行います。

サプライヤまたは契約をアセスメントまたは再アセスメント

y

する。

サービストランジションを通じてすべての変更を確実に進め

y

る。

サプライヤをカテゴリ化する。

y

SCDを更新する。

y

SCDを継続的に維持管理する。

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サプライヤおよび契約のパフォーマンスを管理する際は、次のことを

行います。

サービスまたは製品の運用と提供をコントロールし、管理す

y

る。

サービスの品質とコストをモニタし、報告する。

y

コミュニケーション、リスク、変更、障害、改善、目標値、インタフ

y

ェースに関して、関係を管理する。

契約期間が終了する際は、次のことを行います。

利点および今後の要件をレビューする。

y

契約を再交渉し更新するか、終了または移行する。

y

ライフサイクルを通して契約を適切に管理するために、事業、IT、財 務、購買、および調達が協働する必要があります。事業のすべての領域 が共同でソリューションを選択し、サプライヤのパフォーマンスを管理 しなければなりません。各領域は、各自の利益に責任を負うと同時に、

組織全体への影響も理解しなければなりません。

次に、契約ライフサイクルのさまざまな段階について理解しましょう。

新しいサプライヤおよび契約の評価

このプロセスはサービスデザインの一部で、契約ライフサイクルの他 の段階にインプットを提供します。契約を成功させるには、ITチーム の関与が欠かせません。すべての組織は、ビジネス・ケースの策定、承 認、および最終決定に対して、事前に定義されたテンプレートと、文書 化された正式な手法を持つべきです。事業およびITは、ビジネス・ニー ズおよびビジネス・ケースの内容について合意、承認、および最終承認 しなければなりません。

組織は、新しいサプライヤおよび契約を確立するための適切なプロセ スと手順を持つべきです。新しいサプライヤまたは契約を選択する際 は、次の点を考慮します。

実績

y

能力

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信用照会

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信用格付け

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規模(提携する事業に関して)

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人材関連の課題(サプライヤとの関係の種類による)

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選択されるサプライヤや関係の種類は、多くの場合、職場の駆け引き や既存の関係などの他の要素に依存します。その場合、根拠を特定し インパクトをアセスメントして、コストのかかる誤った選択を回避する ことが重要です。1つのサプライヤが1つのサービスを供給することも あれば、複数のサービスを供給することもあります。標準的な「既製」

のサービスの場合、組織は複数の競合サプライヤを利用するのが一 般的です。コストが主要な要素で、類似サービスの開発の必要性が低 い場合、組織は通常、サービスのマルチソーシングを利用します。ある いは、マルチソーシングによってリスクを分散することもあります。複 数のサプライヤを利用する場合は、あるサプライヤを「推奨サプライ ヤ」として指定し、他のサプライヤを利用する際の適用範囲を制限する ことができます。

事業戦略を整合する目的で戦略情報を交換したいサプライヤとの間 には、パートナ関係を確立するべきです。また、パートナ関係は役員レ ベルで確立する必要があります。戦略的なサプライヤ関係は、パート ナ関係として位置付けるべきです。これは、サプライヤが顧客組織との 関係において置かれる、従属的な立場から脱することを意味します。

非階層的な関係の利点

新しい、非階層的な関係には、主に次の利点があります。

戦略的整合:カルチャ、価値、および達成目標の整合による、

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事業戦略の整合

統合:両当事者の組織のプロセスの統合

y

情報の流れ:全レベル、特に戦略的レベルでのコミュニケーシ

y

ョンによる十分な理解

相互信頼:両組織のメンバー間の信頼関係

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率直さ:サービス・パフォーマンス、コスト、およびリスク分析

y

に関する報告時の率直さ

連帯責任:現在のパフォーマンスおよび今後の関係発展に対

y

して連帯責任を負う共同パートナシップ・チーム

リスクと報酬の共有:例えば、材料費の変動などのリスクの共

y

提携の利点

提携は、両当事者に恩恵をもたらします。組織に対するサプライヤの 理解が深まるにつれて、組織が受ける恩恵は大きくなります。理解が深 まるほど、サプライヤは組織のニーズに対して、より迅速かつより適切 に対応できるようになります。一方で、サプライヤは、事業からの長期 的なコミットメントによって財務が安定するという恩恵を受けます。こ れにより、サプライヤが自身のサービスや製品を改善するための長期 投資が可能となり、これが顧客に利益をもたらすのです。

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パートナシップによって、両当事者はITインフラストラクチャを整合で

きるようにもなります。アーキテクチャとリスク・コントロールの共同合 意によって、より互換性のあるソリューションをパートナたちが実施で きるようになります。こうした統合は、サービスを改善し、コストを削減 します。

パートナシップを締結する前に、その利点とコストを理解することが重 要です。このようにして、両当事者は、何を期待されているかについて 初めから理解しておきます。パートナシップを確実に成功させるには、

合意や関係に従って、パートナまたはアウトソーシング組織にスタッフ を送り出さなければならない場合もあります。

サプライヤを評価し、選択するための正式なプロセスでは、次の点を 考慮する必要があります。

重要性およびインパクト:事業に対するサプライヤのサービ

y

スの重要性

リスク:サービス利用に伴うリスク

y

コスト:サービスとその配分のコスト

y

法務、財務、購買など、サービス・プロバイダ組織の他の部門もこのプ ロセスに関与することがあります。

サービス・プロバイダのプロセス

サービス・プロバイダは、次を行うための確立されたプロセスを持た なければなりません。

ビジネス・ケースに関する文書を作成する。

y

SORとITTまたは提案書を作成する。

y

サプライヤおよび契約を正式に評価し、選択する。

y

契約の標準的な条項および諸条件(通常の終了および早期

y

終了、ベンチマーキング、譲渡または脱退、争議解決、再委託 先サプライヤの管理など)を記載する。

新しいサプライヤおよび契約を移行する。

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これらのプロセスは、サプライヤと契約の規模、種類、およびカテゴリ によって異なるべきです。

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契約のリスク

合意の性質と適用範囲は、関係の種類およびリスク・アセスメントによ って決まります。外部サプライヤとの合意を形式化する前に、合意前の リスク分析を行うことが重要です。各当事者に対するリスクが明らか になります。リスク分析は、財務、業界の評判、運用、規制、法律などの 各リスクを含み、包括的かつ実用的でなければなりません。

包括的な合意は、何が期待されているかを両当事者に認識させるの で、将来争議が起こる可能性を低くすることになります。合意は、その 期間を通して存続するように、柔軟なものにしてください。そうすれ ば、将来の変更に合意を適応しやすくなり、最小限の交渉で済むこと になります。

外部委託契約

UCまたはサービス合意には次のものが含まれます。

諸条件:契約の存続期間、当事者、場所、適用範囲、定義、およ

y

び取り引き上の基準を含みます。

サービスの記述および適用範囲:パフォーマンス、可用性、キ

y

ャパシティ、セキュリティ、技術インタフェースなどの、提供へ の制約に加えて、供給されるサービスの機能性とその範囲を 含みます。サービスの機能性は、明確に定義するか、または定 着しているサービスの場合は、サービス・ポートフォリオ、サー ビス・カタログなどの他の文書への言及を含めなければなり ません。

サービス標準:サービスの品質およびパフォーマンスの許容

y

可能なレベルを含みます。サービスレベルは測定可能、達成 可能で、優先度に合うようにします。このサービスレベルは SLAとSLRの目標値の基本にもなります。

作業負荷の範囲:サービス目標値が適用される量の範囲、ま

y

たは特定の価格設定の指針が適用される量の範囲を含みま す。

管理情報:サプライヤが報告するべき運用上のパフォーマン

y

スに関するデータを含みます。管理情報には、関係をアセスメ ントするための主要な報告指標だけを含めるべきです。パフ ォーマンス・データには、重要業績評価指標(KPI)およびバラ ンス・スコアカードを含めることができます。

責任および依存関係:コミュニケーション、窓口、およびエス

y

カレーションに関する、サービス供給におけるサプライヤの 義務の説明と、サプライヤのサービス提供の取り組みを支援 する組織の義務の説明を含みます。

広範なサービス合意には、次の内容を含めることができます。

サービスのデビットおよびクレジットの指針(報奨および罰

y

則)

追加のパフォーマンス基準

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