II. 夏期行動
3. 夏期設営作業
3.4 機械
3.4.1 計画停電(SME-56-01) 加藤 直樹
【概要】
計画停電を行う。
【実施経過】
1月5 日0 8 : 0 0
~1 2 : 0 0
計画停電実施
発電機を停止させ、復電体制及び作業を確認
【問題点・課題】
以下の点を反省会で確認した。
今後、実際に停電がおきてしまった場合、隊員はまず自分が担当する棟を遮断し、本部からの指示にあわせ て投入することを確認した。また、野外オペレーション等で不在にする場合は必ず代理を立て引き継ぎをして 行くこと。
・極夜期の停電時に対応するために、全員に配布しているヘッドランプを常に携帯し、就寝の祭は枕元に置いて おくこと。
・外出注意令発令中は隊長判断で対応とし、禁止令発令中は各棟の対応をあきらめることとする。
・復電に対応する当初の地学棟へのルートはかなり大回りなのでルートを再検討した。
3.4.2 300kVA 発電装置 2 号機オーバーホール(SME-56-02) 高木 佑輔
【概要】
300kVA 発電装置 2 号機の F 点検を行う。
【実施経過】
1 月 9 日より 55 次横田隊員と 2 名でオーバーホール作業実施。
1 月 14 日分解作業完了。
1 月 16 日よりしらせ支援(4 名)が始まり組付け作業実施。
1 月 17 日の夕方からブリの為外出禁止令が出ていたが、私としらせ支援の方 4 名はオーバーホール作業を進め る為居住棟へ移り、1 月 18 日からも継続して作業実施。
1 月 22 日冷却水注水、潤滑油注油、燃料給油し、漏えいチェックを実施。
1 月 24 日から試運転、調整運転、ガバナー試験、保護装置、保護継電器試験を実施。
1 月 29 日にすべての作業を完了した。
【問題点・課題】
今回支援員を 3 名で要請を出していたが、必ず 4 名必要である。
毎年支援依頼の要望で人員固定での作業要請を出しているが、支援員がワッチの関係で現状は 3 日のローテー ションでしか行えない。
その為、支援員が 4 人の場合は必ずオーバーホール経験者を 2 名入れて頂きたい。
3.4.3 汚水配管敷設工事(SME-56-03) 佐藤 裕之
【概要】
前次隊からの引継ぎによる汚水処理施設工事。
既存汚水処理棟からの移設及び汚水処理装置の更新工事となる。現作業工作棟を新汚水処理棟として装置の新 設移設工事により、配管工事、電気工事、既存配管工事との切換、汚水は中継槽で受け制御を行う。また、汚水 処理装置から放流される放流水は屋外排水として埋設され海へと放流される。
【実施経過】
夏作業期間中に第 1 中継槽から第 2 中継槽へ、そして汚水処理装置までの通水試験を行い、越冬交代後直後に 各棟の切換工事を行う予定でいたが、現状はポンプの電源や、配管凍結防止ヒータの未施工により通水試験を行 うことを配管凍結の恐れがあるため取止めとしている。
管理棟、発電棟、居住棟の3棟の配管切換及び警報盤改造の再確認を行う必要があり、第 1 中継槽から汚水処
理棟までの通水試験は確実に行い漏洩のないことを確認し、切替える各棟から第 1 中継槽までの通水試験は現実 的に困難なため通水試験を行わず、切替え直後の運用となる。また現状の汚水処理施設を活かしつつ新汚水処理 を立上げ、運用が最良の方法となるが、こちらも現実的に難しいと思われる。切換後は新汚水処理の本運用とな る。
中継槽は凍結防止対策として、温水コイルと電気ヒータを取付ける設計をしている。温水配管は各中継槽の温 水コイルまでの配管と、電気ヒータの取付けまで完了はしている。また温水配管は不凍液である為、厳冬時期に 不凍液の注入することで、暖房として利用している棟に影響を与えると判断し、電気ヒータで中継槽を立上げ運 用を行う。厳冬時期過ぎた頃に不凍液の注入をしながら温水コイルの試運転を行うことになる。いずれも、暖房 として利用しているため注入し、温水コイルの試運転、通水を行う際には注意が必要である。
【問題点・課題】
① 温水配管の不凍液の量、注入する時期、温水ポンプからの流量による暖房を行っている棟への影響があるか、
温水ポンプには定流量弁が取付けられており、流量変更調整が必要になる可能性があると思われる。
② 2基の中継槽の付近には洗浄用の給水がないこと、また汚水処理装置の作業工作棟にも給水設備はないこと。
③ 第2中継槽の排気ファンがあるが取付け位置があまり良くない、取付け位置が低すぎたのではないか。
④ 排水ポンプの交換となった場合に排水の処理方法、汚泥抜き弁はあるが放流する場所や汚泥を受けるタン クなどを準備しておかなければならないのではないか。
⑤ 悪天候のときによる警報及び異常の対応。第1中継槽は屋外であること。第2中継槽は、第1中継槽と共に 非常照明もなく電源もないこと。屋外に防水コンセントが近くになく、取付けも困難だと思われる。作業工 作棟(完成後:新汚水処理棟)に移動が可能か、必要な保守部品は常設ができるが、棟内(作業工作棟)か らの戻りが不可能になった場合にどの様に対応すべきか検討が必要
3.4.4 20kW風力発電装置設置(SME-56-04) 中村 英明
【概要】
西部地区の11倉庫跡付近にラフタークレーンを用いて、20kW 風力発電装置を設置する。
風力発電装置から自然エネルギー棟まで地上ケーブルラック及び電源ケーブル光ケーブルを敷設し、西武分電 盤小屋のブレーカーを逆潮流対応のものに交換して、基地電源と系統連系及び試運転することを目指す。
【実施経過】
53 次隊:基礎工事の実施(接岸不能による物資輸送の遅れのため)、54 次隊:接岸及び氷上輸送不可により作 業未実施、55 次隊:しらせ接岸により物資輸送が完了、56 次隊:構造組立及び電気工事を完了。工事着工から 4 年目にして完成した。
今期の経過:
12/29~31AM:段どり、下段フレーム組立、制御室設置、足場設置、電源ケーブル及び光ケーブル敷設(自エネ
→風発)、電源ケーブル敷設(自エネ→西部小屋)
1/2~4:足場設置(2 段目)、中段フレーム、中段十字、中段 H 鋼設置、シャフト木枠解体 1/5~7:シャフト設置、上段フレーム設置、2F 制御室設置
1/8~9:ボルト本締め、アーム取り付け、配電盤設置(自エネ)制御室 H 鋼穴ふさぎ、制御室シール準備、配 電盤設置(西部電源小屋)、電源ケーブル接続(風発)
1/11 :アーム取り付け、風速計配線(制御室引き込み)、内部足場ばらし、通電確認(西部分電盤小屋→自エ ネ→風発制御室)
1/12 :ブレード取り付け、H 鋼貫通部ふさぎ
1/13~14:制御室内部配線、制御室シール、電源投入確認(風発本体)、内部機器設定 1/16 :内部機器設定(ブレーキ調整)
1/19 :足場解体(中央残し)、ベルト接続→試運転(10%手動運転)
1/22~24:試運転
1/30~31:FTP サーバ設定
2/8 :足場解体 工事完了(外観写真:図Ⅱ.3.4.4-1)
2/10 :通常運転開始(2/13 定格出力確認:図Ⅱ.3.4.4-2)
2/10,14:作業引き継ぎ→完了
【問題点・課題】
1 号機であるため継続して運転データの確認を国内で実施する必要あり。現在国内側からのデータ転送(FTP)
が不可とのことから極域データセンタの協力が必要である(現状はメール送信)。
風発が発電している時、電離層管理のアンテナデータにノイズが発生したとの報告あり。ノイズレベルについ ては現在調査中であるが、当該アンテナは近い将来撤去する方針とのことである。
2 号機設置時は基礎工事から実施するため、今期以上の作業期間を確保する必要あり。
図Ⅱ.3.4.4-1 風発外観完成写真 図Ⅱ.3.4.4-2 風発定格運転結果
3.4.5 大型大気レーダー用発電設備の排熱対策工事(SME-56-05) 佐藤 裕之
【概要】
大型大気レーダー観測用発電機の排熱により室温が高温となる為、局所的な換気設備を設け、排気対策を実地 する。発電機の運転を維持できる給排気設備を設ける。
【実施経過】
計画した換気量からは60%までの運転は維持したものの、100%稼動時には10分位で発電機がオーバー ヒートを起こし、改善を余儀なくされた。換気機器を増設すると同時に自然換気口を天井面、外壁面に開口を設 けて100%の運転に対応できるようになった。
【問題点・課題】
① 24時間運転時おける燃料の管理方法(ワッチ)送油量、貯油タンクの見直し、また今後行われると思われ る継続運転の維持管理(年間消費量の燃料など)
② 換気機器に頼らず自然給排気への切換、機器の管理を少なくする為に室温の管理を行い換気を行う方法への 切換
③ 発電機の入替え、保守業務の運用方法
3.4.6 廃棄物保管庫幹線ケーブル敷設工事(SME-56-06) 加藤 直樹
【概要】
現地に搬入されているケーブルを使用して、廃棄物保管庫等のケーブル敷設工事を行なう。
【実施経過】
夏期作業での実施優先順位が低く、また越冬中でも対応可能なため、他の夏作業を優先したため第5 6
次夏期間 は未実施である。
【問題点・課題】
特になし。
回転数制限 モード
3.4.7 電力監視システムの更新(SME-56-07) 高木 佑輔・加藤 直樹
【概要】
5 5次隊で設置した電力監視システム(電力見える化システム)の不具合箇所の更新と監視ポイントの増設作業 を行う。
【実施経過】
1月 2 3
日に、交換作業は B
基盤以外(基盤不良)予定通り作業を実施した。B
基盤に関しては、交換したが造 水装置、ラジエターの温度が 0
℃表示になっていたため、B
基盤に関しては既設品を再取り付けし対応した。
【問題点・課題】
B 基盤以外に問題はなく、B
基盤に関してはメーカーに問い合わせを行った。
3.5 通信
3.5.1 夏期間の通信業務及び夏期間に隊で使用する無線機器の保守(SCO-56-01) 戸田 仁
【概要】
「第 56 次夏期オペレーション通信要領」により、夏期オペレーションにおける通信、しらせ~昭和基地間の通 信、沿岸調査隊との通信、東オングル島内での夏作業中の通信、インマルサットによる通信、昭和基地インテル サットによる通信、衛星携帯電話の使用、電報の取扱い、無線設備の設置及び保守点検、通信の運用についての 説明等を行った。また、夏期間に使用する無線局の貸出し及び保守点検を行った。
【実施経過】
しらせと日本国内及び昭和基地との間の通信を行うために、しらせ艦橋及びしらせネットワーク室に各種無線 設備を常置した。
また、しらせの無線設備の運用及び電報の取扱いについて、しらせ電信室と打ち合わせを行った。12 月 11 日、
しらせ船上において、全隊員・同行者を対象に通信に関する説明会を開催した。主な内容は、①夏期オペレーシ ョンにおける通信手段、②無線通信の原則、③VHF 帯無線機及び UHF 帯無線機の取扱方法、④無線設備の設置及 び運用上の注意点である。さらに、同日、各沿岸調査隊のメンバーに対して、⑤沿岸調査隊に配備する無線機、
⑥HF 帯無線機、Air-VHF 帯無線機及びイリジウム衛星携帯電話の取扱方法、⑦昭和基地外に常置している無線機、
⑧定時交信、⑨気象情報の提供に関する通信についても説明を行った。
昭和基地への第 1 便が到着した日(12 月 24 日)に、夏作業に必要な UHF 帯ハンディ無線機、VHF 帯ハンディ無 線機及び Air-VHF 帯ハンディ無線機を隊員・同行者に貸与した。また、第 1 及び第 2 夏期隊員宿舎に UHF 帯無線 機及び VHF 帯無線機をそれぞれ常置した。
夏期オペレーションの通信形態は、①しらせと昭和基地との間の通信、②沿岸調査隊(生物圏、地圏、宙空圏、
測地潮汐合同及び海氷観測)との近距離通信及び長距離通信、③観測隊ヘリコプターとの航空通信、④昭和基地 及びしらせ周辺における業務通信に分けることができる。各通信形態に合わせて通信を実施した。
昭和基地及びしらせ周辺における業務通信は、第 56 次隊内の連絡用には主として UHF 帯の 1 チャンネルを、輸 送に関する連絡用には主として UHF 帯の 2 チャンネルを、昭和基地内としらせ船上との連絡用には主として VHF 帯の 1 チャンネルをそれぞれ使用した。
日常業務としては、昭和基地管理棟通信室内に常置された無線設備により、通信を宰領するとともに隊員に貸 し出した無線機の日常点検を実施した。また、日本から昭和基地あてに送られてきた電報及び昭和基地から日本 あてに送る電報の取扱いを行った。
【問題点・課題】
通信に関する問題点及び無線設備に関する問題点が認められた。
通信業務は主に通信の運用及び保守・点検の2つに分けられる。
通信に関する問題点は、通信の運用である。
ここ数年、通信の基本である、聴守について認識不足と思われる。
通信は「聴いて守る」「通信は誠実に」と、ひと昔の通信隊員は、この精神を夏期間に叩き込まれたものであ る。この精神だけで、通信の運用を進化させることができる。
今後は、通信の基本について、通信OBを招き、通信の基本研修に加えてほしい。