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主要な活動、手法、技法、サービス・ライフサイクル との関係

ユニット4:サービスレベル管理

4.5  主要な活動、手法、技法、サービス・ライフサイクル との関係

SLMの活動

SLMの主要な活動は次のとおりです。

SLRにある新規または変更されるサービスの要件の判断、交

y

渉、文書化、合意、およびサービス・ライフサイクルを通したこ

れらの要件の管理およびレビューと運用中のサービスに対す るSLAへの落とし込み

SLAの目標値に照らした、運用中のすべてのサービスに関す

y

るサービス・パフォーマンスの達成度のモニタと測定

顧客満足度の照合、測定、改善

y

サービス・レポートの作成

y

サービス・レビューの実施、およびサービス改善計画(SIP)範

y

囲内での改善の推進

SLA、サービス適用範囲、OLA、契約、およびその他の基本とな

y

る合意のレビューと改定

事業、顧客、および利害関係者との窓口および関係の構築と

y

文書化

あらゆる苦情の記録、対処、解決のための手順、および賛辞の

y

記録と伝達のための手順の作成、維持、および運用

すべての苦情と賛辞の記録と管理

y

パフォーマンス管理を支援し、サービスの達成度を実証する

y

ための適切な管理情報の提供

SLM文書の最新のテンプレートと標準を利用できるようにす

y

ることと、その維持

(出典:『サービスデザイン』)

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次の図は、主要な活動間のインタフェースを示しています。

事業部門A 事業部門B

ビジネス・

プロセス

ビジネス・

プロセス

サービス

新規サービスの SLRの要件について

の決定、文書化、

合意、および SLAの作成

SLAに照らしたサー ビス・パフォーマン

スのモニタおよび サービス・レポート

の作成

サービス・レビュー の実施および SIP全体における

改善の推進

標準と テンプレート

の文書化

サービス・カタログ に関する支援および

文書テンプレートの 維持管理

窓口と関係の構築 および苦情と賛辞の

記録と管理

顧客満足度の照合、

測定、改善

SLA、サービス適用 範囲、基本となる

合意のレビュー と改定

サービス・レポート

サービス・カタログ 事業

契約

サプライヤ管理 サプライヤ

サポート・チーム

事業部門A 事業部門B

ビジネス・

プロセス

ビジネス・

プロセス

サービス

新規サービスの SLRの要件について

の決定、文書化、

合意、および SLAの作成

SLAに照らしたサー ビス・パフォーマン

スのモニタおよび サービス・レポート

の作成

サービス・レビュー の実施および SIP全体における

改善の推進

標準と テンプレート

の文書化

サービス・カタログ に関する支援および

文書テンプレートの 維持管理

窓口と関係の構築 および苦情と賛辞の

記録と管理

顧客満足度の照合、

測定、改善

SLA、サービス適用 範囲、基本となる

合意のレビュー と改定

サービス・レポート

サービス・カタログ 事業

契約

サプライヤ管理 サプライヤ

サポート・チーム

SLAフレームワークの設計

図では主な活動を個別の活動として示していますが、これらの活動は、すべての顧客とすべての事業領域に 適用できる1つの全体的なSLMプロセスとして統合するべきです。では、この統合SLMプロセスを作成する 方法について学習しましょう。

SLMは、組織のニーズに合わせて、すべてのサービスと顧客が網羅されるような方法で、サービス・カタログ を使用しながらSLA体系を設計する必要があります。

SLAのフレームワークの設計には、数多くのアプローチがあります。次に3つのアプローチを挙げます。

サービスベースのSLA

y

顧客ベースのSLA

y

マルチレベルSLA

y

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サービスベースのSLA

このSLAは、1つのサービスのすべての顧客を対象とします。これは単 純なアプローチのように思われますが、異なる顧客が同じサービスに 対して異なる形式を要求したり、インフラストラクチャの性質のためサ ービス提供時にサービスレベルがばらついたりする場合、問題が生じ ることがあります。

また、そのような合意に誰が署名するかについても問題となる可能性 があります。サービスベースのSLAは、例えば電子メールや電話など、

事業全体で共通のサービスレベルで提供されるサービスに適切です。

ゴールド、シルバー、ブロンズなどのサービス階級を明確に定義して、

異なる顧客のさまざまなニーズに、より良く対応するサービスベース のSLAを作成することもできます。

顧客ベースのSLA

このSLAは、特定の顧客グループとの間で締結され、その顧客グルー プが使用するすべてのサービスを対象とします。

すべてのサービスおよび顧客を重複することなく網羅できる場合は、

サービスベースのアプローチと顧客ベースのアプローチを組み合わ せてSLAフレームワークを設計できます。

特定サービスレベルのSLA

顧客レベルのSLAまたは 事業部門レベルのSLA

企業レベルのSLA 特定サービスレベルのSLA

顧客レベルのSLAまたは 事業部門レベルのSLA

企業レベルのSLA

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マルチレベルSLA

マルチレベル構造のSLAは、次の役割を果たします。

管理可能なサイズの確実化

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重複の防止

y

頻繁な更新の必要性の低減

y

ただし、サービス・カタログと構成管理システム(CMS)内の関連する 関係とリンクを維持するために、より多くの労力が必要となります。

多くの組織では、すべてのSLA、SLR、およびOLAの基礎として使用でき る雛形またはテンプレートを準備しています。雛型はSLAの草案と並 行して作成できます。そのようなテンプレートおよび標準を使用するこ とによって、それらに基づいて作成されたすべての合意の一貫性を確 保できます。同時に、合意の使用、運用、および管理がより簡単になり ます。

SLAには役割と責任を含めることができます。その際は、ITプロバイ ダ、IT顧客、および実際のユーザの観点を考慮します。

SLAは、混乱や誤解の余地を残さないように大変慎重に記述するべき ですが、通常は法律用語を用いる必要はありません。簡潔で平易な言 葉を使用することによって、すべての当事者がSLAを完全に理解でき るようになります。起草にかかわっていない第三者に最終版の文書を 読んでもらうことも役に立ちます。それによって、あいまいな部分が明 らかになり、それらに対処できます。各SLAには、重要な用語をすべて 定義した用語集も含めるべきです。

国際的に提供されるサービスの場合、異なる言語に翻訳しなければ ならない場合もあります。さらに、1つの言語で書かれたSLAの草案 を、世界中のさまざまな地域に適合するよう、各地域でレビューしなけ ればならない場合もあります。このステップでは、用語、形式、およびカ ルチャの違いを考慮します。

サービスが外部サービス・プロバイダによって別の組織に提供される 場合、サービス目標値は、契約に含めることも、契約に添付されるSLA やスケジュールに含めることもあります。どのような文書を使用するに しても、設定される目標値は、提供されるサービスの関係と品質を決

定するため、明確であいまいさのないことが重要です。

新規サービスの要件の決定、文書化、合意とSLRの策定

新規サービスの要件は、サービスデザイン段階の初期に定義、文書 化、および合意されるべきです。サービス・カタログを作成し、SLA体系 に合意したら、最初のSLRを起草します。最初から顧客を巻き込んで取 り組むことがベストですが、具体的な議論に入る前に、パフォーマンス の目標値および管理と運用の要件に関する概略の草案を事前に作成 しておくべきです。この草案は、確定しないで、変更可能にしておく必

要があります。

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SLRまたはSLAの初期の目標値を定義することは、非常に困難な場合 があります。現実的な目標値を決定するには、すべてのプロセスが関 与する必要があります。インシデントの目標値に関してはインシデント 管理に相談でき、サービスの可用性およびパフォーマンスの目標値に 関してはキャパシティ管理と可用性管理に相談できます。サービス保 証期間を通してモニタされ調整されるパイロットSLAに、暫定的な目 標値を含めることができます。

新規サービスのSLRも作成するべきです。SLRはサービスデザインで 定義するべきであり、設計、開発、および調達の段階を通してテストや 追跡に活用するべきです。サービスがそのサービス・ライフサイクル を進捗するに従って、SLRは徐々に絞り込まれ、初期サポート(ELS)期 間中のパイロットSLAになります。パイロットSLAまたはSLAの草案は、

サービスと並行して作成されるべきで、サービスの運用を開始する前 に承認される必要があります。

初期の段階で要件を定義する場合には注意が必要です。キャパシテ ィ、セキュリティ、可用性、および継続性に関する要件の決定には支援

が必要となる場合があります。最終的な要件が、初期に示されたもの と異なることもあります。求められているものと、達成可能かつ妥当な 価格のものとの間の妥当なバランスを取るまでには、何度も交渉を繰 り返す場合があります。そのため、サービス・ソリューションを毎回再

設計することになるかもしれません。

新規サービスがスムーズに移行されるようにするには、そのサービス とサービス・コンポーネントに対するサポートの取り決めを計画立案 し、形式化することも必要です。計画立案でサービスとそのコンポー

ネントの導入、展開、およびサポートに関するすべての課題を網羅す るためには、変更管理と構成管理に関与を求めるべきです。既存の契 約/OLAに特定の要件を含めるか、または新規の契約/OLAについ て交渉しなければならない場合もあります。サポートの取り決めとエ スカレーション・プロセスを、サービス・カタログも併せて、サービスデ スクが認識するようにCMSに追加します。必要な場合は、サービスデ スクおよび他のサポート・グループに対して初期トレーニングと実習 を行って、実際のサポートが必要になる前にナレッジの継承を行って おきます。

新規サービスをサポートするには、より多くの従業員が必要となる可 能性があります。サポート・グループは新規サービスによって課せられ たさらなる業務に対処しなければならないため、働きすぎのサポー ト・グループに対する期待はほどほどにしておくべきです。

顧客、顧客の代表、およびサービス・プロバイダと交渉を行い、SLAお よびサービスレベルの初期目標値を最終決定する必要があります。そ のような交渉では、合意の草案をたたき台にすることができます。