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II. 夏期行動

3. 夏期設営作業

4.1 同行者課題

4.1.1 教員派遣プログラム(AAD-56-01)

【概要】

「南極授業」を実施する。

【実施経過】

南極授業 3 回(2/2 野田私立川間中学校、2/4 明石私立清水小学校、2/6 明石市立天文科学館)を実施。

今次隊は越冬隊員が前次隊よりも 2 名増員となったが、例年より人員が少ないということもあり、最小限の スタッフ構成で実施した。構成は、教員1名、ディレクター1名、スイッチャー1名、室内カメラ1名、外中 継カメラ1名、室内・外中継アシスタント 2 名、タイムキーパー1名、教員補助1名(当日授業のない教員)。

外中継は19広場1箇所に限定するなど、人出のかからない方法を工夫しながらの実施となった。

【問題点・課題】

南極授業は、打ち合わせ、リハーサル、本番と連続して長い時間が拘束されるため、人員の確保・調整が非 常に難しい。

現場で機材を確認して、国内に配信される画面比率が旧式の4:3であることが初めて判明した。急遽、1 6:9のモニターにテープを貼って、見切れ位置を確認しながらリハーサルをやり直したり、パワーポイント やビデオを作り直したり、現場はかなり混乱した。画面比率の統一は急務である。

南極授業(1)野田市立川間中学校教諭 栗原 陽子

【概要】

・昭和基地からTV会議支援システムを活用し日本国内の学校に向けて、リアルタイムで授業を実施。「南極 授業」を行うことで、南極観測による成果や活動状況を広く社会に情報発信することを目的とした。

・昭和基地での夏作業や日々の観測、野外観測の様子など、教員が幅広く体験させていただき、情報発信す ることにより、南極・昭和基地が中学校生徒・参加保護者・教育関係者・教職員にとってより身近なものとな った。

【実施経過】

12 月中旬 南極授業係分担決め、授業内容の概要の確認、日程の確認

12 月中旬から 2 月上旬 昭和基地内、沿岸野外(スカルブスネス、氷上輸送、海洋観測、海氷観測)で同行 取材・調査

1 月 25 日 授業資料、指導案の完成(スタッフへの配布)

1 月 27 日 シナリオ最終読み合わせ 1 月 28 日 2 月 2 日分基地内リハーサル

1 月 29 日 9:00 国内との接続試験 接続試験終了後 2 月 2 日分基地内リハーサル 2 月 2 日 8:00(9:00)野田市立川間中学校

※( )内の時間は本番の開始時刻

※国内接続試験をリハーサル前に国内対応者(小濵広美広報主任・本校教頭)が実施した。

【授業概要】

・自分が学校で授業を受け、給食を食べている時、遠い南極の地で生きている人、動物がいることを意識し て学校生活を送る中学生は、ほとんどいない。中学生にとっての世界は小さく、そこで起きていることが常識 として彼らの中に積み重なっていく。しかし、実際の世界は広い!私は日々の授業の中で「知る」ことの大切 さ、そして「科学的に見る」ことの面白さを子どもたちに伝えたいと考えている。自分が生きている時間と同 じ時間に、南極という場所で働いている人がいる。見たことのない現象が起きている。子どもたちにとって身 近な大人がそこにいることを通じて、南極に興味を持ってもらいたい。そして、その自然の雄大さに心から感 動してもらいたい。その感動は、南極の自然、南極観測への関心に必ずつながるものと考える。現地からの授 業だからこそ感じられる「同じ時間に南極で生きている人とつながる」という感動を大切にした授業作りを目

指した。

・南極でどんな観測をしているのかを知っている人は、大人であってもそう多くはない。そこで、「なぜ南極 を知るのか。」という大きなテーマに基づき、「南極で働いている人を知る」、「キミも南極を知る」という2部 構成で授業を作った。1部では、観測系の隊員から取材した研究の紹介、調理隊員、庶務隊員に実際に出演し てもらい、生徒からの質問を受けた。2部は、クイズの答えを考えながら南極の自然を知るという形で展開し た。最後に三浦越冬隊長から生徒たちへの温かいメッセージをいただき、締めくくった。

・50分~60分間の授業を予定し、川間中学校1・2年生、保護者、学校関係者が授業を参観した。

・とにかくやりとりに重点を置いた。一方通行の授業にならないように、できる限り、会場にいる生徒や職 員と会話する機会、生徒が参加する場面を多く組み込んだシナリオを作成した。

・あらかじめ生徒からの質問を受け付けておき、生徒の興味や関心を把握した。一つの回答からつなげて、

いくつかの疑問に回答できるようなシナリオを作成した。

・「なぜ南極を知るのか」というテーマに基づいて VTR を作成し、オープニングに流した。この VTR の作成の ために隊員の仕事の様子を取材させてもらい、コメントをいただいた。

・担当者は下記のとおり、庶務隊員を中心に構成

授業者(栗原)、ディレクター(浅野)、スイッチャ―(田村)、室内カメラ(濵谷内)、外中継カメラ(後藤)、

外中継ディレクター(藤澤)、外中継アシスタント(河合・及川)、タイムキーパー(加藤)

※基地内・国内の担当者の尽力、当日の屋外中継付近の設営業務は中継時間を避けて行っていただき、授業 実施運営上に大きな問題点は無かった。

【問題点・課題】

a) 今回は天候に恵まれ、大きな問題もなく外中継を行うことができた。スタジオだけでなく、実際の南極 を生徒たちに見せることの効果はかなり大きいと考えている。そのため、悪天候時のために対応できる機 材があると良い。帰国後に行う南極授業と現地からの授業の大きな差の一つは、この外中継にあると思う。

b) 前次隊との関係上、機材を使用してのリハーサルや映像の動作確認が授業直前までできなかった。その ため、直前で動画が動かないことが判明したり、カメラの映り方を調整したりした。どの隊でも困ってい ることだと思うので、南極授業の実施が2月上旬である以上、越冬交代前であるがこの部分について は互 いに歩み寄る必要があると感じた。

c) 前次隊までにわかっているパワーポイントの作成時の注意事項や動画作成の注意事項が次の隊員、教員 に伝わっていない。そのため、直前に夜通し作り直しを行った。これに限らず、教員に入ってくる情報は 非常に少ない。隊員たちも南極授業をやったことがある人間が毎回いるわけではないので、南極授業の準 備については一度マニュアルを作成し、同じ混乱をくり返さないようにした方が良い。

南極授業(2) 明石市立清水小学校教諭 河合 健次

【概要】

・ミッション内容:昭和基地から南極授業を実施する。

・実施方法:TV 会議システムを活用し日本国内の学校に向けて衛星授業を行う。

・担当者:授業者(河合)、ディレクター(浅野)、スイッチャ―(田村)、室内カメラ(濵谷内)、外中継カ メラ(後藤)、外中継ディレクター(藤澤)、外中継アシスタント(栗原・及川)、タイムキーパー(加藤)、室 内カンペ(濵谷内・栗原)

【実施経過】

12 月中旬 南極授業係分担決め、授業内容の概要の確認、日程の確認

12 月中旬から 2 月上旬 沿岸野外での同行取材・調査(スカルブスネス、ラングホブデ、)、昭和基地内での 太陽の観察

1 月 15 日 授業資料、指導案の提出(スタッフへの配布)

1 月 26 日 シナリオ最終読み合わせ

2 月 2 日 川間中学校本番終了後 4 日のリハーサル

2 月 3 日 8:00 国内との接続試験 接続試験終了後 4 日分基地内リハーサル 2 月 4 日 8:00(9:30)清水小学校本番

※( )内の時間は本番の開始時刻

※国内接続試験を各校ともリハーサル前に国内対応者(広報・寺村さん他)が実施した。

【授業の概要】

・「南極で『時』を科学する」 「時間」は太陽の動きから獲得してきたものであると言う根本的な概念 から『時』を科学してみようとしたとき南極ほど魅力的な場所(位置関係)はない。それは、南半球での太 陽の動き、24 時間太陽が沈まない白夜など、小学 3 年生以上の既習内容を覆せるおもしろさがあるからだ。

今回、それらを「日時計」から実証していくという部分が重要であった。日時計をとおして実際にその現象 を体感する…それに近い形で届けることができたと思う。

・「南極で『色彩採集』」 南極での圧倒的な自然をどのように伝えるか? 素直に自分自身にとって、

南極に魅せられた「色彩」によって伝えたいと思っていた。それにより、今回はフォトモザイクと写真のス ライドショーで表現した。

余分な解説は一切入れず、また焦点が「動き」にならないよう動画を一切排除した。できるだけたくさん の色彩と見る角度、視点を工夫して「採集」という目的にアプローチを試みた。「色彩」の定義を「色味」

に限定しないで、南極に生きるものの「命」の輝き、隊員の「夢・笑顔」が伝わるような構成を心がけた。

・上記二つのテーマには、共通して知識の注入が学習の主たる目的ではなく、南極を感じ、興味関心を喚 起させたいとの願いがある。たくさんの「?」や「!」を感じさせて、もっと知りたいという疑問「?」や 要求「!」に答えられるように、帰国後の南極授業を展開させていきたい。その意味では今回の南極授業は その「予告編」を意識した。また、2 つのテーマは今までにない視点で実現できたことを嬉しく思う。南極か らの授業に「手法」=コンテンツだけに頼らず、様々な「視点」を見つけることも今後の南極授業にとって 重要に感じる。

・「南極取材」 本校 5 年生が NHK 神戸で番組づくり体験を行うことから導入した企画。総合的な学習の 時間で「南極」を取り上げ、その学習をとおして三浦越冬隊長に聞きたいこと取材する内容となった。各ク ラスのテーマは 1 組「南極の植物」2 組「南極における地球温暖化の影響」3 組「南極におけるゴミ問題」。

これらのテーマに従って各クラスから2~3 問ずつの問いが設定された。これらの回答に専門的になりすぎな いように、隊長と幾度にもシナリオ調整をして頂いた。時間設定の甘さもあり、十分に伝えきれなかった感 を残したが、後日、送られてきた 2 年生の感想を見る限り、低学年にもある程度の理解ができたと知った。

・「○×クイズ」 他の内容が 3 年生以上の既習内容に基づくことから、低学年の児童にもわかりやす い展開として導入した。7 問設定であったが、時間の関係上6問を実施した。「時間調整が容易なコンテンツ」

であった。内容はより南極や昭和基地を身近に感じ、今後の興味関心につながるように心がけた。国内対応 の教師の進行が入るので、児童の反応も素早くできたと思う。

【問題点・課題】

a) 出発前に南極授業の実施日が確定しているのだから、接続試験同様に、個々のリハーサル日程もあらか じめ国内調整の段階で確定できていれば、日程調整などの混乱が最小限になると思う。プレ・リハーサル も含めると現地入りしてからの日程に関する調整が大変に感じた。

b) 自分自身にジレンマがあったのが「シナリオづくり」だった。どうしても「授業なのにシナリオ?」

という抵抗感もあってそれを克服(納得)するまでに時間がかかりすぎたことが私自身の反省だ。実際に は、様々な役割をもった個々のスタッフと息を合わせるとなると、シナリオに頼るところは大きいとの実 感があった。

c) 「テレビ番組的な画面」へのこだわりも正直、馴染めなかった部分だった。リハーサルでその部分に こだわるがあまり、時間を費やしてしまうことにもやや抵抗があった。できれば、ホワイトボード(また は黒板)を背に MC(教師)は全身の動きも入れ、PC を自ら操作できればと感じた。結果的には、現状では 自分が絵に描いたような形態は難しく、個々のスタッフとの連携が一つの形を構築していくことがよかっ たと思う。今後、技術的に可能ならば、MC 自らが PC 操作できるように整備して頂けたらと思う。今回も それが可能であれば、全天球カメラの映像の清水小学校での披露やフォトモザイクの紹介に工夫の仕方が 広がったと推測する。ただ、それにより、スイッチャーの役割が軽減されるというのが大前提にはなると は思うが。

d) コンテンツづくりは取材や編集を含めて楽しい作業であった。スタッフ始め様々な隊員のご協力、ア